Post
≪EPONのマグカップ | HOME | 綺麗な花たち≫
2019年12月04日
タイトリスト 620 MB アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト 620 MB アイアン の7番 です。

シャフトは TRUE TEMPER AMT TOUR WHITE です。
ロフトは35度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS200、バランスはD2、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は432gです。

惚れ惚れするほど美しい、タイトリストのマッスルバックアイアンです。
2年に一度の楽しみといっていいように思います。

今はマッスルバックも色々なタイプが見られるようになってきましたが、このアイアンは昔ながらのオーソドックスなタイプです。
贅肉をそぎ落とした、必要最小限のものしかない、研ぎ澄まされた形状です。
車に例えると、『F1タイプ』といえるのではないでしょうか?

トップラインの厚みも標準的です。
最近は比較的厚めの物も増えてきましたが、このアイアンは標準です。
タイトリストは、このようにベーシックなタイプから、ハイテクを駆使したディスタンスタイプのものまであり幅広いので、タイトリストファンとしても、自分に合ったものを選びやすいという魅力があります。
海外メーカーの中でも、タイトリストは特に『目で楽しむ』ことにおいて、常に『トップ』といえます。

マッスルバックにしては、ネックが少し短く見えますが、これは今のアイアンの特徴のひとつといっていいように思います。
こういったところが、昔のマッスルバックと今のマッスルバックの違いです。
ボールの『低スピン化』が進んだからでしょうか?
アイアンのロングネックは見なくなりました。

ソール幅は、かなり狭いです。
昔の高重心アイアンを見ているようです。
この狭さなら、昔のアイアンと遜色ないと思います。
今は多くのメーカーが、アスリート仕様といっても『ワイド化』が進んできているように思うのですが、タイトリストだけは、その流れから逆行しているように感じられます。
この狭いソール幅に苦手意識が芽生えたり、親近感が持てないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
アイアンを上からではなく『横から』打つタイプの方には、合いづらいところがあるかもしれません。
ソールは『平ら』というよりは、全体的に丸みを帯びています。
今はリーディングエッジやトレーリングエッジが大きく削られているアイアンが多くなりましたが、このアイアンはそれほど極端ではありません。

フェース面にミーリングはありません。
タイトリストらしく、光沢感のあるフェース面です。
スコアラインも綺麗に整っています。
私はフェース面を見るときに、『スコアラインの両端』を見ることが多いのですが、このアイアンは綺麗に整っていました。
『スタンプ式』だから、簡単なのかもしれませんが、それでも綺麗に整っていないように見えたり、仕上げが雑な感じのアイアンは今でも見られます。
スコアラインの数も、7番アイアンとしては『標準』ともいうべき、13本でした。
数だけでなく、その間隔も日本らしい感じがします。

素振りをしてみても、適度な重量感としっかり感があって、タイミングがとりやすいです。
最近は軽量タイプを試打することも多くなり、その軽さに慣れる為に入念に素振りを繰り返すこともあるのですが、今日はそれほどでもなく、普通に臨めそうです。

装着されているグリップは、これまでも出会ってきたノーマルタイプです。
今はグリップも機能的になってきていますが、このグリップはそうでもないようです。
絶妙な『しっとり感』はありませんが、ソフトなフィーリングで無難なタイプなので、好まれる方も多いのではないでしょうか?

ボールを前にして構えてみると、このあまりの『男前さ』に、一瞬で私の目尻は下がってしまいました。
このアイアンは最初から、私の目尻を下げにかかっているようです。
今日、こうして試打するのが、まるで最初から決まっていたかのような『縁』を感じました。
見とれるだけでなく、ハッとするほどの美顔です。
すぐには打たず、しばらくこうして見ていました。
ストレートネックでトップラインは真っ直ぐで、昔からある顔ですが、すごくシャープで逃がすイメージが出しやすいです。
小顔タイプなので、ボールが大きく見えるのもいいです。
逆にヘッドが大きく見えたほうが、安心感があるという方もいらっしゃると思いますが、私はこのようにヘッドとボールとの対比で、ボールが大きく見えたほうが、安心感が増しイメージがより鮮明に浮かんでくるので、扱いやすさも増します。
タイトリストのアイアンをこれまでもたくさん試打してきましたが、タイトリストは本当に『顔』を大切にしているメーカーだな・・・。と思います。
かなり小振りなので不安を感じる方はいらっしゃるかもしれませんし、ストレートタイプなので、グースタイプのアイアンを好まれる方にも構えづらいところがあるかもしれません。
私の目尻はずっと下がりっぱなしで、口角はあがりっぱなしでした。
吐く息は白いですが、私の心は真っ赤に燃え上がっていました。
頭の中を、いいイメージが高速で駆け巡り、ワクワク感が止まりません。
このアイアンで、今から球を打つことができると思うだけで、嬉しさがこみあげてきました。
試打を開始しました。

一球目から、極上の打感を楽しむことができました。
ボールがしっかりとフェースの芯にくっついて乗っかり、そこからフォローで運ぶような感覚といったらいいでしょうか?
マッスルバックなどの厚みのあるアイアンでないと味わえない打感です。
今は『弾き系』のアイアンが多くなってきましたが、全く異なる打感です。
打感がソフトなので、球を打つのが楽しくてたまりません。
こういう小振りなアイアンは私の経験上、フェースの中央でもいいですが、少しヒール寄りで打つと、さらに『厚み』が増すように思うのですが、このアイアンもそんなタイプでした。
心地良い感触がしばらく、掌や指に残ります。
今日は寒さが厳しくて『かじかむ』ほどですが、こんな日にミスショットをして手がしびれてしまうと、余計にそれが強くなってしまいます。
ハードな打感は馴染めませんが、このようにソフトな打感なら、一年中いつでもOKです。
今はたくさんのハイレベルなクラブがあり、どれにしようか迷ってしまうこともありますが、『触感』で楽しませレくれるクラブというのは、そう多くありません。

