ゴルフクラブ試打日記。          

BUCHI MT201 アイアン

BUCHI MT201 アイアン 
今日は、このゴルフクラブ試打しました。
試打クラブは BUCHI MT201 アイアン の7番 です。
ダイナミックゴールド

シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは35度、クラブ長さは36.5インチ、シャフトフレックスはS200、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は443gです。
正面

初めて手にした、BUCHIという名のアイアンです。
とても美しいアイアンですが、私はこのメーカーを全く知りませんでした。
『BUCHI』というのは、どういう意味なのだろう?と思いました。
英語表記なのか、それともそのままローマ字読みで『ブチ』と読んでいいのだろうか?と思っていました。
Tabuchi

しかし、ヒール側に『Tabuchi』という名前が刻印されていたので、この『BUCHI』は『タブチ』という名前の略なのだろうと思いました。
元阪神タイガースで、現在東北楽天ゴールデンイーグルスのヘッドコーチである田淵幸一さんも現役時代は確か『ブチ』という愛称があったことを思い出しました。
聞くところによると、このクラブは『田淵正敏さん』という方の名前なのだそうです。
失礼ながら、私は全く存じ上げなかったのですが、クラブ業界ではとても有名な研磨職人さんなのだそうです。
そういえば、ゴルフクラブに人の名前が入っていることは珍しくありません。
例えば、『ベティナルディ』や『スコッティキャメロン』『クリーブランド』『ホンマ』『ENDO』と、ちょっと意味が変わるかもしれませんが『ブリヂストン』などもそうです。
バックフェース中央のオリジナルマーク

よく見ると、バックフェース中央に、このオリジナルマークが見えます。
角度を変えてみると、見えにくくなることもあるのですが、こういった控えめのデザインがまたオシャレだと思いました。
それ以外にも、このアイアンはピカピカ光る『ミラー仕上げ』ではなく、落ち着いた光沢感の仕上がりになっているところも好感がもてます。
側面

この角度から見ても、とてもシャープでカッコいいです。
キレを感じさせてくれますし、必要最低限のものしか装備されていないような美しさ・潔さが感じられます。
何と言いますか、『余計な重荷のないアイアン』といいますか、余分な物がないだけ、そのパワーは計り知れないように思えてきます。
とても美しいですし、挑戦意欲を掻き立てられます。
これくらい『薄さ』を感じさせるアイアンは、ちょっと珍しいように思います。
最近はマッスルバックアイアンも次第に復活してきましたが、このアイアンはその中でも、いい意味で、やや異質な感じがしました。
肉厚設計 フラットバック

『マッスルバック』といえば、やはりこの『フラットバック構造』と『肉厚感』です。
これだけで、もう充分・・・。といった感じがします。
昔のマッスルバックアイアン全盛の頃を思い出しました。
マッスルバックを敬遠しておられる方には、このフラット構造が難しそうに感じられるかもしれませんが、その『芯』を喰ったときの感触は何物にも代えがたいので、まずは試していただきたいと思っています。
こういったアイアンの極上の打感を味わうことは、ゴルフの大きな楽しみのひとつだと思います。
『妥協』がない分、難しく感じることもあるかもしれませんが、その反面で微妙なフィーリングを感じることができたり、ショットの精度を上げてくれるように思います。
いつもいい刺激を与えてくれるアイアンだと思います。
BUCHI オリジナルグリップ

このオリジナルロゴの入ったグリップも、とてもカッコいいと思いました。
私が日頃使い慣れているツアーベルベットとは、表面のデザインがちょっと異なっていましたが、とても握りやすくて、フィーリングの出しやすいグリップだと思いました。
今はグリップの色も、とてもカラフルになり、私たちゴルファーの選択肢が増えてきましたが、私はやはりこういったノーマルな色を今でも好んで使っています。
友人が白いグリップを使っているのですが、どうしても汚れなどが目立ってしまうようです。
ソール幅

『ソール幅』は、はっきりと狭い感じがしました。
最近のアイアンの中でも、かなり狭いと思います。
まるで昔のアイアンを見ているようです。
今は、『プロ・上級者モデル』と呼ばれるアイアンでも、以前と比べ、ソールも広くなっている傾向があるように思うのですが、このアイアンは、かなりはっきりとしています。
昔ながらの『ノーマル』な幅のアイアンです。
私は『ワイドソール』のアイアンだと、ダフるイメージを持ってしまいがちなのですが、これくらい研ぎ澄まされていると、『切る』というイメージを持ちやすいですし、『いいインパクト』と地面への『いい接地』ができそうな印象を受けます。
アイアンショットといえば、やはり『ターフ』とは切っても切れない関係にあると思うのですが、このように美しいソール形状だと、そのターフが『スパッ』と綺麗にとれるイメージが自然と浮かんできます。
ネック長さ

