今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは ヨネックス EZONE フォージド MB アイアン の7番 です。
シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは35度、クラブ長さは36.75インチ、シャフトフレックスはS200、トルクは1.6、シャフト重量は118g、バランスはD2、キックポイントは中調子、クラブ総重量は443gです。
初めて手にする、ヨネックスのマッスルバックアイアンです。
ヨネックスのアイアンは、これまでもたくさん試打してきましたが、マッスルバックは初めてです。
ヨネックスのアイアンには、マッスルバックのイメージが無いので、とても珍しいと思いましたし、最近は他のメーカーからも、たくさんのマッスルバックが発売されるようになったので、嬉しく思っています。
クラブが易しいに越したことはないと思うのですが、易し過ぎるクラブに飽き飽きしておられる方や、もっとハードなクラブで技量を上げていきたいと考えておられる方がたくさんいらっしゃることも、その理由のひとつなのではないでしょうか?
とてもシャープな感じがしますし、余計な物が付いていなくて、マッスルバックらしいマッスルバックだと思いました。
やはりまだ見慣れていないせいか、この形状とヨネックスのマークと文字が、とても目新しく感じました。
ホンマ、ミズノ、ブリヂストン、ダンロップ、マグレガー、タイトリスト、三浦技研、エポン、ナイキ、クリーブランド、マスダゴルフ、テーラーメイド・・・。
これまで出会ってきたマッスルバックアイアンのメーカーのことを思い出しました。
『ソール幅』も、マッスルバックらしく、かなり細くなっています。
昔懐かしい感じがするのですが、これくらい細くなると、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
こうして見る限り、タングステンなどの異材はコンポジットされていないようですし、もしされていたら、どんな感じになるのかな?と思いましたし、とても興味深いことだと思いました。
しかし、こういったアイアンを求めておられる方には、あまり低重心を求めておられないように思います。
ホーゼルの長さも、やはり長めです。
最近はマッスルバックでも、それほどロングホーゼルでない物も見かけるようになりましたが、このアイアンはしっかりと長さがキープされています。
しかし、それほど長すぎる感じはしなかったですし、むしろ最近のアイアンらしい長さだと思いました。
とても品の良い『首長美人』だと思いました。
素振りをしてみても、さすがの『落ち着き感』があります。
この適度な重量感と粘り感がスイングの再現性を高めてくれているように思います。
マッスルバックのようにシビアなヘッドには、それを支えるシャフトは自ずと絞られてくるような気がします。
マッスルバックのアイアンが増えてくると同時に、ダイナミックゴールドを目にする機会も増えてきたように思います。
時代は流れても、やはりいいものはずっと残ると思いますし、この『時が止まった感』がとても心地いい感じがしました。
ボールを前にして構えてみても、予想通りすごくシンプルで美しい顔なので、とても構えやすく感じました。
余計な物が無いので、すごく集中することができました。
こうして構えてみても、ほんの少しだけグースが効いているのかな?と思ったのですが、全く構えづらくはありませんでした。
いいイメージが自然と頭に浮かんできました。
これまでの『ヨネックスのアイアンらしくない顔』といえなくもないですし、こうして構えていると他のメーカーのアイアンだと思ってしまいますが、今はメーカーの『ボーダレス化』が進んでいるのかもしれません。
今は昔に比べ、ドライバーからウェッジまで、ひとつのメーカーで揃えておられる方は少ないように思われます。
それは練習場でもコースでも感じられることです。
つまり昔のように『メーカーを指名買い』するのではなく、あくまでも『クラブ』にこだわる傾向が強くなっているのかもしれません。
それと今は昔に比べ、メーカーの数も増えてきましたし、魅力的ないいクラブが増えてきたので、我々ゴルファーの選択肢がすごく増えたことも関係していると思います。
この美しいアイアンを見ていたら、ふとそのようなことを考えていました。
試打を開始しました。
一球目から『芯』でヒットできたせいか、その卓越した打感に、思わずため息が出てしまいました。
ふぅーっと、自然と体の余計な力が全部抜け落ちていく感じです。
軟鉄の軟らかさとマッスルバックの打感の厚みが、いい具合に組み合わさって、絶妙なフィーリングを楽しむことができます。
これだからマッスルバックは難しいと解っていても、やめられないのかもしれません。
この感触を一度味わってしまうと忘れられないですし、また何度でも味わいたくなります。
『芯に当たる確率』が向上するからでしょうか?
