今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは THREE LUCK SDJ PRO GROOVE D-TOUR TB WEDGE です。
シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは58度、クラブ長さは35インチ、シャフトフレックスはS200、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は470gです。
スリーラックのとてもシブいウェッジです。
何と言いますか、一目で高性能そうな感じが伝わってきます。
写真では小さくてよく見えないのですが、ヒール側には『RULE CONFORM PRODUCT 2010』と記されていました。
つまり、2010年から適用された新溝ルールに適合しているということを示しているのだと思いました。
今、新しく生産されるアイアンやウェッジは全て『新溝ルール適合』だと思うのですが、このようにクラブ自体にそれを記していることは、珍しく感じました。
こうして見ていても、すごくシャープですっきりとした感じがします。
何と言いますか、余計な体脂肪がついていない感じです。
鋭い走りが持ち味のスピードランナーのような体つきだと思いました。
最近は『メタボ』とまではいかなくても、かなり大きさや太さ・膨らみを感じさせるアイアンやウェッジがあるなかで、このウェッジは必要最低限のものしか組み込まれていないように感じます。
私はこういったウェッジが大好きなので、とても好感がもてました。
『CNC PROCESSING』と記されていました。
どういった意味なのでしょうか?
何やら、とても素晴らしい技術が組み込まれていそうです。
ソール幅は、それほど広いとは感じませんでした。
ロフトが58度なので、サンドウェッジというように考えてもいいと思うのですが、最近のワイドソールウェッジとはちょっと一線を画すように感じました。
しかし、今はこのような幅のサンドウェッジもたくさん見かけるようになりました。
バンカーだけに的を絞って、全体的な敷居を低くするのであれば、もう少しソールが広くてもいいと思うのですが、よりアプローチに重点を置くのであれば、これくらいの幅がいいのかもしれません。
ただ、こうして見ていても、バンスはすごく効いていると思いました。
こういったところがサンドウェッジだな・・・。と思いました。
ネックも長めで、すごくいい感じです。
操作性が良さそうですし、スピンもよく効きそうです。
ウェッジやアイアンに限らず、ドライバーなどでもそうなのですが、私はこの角度から見るクラブに、いわゆる『色気』といいますか、『艶っぽさ』を感じるか、感じないか・・・。ということを区別しているのですが、このウェッジにはすごく感じます。
すごくいい雰囲気が伝わってきます。
打つ前から既に、こちらの意思を伝えやすそうな艶っぽさだな・・・。と思いながら見つめていました。
ボールを前にして構えてみても、かなりの『美顔』で、構えやすいと思いました。
『ティアドロップ系』の要素もありますが、どちらかといえば『日本顔』『和顔』といいますか、『丸型ウェッジ』といっていいと思います。
今は『ティアドロップ型』のウェッジが多いように思うのですが、私はこのような丸型のウェッジにもいい思い出がたくさんあるので大好きです。
重心距離も短そうですし小顔なので、すごくいいイメージをたくさん持つことができました。
このいいイメージはコースで緊迫した場面でも、すごく勇気をくれます。
違和感を感じるクラブでは、ミスする確率が高くなってしまいます。
私はグースが効いたウェッジよりも、このようにストレート系が好きなので、とても好印象でした。
最近は本当にいいウェッジがたくさんあるな・・・。と思いました。
ウェッジ(特にサンドウェッジ)が、私のなかで最も消耗が激しいクラブなので、いつも色々なウェッジに興味津々です。
こうして構えただけで、すごくいいインスピレーションが湧いてきました。
試打を開始しました。
まず感じたのが、その強烈なスピン性能です。
正直、驚きました。
ボールに『緩いスピン』が掛かっているのではなく、鋭くて速いスピンが掛かっている感じです。
これは『新溝ルール適合』ではないのかな?と一瞬思ってしまったのですが、だから敢えてメーカー側としても、先ほどの『RULE CONFORM PRODUCT 2010』という文字を入れて、このウェッジが『新溝ルール適合』であることを知らせてくれていたのだと思いました。
それくらい、スピン性能にはメーカーも自信があるのではないでしょうか?
