今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは BUCHI MT202 アイアン の7番 です。
シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは33度、クラブ長さは36.5インチ、シャフトフレックスはS200、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は466gです。
二度目のBUCHIのアイアンです。
以前、マッスルバックに出会ったのですが、今日はこのとても美しいハーフキャビティアイアンに出会うことができました。
私はこのBUCHIというメーカーのクラブにはまだ2回しか出会っていないのですが、すっかり魅了されてしまいました。
いわゆる『易しさ』を全面に出した感じは全くしませんが、こういった美しいクラブを手にする幸せをすごく感じます。
すごくシャープでカッコいいです。
厚みをあまり感じず、むしろ薄い感じがするので、昔ながらの、ある程度ヘッドスピードを要求してくるタイプのアイアンだと思いました。
タングステンなどの異材をコンポジットさせた最新の技術で球を浮かせる・・・。という今流行のアイアンとは大きく異なる感じがしますが、こういったピュアでナチュラルなアイアンには、どうしても惹かれてしまいます。
観光地に例えると、人工的な建造物やテーマパークなども楽しいですが、山や海などの自然の美しさに心が奪われてしまう・・・。といったところでしょうか?
写真では見えづらいのですが、トゥ側のところに『PTG design』と記されていました。
どのような意味なのでしょうか?
いずれにせよ、すごくこだわりを感じます。
彫りも浅く、昔ながらのハーフキャビティといっていいと思います。
今のキャビティアイアンは、ポケットのあるタイプが主流で、このような純粋なハーフキャビティはすごく少なくなったような気がします。
昔からこのようなタイプのアイアンはよく見かけてはいましたが、最近はあまり見かけなくなったので、懐かしく感じます。
『寛容さ』は伝わってこないですが、何と言いますかマッスルバック並の厚みのあるいい打感がしそうな雰囲気がありました。
ソール幅は、やはり予想していた通り薄い感じがしました。
昔のアイアンのような薄さではありませが、今のアイアンの中では間違いなくトップクラスといえるほどの薄さだと思います。
同じ『アスリートモデル』と呼ばれるようなアイアンでも、大手有名メーカーのアイアンは異材がコンポジットされていたり、アンダーカットだったり、様々な工夫が見て取れますが、このアイアンには異材なども入っていないようですし、とてもシンプルな造りになっているようです。
ただ、この『圧倒的な美しさ』を目にしていると、そのシンプルさが、よりこのアイアンの価値を高めているような気がします。
合理的に考えれば、誰にでもすぐに打てるような易しいアイアンがいいのかもしれませんが、日々コツコツを練習を積んでいって高い技術を習得された方の多くは、やはりこういったアイアンのほうがフィーリングを出しやすくて打ちやすそう・・・。と感じられるのではないでしょうか?
ネックはしっかりとキープされていますが、極端に長いとは思いませんでした。
むしろ、今のアイアンらしい長さだと思います。
こういったところは、昔のアイアンと異なるところなのかもしれません。
素振りをするだけで、すごくいい感じがします。
何と言いますか、クラブからエネルギーをもらっている感じ・・・。といったらいいでしょうか?
