今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは テーラーメイド GLOIRE リザーブ ドライバー です。
シャフトは GL450 Reserve です。
ロフトは10.5度、クラブ長さは46.75インチ、シャフトフレックスはSR、シャフト重量は48g、トルクは4.7、バランスはD4、キックポイントは中調子、クラブ総重量は279gです。
テーラーメイドグローレシリーズのニュードライバーです。
いつも思うことですが、テーラーメイドは新製品のサイクルが本当に速いです。
この速さに対抗できるメーカーは他に無いように思います。
それでいながら、革新的なクラブを発表し続けているのが凄いです。
グローレシリーズなので、当然ながらシャロー感があります。
ヘッド後方のライオンのようなマークもカッコいいです。
このマークは、ヘッドだけでなく、シャフトにもデザインされています。
ネックの長さは標準的な感じがします。
特に変わったところは見られません。
『Reserve(リザーブ)』といえば、私は『サントリーリザーブ』を思い出しますし、レストランなどの『リザーブ席』などを連想します。
また、『GLOIRE』の文字の上には『ADVANCED DISTANCE TECHNOLOGY』と記されていました。
つまり、そのまま訳すと『高度な距離のテクノロジーが組み込まれている』ということになるのでしょうか?
メーカーの自信が伺えます。
テーラーメイドのドライバーなので、当然のことながら、調整機能が付いています。
シャフトの交換が容易に行えそうです。
R11などのような複雑なシステムではないようですが、これくらいで充分だ・・・。と感じておられる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
ヒール側にウェイトのようなものが見られるのも、すっかりお馴染みです。
大型シャローヘッドで、ヒール側にウェイトが組み込まれていないドライバーのほうが少ないような気がします。
それくらい、とてもポピュラーになりました。
ヒール側とトゥ側に切れ込みのような凹みがありました。
やはり、空気力学によるものなのでしょうか?
細かいところまで、一切妥協しない・・・。という感じが伝わってきます。
今日は、このドライバーを初めて試打するので、当然ながらスタンダードロフトのポジションにしました。
今度日を改めて、色々なポジションで試してみたいと思っています。
このシャローバックもすっかりお馴染みです。
今はシャローでないほうが少ないかもしれません。
昨日のように、とても上品な感じのディープヘッドに出会うこともありますが、割合としてはシャローなもののほうが多いような気がします。
色々な機能が組み込まれているな・・・。と思いながら眺めていたのですが、このドライバーが10万円以上すると聞いてびっくりしました。
テーラーメイドといえば、そのサイクルの速さに加え、他のメーカーよりも先駆けて新たな試みを行い、流行をつくっていく・・・。という印象と共に、ここ数年は『コストパフォーマンスが高い』というイメージがすっかり定着しています。
品質の高さに加え、昔の300フォージドアイアンのように日本のメーカーが造ったのかな?と思いました。
しかし、シャフトに貼られているシールには
[SHAFT] MADE IN VNM
[HEAD] MADE IN TAIWAN
[ASSEMBLED] IN TAIWAN
と記されていました。
つまりシャフトはベトナム製でヘッドは台湾製、そして組立は台湾で行われたということでいいのでしょうか?
コストパフォーマンスの高い、海外で造られていながら、これだけの価格設定であるということはそれだけこのドライバーの品質の高さを裏付けるものかもしれないですし、何より『研究コスト』が掛かっているからに違いない・・・。と思いました。
それにしても、このテーラーメイドのようにヘッドやシャフトの生産地や何処で組み立てが行われているのかをはっきりと表示してくれているメーカーにはとても好感がもてます。
今は、その殆どが海外で造られていることは多くのゴルファーが知るところではありますが、こうして解りやすく表示してくれていると安心できます。
ヘッドは当然のことながら、白いです。
これはテーラーメイドの個性でもあるように思いますし、すっかり見慣れました。
ヘッド後方がやや伸びていて、『トライアングル顔』であることも、お馴染みです。
重心深度も深そうです。
店員さんの説明によると、フェースアングルはスクエアということだったのですが、どう見ても私の眼にはややフックフェースに見えました。
こういったタイプはこれまでもたくさん出会ってきているので、特に目新しい感じはしませんでした。
しかし、何より変わっていると思ったのは、このフェース面です。
いつもの感じではありません。
この白い物は何だろう?と思いました。
フェース形状自体も、かなり丸みを帯びていて、反発性能が高そうです。
どんな触感なんだろう?と思い、フェース面を指で触ってみたのですが、金属的な感じがせずに、むしろ『硬質プラスチック』のような質感がありました。
金属的な硬さ・冷たさを感じずに、何と言いますか、『しっとりとまとわりつくような感じ』といったらいいでしょうか?
