今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは 藤本技工 FG-Believer アイアン の7番 です。
シャフトは ダイナミックゴールド ツアーイシュー です。
ロフトは32度、クラブ長さは36.75インチ、シャフトフレックスはS200、キックポイントは元調子 です。
久しぶりに藤本技工のBelieverアイアンに出会うことができました。
通常、一度試打したことのあるクラブを再び記事にあげることはしないのですが、このアイアンはあまりにも良くてすごく気に入っているということもありますし、今回はシャフトも違うので記事に書かせていただくことにしました。
昔ほどではありませんが、今でも試打していながら記事に書かないクラブが年間数本あります。
しかし、このアイアンは二回目の登場です。
初めて試打したのが7年前ということですが、今でも全く色褪せていません。
私の中で輝きを放ち続けています。
今でも大きな存在感があります。
この形状を見て、ああ、こんな感じだった、懐かしいな・・・。と思いました。
クラブ・オブ・ザ・イヤーを発表し続けて何年になるのか分からないですし、MVPを決められない年もあります。
しかし、この年はすぐに決まりました。
このアイアンを一球打っただけで、今年のMVPはこれで決まりだな・・・。と思ったことをよく覚えています。
MVPに輝くクラブは一球打っただけで、だいたい決まることが多いですが、このBelieverも即決でした。
同じ年に試打した他のアイアンが良くないとか劣っているということでは決して無いのですが、それくらい私の心を強く揺さぶってきました。
これはもう感覚的なことなので、数値的なことも含めて上手く表現できないのですが、私の中で確固たるものがありました。
この彫りの深さも懐かしいです。
大手有名メーカーのクラブだと、いくら良くても製造するロット数が決められていて、ある一定の時期を過ぎれば過去のモデルとなり、中古を探すしかないですが、地クラブメーカーは違います(もちろんメーカーによって違いますが)。
過去の名器を新品のまま納品してもらえることも少なくありません。
OEMに頼っていないといいますか、むしろ大手メーカーに供給する側であり、自社生産ということもあって、色々な融通が利くというところも強みです。
ただ、あるウェッジメーカーのように、あまりにも売れすぎてしまって、その『金型』がダメになって、次のモデルに変えざるを得ないということもあるそうです。
トップラインの厚みも、いい感じです。
私はこのアイアンを初めて見たときに、すごくイージー系の匂いがするな・・・。と思っていたのですが、所々シャープな面もあって、好感を持っていました。
イージーであっても、『ほんわか』しすぎていないので、イメージがボヤけないのもいいです。
このワイドソールも懐かしいです。
ワイドではありますが、今はもっとワイドなものが多いので、そういった意味では『ノーマルな範囲』に入るのかもしれません。
私はワイド過ぎるソールが苦手で、ダフってしまいそうに感じるのですが、このアイアンのソールにはそういった苦手意識は全く芽生えません。
ソールを間近で見たのですが、リーディングエッジもトレーリングエッジも微妙に削られていて、抜けが良さそうです。
削りが大きすぎず、ちょうどいい『塩梅(あんばい)』で、微妙に削られているので、『ハンドメイド感』があって好感が持てます。
穏やかな気持ちになってきますし、ここの部分を見ているだけでも、いい目の保養ができます。
今はアイアンのロフトが立ってきたせいか、FWやUTを多く入れて、アイアンの本数を減らさざるを得ないという方も多いように思います。
私はウッド系よりもアイアンやウェッジ系のほうが好きなので、そういった今の流れから逆行しているのですが、このような素晴らしいアイアンがあるだけで心強く感じます。
いくらボールの低スピン化が進んでも、アイアンの活躍する場面はまだまだ多いです。
14本以内という本数制限が無ければ、もっとアイアンをバッグに入れておきたい・・・。という方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
FWやUTは確かに易しくなって高性能化しましたが、どうしてもアイアンでないとカバーしきれない場面もあるような気がします。
実際にコースでも、本当はアイアンで打ちたいけど、バッグに入れていないので、仕方なくUTやFWを使う・・・。ということを経験された方は多いのではないでしょうか?
