今日は、この『名器アイアン』を試打しました。
試打クラブは 本間(ヒロホンマ) PP-737 アイアンの7番です。
シャフトはダイナミックゴールドです。
ロフトは37度、シャフトフレックスはS200、トルクは1.2、シャフト重量は119g、バランスはD2、キックポイントは手元調子です。
このアイアンは私の先輩のクラブであり、今日一緒に練習をしたのですが、昔からの『本間ファン』である私の為に、わざわざ自宅から持って来てくれたそうです。
私はこの姉妹機種の『PP-727』というアイアンを初心者の頃から10年以上使い続けてきました。
この『PP-737』も、何度も目にしたアイアンですし、練習場やコースでも試したことが何度もあります。
こうして見ているだけで、昔の懐かしい記憶が蘇ってきます。
このアイアンを懐かしく思われる方も、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
当時、一世を風靡したアイアンですし、私の周りの仲間たちも、この『ホンマ PPシリーズ』のアイアンの愛用者が多くいました。
丸山茂樹選手や伊澤利光選手もトップアマ時代に、この『ホンマ』のアイアンを使っていましたし、特に伊澤選手はこの『PP-737』を愛用していました。
ジャンボ尾崎選手も昔はホンマのクラブを使っていましたし、最近では横田真一選手や高橋勝成選手をすぐに思い出します。
昔からプロ・アマ含めた憧れのメーカーです。
私個人的には、この『モグラマーク』がたまりません。
そして、『Hiro Honma』と筆記体で書かれた文字に、ある種の『ステータス』を感じていました。
<左>Z-TX <右>PP-737
今日、私は『スリクソンZ-TXアイアン』の練習をしていたので、ちょうどいいと思い、20年以上前の『名器』と、最新式『プロモデルアイアン』を比較してみようと思いました。
<左>Z-TX <右>PP-737
『ヘッドの大きさ』自体は、それほど大きな違いはなく、ちょっと『PP-737』の方が『小顔』かな・・・・?というくらいです。
どちらもすごく構えやすい形状だと思いますし、こうして20年以上の月日が流れても、『構えやすさ』という概念でクラブを見るとそれほど変わりはないんだな・・・。と思いました。
クラブ自体の性能は、比べものにならないほど進歩しているのですが・・・・・。
<左>Z-TX <右>PP-737
<左>Z-TX <右>PP-737
『ホーゼルの長さ』が、かなり違います。
こうしてみると、昔のアイアンは『高重心アイアン』が多かったですし、この『PPアイアン』は、その『最たるもの』だったような気がします。
高重心なので、『横から払う』といった感じでは全然球は浮いてくれず、『上からつぶす』イメージで打ってスピンを掛けていかないと球があがりきらずに『トップ』や『ドロップ気味』の球がよく出ていました。
<左>Z-TX <右>PP-737
しかし、一番違うのが、その『ソール幅の広さ』です。
こうしてみても、倍くらい違うように見えます。
同じプロモデルアイアンでも、20年の歳月が、この『ソール幅』にさせたのだと思います。
アイアンに限らず、ドライバー、フェアウェイウッド、ウェッジ、パターなども、『タフさ』から『易しさ』へとシフトしていったのだと思います。
この『ソール幅』の違いから、かなり性格の違うアイアンなのだということが見て取れます。
昔は『ソール幅』など、全くといっていいほど意識していなかったのですが、こうしてみるとかなり『進化』していったんだな・・・・。と思います。
昔の記憶が残っているからでしょうか?