フェース面を指が滑っていく感じではなく、キュッとブレーキが掛かってしまう感じです。
これは何だろう?と思いました。
シャフトに貼られているシールには、
素材
ヘッド αβチタン
フェース グラファイト/ウレタン
シャフト カーボン
と記されていました。
つまり、フェース面の素材はグラファイトとウレタンということになるのでしょうか?
さすがはテーラーメイド・・・。他のメーカーのやらないようなことをやってくれるな・・・。と思いました。
こういった新たな試みはとてもありがたいことです。
といっても、昔はカーボンのドライバーは珍しくなかったのですが・・・。
ただ、それよりも革新的な進化を遂げたドライバーのような気がします。
細かすぎて写真には収められなかったのですが、スコアラインとはまた違う『細かい溝』のようなものがありました。
スコアラインとスコアラインの間に、いくつもの細かな溝といいますか『線』のようなものが見えます。
近くで目を凝らして見ないと解らないような細さです。
今はアイアンやウェッジにミーリングが施されているものが増えてきましたが、この溝はそういったミーリングとは違うような感じがします。
この細かな溝には、どういった意味があるのでしょうか?
今はフェース面のヒッティングエリアにスコアラインが無い物も増えてきましたが、このドライバーはそういったドライバーとは真逆のような感じがします。
ただ、このドライバーもフェース面のど真ん中の、ほんの小さな場所だけスコアラインが無くて、そこが面白いと思いました。
『ここでヒットせよ』ということなのでしょうか?
もし、そうだとしたら、かなり『芯』は小さいことになります。
『ワイド』ではなく『ミニマム』になってしまいます。
素振りをしてみた感じは、かなりシャフトが軟らかくて、難しそうな印象を受けました。
よくしなる・・・。といえばいいのかもしれませんが、私はなかなかタイミングが取れずにいました。
これは、かなりシャフトに気を遣いながら球を打っていかなくてはいけないぞ・・・。と思いました。
気持ちよく振ることができませんでした。
このシャフトが『純正』ということだったのですが、違うシャフトもラインアップされているようなので、次は違うシャフトで試してみたいと思いました。
クラブ全体が軽かったせいか、バランスがD4ということでしたが、それほどヘッドが効いているようには感じませんでした。
ボールを前にして構えてみても、やはり独特な感じがしました。
ヘッドの形状もそうですし、構えたときに白いフェース面がよく見えました。
ロフト10.5度ということでしたが、おそらく12度くらいはあるんじゃないかな?と思いました。
構えてみても、やはりフェースが左を向いているように感じたので、つかまり過ぎないように気を付けよう・・・。と思いました。
『46.75インチ』という長さは、私にとっては明らかに長すぎますし、こうして構えても振ったときと同様、やはり長く感じます。
ただ、ヘッドが白という膨張色のせいなのか、少しだけその長さを緩和しているように感じました。
見惚れるような美しさは感じなかったですし、むしろ苦手意識が芽生えてきましたが、こういったタイプのドライバーにも、これまでたくさん接してきたせいか、以前ほど強い苦手意識はありませんでした。
やはり、何事も『経験値』が重要になってくるんだな・・・。と思ったのですが、やはり私はオーソドックスで見惚れてしまうようなドライバーのほうがテンションも上がりますし、試打していても楽しく感じることが多いです。
私にはややとっつきにくいタイプのドライバーではありますが、こういったタイプのヘッドとシャフトの『長尺』『軽量』に好感をもたれる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
正直、あまり楽に振れるタイプではなさそうだったので、少し緊張してしまいましたし、呼吸が浅くなっていましたが、深呼吸を繰り返してリズムを整えていこうと思いました。
試打を開始しました。
『打感』は、適度に柔らかくていい感じでした。
手に嫌な衝撃も残りません。
フェース面を指で触ったときに、普段の感じと違っていたので、球を打ってみるとどんな感じなんだろう?と思っていたのですが、違和感などはありませんでしたし、すぐに馴染むことができました。
ただ、『曖昧さが残る』といったらいいでしょうか?
