今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは キャスコ ドルフィンウェッジ です。
シャフトは N.S. PRO 950GH です。
ロフトは60度、クラブ長さは34.75インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は98g、トルクは1.9、キックポイントは中調子、バランスはD3、クラブ総重量は453gです。
とても珍しい、キャスコのウェッジです。
キャスコにはグローブやボールのイメージが強く、ウェッジのイメージは殆どありません。
しかし今、このウェッジは大人気なのだそうで、品薄状態がしばらく続いていたのだと店員さんから聞きました。
今日はマットの上ではなく、練習場に併設されているアプローチグリーンやバンカーで試してみることができたので、早速外に出ました。
また少し暑さが、ぶり返したような気もしますが、芝の緑を見ているだけで、いい目の保養ができます。
全体的な形状はまずまずですが、あまりシャープで尖った印象はありません。
むしろ丸っこくて曲線的なイメージのほうが強いです。
ウェッジのリーディングエッジは特に鋭くてナイフのような切れ味を連想させる物が好きですが、このウェッジにはそういった印象はありません。
ヒール側にある、このフィン(ひれ)のような物がとても特徴的です。
フォーティーンのウェッジなどを経験しているので、このフィンのような物の役目は大よそ見当がつくのですが、それにしても、かなり思い切った設計になっています。
このフィンのような物がイルカのヒレを連想させるから『ドルフィンウェッジ』という名前になったのでしょうか?
バンカーで威力を発揮しそうな匂いがプンプンしてきました。
かなりのワイドソールです。
こうして見ても、このフィンのような物がとてもよく目立ちます。
ウェッジ(特にサンドウェッジ)では、ここの形状によって性能が大きく変わってきます。
正直、私は「ここまでしなくても・・・。」という思いがありましたが、こうすることによって大きな威力を発揮しているのだと思いますし、人気になっている理由のひとつなのだと思います。
ネックの長さは、しっかりとキープされていました。
スピンが掛かりやすそうです。
スピンもそうですし、ヘッドの落としどころを正確にするには、ある程度の長さがあったほうが理にかなっているように思います。
スイング中、先端部分が『へたる』感じもしないので、易しく感じます。
フェース面には細かなミーリングが刻まれていました。
今のウェッジらしいところだと思います。
このラバー系のオリジナルグリップも、とてもいい感じです。
繊細な距離感もそうですし、ヘッドの落としどころがシビアなバンカーショットを多用するサンドウェッジには、こういったグッドフィーリングのグリップが欠かせません。
耐久性はやや劣るものの、このグリップのフィーリングの出しやすさはとても優れています。
今はたくさんの優れたグリップが発売されていますし、カラフルな物も増えてきました。
しかし、それでも私はこういったツアーベルベット系が手放せません。
このウェッジに装着されているグリップのおかげで、すごく好感度がアップしました。
ボールを前にして構えてみると、はっきりとした『出っ歯系』です。
球を拾いやすそうです。
昔はよくありましたが、最近ではここまではっきりとした出っ歯形状は珍しいように思います。
グースネックを好まれる方には、やや難しそうな印象をもたれるかもしれません。
美顔だとは思わなかったのですが、構えやすい部類のウェッジだと思いました。
悪いイメージは全く出ませんでした。
ただ、こうして構えたときに、先ほどのヒールの『出っ張り』が、ちょっと邪魔になっているように感じられました。
もし、私が実戦で使うのであれば、間違いなく『削り』を入れるだろうと思います。
今日は天気が良かったというのもあるのですが、構えたときに『光の反射』が気になりました。
眩しさを感じました。
そういう意味では、やはり『黒染め』がいいのかな?と思いました。
ちなみに、このドルフィンウェッジに『黒染めモデル』があるか、店員さんに尋ねてみたのですが、このメッキタイプひとつだけなのだそうです。
ヒールの出っ張りが気になるものの、このまま試打を始めることにしました。
試打を開始しました。
『打感』はソフトな感じで良いと思いました。
すごくボールに喰いつく・・・。という感じはあまりしなかったのですが、なかなかの『乗っかり感』です。
ロフトが寝ているということもあると思うのですが、ホールドしていきやすいです。
この打感には好感をもてました。
スピン性能はいい感じでした。
ミーリング効果でしょうか?
