今日はこのゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは ナイキ VR PRO コンボ アイアン の7番です。
シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは34度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS200、トルクは1.8、シャフト重量は119g、キックポイントは手元調子、バランスはD2です。
ナイキの美しいキャビティアイアンです。
こうして見ていても、とても品があるなあ・・・。と思いました。
ナイキのアイアンは、サスクワッチ マッハスピード アイアンのような高機能で、特徴的なデザインの物から、この『VR PRO コンボ』のように、とてもシンプルな物まで実に様々です。
色々なアイアンを試打していると、こうしてシンプルなアイアンというのは、ある種の『透明感』を感じることがあります。
多機能でたくさんの工夫が『これでもか』といえるほど、組み込まれているアイアンもいいのですが、やはりこういったシンプルなクラブに惹かれます。
プレーヤーの技量が問われているようで、またその問いに見事応えた時は、大きなご褒美が待っているような気がします。
『彫りの深さ』という点では、最近のアイアンの中でも、かなり浅い方だと思います。
最近は彫りが深くて、ヒットポイント後方部分の肉厚が厚くなっている物が多いですが、このアイアンはほぼ均一です。
昔からある、『ハーフキャビティ』です。
懐かしさと同時に、打ち応えがありそうで、とても楽しみです。
最近は、クラブがゴルファーに『合わせすぎ』ではないか?と感じることもあるのですが、こういったアイアンは明らかにクラブがゴルファーの技量を問うているような気がします。
見ただけで、『易しすぎないアイアン』だということが見て取れます。
『ソール幅』は、最近のアイアンの中では、やや狭いほうでしょうか?
今は、このソール部分に『タングステン』などのウェイトが組み込まれているアイアンがとても多いですが、このアイアンは、こうして見る限り、組み込まれていないようです。
そんな物は不要だ・・・。と言っているようです。
必要最低限の物しか組み込まれていない、とてもシンプルなアイアンだと思いました。
『ホーゼルの長さ』も、まずまずあります。
先日試打した VR PRO ブレード アイアン と同様な感じがします。
今度一緒に試打して、比較してみたいと思いました。
『操作性の良さ』を感じさせる『首の長さ』です。
ボールを前にして構えてみると想像通り、とても美しい顔に思わず見入ってしまいました。
何だか引き込まれそうです。
すごく落ち着いて構えることが出来ますし、いいイメージが次から次へと膨らんできます。
プラスの要素ばかりで、マイナス的なものが、全く感じられません。
私はビギナーの頃、ラウンド中に球があちこちに飛んでしまうので、クラブを数本持って、よく走っていたのですが、そんな時次のショットは、まず間違いなくミスでした。
ミスがミスを呼んでいました。
それはやはり、呼吸が整わないうちにボールを打ってしまうと、ショットも同じように乱れるからだと思います。
呼吸とショットの正確性はとても深い関係にあるように思います。
そういった意味では、このアイアンのように落ち着いて、何の不安も感じさせずに、呼吸や脈拍を乱れさせない構え感を持ったクラブというのは、それだけでショットの成功率がグンと上がるような気がしますし、実際にそうです。
構えづらいクラブというのは、どこかに無理が生じてしまって、そこをカバーしようと、無意識に他の正常な部分を歪めてしまうことがあると思うのですが、今日はそんな心配は『皆無』でした。
『極上の顔』をもったアイアンです。
こういった顔をしたアイアンを目にした時は、頭の中もすっかり整理されています。
スイングの始動もスムーズに行うことが出来ました。
試打を開始しました。
『打感』は、やはり『素晴らしい』の一言です。
軟鉄鍛造のこの感触はたまりません。
同じ球を打つにも、こういった打感を味わえるのは、とても満足感がありますし、一球一球の価値がとても高いように思えてきます。
『密度が濃い』といったらいいでしょうか?
以前も書きましたが、軟鉄鍛造アイアンが『キング・オブ・アイアン』だと私は思っています。
今は打感を良くする為に、色々な工夫がされていたり、何か変わった物が取り付けられている物もありますが、そういったことをする以上に、こういった『シンプルさ』を持ったアイアンのほうが、かなり上を行っているような気がします。
軟鉄独特の『柔らかさ』と、マッスルバックに匹敵する『厚み感』が、上手く両立できているように思います。
打っていて、「楽しいなあ・・・。」と心から思えるアイアンです。
『球のあがりやすさ』という点では、それほどあがりやすさに工夫が施されてはいないのかもしれません。
ごく『ナチュラル』な感じがします。
ある程度のミート率も必要な気がします。
最近は上下にも広いスイートエリアを持つアイアンも珍しくなく、多少トップ気味にヘッドが入っても、すごく楽に浮かせてくれるようになりました。
とても楽だとは思うのですが、これは長い目で見れば少し怖い感じもします。
やはりミスはミスとして、ある程度は感じさせてくれるアイアンでないと、だんだんと自分の感覚が通用しなくなるような不安が頭をよぎります。
そういった意味では、このアイアンはとても自然な感じで球を浮かせてくれるので、余計な不安は感じません。
決して誰にでも球があがりやすい・・・。というアイアンではありませんが、こういったアイアンでショットを磨いて行くのも、とても意義深いことではないでしょうか?