打感がソフトに感じる部分が、かなり広いと思うのですが、どこでヒットできているのかが、なかなか把握できませんでした。
『音』も、思っていた以上に良くて、好感がもてました。
打つ前は、『キンキン』という甲高くて、しばらく耳に残りそうな音を予想していたのですが、実際は違っていました。
『バシィッ』という硬派な音で耳にも優しいです。
これならばいくら打ってもストレスを感じません。
集中力が途切れることもありません。
球はとてもよくあがります。
明らかにキャリー重視の高弾道系ドライバーだと思いました。
ただ、思っていたよりも吹き上がる感じはしませんでした。
私はもっと低く抑えて打ちたかったのですが、なかなか思うような低い弾道を打つことができませんでした。
『自然と上がっちゃう感じ』といったらいいでしょうか?
フェース面の少々下目で打っていっても、ボールは自然と高く浮いていきました。
正直、ヘッドというよりはシャフトがボールに当たり負けしているように感じました。
『安定性』という点では、正直、最初の6球ほど少し右へ抜け気味の球が出てしまいました。
シャフトがかなり軟らかいということもあると思いますし、構えたときにフェースが被って見えたからか、少し逃がし気味に打っていったからなのかもしれません。
ミスショットではありましたが、一方方向だけのミスなので、修正はそれほど難しくありませんでした。
意識的に少し球をつかまえるようにしたら、ドロー系の球を連発することができました。
弾道が高いので、明らかにハイドローボールといっていいように思います。
ヘッド全体の大きさやシャロー感に加え、フェース面の丸さ、大きさからも予想できていましたが、スイートエリアもかなり広いと思います。
ヘッド自体はシビアな感じは全くしません。
それよりも、かなり寛容さを感じます。
私はかなり打点がブレてしまったのですが、そんなことを感じさせない寛容さを強く感じました。
ただ、先ほども書きましたが、どこでヒットできているのかがよく解らなかったので、モヤモヤした感じが残りました。
『飛距離性能』という点では、かなり高いと思います。
勿論、このスペックが合う方にとってですが、ヘッド自体もかなりポテンシャルが高いと思いました。
やはり、フェース面の工夫なども、大きな成果を発揮しているのでしょうか?
この長尺・軽量シャフトではなく、もっと叩けるシャフトにすれば、もっと距離を稼いでいけるような気がします。
私はこのままのスペックで叩くのは不安があったので、かなりゆっくりめに打っていったのですが、それでもよく飛ぶ感じがしました。
『ハードヒット』ではなく、『ソフトヒット』がちょうどいい感じなのでしょうか?
