テーラーメイド NEW P790 (’23) アイアン を試打 レビュー
今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは テーラーメイド NEW P790 (’23) アイアン の7番です。
シャフトは N.S.PRO MODUS3 TOUR 105 です。
ロフトは33度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は106.5g、バランスはD2、キックポイントは元調子、クラブ総重量は423g です。
テーラーメイドの新しいアイアンです。
モデルチェンジしても名前を変えないということは、この『790』という数字に、何か特別な意味があるのではないでしょうか?
過去のモデルから、このクラブもおそらく中空なのだろうという予測が立ちました。
P770、P790の『P』とは、どういう意味があるのでしょうか?
トゥ側に『TUNGSTEN』の文字があります。
タングステンは今でこそポピュラーになりましたが、登場したての頃は、ヘッドに比重の異なる素材を組み込むということがとても画期的なことで、これによりクラブの設計自由度があがり、プレイヤー側も鉛を貼ることが少なくなりました。
ソールの一部分に使われることもありますし、全体的に大きく使われることもあり、同じメーカーでも大きく変わってきます。
あまり多く使うとヘッドが重くなってしまいますが、このクラブの場合はどうでしょうか?
中空らしく、少し膨らんだ感じがするので、やはり中空なんだな・・・。と思いました。
最近は中空に力を入れているメーカーが多くなりましたが、テーラーメイドはその代表格といっていいように思います。
見た目マッスルバックやハーフキャビティのようにすっきりとシンプルでありながら、キャビティ並の易しさがあるところが、中空最大のメリットです。
『見た目とのギャップ』こそが、技術革新といっていいのかもしれません。
トップラインはやや厚めで、もう少し薄いほうが私は好きですが、低重心系のアイアンは、これくらいが多いように思います。
ソール幅は普通で、過去のモデルと変わらないのではないでしょうか?
ソールにある、この黒い溝のようなものもすっかり定着してきました。
他のメーカーが採用していないので、これを見るだけで、テーラーメイドのアイアンだと分かります。
ホーゼルには『FORGED』の文字がありました。
フォージドというと『柔らかい』というだけでなく、それ以外にも『密』というイメージがあります。
空洞だらけの打感ではなく、鉄を極限まで叩きあげて素材を密にし、空洞を無くして不純物を取り除く・・・。といった感じでしょうか?
今回のニューモデルは打感にも力を入れているんじゃないか?と期待感がこみあげてきます。
ソール形状も普通で、特に変わったところは見られません。
ヘッド内部に力を入れて、ソールには力を入れなかったのか、それともこの形がベストというように結論づけられているのか、どちらかだと思います。
このアイアンは軟鉄鍛造ということのようですが、こうして見ていると『ステンレスのような冷たさ』を感じました。
軟鉄特有の、あの独特な柔らかくて温かい雰囲気は伝わってこず、質感もあまり好きではありません。
リーディングエッジの削りに大きな工夫は見られません。
トレーリングエッジも同様です。
フェース面にミーリングは無く、シンプルです。
スコアラインにも、特に工夫は見られず、いわゆる『スタンプ式』の機械的なタイプです。
人ではなく、機械がクラブを作っているのがわかります。
いろいろなクラブを見ていると、そのクラブの生産されている工程をイメージし、『早く作られるタイプ』と、『じっくり手間を掛けてこだわって作られるタイプ』があり、このアイアンは前者です。
じっくり時間を掛ければ掛けるほどいいというわけではありませんが、プレイヤーは『使い勝手』を大切にするのと同時に、作り手が『手間を惜しまずこだわり』をもって大切に作られているクラブは魅力を感じます。
目の前のクラブに興味をもち、もっと知ってやろう・・・。と思えるクラブか、それとも興味をもてず、TVで言えば『ワンクール』でOKという付き合いになるか・・・。
そんなことを考えていました。
メーカーによって、フェース面に力を入れているところもあれば、全く変えず工夫が見られないところもあり、テーラーメイドは後者です。
フェース面はいろいろな規制があり、メーカーとしても、あまり手を加えたくはないのかもしれません。
私が設計家なら、いろいろなアイデアがあり、やってみたい工夫もいくつかあるのですが・・・。
装着されているグリップはこれまでも見てきた、タイプです。
ソフトなフィーリングで好感が持てます。
グリップがグレーというのは珍しい感じもしますが、晴れの日のラウンドや練習で、黒よりも日光を吸収しないので熱くなりにくいですし、白よりも汚れが目立たないという利点もあります。
私はオーソドックスな黒が好きですが、今はカラフルなグリップもたくさんありますし、自分のラッキーカラーなどで選ぶのもいいのではないでしょうか?