大手有名メーカーの大量生産されコストパフォーマンスの高いウェッジの殆どが、フェース面のスコアラインは『プレス方式』で行われている・・・。ということを以前聞いたことがあるのですが、このウェッジはとても手間が掛かっているように感じます。
一本一本丁寧に彫られている感じがします。
指で触ってみても、それほどエッジが尖っていなくて、『角溝』のような感じはしなかったのですが、すごくスピンが掛かることに驚きました。
最初は50ヤードの『ピッチショット』から始めたのですが、すぐに20ヤードくらいの『ロブショット』も行ってみました。
普通ロブショットといえば、『高さでボールを止める』ので、キャリーさせた後はコロコロと少しだけボールが前に転がっていく感じですが、今日はバックスピンが効いて、こちら側に戻ってきてしまうことに驚いてしまいました。
『角溝全盛』の頃は、こういったことはよくあったのですが、『新溝規制』がスタートして、こういった感覚を味わったことはありません。
しかし、何度やっても、ボールはキャリーしたところから、こちらに戻ってきました。
厳密にいえば、フェースを開き斜めに使って強くカットしているので、斜め後方に戻ってきている感じです。
勿論、練習場のマットの上からなので、余計な物が間に挟まれずにスピンが掛かりやすい状況にあると思うのですが、それでもこのスピン性能の凄さに驚きました。
フェース面を指でなぞってみたのですが、すごくいい感じで指が引っかかって止まります。
今流行の『ミーリング』は施されていないのですが、何故このようにスピンがよく効くのでしょうか?
溝も丁寧に彫られているようですし、フェース面自体も、何やら工夫が施されているようです。
他のメーカーのウェッジだと、指が滑る感じのするものが圧倒的に多いのですが、このウェッジは明らかに違います。
指が止まります。
その感じがボールに強烈なスピンを掛けているのでしょうか?
原口鉄也選手が使って、ブームに火が付いたフォーティーンの角溝ウェッジ(MT28)は一世を風靡しました。
私もノーメッキタイプを購入しました。
そのウェッジは、かなりエッジが立っていたので、ボールによく傷がついていました。
ボールの立場になって考えてみると、かなり痛そうだし、申し訳ないな・・・。と、思っていました。
しかし、このウェッジで打ったボールにはそんな感じはしません。
スピンはよく効いてくれますが、痛そうだな・・・。という感じはしませんでした。
ボールにも傷がつく感じはしませんでした。
打感も軟鉄らしく、とても柔らかくていい感じでした。
ボールにしっかりと食いついてくれている感じがすごくします。
これまでの多くのウェッジは、何となく滑っていく感じがしないでもなく、またそこが良いところでもあったのですが、このウェッジはしっかりとボールにコンタクトしてくれていました。
『食いつき』がすごくいいですが、それが全く邪魔になっていません。
この打感だけで、ボールを目で追わなくても、だいたいどこに落ちたかが把握しやすいです。
シビアな距離感を求めていきたいウェッジには、是非もっていて欲しい『フィーリング性能』を、このウェッジは持ち合わせていると思いました。
『球のあがりやすさ』という点では、標準的な58度のサンドウェッジというところで、特に変わったところはありませんでした。
普段通りの感覚で打っていくことができました。
58度なので、自然と高さが出てしまいますが、この高さに距離感を出しづらく感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方は、56度もラインアップされているそうなので、そちらのほうがいい感じをつかみやすいような気がします。
多少のグースでもあまり苦手意識を持ちませんが、かないきついグースが効いているものは難しく感じます。
そういった点で考えてみても、このウェッジは『ストレート系』なので、すごく親しみやすいですし、普段通りの感覚で打っていくことができました。
『安定性』という点でも、すごくいい印象をもちました。
普通に打っている限り、ブレる感じが全くしないので、かなりシビアにラインを絞ってボールを送り出していくことができました。
やはり構えやすくてフィーリングのいいウェッジというのは、自然とラインも出しやすくしてくれるものだな・・・。と思いました。