フェース面にミーリングはありません。
久しぶりということもありますが、このアイアンで今から球を打てるというだけで、嬉しさがこみ上げてきます。
ネックは短めですが、短すぎないのがいいです。
ネックの長さや太さで、ボールを『上から』か『横から』かのイメージが生まれやすく、アプローチも含めて私は常に『上から』入れていきたいので、適度にネックのあるほうが親近感がもてます。
横からレベルブローに・・・。とか、多少ダフり気味に打っていきたい・・・。という方は、もっと短いほうがイメージが出しやすいのかもしれません。
この『ベーシック感』がいいです。
今はハイテクタイプが多く、何か『はねつける感じ』といいますか、こちらの思いが受け入れられにくそうに感じることがあるのですが、このアイアンは全て吸収してくれそうです。
こちらの思いを伝えていけそうに感じるので気の入り方も違ってきます。
色々なクラブを試打していると、自分とクラブとの『温度差』のようなものを感じることがあるのですが、今日はかなり近いです。
もちろん、それは実際の私の体温と、クラブの表面温度という意味ではなく、感覚的な温度差という意味です。
久しぶりにボールを前にして構えてみて、ああ、こんな感じだったな・・・。と懐かしくなりました。
セミラージサイズでセミグースタイプだったことはよく覚えているのですが、他のメーカーの同タイプのアイアンとはまた違う顔をしています。
『藤本技工顔』といっていいのかもしれません。
私には『大らかさ』が強く感じられるのですが、シャープに感じられる方がいらっしゃるかもしれません。
私はどちらかというと『マニュアル感』が欲しく、球筋をイメージしたのですが、今日はこの『オートマチック感』に任せてみることにしました。
過去に試打しているということもあり、すっかり安心しきっているといいますか、あの頃のように、このアイアンに酔いしれてみようと思いました。
試打を開始しました
この極上の打感にしびれ、心が躍りました。
今はたくさんのキャビティアイアンが登場していますが、間違いなく、このアイアンが『最高峰』といえるのではないでしょうか?
この心地よい感触。
ボールをバーンと弾き飛ばすのではなく、優しく包み込んで(乗せて)運んでいける感じ・・・。といいますか、一球打つ度に心が躍ります。
私は普段、マッスルバックやハーフキャビティを使うことが多いのですが、このFG-Believerのフルキャビティの打感は大好きです。
アイアンの軟鉄素材といえば、普通S25CかS20Cだと思いますが、このアイアンはSS400ということで、この素材もすごくいいなと思っています。
今の主流といわれる素材ではないかもしれませんが、独特の柔らかさ・まったり感は、このSS400のおかげではないかな・・・。と思いました。
アイアンの打感でも、『スカスカ』して中身がないものもありますが、このアイアンはギュッとつまって、一切の『気泡』もなく締まった感じがします。
それが『鍛造の極意』なのかな・・・。などと思いながら試打をしていました。
色々な想像力を働かせてくれるクラブというのは、間違いなくいいクラブです。
球もあがりやすくてイージーです。
イージーですが、今はもっと極端な性格をしたアイアンもたくさんあるので、そういった意味では、普通といえるのかもしれません。
タフなアイアンではないので、受け皿は大きいといえます。
『飛距離性能』では、私の感覚では1番手は飛ぶ感じがしますし、『6番アイアン』といったほうがしっくりくるのですが、今はもう番手の感覚がかなり曖昧になってきているので、よく分からないこともあります。
易しく飛ばしていけるアイアンですが、易しすぎないところもいいのかもしれません。
しっかりと振っていって、フェースに乗せて運んでいけるアイアンです。
『安定性』も高く、フルキャビティらしい大らかさがあります。
シビアさは全く感じません。
極上の打感を味わえるのに、この大らかさもあるというのは、まさに『いいとこ取り』したアイアンといえるのではないでしょうか?
『慣性モーメント』ということでいえば、もっとヘッドを大きくして、ウェイトを足したりすれば、『数値上』は上がるのかもしれませんが、必ずしも数値が全てではありません。
人間には『感性』という素晴らしいものを生まれながらに持ち合わせていて、数字だけに決して支配されません。
クラブ開発時に、マシンテストでいい結果が得られても、ヒューマンテストでは全然ダメだった・・・。ということは、おそらくほとんどのメーカーが経験しているのではないでしょうか?