しかし、ネックはそれほど長いとは思いませんでした。
むしろ、やや短めに感じましたし、この長さは最近のアイアンに共通するところだと思います。
『低重心』のアイアンでないことは確かだと思うのですが、それほど極端に重心が高くないのではないかな?と思いました。
ドライバーに比べ、アイアンはその外観で大よその性能やフィーリングをつかむことができますが、このようにすごく美しいアイアンは、打つ前から自然と期待度が上がってきます。
決して『タフ一辺倒』のアイアンではないように思いました。
BUCHI MT201
 
ゴルフクラブで、ウッドは『木槌』や『金槌』で、アイアンは『刀』をイメージしやすく、またクラブの役目もそのようになっているところがあると思います。
そういった意味でも、このアイアンは、研ぎ澄まされた名刀のような迫力と美しさがあります。
このアイアンは新品なのですが、何年か使い続けていっても、いい感じの『風合い』がでるだろうな・・・。と思いました。
まさに『使い減りしない』といいますか、『飽きの来ない』アイアンといえるのではないでしょうか?
構え感

ボールを前にして構えてみても、『圧巻』という言葉が浮かんでくるくらい、そのあまりの美しさに一瞬言葉を失いました。
ここ数年、色々な美しいマッスルバックアイアンを試打してきましたが、その中でもこのアイアンの『形の美しさ』や『独特な雰囲気』は別格だと思いました。
何と言っていいのか解りませんが、『深みのある美しさ』だと思いました。
最近はマッスルバックでも、ネック回りが太くなっている物も多いなかで、このアイアンは余計な太さが無く、とてもすっきりしています。
自然にフェースがターンしそうな感じがします。
この『全く無駄の無い』と呼べる構え感に、思わず引き込まれてしまいそうに感じました。
私の脳を激しくアタックしてくる感じです。
ここ数年、アイアンに限らずドライバーなどでもそうなのですが、『クラブの顔』が一時期よりもすごく良くなっていて、そういったクラブを構える度に、私は心が落ち着いたり、楽しい気分になるのですが、今日はまたちょっと違った感じがしました。
勿論、嬉しくなったり、気分が楽になるのですが、何かこうクラブが訴えかけてくるものがありました。
打つ前から、こういったフィーリングをビシビシ感じたことは、最近では記憶がありません。
すごくいいイメージが鮮明に浮かんできたのですが、このような極上のアイアンを私ごときが使ってみてもいいのかな?と思いました。
クラブに圧倒されている私がいました。
ナイスショットは、『ゴルファーとクラブの共同作業』だと私は思っているのですが、今日は最初からこのアイアンにイニシアティブを握られているように思いました。
まずはこのアイアンに任せてみよう・・・。と思いました。
今日はとても意義のある一日になるな・・・。と思いながら、試打を開始することにしました。
試打を開始しました。
フェース面

『打感』は、予想通り『最高』といっていいほどのグッドフィーリングです。
軟鉄鍛造の柔らかさと、マッスルバックの厚みが上手く融合している極上の打感です。
こういった打感ならば、何球でも味わっていたくなります。
この厚みのある打感が、フェースとボールの『くっつき感』を演出してくれているようでしたし、この打感があるからこそ、マッスルバックの存在価値があるといっても過言ではないように思いました。
確かにキャビティアイアンと比べても、ミスに対してシビアなところのある、マッスルバックではありますが、この極上の打感を味わえるのであれば、練習をたくさんして『芯』でヒットできるようになろう・・・。と思えてきます。
マッスルバックアイアンをまだ試したことがない・・・。という方はたくさんいらっしゃると思うのですが、この素晴らしい打感を是非ひとりでも多くの方に味わっていただきたいと思いました。
トゥ側