これまでの『名器』と呼べるウェッジと共通した部分だと思います。
かなり信頼できる感じがしました。
『飛距離性能』という点では、普段慣れ親しんでいる58度のウェッジらしいところだと思うのですが、最初のうちはやや距離感が合いづらい感じがしました。
それは『キャリーの距離感』ではなくて、『ランの距離感』です。
思っていた以上に止まり過ぎてしまいます。
ここまで感じるウェッジはなかなかありません。
いつもよりも、もっと突っ込んでいってもいいな・・・。と思いました。
『ランの計算』が最初のうちはなかなかできませんでした。
しかし、球数をこなしていくうちにだんだんと慣れていくことができました。
『操作性』という点では、かなりの高性能だと思いました。
バンスは効いていますが、フェースを開いても構えやすかったですし、色々な球を打つことができました。
明らかに『マニュアルタイプ』といえるウェッジだと思います。
私は他の、どの番手のクラブよりもウェッジの練習が好きですし、長い時間をかけます。
その殆どは『ゲーム感覚』といいますか、いかにターゲットに自分のイメージした通りにボールを運んでいけるか?という遊びを行っています。
板の上にボールを置いて、ゲームセンターなどでも見られる『ストライクアウト』のようなことをして遊ぶこともあります。
そういったゲーム感覚の練習を、このウェッジだとすごく楽しめそうな予感がしました。
このウェッジの優れているところは、何と言っても、その『スピン性能の凄さ』にあると思います。
新溝ルール非適合の昔のウェッジの感覚が懐かしい方には、是非試していただきたいウェッジです。
このスピン性能の高さでありながら、『ルール適合品』ということであれば、使わない手はないと思っています。
ひとくちに『ルール適合』といっても、その性能には雲泥の差があるのだと思いました。
その『性能の差』や『造るときの手間のかけ方』で値段が決まってくるのだと思います。
特別に素材が大きく変わっているということではないと思いました。
ウェッジの性能は『スピンが全て』だとは思いませんが、少なくとも今お使いのウェッジのスピンに不満を持っておられる方には、このウェッジのスピン性能の高さを実感していただきたいと思いました。
練習場のマットの上からだけでなく、バンカーやアプローチグリーンでも試してみたのですが、そのスピン性能の高さは健在でした。
私はバンカーショットの練習をよくやるので、どうしてもフェース面の摩耗が激しくなり、仕方なくそのまま使っていることも多いのですが、それでも結構スピンを掛けていくことができました。
ボールを直接打たないバンカーショットは、フェース面の性能よりも、いかにボールを鋭く切っていけるか・・・。だと思っていました。
実際、フェース面が『つるつる』のウェッジでも、砂を切っていってボールにスピンを掛けていました。
しかし、このウェッジでバンカーショットをしてみて、改めてフェース面の性能も大きく影響してくるのだと思いました。
強いスピンが掛かって、イメージしたよりもボールが止まります。
バンカーショットでは、私はなるべく『強いエクスプロージョン』よりも、砂を薄くとって『スパッ』と切ってボールを止めていきたいタイプなのですが、このウェッジはそんな私の要求にすごくよく応えてくれました。
勿論、エクスプロージョンも簡単でした。
それは、このウェッジのバンスがよく効いているからだと思いました。
ただ、先ほども書きましたが、このウェッジは明らかに『マニュアルタイプ』といいますか、『操作性』が秀でているタイプだと思います。
使い手のイメージを反映させやすい反面、『オートマチックさ』はあまり感じられません。
バンカーショットが苦手な方は、このウェッジは少し難しく感じられるかもしれません。
バンカーでも色々な細工をするのではなく、まず『脱出』という方には、親しみづらいところがあるかもしれません。
そういった方には、フォーティーンの『D-030』のほうが大きな効果が期待できるように思います。
私にとって、かなり刺激的なウェッジでした。
見た目はとても美しくて、いかにも『標準的』なウェッジに見えていたのですが、こんなにすごい性能を持ち合わせているとは思いませんでした。
まさに『能ある鷹は爪を隠す』といったところでしょうか?