今の『プロ・上級者モデル』というアイアンを見ても、殆ど『タフ』過ぎる感じがせずに、結構打ちやすい印象があります。
昔は、はっきりと『線引き』がされていたと思うのですが、今はどのアイアンでも『ボーダレス化』しているのかもしれません。
素振りをしてみても、やはりこれまで通りの『ダイナミックゴールドアイアン』の振り心地ですし、昔のいい感覚が取り戻せそうです。
こうして振っていても、私にとって
「本間は原点だ・・・・。」
と思いました。
練習するのが楽しくて仕方なく、毎日色んな練習場に通っていた日々を思い出します。
あの頃、練習場に行く回数を減らしてでも、毎日素振りをしていたら、回り道をせずにもっとステップアップできていただろうと思います。
もし、あの頃に戻れるとしたら、私は毎日自宅で素振りを欠かさずに行うと思います。
ボールを前にして構えてみても、昔の懐かしい記憶が蘇ってきます。
何だか『タイムスリップ』した感じです。
私はこれまで色々なメーカーのアイアンに出会ってきましたが、一番永くつきあってきたのが『本間アイアン』なので、最も記憶に残っていますし、たくさんの思い出があります。
この『小顔』『ストレートネック』『トップラインの薄さ』がたまりません。
こういった形状は一般的には、『難しい』部類のアイアンに属するのかもしれませんが、当時初心者の私は何も考えずただ夢中で練習場が閉店するまでボールを打っていました。
試打を開始しました。
『打感』はやはり『最高』の一語です。
程良い『厚み』『柔らかさ』『くっつき感』がたまりません。
まさに『王道』といった感じがしますし、他のアイアンとは『格が違う』のではないか・・・?と思えるほどの『品位の高さ』『重厚さ』が感じられます。
はっきりと『ヒール寄り』で球を拾っていけるアイアンですし、力強い球が打てます。
手に何とも言えない感触が残り、なかなか消えません。
今のアイアンにはない、『タフさ』『シビアさ』がプンプン匂うアイアンですが、『懐かしさ』やこの『美しさ』から、脳内に『アルファ波』が分泌されてリラックスできたのでしょうか?
1球目からずっと『ナイスショット』を打つことができました。
身体全体に心地良い感触が巡り巡っていく感じです。
きっと、今の自分の顔は、目尻が下がって『トローン』としていて、だらしない顔になっているんだろうなあ・・・・。と思っていました。
私はゴルフを始めてからずっと軟鉄しか使ってこなかったですし、これからもゴルフを止めるまで間違いなくこだわり続けていくと思います。
この快感を得ないと『損』だと思います。
なので、私はゴルフを始めた初心者の後輩たちにも、『軟鉄アイアン』を薦めています。
この素晴らしい感触を最初から味わっていた方が、感性が研ぎ澄まされていき、それが更なる上達につながるような気がするからです。
『球のあがりやすさ』という点でも、本当はこれが『スタンダード』なのだと思います。
ロフトが『37度』というのは、当時では全くの『標準ロフト』でしたし、『38度』というのも決して珍しくはありませんでした。
私もこの『37度』で慣れていますし、今、メインで使っている7番アイアンのロフトは『36度』なのですが、使い始めの頃は
「少し飛ぶなあ・・・。」
と感じたのを覚えています。
この『ロフトの寝たアイアン』で、低い球を打つ練習をよく行っていました。
アイアンショットを覚えたり、『キレ』をだすには、『パンチショット』の練習が有効なので、よく『パンチショット』の練習もしていました。
今、見かけるアイアンは7番アイアンでも『30度前後』の物も多く、中には『28度』といった物まであります。
この本間のアイアンのような昔のアイアンと比べると、約『10度』ロフトが立っているわけですし、どうみても『7番アイアン』ではなく、『5番アイアン』の感覚をもってしまいます。
ロフトが寝て、ソール幅が狭い・・・・・。というのが、昔のアイアンの標準だったのですが、今は全く逆で、ロフトが立って、ソール幅が広い・・・・・。というようになっています。
それにより、例え今の『プロモデル』と言われるアイアンでも、昔ほどの『敷居の高さ』は無くなったのだと思います。
親しみやすさが増していったのだと思います。
この『クラブの進化』により、ゴルファー人口が増えていったのだと思いますし、昔のマッスルバックばっかりだとおそらくこれほど裾野が広がってはいなかったような気がします。
『安定性』という点では、やはり『シビア』な感じがすごくしました。