いくら理論上は優れた数値を出していても、ヘッドが大きすぎるクラブを苦手にしておられる方はたくさんいらっしゃると思いますし、イメージが出なくて使いたくない・・・。という方も多くいらっしゃるような気がします。
ラージサイズのクラブ(ウッドやアイアンも含めて)を使って、球がつかまらずに右にプッシュしてしまうことが多くなった・・・。という方は、シャフトはもちろん、ヘッドの大きさやライ角などもチェックされるのがいいのかもしれません。
ミスショットがでれば、ご自身のスイングチェックをされる方は多いですが、実はクラブがマッチしていない可能性は高いです。
私は幸い、頼れるクラフトマンが常にいてくれるので細部にわたってチェックしてもらっているのですが、なかなかそういう人がいないという方もいらっしゃると思うので、信頼できるパートナー(クラフトマン)を探してみるのも、ゴルフを楽しむ上で、またレベルアップの為にも欠かせないと私は思います。
フルキャビティらしい大らかさがありながら、操作性も犠牲になっていなくて、左右にも同じように曲げることができました。
私にとっては、やや大顔でグースも利いていますが、扱いづらさはありません。
これ以上大きくなったりグースが強くなったりすると、難しく感じられるような気もしたのですが、許容できる範囲内にあるのがいいです。
扱いやすいアイアンですが、どちらかといえば大らかさのほうが勝っているような気がします。
試打後の感想
かなり久しぶりに試打しましたが、やっぱりいいな・・・。と思いました。
初めて試打してもう何年も経っているのですが、私の中で強く生き続け存在をアピールしているアイアンです。
フルキャビティタイプのアイアンを購入する予定は無いのですが、もし購入するのであれば、このアイアンが最有力候補になるな・・・。と思ったことを覚えていますし、今日改めてそう思いました。
もし、色々な注文ができるのであれば、もう少し小顔にして、グースを小さく、そして『ノーマルロフト(36度前後)』にしたい・・・。という思いもあるのですが、大手有名メーカーと違い、自社生産しているので『小回り』が利くと思いますし、こちらの細かな注文にも応えてくれるのではないかな?と思いました。
以前、友人が中古ショップに行くというので、藤本技工や三浦技研のアイアンやウェッジがあるか見てきて欲しいと頼んだことがあったのですが、全く無かったそうです。
もちろん、全国のショップを探せば少しは見られると思うのですが、何軒か回ってみて全く無かったそうです。
あるのは、大手有名メーカーのクラブばかりだったそうです。
ファッションと同じようにゴルフクラブにも『流行』や『トレンド』といったものがあるようですが、地クラブはそういったものに流されにくいのがいいですね。
飽きが来ないということもあると思いますし、それだけ長く使っていけるクラブが多いということではないでしょうか?
初めて試打したときと同じ情熱をもって試打させてくれたこのクラブは凄いな・・・。と思いました。
今回感想は控えめに書かせていただきましたが、詳しい感想は初めて試打したときの記事を読んでいただければ幸いです。
私はいつも思っていますが、やはりいいクラブというのはいつまで経っても色褪せないのだと、再認識しました。
私はこのアイアンをすごく気に入っているのですが、なかなか出会う機会がないので、メーカーには全国で試打会や試打クラブのレンタルも行ってもらえると嬉しいです。
藤本技工のアイアンを試打してみたいけど、なかなか出会えないのが不満だ・・・。という方は私以外にもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
OEMでない、自社生産で熟練の職人さんの手によって作られるクラブを使うことはとても贅沢なことですし、ゴルファー冥利に尽きます。
海外で作られるクラブもコスパに優れ素晴らしいですが、国産でしかも、熟練の職人さんの手によって作られたぬくもりのあるクラブを使えるのは、本当に恵まれたことです。
藤本技工はアイアンだけでなく、ウェッジやパターなども製造しているそうなので、機会があれば是非そちらも試してみたいです。
もし、出会うことがあれば、また記事に書かせていただきたいと思います。
今日はこのアイアンに出会えて、とてもホットな気分のまま練習場を後にすることができました。
ミズノの養老工場やホンマの坂田工場、新潟県の遠藤製作所、そして、兵庫県の藤本技工の工場にも、いつか工場見学に行けたらいいな・・・。と思っています。
クラブ好きの私にはテーマパークのように楽しいところなのは間違いなく、一日中見続けていても飽きない自信があります。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。