素振りをしてみると、なかなかいい感じで好感が持てました。
やや軽量ではありますが、頼りない感じはなく、タイミングも整えやすいです。
今はスチールシャフトではモーダスの採用率が最も高いように感じますし、それだけ品質や精度の高さでユーザーからの信頼を得ているのだと思います。
ボールを前にして構えてみると、なかなかいい感じです。
一番目に付いたのは、やはり『トップラインの厚さ』で、このせいで少しイメージが出づらいといいますか、ボヤけた感じがしました。
クリアなイメージは浮かんできません。
グースは弱く、大きさも適正で方向性は出しやすそうです。
試打を開始しました
一球目から、この中空独特の『ペチャッ』という打感にテンションが下がってしまいました。
最新モデルであっても、打感は改善されていないんだな・・・。と思いましたし、メーカーもあえて、この打感にこだわっているのかもしれません。
中空アイアンをもっと幅広い層に認識してもらって、アイアンの中でのひとつのカテゴリーにしたいという思惑があるのかな・・・。と思いました。
マッスルバック・ハーフキャビティ・ノーマルキャビティ・フルキャビティ・ポケットキャビティと同等の中空というカテゴリーの中で勝負していくのかもしれません。
中空なので、端からマッスルバックやハーフキャビティなどと打感で争わない・・・。と決めているのかもしれません。
テーラーメイドは毎回斬新なアイデアからクラブを作り続け、時には『革新的』といえるような歴史に残るクラブを世に送り出してきました。
なので、このアイアンにもかなり工夫がされていて、打感が良くなるように設計されているのかもしれませんが、私の鈍い感性ではそれを敏感に感じ取ることができませんでした。
最新モデルであっても、打感はこれまでの中空と一緒。
『ペチャッ』という薄くて物足りない打感です。
『球のあがりやすさ』は普通ですが、どちらかというと、アスリート向けのアイアンといっていいのではないでしょうか?
ロフトが立っていますが、他のモデルだとそのロフトが立ったデメリットを他の技術で上手くカバーしているようなところがありますが、このアイアンはそれほどお助け機能は感じません。
人によっては、球があがりづらい・・・。と感じられるのではないでしょうか?
アイアン(特に7番から下の番手)は、インパクトからフォローにかけて、ボールがグッとフェースに乗って、フェースを駆け上がっていくようなイメージが欲しいですが、中空アイアンにはそれが無く、弾き感があって、そのまま前に進むような感じです。
ヘッドの厚みで押していく・・・。というよりは、少し『当たり負け』しているような打感で、プレイヤーの意志がボールに乗っていきません。
『安定性』は、いい感じで、ノーマルキャビティと変わらない感じがします。
見た目はマッスルバックのようでも、実際はキャビティのような大らかさがあるのが中空の良いところで、おそらく見えないところ(ヘッド内部)にたくさんの工夫がされているのではないでしょうか?