『球のあがりやすさ』という点でも、やはりある程度のタフさなどはあるかもしれませんし、誰にでもあがりやすいアイアンとはいえないのかもしれません。
ある程度のヘッドスピードも要求されると思いますし、『敷居の高さ』も感じられるのかもしれません。
しかし、決してタフさばかりが目立つアイアンだとは思いませんでした。
むしろ、易しくて、思っていたよりも球があがりやすいな・・・。と感じました。
やはりネックをそれほど長くせずに、ある程度の長さで抑えているところなども、このあがりやすさの理由になっているのでしょうか?
特にダイナミックゴールドを日頃から使い慣れておられる方には、易しく感じられるのではないでしょうか?
以前から、『易しいマッスルバックが欲しいが、どれがお勧めか?』といったようなご質問を頂戴したことがあり、その都度あまりタフではないアイアンをご紹介してきたのですが、このアイアンを打ってみて、すぐにそのことが思い出されるくらい、親しみやすい感じがしました。
そのコメントを送ってくださった方々に自信を持って、このアイアンをお勧めしたいと思います。
マッスルバックを試してみたいけど、難し過ぎず、球が比較的あがりやすいアイアンが欲しい・・・。という方は、是非試してみられてはいかがでしょうか?
重心が高すぎず、そしてロフトも適度に寝ていて、いわゆる『ノーマル』なので、『球があがりやすい』とか『思っていたよりも弾道が高い』と感じられる方もとても多いのではないでしょうか?
『ストロングロフト』ではない、いわゆる『ノーマルロフト』だからこそ、パンチ気味に低く打ったり、逆に高く上げていったり・・・。といったことができるのだと思います。
『ショットの幅』が増え、融通が利くのは、間違いなく、こういった『ノーマルロフト』のアイアンです。
バックフェース

『安定性』という点では、マッスルバックなので、やはりある程度のシビアさがあるとは思うのですが、決して手におえないような難しいアイアンだとは思いませんでした。
敬遠すべきではないと思いました。
どのように打っても、ミスが出ない・・・。というタイプのアイアンではありませんが、この『美しい顔』と、この『高性能なシャフト』が高い安定性を醸し出してくれているように感じられました。
つまり、プレイヤーにマッチしたシャフトと適正な重量がまず必要なのだと思います。
シャフトが合っていないと、どんなに寛容なヘッドのアイアンでも、途端に難易度が上がってきます。
重量も、重すぎず、軽すぎずがベストなのだと思います。
そういった意味でも、このアイアンはマッスルバックではありますが、私にとってとても馴染みの深いシャフトが挿さってあるせいか、とても易しく感じられました。
もちろん、『ヘッドだけの易しさ』を重視するのであれば、キャビティが有利なのかもしれませんが、クラブはやはり『全体的なバランス』が大切なので、必ずしもキャビティが秀でているのではないように思います。
私はこのアイアンの『顔の良さ』に終始圧倒され、またこのクラブが私をいい方向へ引っ張ってくれたように感じ、今日はとても易しく感じられました。
この構えやすさが、すごく『易しさ』という点で大きなポイントをあげていたように思いますし、リラックスできたことがいい結果につながったのだと思います。
構えづらかったり、違和感を感じてしまうと、いくらヘッドが大きかったり、キャビティ部分が広くて慣性モーメントが高くても、私は苦手意識をもってしまいますし、実際に試打しても、あまりいい結果が得られないことが多いです。
それと、先ほども書きましたが、このアイアンが『適度な重量』であることも、好印象な要因のひとつだと思いました。
ヘッドも小さく、『グース』も弱いので、グースネックを好まれる方や、ラージサイズのアイアンを好まれる方は、このアイアンを構えたときに難しく感じられるかもしれません。
そういった意味でも、このアイアンは『今風(いまふう)』とはいえない部分があるのかもしれませんが、マッスルバックアイアンの中では、敷居は低いほうだと思うので、色々な方にお勧めしたいと思いました。
飛距離性能

『飛距離性能』という点では、あくまでも私の感覚では『ノーマル』な感じがします。
本来の『7番アイアンが刻むべき距離』へ、キッチリと運んでいってくれます。
このアイアンはとても扱いやすく、『ショットの選択の幅が広い』ですが、こういった『距離を刻む』ということにおいては、『オートマチック感』を感じました。
縦の誤差が少なく、いつでもイメージに則した弧を描いてボールを運んでいってくれるように思いました。
アイアンに限らず、クラブはロフトが立てば立つほど、『縦の距離感』が曖昧になりやすいですし、狙いづらくなります。
止めるべきところで、止まりにくくもなります。
しかし、こういった『本来のロフト』のアイアンには、そういった怖さを感じません。
飛ばし過ぎずに抑えていきやすく安心できるので、より積極的にアグレッシブに攻めていくことができます。
『くっつき感』があるので、フォローでラインを出していけるところも気に入りました。
操作性