素振りをするのも楽しいですが、早くボールを打ちたくてたまらなくなってきました。
打つ前から、すごくテンションが上がってしまいました。
これから、このアイアンでボールを打つことができる喜びを感じながらも、このアイアンに笑われないように当てにいかず、しっかりと振り切っていこう・・・。と思いました。
ボールを前にして構えてみても、まさに『最高レベル』といっていい構えやすさだと思いました。
何なんだろう。この安堵感は・・・。と思ってしまいました。
グースもほんの少し効いている感じがしたのですが、全く違和感はありません。
それよりも、このアイアンのもつ魔力に引き込まれてしまったようです。
構えづらいクラブを目にしたときは、呼吸も浅くなりますし、肩に力が入ったり、余計なことを考えたり、スタンスも決まらなかったり・・・。といった具合に色々なマイナスな部分が起こるのですが、今日は全く起こりません。
むしろ、その真逆で地に足をついて構えられている感じがしました。
ナイスショットのイメージしか湧いてこないですし、これまで出会った数々のアイアンによって紡ぎだされてきたいい思い出が蘇ってくるようでした。
何故だか解らないですが、構えやすいクラブであっても、構えたときにナイスショットのイメージがすぐにボヤけてきたり、消えてしまうことがあったりするのですが、今日は全く消えません。
脳内の神経伝達物質全てが、このアイアンでナイスショットできるように連携しあっているのではないか?と思えるほど、活発に活動してきているように感じました。
もう少し落ち着いていかなければ・・・。とも思ったのですが、この昂りを抑えることができませんでした。
すごくハイテンションのまま、試打を開始しました。
『打感』も構えやすさ同様、『最高レベル』だと思いました。
ヒッティングエリア後方の膨らみが、打感に厚みを与えているように思いますし、何ともいえない心地よい打感に一瞬言葉を失いました。
美しさと打感の良さの両方を兼ね備えているアイアンといっていいと思います。
練習場で私一人だけだったら、思わずバンザイをしたくなるほどのグッドフィーリングだったのですが、周りにたくさん人がおられたので、自重せざるを得ませんでした。
私は常々、高いフィーリング性能をもったクラブを『芯』で打てたときには、『脳が洗われる』ような感覚になることがあり、これまでの嫌な記憶やマイナスなことなどが全て洗い流されるような感じがすることがあるのですが、今日はまさにそんな一日でした。
このアイアンでボールを打っていること自体、私の脳や身体にすごくいいことをしているように感じました。
私が勝手に思っているだけなのかもしれませんが、こうしたアイアンによって、飛んでいくボールも、すごく喜んでいるのではないか?と思えてきます。
『球のあがりやすさ』という点では、やはりはっきりとした『タフさ』が感じられるアイアンだと思います。
スチールシャフトは勿論、DGが苦手な方には、やはり違うタイプのシャフトがいいと思いますし、ロフトが立っている分、余計にタフに感じられる方も多いのではないでしょうか?
マッスルバックアイアンは、確かにタフなアイアンではありますが、その多くはロフトが寝ています。
グースもきつ過ぎない物が多いです。
なのでマッスルバックが初めてな方でも、意外と球が上がりやすいな・・・。とか、球を拾いやすいな・・・。と、感じられる方は多いのではないでしょうか?
ミスに対するシビアさはあるものの、決して打てないアイアンではないな・・・。と思われる方は多いのではないでしょうか?
しかし、このアイアンはロフトが立っている分、少し敷居が高くなっているかもしれません。
ソール幅もそれほど狭いとは感じなかったですし、ネックも長くなく、バックフェースの肉厚さで、多少の低重心は保たれているのかもしれません。
しかし、それほど敷居の低いモデルとはいえないような気がします。
今のアイアンは、見た目以上に易しさが詰まったものが少なくないですが、このアイアンは見た目通りの難易度だと思います。
そういった点では、必要以上の工夫が施されていない、『純なアイアン』といっていいのかもしれません。
『安定性』という点でも、キャビティアイアンではありますが、『易しさ中心』のアイアンではないと思います。
むしろシビアなタイプだと思います。
マッスルバックに近い印象をもちます。
キャビティの易しさを求めていきたい方には、多少難しく感じられるかもしれませんが、日頃からマッスルバックを愛用しておられる方には、何の問題もなく打てるのではないでしょうか?
それほど難しくはないと思います。
キャビティアイアンではありますが、マッスルバックアイアンのつもりで接していけば、親しみやすさを感じやすいのではないでしょうか?