『操作性』という点では、『トップレベル』と自信を持って言えるほどの、かなりのハイレベルです。
左右に曲げていくことも、とても楽に出来ました。
最近はなかなか大きく曲げていくことが難しいアイアンも多いですが、このアイアンは楽に出来ます。
このような『ストレートネック』が苦手な方は、多少右へ抜けやすいかもしれませんが、私はこれくらいがちょうどいいような感じがするので、やはりそれは人それぞれの好みによるところが大きいと思います。
すごく敏感に反応してくれて、極端なことをしないでいいので、楽に思えてきます。
ある意味『ハンドルの遊び』が少ないアイアンだと思います。
『安定性』という点では、先日の『VR PRO ブレード』と比べると、それほどシビアな感じはしませんが、やはり一般的にいえば、かなりシビアなアイアンだと思います。
打ちやすいアイアン、ミスを感じさせずにある程度ミスに対する許容量を求めておられる方には、やや合いづらいかもしれません。
スイートエリアも、それほど広い感じはしなかったですし、ある程度打点が揃っておられる方が使われるべきアイアンといっていいのかもしれません。
最近は見た目も美しくて、ミスに対してもある程度寛容なキャビティアイアンが色々なメーカーから発売されていますが、このアイアンは、そういった物とはちょっと違うタイプのキャビティアイアンだと思いました。
しかし、こういったアイアンは昔からずっと登場してきているので、キャリアの長い方は、特に不安に感じることなく振っていかれるのではないでしょうか?
『ポケットキャビティ』に代表されるように、最近は色々な形のアイアンが主流ですが、こういったシンプルなアイアンに懐かしさを感じられる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
『飛距離性能』という点では、それほど多くを求めていくタイプのアイアンではないと思いますし、見た目通りの『本来の距離』をもったアイアンだと思います。
もし、このようなタイプのアイアンが『ストロングロフト』だったら、かなり難易度が増してきます。
ストロングロフトアイアンは、様々な工夫が施されていて、初めて易しく打てるのであって、このようなシンプルなアイアンではメリットよりもデメリットのほうが目立ってしまうように思います。
ロフトが『28度』や『29度』といった7番アイアンも、今では決して珍しくはありませんが、このアイアンがそうしてしまうと、完全に少し短い『5番アイアン』になってしまいます。
ストロングロフトアイアンの飛距離性能には、これまでもたくさん驚いてきましたが、やはりこういった自然な距離感でいけるほうが、縦の距離感のミスの範囲も小さく出来ますし、安心出来ます。
ゴルフは距離感が命・・・。といってもいいのではないでしょうか?
今日はナイキのこの素晴らしいアイアンを試打することが出来て、とてもいい練習が出来ました。
先日マッスルバックを試打したばかりですが、やはりキャビティはキャビティの、マッスルバックとは違う良さがあるように思います。
どちらのアイアンも、最近のアイアンの中では、はっきりと『シビアなアイアン』といえると思いますが、とても高フィーリングなアイアンであることも、これまた事実です。
こういったアイアンは、おそらく『易しさ』が、より求められている、今の風潮とは違うような気がしますし、それほど人気が爆発はしないのかもしれません。
事実、このようなタイプのアイアンは他のメーカーから、殆ど見ることが無くなりました。
今はメーカーは違えど、一様に性格の似たクラブが増えてように思います。
そういった意味では、このナイキの2つのアイアンは、とても個性的だと思いますし、ある一部分のゴルファーの絶大な支持を得られるのではないでしょうか?
クラブは確かに易しいに越したことはないのですが、『易しさ』がすぐにスコアに直結するものでもないと思うので、こういったしっかりとしたアイアンで技術を磨いていかれるのもいいのではないでしょうか?
私の後輩にも多いですし、コメントで頂くこともあるのですが、いつまで経っても上手くならずに、
ご自身にゴルフの才能が無い・・・。
と、ご自分自身を過小評価しておられる方がとても多いです。
上達を諦めておられるような方もいらっしゃいます。
しかし、敢えて言わせて頂くと、その方に才能が無いのではなく、
『ただ、練習が足りていない』だけなのです。
諦めるのは、徹底的に練習を『これでもか』『これでもか』というくらい十分に行ってからでも遅くはないように思います。
勿論、ゴルフを『付き合い程度』などでされる方々は、そこまで必死に練習はされないのかもしれませんが、少なくとも競技を目指される方は、日頃から密度の濃い練習をされれば、きっといい方向に向かっていくような気がします。
子供の頃、鉄棒の『逆上がり』も満足に出来なかった私でさえ、何とかゴルフを楽しむことが出来ているのですから、やはり『才能』というよりは『練習』だと思います。
ちょっとクラブの紹介とは、かけ離れてしまいましたが、最近私の周りでも自分の可能性を否定したり、過小評価してしまう人が多いので、今日はちょっと書かせて頂きました。
このアイアンは、決して誰にでも打ちやすい『敷居の低いクラブ』ではありませんが、こういったアイアンもある・・・。と思われるのもいいと思いますし、このアイアンの持つ高いフィーリング性能を楽しんでみられるのもいいのではないでしょうか?
またこのような個性的で素晴らしいクラブをナイキだけでなく、他のメーカーからもみたいです。
ナイキ VR PRO コンボ アイアン
- 2010年12月5日
- ナイキ