昔、こういったアイアンを使っているときは、これくらいが『当たり前』だと思っていたので、それほど感じなかったのですが、私も今のたくさんの易しいアイアンにすっかりと慣れてしまい、少しスイングが緩んでしまったのかもしれない・・・・・。と思いました。
気を抜けばすぐに球は曲がり始めますし、『妥協』はしてくれません。
今はドライバーもアイアンも『慣性モーメント』が大きくなり過ぎ、『曲がり』を極力抑えて、高い『直進性』が目立つようになってきたと思います。
構えたときの『イメージライン』も、かなり直線に近い感じの物が多いです。
しかし、昔のこういったアイアンやパーシモンはイメージラインは自分の得意な球筋での『曲線』でイメージすることが多く、その方が結果が良いことが多かったように思います。
『トゥ寄り』で打つと、かなり球がブレてしまうので、やはり気持ち『ヒール寄り』の方がいい球が打てる感じがしました。
『飛距離性能』という点では、やはり今のアイアンの中では飛ばない部類だと思います。
しかし、決してこのアイアンが飛ばないのではないですし、標準的なのだと思います。
日頃、7番アイアンで『160ヤード』の距離を打っておられる方は、そのままの『160ヤード』が打てるアイアンだと思います。
決して大きく予想を超えるような余分な働きはせずに、プレーヤーの技量を活かしつつも、最低限の仕事を行ってくれるアイアンなのだと思います。
やはりプレーヤーの『スキル』が求められるのだと思います。
クラブから要求されるものが大きくても、それが『ズバッ』とはまってしまえば、すごく力を貸してくれるアイアンなのだと、これまでの経験上感じます。
私は『PP-727』に『アイアンスイング』や『球の打ち方』を教えられたような気がしますし、コースでもたくさんの思い出があり、私のようなヘッポコゴルファーにずいぶん力を貸してくれたような気がします。
ひとたびこのアイアンの感覚が合えば、かなり楽に自分の感覚で球を運んでいける感じがしましたし、精度の高い球が打ちやすいように感じられました。
『操作性』という点でも、私はかなり気持ちよく『フック』『スライス』を打ち分ける練習を楽しむことができました。
自分の弾道イメージに乗せやすい動きをしてくれる・・・・。といいますか、『ハンドルの遊び』が少ない分、より敏感に素速く反応してくれる『反応速度』を持っているような気がします。
プロでもアマチュアでも、ひたすら『ストレート』の球ばかりを打つのは非常に困難で、少なからずどちらかに曲がるものだと思いますし、その確率性の高い『自分の持ち球』で勝負した方が、確率もあがり結果がよくなると思います。
そういった意味でも、このようなアイアンはそういったことがしやすいアイアンだと思います。
『スイートスポット』が、かなり小さいので、難しく感じられる方も多いと思いますし、ボールを左右に曲げるよりも、『芯』で打つことの方が先決だ・・・・。と言われる方もいらっしゃると思います。
やはりある程度の『ミート率』は要求されるのだと思います。
『小顔』で『重心距離』が短く、球がつかまりやすいので、『ストレートネック』でも、とてもいい『ドロー系』が確率よく打っていけます。
『フェース長』が長く、『グース』がきついアイアンは私は苦手としているのですが、このアイアンにはその苦手意識が全く芽生えてきません。
『PPシリーズ』を使っている時は、それほど気にならなかったのですが、こうして見ると今の『MPアイアン』に見られる『カットマッスル』に似た凹みがあります。
やはり理由は『カットマッスル』と同じなのでしょうか?
その頃は何の疑問も持たず、単なるデザインかと思っていたのですが、今、こうして見るとやはり大きな理由があるのだと思います。
これまでも書いてきましたし、先ほども書きましたが、私はゴルフを始めた全くの初心者の時から、この『本間のマッスルバック』を使ってきました。
当時、私はゴルフクラブに関する知識が全く無かったのですが、、ゴルフの先輩がことある事に
「『本間のPPアイアン』がいいんだよ・・・・。今のアイアンを売ってでもすごく欲しいんだけど・・・・。」
と私によく語っていました。
私はそれを聞いて、
「よし、それなら自分は最初からそのいいアイアンを買おう・・・・・。そして上手くなったとしてもずっとそれを使い続けていこう・・・・。」
と思い、本間の『PPアイアン』を買うことを決めました。
初心者なんだから、初心者用のクラブを買おう・・・・・。という発想は私には全くありませんでした。
最初に易しいクラブを買って、それに満足できなくなったら、新しいクラブを買おう・・・・。とか、上手くなったときにそれに見合うクラブを買おう・・・・。という発想は全くありませんでした。