今は個性がなかなか感じられないクラブが多いなかで、このウェッジには強い個性を感じました。
しかも、その強い個性が『クラブの美しさ』を犠牲にしていません。
これまでたくさんのクラブを試打してきて、印象の強いクラブもあれば、そうでないクラブもあります。
そういったなかで、このスリーラックのウェッジは、私の心の中に強烈なインパクトを残しました。
このウェッジが合いにくい方は、
1.今のウェッジのスピンで距離感が出しやすくて、満足しておられる方。
2.スピンが掛かり過ぎるウェッジは苦手だという方。
3.グースネックを好まれる方。
4.プロが使っていて、TVや雑誌でよく見かけるような大手有名メーカーのウェッジを使いたい方。
5.スピン性能などよりも、安価なウェッジを使いたい方(価格重視の方)。
ではないかと思いました。
フェース面に特殊な加工が施されているのでしょうか?
他のメーカーのウェッジと比べても、少し『打球痕』が付きやすい感じがしました。
すごく気になるほどではないのですが、他のウェッジとはちょっと違った感覚でした。
ちょっと表現が合ってはいないのかもしれないですが、感覚的にフェース面に『鳥もち』がついていて、それにインパクトの瞬間、ボールがくっついて、それでしっかりとしたスピンが効いているような感覚を憶えました。
なかなかこういった感じのするウェッジはありません。
まさに新溝ルール適用後において、『最強のスピン性能』をもったウェッジだといってもいいのではないでしょうか?
今流行の『ミーリング』があったほうが、スピン性能が高くなるような気もしていたのですが、このウェッジのようにミーリングがなくても、しっかりとしたスピンを掛けていけるのだから、奥が深いと思いました。
後は、このスピン性能がどれだけ永く持続してくれるかだ・・・。と思いました。
特に私はバンカーやグリーン周りの練習が大好きなので、こういった『耐久性』ということをいつも考えながら練習しています。
相棒が疲弊してしまった姿を見るのが寂しくてたまりません。
このウェッジは、他のメーカーのウェッジと比べても、やや高価ではありますが、その価値は充分に持ち合わせていると思いました。
コストパフォーマンスが低いとは全く思いませんでした。
むしろ、この鋭いスピンを手に入れられるのであれば、『お買い得』といってもいいのではないかな?と思いました。
大量生産され安価なウェッジもいいですが、このような高性能なウェッジには値段では計り知れない魅力があります。
『スピン性能』が、このウェッジの一番大きな特長だと思うのですが、それ以外にも『構えやすさ』や『打感』『操作性』『ラインの出しやすさ』『ボールの拾いやすさ』『フェースの開きやすさ』など、かなりの分野でハイレベルです。
私は数年前から特に大手有名メーカー以外の、いわゆる『地クラブ』と呼ばれるメーカーのクラブに魅了されているのですが、今日もそんな一日でした。
スリーラックは老舗メーカーで昔から有名ですし、『地クラブメーカー』とはいえないのかもしれません。
しかし、今日は大手有名メーカーではなかなか見られない高性能で、造るのに手間のかかったウェッジに出会ったような気がします。
こういったクラブならば、こちらの思いも伝えやすそうです。
今日は、このウェッジに魅了され、ずいぶんと長い時間楽しんでしまいました。
購買意欲もすごく強く刺激されましたし、またこのウェッジに出会いたいです。
そして、このウェッジにはいわゆる『ノーメッキタイプ』もあるそうなので、是非そちらも試してみたいと思いました。
『超極上』のウェッジに出会った一日でした。
THREE LUCK SDJ PRO GROOVE D-TOUR TB WEDGE
- 2012年8月13日
- THREE LUCK