小学校の音楽の時間に習った、音楽用語でいうと『フォルテッシモ』よりも『メゾピアノ』といった感じかな?と思いました。
『恐るおそる』振っているところがあったのですが、これがもっと気持ちよく振りきれたのであれば、かなり期待できそうな予感がしました。
私はやはり小気味よく叩いていけるドライバーが好きだな・・・。と思いました。
ちょっとタイプは異なるのですが、何となく昨年試打した フォーティーン CT112 ドライバー を思い出していました。
『操作性』という点では、はっきりと難しく感じました。
球を意図的に曲げるという発想さえも起こりませんでした。
何とか、この『極軟』なシャフトにタイミングを合わせていくことだけで、精いっぱいでした。
ただ、おそらくメーカーもそれほど操作性を重視して作ってはいないと思いますし、もしシャフトを違うタイプに替えても、それほど敏感に反応してくれるようには思えませんでした。
抜群の広さを誇るスイートエリアを武器に、気持ちよく『ドーン』と大砲のようなイメージでボールを打っていけばいいのではないかな?と思いました。
ちょっと取っつきにくい部分と、不思議な感じの残る、不思議なドライバーでした。
やはり、フェース面の工夫が一番の特長だと思います。
テーラーメイドが白いドライバーをヒットさせて、今は他の多くのメーカーが追随していますが、このフェース面の工夫は他のメーカーがどう思っているのでしょうか?
ひょっとしたら、追随してくるメーカーもあるかもしれません。
いずれにせよ、どうしてもマンネリ気味になりがちなクラブ業界に一石を投じたクラブであることは間違いないと思います。
いつも時代は、テーラーメイドのような革新的なメーカーが造っているような気がします。
クラブ開発者のあくまでも新たな試みにチャレンジする探究心と発想力の豊かさに感心させられます。
そして、そういったことができるのも、テーラーメイドは常にヒット作を生み出していて、開発資金も潤沢だからではないでしょうか?
先ほども書きましたが、このドライバーはテーラーメイドのクラブにしては、かなり高価です。
前のモデルのグローレは、それほど高価だったイメージは残っていないのですが、このドライバーは驚くほど高価です。
1本10万円以上するクラブといえば、エポンなど限られたメーカーをイメージするのですが、このドライバーがそういったメーカーのクラブのイメージとは、またちょっと違うように感じました。
勿論、こういった価格背景には『開発資金』はもとより『宣伝費』『プロへの契約金』など色々と付加しているのだと思います。
そして、メーカーがターゲットにしているゴルファー像がはっきりしているように思います。
易しくて距離も稼ぎやすくて、高価なクラブを使いたい・・・。というセレブリティゴルファーの方を対象にしているのではないでしょうか?
例えば、1本10万円以上するクラブを購入したいけれど、5万円しかしなかったので、買う気が起らなかった・・・。ということはあるのではないでしょうか?
実際はその性能や品質は同じでも、高い価格設定であるからこそ、購買意欲が刺激される・・・。ということも充分にありうると思います。
高いからこそ、買いたい・・・。という意識も芽生えてくるのではないでしょうか?
安いクラブは有難みを感じにくいところがあるかもしれません。
そういった点では、ゴルフクラブは宝石などの装飾品と似た性格があるのかもしれません。
高価だから、必ずしも『飛ぶ』とか、『曲がらない』というものでもないですが、高いからこそ、そのクラブに信頼を寄せやすい・・・。ということはあるように思います。
テーラーメイドのグローレというブランドは、ヤングアスリートゴルファーの方よりも、むしろエグゼクティブゴルファーの方に合いやすいクラブなのかもしれません。
ブリヂストンでいえば、『PHYZ』に近いのかもしれません。
ただ、テーラーメイドはブランド毎のイメージ戦略がきっちり取れているように思うので、好感がもてます。
違うシャフトであれば・・・。と、最初から最後まで思っていました。
もっとしっかりとしたシャフトであれば、飛距離をもっともっと伸ばせたような気がします。
今日はどうしても緩めて打つことしかできませんでした。
ただ、ヘッド自体のポテンシャルの高さは充分過ぎるほど感じました。
購買意欲が刺激されることはなかったのですが、とても印象に残る、面白いドライバーでした。
やはり他のメーカーが、なかなかやらないことをするメーカーだと思いましたし、テーラーメイドは、これからもこういった私たちゴルファーを楽しませてくれるクラブを造り続けて欲しいです。
テーラーメイド GLOIRE リザーブ ドライバー
- 2013年1月20日
- テーラーメイド
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エスヤード T.388 ドライバー