例え最初は難しくても、同じ人間が使うクラブなので、打ちこなせないわけがない・・・・。練習を積めばきっと打てるようになる・・・・・。というように、『超・ポジティブ思考』でした。
初心者のうちは易しいクラブを使うべきだ・・・・。そして上手くなってからまた買い換えればいい・・・。というのは、至極もっともな意見だと思うのですが、私にはそれは不経済に思えてましたし、
「ゴルフは難しいもの。最初から上手くいくわけがない・・・。コツコツ練習してこのクラブに見合う腕前になろう・・・・・。」
と思っていました。
20年以上経った今でも、その考え方は私なりには『大正解』だったと思いますし、この本間のアイアンに出会えてとても幸せだったと思います。
かなりこの『本間アイアン』が私にスイングやリズムを教えてくれたような気がします。
『ゴルフの楽しさ』も教えてくれました。
こうして昔のアイアンに愛着がある者としては、今の本間のアイアンに少しばかり『物足りなさ』のようなものも正直感じてしまいます。
このような『超・ハード』なアイアンでなくてもいいので、あの頃の『格調高さ』といいますか、『気品』のある『職人さんの魂』が感じられる『本間本来のアイアン』に出会いたい気がします。
私のように、ゴルフを始めた時から、このような『高重心マッスルバック』を使うのは、正直あまりお薦めはしないですし、今はたくさんの選択肢があるのだから、自分の将来を見据えたクラブ選びをすべきなのだと思います。
『易しすぎる』クラブを選ぶのは、あまり得策ではないような気がします。
ゴルフを『付き合い程度』でやられる方や『上達志向』のない方でしたら、やはり易しいアイアンがベストなのだろうとは思うのですが・・・・。
ゴルフをずっと続けていきたい・・・・。もっと上達したい・・・・・。と考えておられる方は、今のレベルよりもほんのちょっとだけ『タフ』なアイアンを選ばれるのがすごくいいような気がします。
『徒競走』で例えると、自分よりも少し速い人と一緒に走ると、自分のタイムも良くなってくるのと似たような感じなのかもしれません。
いい意味で、クラブがゴルファーを引っ張ってくれることもあるのではないでしょうか?
そういった経験を私はこれまで何度もしてきたような気がします。
クラブに教えられたことがたくさんあるように思います。
私は初心者の頃からこのようなアイアンをキャディバッグに入れていて、キャディさんや周りの仲間たちからも、
「クラブだけは、完全な『シングル』だなあ・・・・。」
とか
「『キャビティ』にした方が、ゴルフが楽になるし、次のコンペでも優勝できるよ・・・・。」
などと色々言われてきました。
しかし、私は妙に頑固なところがありまして、自分がこうだと決めたら、人の意見に左右されることもなく、自分で答えを見つけるまで貫いてみよう・・・・。と思っていました。
なので、最初のうちは同じ頃にゴルフを始めた友人たちに『スコア』では勝てなくなりましたが、私は焦ることなく、
「今はまだ『通過点』。これからきっといいことがたくさんある・・・・。」
とポジティブに考えていました。
今となっては、それがすごく良かったことなのだと思いますし、何よりも私は『本間のアイアン』に惚れ込んでいたのが大きな理由だと思います。
難しいアイアンではありましたが、決して飽きることなく、他のアイアンに興味がいくことはありませんでした。
やはり『道具に惚れ込む、愛着を持つ』ということはとても大きなことだと思います。
私は車が好きなので、よく車に例えるのですが、完璧に整備された乗り心地の良い『セダンタイプ』の車よりも、手が掛かるし維持費もかかる『じゃじゃ馬』のような車を愛し続け、長年乗り続ける感じと似ているでしょうか?
そういった車は年月が経っても、愛着が増すことはあっても、決して飽きることはありません。
ふと、そのようなことを考えていました。
今日はいつもと違った趣旨の記事なってしまいましたが、この『名器』に久し振りに出会うことができて、私のテンションは上がりっぱなしでした。
何歳か若返ったような気がしましたし、脳が活性化されたような衝撃を受けました。
ゴルフを続けていれば、誰しも必ず『心に残るクラブ』というのがいくつかあると思うのですが、『本間アイアン』は、私にとってそういった大切なクラブです。
と同時に、今日久し振りに試打してみて、自分のスイングの至らないところを教えてくれたような気がしましたし、最近横着なスイングをしていたように感じられたので、初心に戻り練習をしていかなければならない・・・・。と思いました。
本間 PP-737 アイアン
- 2009年9月6日
- ホンマ