『飛距離性能』という点では、少しロフトが立っているせいか、私の感覚ですと飛びやすい印象がありますが、今のアイアンの中では、それほど飛ぶほうではないのかもしれません。
今のストロングロフトアイアンは、ロフトを立てて飛びやすくする為に、様々な工夫が施されているものが殆どですが、こういったシンプルで最低限のものしか搭載されていないアイアンは逆に難しくなるだけのような気がします。
このアイアンは7番アイアンではありますが、私の感覚では『シンプルな6番』といった感じです。
普段打ちなれている6番アイアンを普通に打っている感じがずっとしていました。
こういった本格で美しいアイアンなので、できれば『本来のロフト』であってもいいのかな?と少し思いました。
『操作性』という点では抜群で、構えたときのイメージのまま、色々な球を打つことができました。
扱いやすさというのは、つくづく『顔の良さ』と『適度な重量感・粘り感』だな・・・。と思いました。
こういった極上アイアンにダイナミックゴールドは、まさに『神の巡り会わせ』と思えるほど、お互いの良さを充分に引き出してくれるような気がします。
曲げる楽しさも充分に味わうことができましたし、一球一球ターゲットを変えて、そこに忠実に球を送り出してくれる易しさを感じました。
キャビティアイアンの『オートマチック感』というよりは、明らかにマッスルバックに近い『マニュアル感』を強く感じました。
大きなミスに対する寛容さは、それほど持ち合わせていないのかもしれませんが、プレイヤーの意思に敏感に反応してくれるので、打っていてすごく楽しいアイアンです。
大手有名メーカーからも、美しいアイアンはたくさん発売されています。
そういったアイアンに出会う度に、私は楽しい時間を過ごすことができます。
しかし、この『BUCHI』のように、なかなか出会うことができないメーカーのアイアンというのは、いつも以上にハイテンションになってしまいます。
時間の許す限り、一球でも多く球を打って、その感覚を皮膚に染み込ませていたい・・・。と思うことが多いです。
今日は、このアイアンのおかげで、とても贅沢な時間を過ごすことができました。
このあまりの美しさに、打つ前は多少気が引き締まる感じがしていたのですが、一球打って、すぐに打ち解けた感じがして、まるで初対面とは思えないほどの親近感を感じていました。
ワクワクするほどの高揚感を感じ、もう少し抑えて冷静にならなければ・・・。と思うところもあったのですが、ずっとハイテンションのまま突っ切ってしまいました。
このアイアンを返却するときの、あの寂しさはたまりませんでした。
後ろ髪を引かれる思いですし、できればあと少し借りていたいな・・・。と思いました。
クラブとしての性能や形状などから考えると、昔からたくさん出会ってきたタイプのアイアンだと思いますし、特に初めて出会った感じ・・・。とか、これまでのアイアンには見られなかった新たな創意工夫・・・。というのは無いのかもしれません。
しかし、『古き良き時代』といいますか、このいい伝統はこれからも失ってほしくないですし、継承され続けていくと思います。
易しいアイアンではないですが、これくらいがちょうどいいのかもしれません。
100年後、200年後のことは、全く想像がつかないですが、もしルールが改定されて、今のような『易し過ぎるクラブ』が使えなくなったとしたら、100年後、200年後のゴルファーは、2012年頃のゴルファーはずいぶんと易しいクラブを使っていたんだな・・・。と思うようになるかもしれません。
そういった意味でも、こういったタイプのアイアンだったら、いくら年月が流れていっても、ずっと評価され続けていくような気がします。
易しいのはダメ。難しいほうがいい。というのではありませんが、今のクラブの中には、少し疑問を感じてしまうものもあります。
ゴルフクラブに関しての、今のルールがこれ以上、寛容になることはおそらくないのではないか?と思っています。
少し厳しくなることはあっても、易しくなることはないような気がします。
難しいからゴルフは楽しいのであって、あまりクラブの性能が勝ちすぎてしまうと、ゴルフが少し違うものになってしまうのではないか?と思っています。
曲がるからゴルフ。
飛ばないから飛ぶようになる為に、ゴルファー自身のスキルを高めたり、スイングの精度を上げていくことも、ゴルフの大きな楽しみではないか?と思っています。
今日はいつもの試打とちょっと違った感じで終えたのですが、それはやはりこのクラブに大きな魅力を感じたからなのかもしれません。
一般的な敷居も高いと思いますし、『レジャー志向』の方よりは、明らかに『上達志向』の強い方にマッチしやすいアイアンだと思います。
そういった意味でも、人気が爆発するタイプのアイアンとはいえないのかもしれませんが、いいアイアンであることは間違いないので、友人たちにも勧めてみようと思いました。
また手にする機会があれば、何度でも何度でも試打して、そのグッドフィーリングを楽しみたいアイアンです。
BUCHI MT202 アイアン
- 2012年6月13日
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