『飛距離性能』も優れていて、よく飛びますが、今のディスタンス系アイアンの中では平均的』といっていいような気がします。
バチンと弾く感じで、『クール』といいますか、『無機質』な弾道で飛んでいきました。
このようなタイプのアイアンで、プレイヤー自身のイメージや感情・距離感をボールに乗せていくことができたら、かなりのアドバンテージになるだろうな・・・。と思いましたが、私は長く打ちたいとは思わないので、そのアドバンテージを得られることは無いかもしれません。
無難な顔と大きさなので、操作性はなかなかいい感じでした。
見た目よりも大らかな性能をもっているので、自在に操るというよりは、『自然な流れ』で使っていくべきアイアンなのかな・・・。と思いました。
ドローヒッターの方にも、フェードヒッターの方にも扱いやすいアイアンだと思います。
中空アイアンが多くなり、テーラーメイドは今や、そのトップメーカーといっていい存在です。
なので、おそらく今回も様々な技術が投入されていると思います。
ヘッド内部のパーツの形状や素材の変更。
空洞部分の面積の増減。
いろいろあると思いますし、どの形状が最適な、CADなどを使って綿密に設計されているのだと思います。
しかし私の雑な感性はそういった繊細なところを感じることができず、『いつもの中空』という印象しかありませんでした。
もっと中空に興味をもって、たくさん接していれば、また違った発見があったのかもしれません。
中空を長く使っておられる方は、過去のモデルとの大きな違いを敏感に感じ取られたかもしれません。
これから中空アイアンが益々進化していくことを期待します。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆
打感・・・・・・☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆
※(100P満点)
☆1つ=0~20P
☆2つ=21~40P
☆3つ=41~60P
☆4つ=61~90P
☆5つ=91~100P
※追記 このクラブの紹介文(記事を書いた後、このクラブについて、調べてみました)
テーラーメイド NEW P790 (’23) アイアン徹底解説:飛びと打感を両立する革新モデル
1. NEW P790 (‘23) アイアンとは?
テーラーメイドの「P790」シリーズは、2017年の初代モデル登場以降、飛距離性能と上級者が好む打感を両立した“競技志向者向け飛び系アイアン”として市場を席巻してきました。第5世代となる2023年モデル「NEW P790 (‘23) アイアン」は、従来モデルの飛距離・寛容性を継承しつつ、新たに内蔵タングステンウェイトやSPEEDFOAM AIR™など先進テクノロジーを搭載。極薄のクロモリ鍛造フェースと鋳造ボディのハイブリッド設計で、高初速エリアを拡大し、より飛びやすく、なおかつ上質な打感を実現しています MyGolfSpy。
2. スペック詳細
公式サイトに掲載されているP790 (‘23) アイアンの代表的スペックは以下の通りです TaylorMade Golf。
番手 | #3 | #4 | #5 | #6 | #7 | #8 | #9 | PW |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロフト角 (°) | 19 | 21 | 23.5 | 26.5 | 30.5 | 35 | 40 | 45 |
ライ角 (°) | 60.5 | 61 | 61.5 | 62 | 62.5 | 63 | 63.5 | 64 |
長さ (インチ)[N.S.PRO® MODUS3 TOUR 105] | 39 | 38.5 | 38 | 37.5 | 37 | 36.5 | 36 | 35.75 |
バランス[同上] | D2 | D2 | D3 | D3 | D3 | D3 | D3 | D3 |
クラブ重量 約 (g)[同上] | — | — | 410 | — | 423 | — | — | — |
フェース素材 | クロモリ鋼[4140] (鍛造) + SPEEDFOAM AIR™ | |||||||
ボディ素材 | 軟鉄[8620] (鋳造) + 内蔵タングステンウェイト | |||||||