ボールを止めやすいです。
球は拾いやすく、いい感じであがってくれます。
これくらい高さがでれば『スピン』と同時に『高さ』というダブルパンチでボールを止められそうです。
私のホームコースでは砲台グリーンが多いので、こういった止めやすいウェッジには魅力を感じます。
『安定性』という点では、標準的だと思いましたが、私はどうしてもヒール側のフィンのような物が気になりました。
この部分をかなり意識して打っていかなければならないように感じました。
ちょっと、いつもの感覚とは違う感じで打っていかなければなりませんでした。
『普段通り』というよりは、明らかに『よそ行き感覚』で打っていました。
ちょっとかしこまっちゃっているかな・・・?と思いました。
距離感は出しやすく、実戦的なウェッジだと思いました。
初対面であっても、ある程度『縦の距離感』を絞り込んでいくことができました。
『操作性』という点では、いい感じではあるのですが、どちらかといえばオートマチック的な感じがしました。
私はフェースの開閉を積極的に使っていきたいタイプですし、できればちょっとだけ開いてウェッジを使いたいタイプです。
そういったことが、このウェッジだとちょっと難しいように感じました。
開閉を極力抑えて、できるだけ『スクエア』にフェース面を使っていったほうがいいのではないかな?と思いました。
アプローチグリーンで20球ほど試してみた後、私の大好きなバンカー練習場に行きました。
私はいつも通り、フェースを開いて打っていったのですが、何球か打ってみて、このウェッジはあえて『開く必要の無い』ウェッジなのだと思いました。
ノーマルショットと同じように構えて打つのが適しているのではないかな?と思いました。
ヒール側のフィンが、かなり仕事をしてくれています。
ただ、私はクロスバンカーならともかく、ガードバンカーではフェースを開かずに構えることに、とても抵抗を感じます。
ピンが近いガードバンカーでは、フェースを開いて短く持ち、重心を落として、『最初から飛ばない構え』をしないと、気持ちよく振りきっていけません。
飛ばない構えをしているからこそ、思い切って砂をカットしたり爆発させたりする勇気が出ます。
バンカーショットで怖いのは『ザックリ』よりも、むしろ『ホームラン』を打ってOBになることです。
しかし、バンカーショットが上手くなるには、絶対にホームランを怖がってはいけないのだとビギナー時代、私の師匠でもあるレッスンプロから何度も言われました。
飛び過ぎるのを怖がって『ザックリ』ばかり繰り返すよりも、ホームランを打っていたほうが、バンカー上達の近道になるのだと教わりました。
ちょっと話は横道に逸れてしまいましたが、ガードバンカーでスクエアに構えてしまうと、どうしても大切な勇気が削がれてしまうような気がしてなりません。
普段はSWだけでなるべく対応するようにしていますが、距離のあるガードバンカーではAWやPW、場合によっては9Iを使うこともあります。
そういったときでも、私は必ずフェースを開きます。
ただ、バンカーでフェースを開くのが苦手な方も少なからずいらっしゃるのだと思います。
このウェッジは、そういった方の為に開発されたのだと思います。
真っ直ぐ構えて、ソールのフィンを使って砂を弾き飛ばしてバンカーから脱出しやすくなるよう設計されているのだと思います。
バンカーショットでは易しく、ノーマルショットでは、やや難しいイメージが残りました。
グリーン周りのアプローチでも威力を発揮してくれそうですが、それよりもバンカーで能力を発揮しやすいウェッジといえるのではないでしょうか?
『バンカー専用』とは言い切れないのかもしれませんが、バンカーショットが苦手な方にはとても親しみやすいウェッジといえるのかもしれません。
『クラブセッティング』が、今はかなり多様化していて、人によって大きく違っています。
私がゴルフを始めた頃は、だいたい同じようなセッティングになっていることが多かったのですが、今はとてもバラエティーに富んでいます。
ウッド系が多い方。
アイアンやウェッジが多い方。
ウェッジを4本入れておられる方。
ドライバーを2本入れておられる方、または1本も入れない方。
SWを2本入れておられる方。
など、様々です。
そういった意味でいうと、このウェッジをバンカーにボールがつかまったときの為の専用のクラブとして使っていくのも有効なのかもしれません。
バンカーショットが苦手だという方はとても多いと思いますが、その大きな理由は、やはり『練習場所が近くにない』ということになるのかもしれません。
幸い、私は近くにバンカーを練習できるところがいくつかあって、恵まれていると思うのですが、なかなか練習できない・・・。という方はたくさんいらっしゃるのだと思います。
そういった方々には、このウェッジはとても心強い味方になってくれるように思います。
ただ、バンカーショットをたくさん練習することができて、『得意』とまではいかなくても『好き』だと思えるようになると、このウェッジのような機能は、正直いってあまり必要でなくなるんじゃないかな?と思いました。
私ならば、このまま使うことはありません。
しかし、それでもこの個性的な設計には魅力を感じます。
キャスコはウェッジのイメージは無いですが、このように独自の工夫を施して、それが優れていれば人気は爆発するのだと改めて感じました。
クラブには独創性・独自性が求められます。
このドルフィンウェッジはそれが感じられます。
タイトリストやフォーティーンなど、素晴らしいウェッジメーカーはたくさんありますが、このウェッジのような『ニューウェーブ』が登場したことにより、もっと活性化しそうです。
このウェッジはとても面白いと思いましたが、正直、私にはやや合いづらい部分がありましたし、今愛用しているウェッジのほうが易しく感じました。
このウェッジのように、かなり個性的だと、合う方にはかなり魅力的だと思いますが、そうでない方にはデメリットに感じられるのかもしれません。
私はこのウェッジを購入したいとは思いませんでしたが、バンカーショットがどうしても苦手でスコアを落としやすい・・・。という方には是非試していただきたいと思いました。
『ほぼ自動的』といっていいくらい、エクスプロージョンがしやすいウェッジだと思います。
ボールの手前を、ただダフるだけでいい・・・。というシンプルな発想になれます。
私にはやや扱いづらい部分もあったのですが、これからもキャスコには、このような独創性のあるクラブ作りをして欲しいと思いました。
色々なクラブを試打していて、似たような感じだな・・・。と思うことはたくさんありますが、今日はとても個性的で素晴らしいウェッジに出会うことができた有意義な一日でした。
キャスコ ドルフィンウェッジ
- 2013年9月14日
- キャスコ