シャフトで打感が大きく変わるのかは私は解らないですが、このダイナミックゴールドがいつもいいフィーリングを味わえる『後押し』をしてくれているような気がしています。
このアイアンの素材は、今流行りの『S20C』なのか、店員さんに尋ねてみたところ『S25C』という答えが返ってきました。
『S20C』のほうが柔らかい・・・。という声も多いそうですが、私は改めて『S25C』の打感の良さに魅了されてしまいました。
私は自分が使うアイアンには軟鉄鍛造にこだわっていますが、それは『S25C』でも『S20C』でも、どちらでもいいな・・・。と改めて思いました。
『球のあがりやすさ』という点でも、これまでのマッスルバックアイアン同様、かなり使い手を選ぶ感じがしました。
最近のアイアンの中でも、かなり『タフ』な部類に属すると思います。
球をヒットしさえすれば、自動的に球を浮かせてくれるタイプのアイアンではありません。
昔ながらの『敷居の高さ』を持ったアイアンだと思います。
このアイアンは多少グースが効いている感じですが、それによる『球の拾いにくさ』のようなものは感じず、普段のフィーリングでしっかりと打っていくことができました。
『安定性』という点では、かなりシビアなほうだと思います。
マッスルバックなので、シビアなことはある程度承知してはいましたが、最近試打したマッスルバックアイアンの中でも、かなりシビアなほうだと思いました。
多少グースが効いているので、つかまりやすくはなっていると思うのですが、それが極端に感じられるほどの優位性は感じませんでした。
しっかりとつかまえるスイングをしていかないと、球は右へ逃げやすいかもしれません。
スイートスポットも、かなり小さ目で、『ミート率』をはっきりと要求してくるアイアンです。
それほど寛容さは感じられないアイアンといっていいのかもしれません。
それはスイング自体にもいえることですが、スイング前のイメージであったり、アドレスであったり、様々なところが問われているように思います。
『打つ前の準備』であったり、これまでの練習量が問われるアイアンだと思います。
しかし、それらがクリアできた時の、抜群の打感と弾道の力強さは何物にも代えがたい感じがします。
『飛距離性能』という点では、こういったスペックですし、最近のアイアンの中でも、はっきりと『飛ばないほう』だと思います。
といいますか、本来の『7番アイアンの距離』を刻んでいくことができるアイアンといっていいのではないでしょうか?
アイアンでも『飛ばす』という発想の方には、フィーリングが合いづらいところがあるかもしれませんが、正確に、あるいはイメージ通りに『運ぶ』『刻む』『落とす』といった言葉が合う方には、かなり魅力的に感じられるのではないでしょうか?
最近のストロングロフトアイアンは、クラブを多少短く持っても、なかなか距離を落としていきづらい物が多いですが、このアイアンはしっかりとそれに応えてくれるので、計算が立ちやすいです。
計算しながら、それがピッタリとはまった時の喜びも、ゴルフの大きな楽しさの一部だと思います。
『操作性が高い』という点は、マッスルバックの最大の長所のひとつだと思いますし、このアイアンもその魅力を十分に感じることができました。
左右に曲げることはもちろんですが、距離を刻んでいきやすいので、練習をしていてもすごく楽しいです。
練習場では、ホームコースやこれまでラウンドしたことのあるコースをイメージしながら、頭の中で『バーチャルラウンド』をすることが多いのですが、今日はそれがすごく楽しく感じられました。
『オートマチックタイプ』というよりは、完全に『マニュアルタイプ』のアイアンなので、いかようにも『攻め筋』が見えてくる感じがしました。
私はフッカーですが、このアイアンのグースも気にならなかったですし、フェードヒッターの方も、すごく操作しやすいと感じられるのではないでしょうか?
今は易し過ぎる代わりに、ある程度ユーザーを絞り込んでいるように思われるアイアンも少なくないですが、このアイアンはその真逆で、敷居はかなり高いほうだと思いますが、ドローヒッターでもフェードヒッターでも扱いやすさを感じられる『受け皿の広さ』のようなものを感じました。
先ほども書きましたが、これまでのヨネックスのアイアンのイメージとは、ややかけ離れた感じのアイアンでした。
ヨネックスのアイアンは『易しい』というイメージがこれまでありましたが、このアイアンは『ミス』を『ミス』とはっきりと気づかせてくれるアイアンです。
クラブに『易しさ』をまず第一に求めておられる方には、かなり合いづらいかもしれません。
敷居はかなり高いと思いますし、あまり幅広い層をターゲットにした感じはしません。
しかし、こういったタイプのアイアンで自分の技量を伸ばしていける方がたくさんいらっしゃることも、紛れもない事実なのではないでしょうか?
ミスをはっきりと感じさせてくれないクラブは、最初のうちはいいかもしれませんが、長く使っていると色々な不都合が起きてくるように思います。
それは『スイングの緩み』であったり、『アドレスのミス』であったり、『タイミングの取り方のミス』であったり・・・。色々だと思います。
『飽き』が来るのも早いような気がしますし、ゴルファーの上達に易し過ぎるクラブは付いていけないように感じておられる方も多いのではないでしょうか?
しかし、このようなアイアンはしっかりと様々な問題点を感じさせてくれるので、一球一球精魂込めて練習できますし、自分自身のスイングをクラブに問いただせることができるような気がします。
つまり『クラブとの対話』ができる感じといったらいいでしょうか?
練習場でも、ボールを真っ直ぐ打とうとしておられる方が昔から多いように思いますが、このようなアイアンで曲げる遊びを楽しまれるのもいいのではないでしょうか?
最近はなかなか曲がりづらいタイプのアイアンが多いのですが、今日は心置きなく曲げることができたので、ずっと楽しむことができました。
縦の距離も合わせやすかったので、実戦のイメージとダブらせながら練習することができました。
色々な球筋のイメージを頭にインプットすることができたので、心の中に貯金ができたように思いますし、これがまた実戦でも役に立つな・・・。と思いました。
このアイアンは、いわゆる『限定モデル』なのかどうか私は知りませんが、たとえ限定モデルでもいいから、各メーカーから同様のアイアンが発売されると嬉しいな・・・。と思いました。
かなりタフなアイアンではありますが、上級者の方はもちろん、これからこういったクラブでスイングを磨いていきたい方には、試してみられる価値があるのではないでしょうか?
聞くところによると、このアイアンは石川遼選手が使用するモデルなのだそうで、石川選手のファンの方も試してみられてはいかがでしょうか?
余計な贅肉がない、しっかりと絞られたクリアな感じのアイアンですが、それによって、スイングもかなりシェイプアップされるように思います。
ヨネックス EZONE フォージド MB アイアン
- 2011年8月6日
- ヨネックス