『操作性』という点では、『最高』。いや『最強』だと思いました。
ずっといいイメージが頭に浮かんでくるので、そのイメージをもったまま振っていくだけで、ボールが白い曲線を描いていってくれました。
左右に曲げることも、とても易しく、一球一球楽しんで打つことができました。
左へ引っかかるイメージも湧かなかったので、とても楽な気分で振り抜くことができました。
こういった芸術品といってもいいほどの美しいクラブで、しかもそのクラブを使うプレイヤーが楽しい気分でショットしているときは、ボール自体も喜んで飛んでいっているのではないかな?と思えてきます。
ゴルフはとてもメンタルなスポーツで、ゴルファーの心理状態がそのままボールに反映されることが多いですが、今日はボールがずっと『上機嫌』のように感じられました。
私は練習場で、アイアンに限らずにドライバーでも、よくボールを曲げて楽しんでいるのですが、やはりアイアンではドライバーよりも、もっと『曲げる楽しみ』があるように思います。
今はアイアンも、ドライバーのように『直進性』が求められているように思うところもあるのですが、できれば、こういった『マニュアルタイプ』のアイアンを試していただくと、また違ったゴルフの面白さがあるのではないでしょうか?
そして、その楽しい練習が実戦でも役に立つことが多いと思っています。
『直線』というよりは、明らかに『曲線』を描きやすいアイアンです。
ヒール側

マッスルバックのアイアンなので、やはり『易しさ』をまず第一に求めておられる方には、やや合いづらいところがあるのかもしれません。
マッスルバックは『クラブに向き合う時間の長い方が使うクラブ』といえるのかもしれません。
そういった点で考えてみると、このアイアンはいわゆる『レジャー志向のクラブ』とはいいづらいのかもしれません。
しかし、先ほども書きましたが、決して難しさばかりが目立つアイアンではないので、是非一人でも多くの方に試していただきたいと思いました。
BUCHI MT-201stRUN PROTOTYPE

昨年は、私がこれまで知らなかったメーカーのクラブに出会う機会が何度かあったのですが、今年も年明け早々、こういった『超・極上のアイアン』に出会うことができました。
そして、その度に私の無知・日頃の不勉強さを痛感します。
また、逆にまたこれまで知らなかったけど素晴らしいメーカーに出会うことができた・・・。という喜びも大きいです。
今日は、まさにそんな忘れることのできない一日になったと思います。
BUCHI MT-201stRUN PROTOTYPE

今日は、このアイアンのおかげで、ずっと『ゾーン』に入っていたような気がします。
第一印象で、そして構えたときに、そのゾーンはどんどん深くなっていったような気がします。
周りの情景が消え、練習場で私とこのアイアンの『二人』だけの一対一で対話ができたような気がしました。
このような精神状態で練習ができたことは、ちょっと記憶にありません。
知らないうちに小一時間くらい、このアイアンで夢中に球を打ち続けていました。
まるで初めてとは思えないほどの親しみやすさを感じましたし、何といって表現していいのか解りませんが、『鉄の美しさ』といいますか『金属のやさしさ』を感じた日でもありました。
BUCHI MT201

このような『美の極致』ともいえるアイアンに出会うことのできる日本という国は本当にゴルファー天国といっていいのだと思います。
海外で大量生産され、安価に購入できるクラブも好きなのですが、何と言いますか、今日出会ったこの『BUCHI MT201』というアイアンは血が通った温かみのあるクラブだと思いました。
私のような未熟者が、このような洗練されたアイアンを手にしてもいいのだろうか?と何度も思いました。
私は今日まで、このアイアンのことを全く知らかなったのですが、今日でしっかりと記憶に刻まれましたし、おそらくこれからも忘れることはないと思います。
BUCHI MT201

ただ、こういった素晴らしいアイアンでありながら、ひとつ残念なことがあります。
それは、扱っているショップが、かなり限定されているということです。
このようないいクラブこそ、日本全国、いや世界中のゴルファーの方に使っていただきたいと思っています。
販売ルートが大手有名メーカーのように確立されていないのかもしれませんが、できるだけ多くのゴルファーが、この素晴らしいアイアンを楽しんでいただきたいです。
明日、早速友人たちに、このアイアンのことを紹介してみようと思いました。
彼らの喜ぶ顔と楽しそうにボールを打つ姿を想像するだけで、楽しくなってきました。
今日はいつも以上に楽しい練習ができましたし、明日の彼らの表情を見るのが、今からとても楽しみです。