『球のあがりやすさ』は自然な感じで、本来の7番アイアンらしさをもっています。
出球の高さが合いやすく、グーンと伸びていって、しっかりとキャリーを稼げるアイアンです。
ボールを潰しながら打つのがちょうどいいです。
今のイージー系アイアンのように、色々な工夫がされているようには見えないのですが、この自然な感じに好感が持てます。
タフな性質をもっており、明らかにヒッタータイプをターゲットにしたアイアンです。

『安定性』という点では正直であり、シビアなところもあります。
今は『面』で打てるアイアンが多いですが、このアイアンは明らかに『点』で打つタイプです。
寛容さはありません。
スイートエリアは狭いですが、芯で打てたときの感触は素晴らしいです。

最高レベルの操作性の高さです。
小振りなので、ストレートネックでもフェースがターンしやすいので、自然とつかまえてくれます。
これがもし、大きさは一緒でグースがきつくなってしまうと、かなり引っかけてしまうかもしれないですし、構えただけでイップスのようになって、始動のタイミングがつかめないかもしれません。
敏感に反応してくれるので、球を曲げて楽しんでいました。
クセは無く、左右同じように反応してくれます。
最近のアイアンはドライバーなどと同じように、大きく曲げるのは難しいと感じるものが多くなりましたが、久しぶりに左右に大きく曲げることができ、その大きな『弧』を楽しむことができました。
ビリヤードには『曲打ち』というものがありますが、ゴルフにも曲打ちができます。
それには、このようなアイアンが必須です。
練習場では多くの方が真っ直ぐ飛ばそうとしておられ、曲げる練習をしておられる方はあまり見かけませんが、自分の持ち球を磨くと同時に、逆の球筋でも曲げる練習をしておけば、実戦でもすごく役に立ちます。
コースでは練習場と違って、全てがフラットで広く、障害物が無い・・・。ということはあり得ないので、ストレートボールのフルショットではなく、色々な条件によって求められるスイングや球も変わってくると思います。
そのうちの一つが『曲球』です。

『飛距離性能』はノーマルです。
私の言う『ノーマル』というのは、『昔ながら』という意味であり、今のアイアンでは、はっきりと『飛ばない』といえます。
飛距離性能をアイアンに求めておられる方には、不満に感じるところがあるかもしれません。
適正な打ち出し角による『縦の距離感』を大切にしたいゴルファーの為のアイアンです。
球がしっかりと乗ってくれるので、距離感がとても出しやすいところが気に入りました。

最新のモデルではありますが、これといった新たな工夫がされているようには見えませんでした。
二年前のモデルよりはシャープさが増しているように見えますが、それ以外は特に変わったところは見られません。
これまで同様、『男前』で『グッドフィーリング』なアイアンです。
極上の打感を楽しめるので、一球一球を大切にされる方の為のアイアンといっていいのかもしれません。

マッスルバックらしい、『芯の狭さ』が個性ともいえるアイアンではありますが、それを利用して・・・。といいますか、小さいアイアンだからこそ、打点を揃えられるようになってくることもあると思いますし、ミスヒットしても、それを上手く『ごまかす』といいますか、なるべく大きなミスにつながらないよう最小限で抑えられるような技術も身につくのではないでしょうか?
『易しすぎる』アイアンでは、ミスがミスになりにくいので、こういった技術が身につきづらいような気がします。
今はクラブがたくさんの仕事をしてくれるようになりました。
それまではプレイヤーがやっていたり、気をつけていたりしたことを、クラブがカバーしてくれるようになりました。
クラブ開発の技術が向上し、それはとても素晴らしいことだと思うのですが、プレイヤー自身がもっとイニシアチブを握って、技術を高めていきたい・・・。という方にとって、このような正直なクラブは返ってくる答えも早くて明快なので、色々とつかみ取ることが多くなるのではないでしょうか?

先ほども書きましたが、前のアイアンよりもシャープさが少し増したような気がします。
タイトリストのアイアンといえば、『ミラー仕上げ』の印象が強いですが、このアイアンは『サテン仕上げ』っぽいところもいいです。
ピカピカ光るミラー仕上げも美しいですが、私は昔から『艶消し』タイプが好きなので、サテン仕上げや黒染めに魅力を感じます。

最近はなかなか見なくなりましたし、タイトリストでは見たことがないですが、『黒染め』のアイアンを発売しても面白いのではないでしょうか?
シブさが増してカッコ良くなります。
技術が進んで、黒染めであっても、普通のメッキタイプと同等かそれ以上に、そしてステンレスと変わらないくらいの強度・耐摩耗性をもったアイアンを使ってみたいです。

練習場は時々横風が吹き寒かったのですが、このアイアンのおかげで、ホットな練習ができました。
途中から試打していることを忘れ、完全に自分の世界に入ってしまいました。
夏はあまりやりませんが、寒さが増してくると、私はよくドライバーの打ち込みをやります。
今日も、その予定でいたのですが、このアイアンに出会って大きく変わりました。
惚れ惚れするほどの美顔とたまらない好感触があるので、目と手で楽しませてもらいました。
また何度でも試打したい、グッドなアイアンです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


コメント