グリップ | TM Tour Velvet 360 Black (径60/50g) |
※上表は#5の代表値。シャフトはN.S.PRO® MODUS3 TOUR 105のほか、N.S.PRO® 950GH NEO、Dynamic Gold EX Tour Issueも選択可能 TaylorMade Golf。
3. ヘッドデザインとテクノロジー
3.1 内蔵タングステンウェイト
従来モデルよりタングステンウェイトの配置を最適化し、低重心化と高慣性モーメントを両立。高打ち出し角と強い初速を両立しています MyGolfSpy。
3.2 SPEEDFOAM AIR™
フェース裏側に注入された低硬度フォームが、フェースのたわみを助長しつつ、打球音と打感を向上。薄肉フェースでも心地よい振動減衰性を実現しています MyGolfSpy。
3.3 クロモリ鋼鍛造フェース+鋳造ボディ
しなやかさに富んだクロモリ鋼鍛造フェースと強度重視の鋳造ボディ構造を融合。操作性と飛距離性能を高次元でバランス TaylorMade Golf。
4. 飛距離性能と弾道特性
4.1 飛距離性能
P790 (‘23) は、ヘッド初速向上テクノロジーにより、5番アイアンで平均約10~15ヤードの飛距離アップを実現。特に、ロングアイアンの弾道が高く強いため、番手差を縮小できます MyGolfSpy。
4.2 弾道安定性
高慣性モーメント設計がサイドスピンを抑制し、フェースセンター外のミスヒットでも飛距離ロスが小さく、直進性を向上させています MyGolfSpy。
5. プロ・アマチュアの口コミ評価
ゴルフダイジェスト(試打ラボ):「打感がマッスルバックにも匹敵するほどマイルドで、寛容性も兼ね備えた究極のバランス型アイアン」 MyGolfSpy。
MyGolfSpy Japan:「多くのツアープロがロングアイアンとして使用。高初速エリアの広さと球感の良さが評価されている」 MyGolfSpy。
YouTube 試打ラボ しだるTV:視聴者から「薄いトップラインと洗練されたソールが上級者心をくすぐる」「SPEEDFOAMの打感が秀逸」とのコメントが多数 YouTube。
6. 長所・短所まとめ
長所
優れた飛距離性能:内蔵タングステン+SPEEDFOAMで高初速
上質な打感:鍛造フェースとフォームでマイルド
高い寛容性:高慣性モーメント+安定弾道
上級者向けの見た目:薄いトップラインでシャープ
短所
コスト:高価格帯(5本セット約159,500円)
ミスヒット時の操作性:競技志向者向けゆえ、過度のミスに対してはやや不寛容
ロングアイアン慣れ:上級者以外には扱いづらい可能性
7. このクラブが合うゴルファー/合わないゴルファー
合うゴルファー | 合わないゴルファー |
---|---|
・競技志向でスコアを詰めたい上級者 | ・ミスヒットが多いビギナー |
・ロングアイアンで飛距離を稼ぎたい人 | ・予算を抑えたい中・下級者 |
・アイアンの打感にこだわる本格派 | ・重いシャフトが苦手な方 |
8. ヘッドスピード別飛距離目安
P790 (‘23) の飛距離はヘッドスピードによって変動しますが、一般的な目安は以下の通りです(5番アイアン想定) MyGolfSpy。
ヘッドスピード (m/s) | 予想平均飛距離 (キャリー/ヤード) |
---|---|
40 | 170–175 |
45 | 180–185 |
50 | 190–195 |
9. 総評とおすすめ購入ポイント
テーラーメイド「NEW P790 (‘23) アイアン」は、飛距離性能と上質な打感、さらに競技志向者を満足させる操作性を高次元で融合したモデルです。フルセットでの導入コストは高めですが、ロングアイアンの飛距離アップと打感を重視するゴルファーにとっては、試打必須の一品と言えます。特に、これまでロングアイアンに苦手意識があった上級者や、飛距離性能と打感を両立したい競技ゴルファーには強くおすすめします。
10. 出典元
テーラーメイド公式サイト: P790 (‘23) アイアン製品情報 TaylorMade Golf
試打ラボ「P790 (‘23) アイアン徹底解説」 MyGolfSpy
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