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2019年06月09日
初めて手にしたアイアン
今日は、いつもと内容を変えまして、私が初めて手にしたアイアンを紹介させていただきたいと思います。
それは、

King of birds です。
私が初めて購入したアイアンは、ホンマのPP-727というアイアンだったのですが、『初めて手にした』ということでいえば、このKing of birdsというアイアンです。
以前ドライバーを紹介させていただいたことがあるのですが、このアイアンはそのセットのアイアンです。
セットといってもフルセットではなく、ハーフセットです。
私がゴルフを始めるきっかけになったのは、先輩からの誘いでした。
今よりも上下関係が厳しい時代だったので、先輩からの問いや誘いに『NO』という選択肢はありませんでした。
私たち後輩は『はい』しか言えませんでした。
以前も書きましたが、先輩がカラスは白いといえば、白い・・・。という世界です。
その方はとても厳しい先輩でしたが、先輩風を吹かせて無茶なことを命令することもなく、私たち後輩にとって、とても温かく目標となる存在でもありました。
その先輩からの誘いによって私はゴルフに熱中することになったのですが、今ではとてもありがたいと思っています。
先輩から急に誘われて、クラブも持っていないのにどうしよう・・・。と困っていたときに、人から譲り受けたのが、このクラブです。
メーカー品ではなく、King of birdsというセット物のアイアンです。
しかも、レディス用です。
以前、ドライバーを紹介させていただいたので、いつかアイアンを紹介させていただこうと思い、今日練習場に持って行きました。

シャフトはオリジナルスチールで、クラブ総重量は427gです。

今時珍しいマッスルバックアイアンです。
一時期に比べ、今は少しずつマッスルバックが増えてきましたが、まだまだ少数派です。
今はプロなどごく一部しか見られませんが、昔は女性も男性と同じように普通にマッスルバックを使っていました。
もちろんキャビティもありましたが、今ほどバリエーションに富んでいませんでした。
女性用のマッスルバックを初めて見たという方もいらっしゃると思いますし、信じられないという方もいらっしゃるかもしれませんが、昔はこれが普通でした。
男性は今でも見られますが、女性でマッスルバックを使うという方は、今はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?
私が今でもマッスルバックに対して拒絶感や苦手意識をもたないのは、『初めて使ったアイアン』や『初めて購入したアイアン』がマッスルバックだったからかもしれません。
特に今のマッスルバックは研究が進み、昔より格段に打ちやすくなっているので、敬遠すべきではないと思っていますし、その極上の打感と扱いやすさを多くの方に体感していただきたいと思っているので、試打をすれば必ず記事に書くようにしていますし、友人たちにも勧めています。

すごくシンプルな形状です。
今はラージサイズのポケットキャビティが多いですが、このアイアンは小顔タイプで、ヘッド体積でいえば、およそ半分くらいではないか?と思えるほど小さく感じられます。
今のように『至れり尽くせり』のクラブではなく、『易しさ』は追求されていません。
『技術の抜け穴』が、かなり多いように思います。
気難しいタイプでも、練習を積んで慣れていくしかありませんでした。

かなりシャープな形状です。
今は分厚いタイプが多いですが、このアイアンはとても薄くてシャープです。
この形状に苦手意識をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。

ソールは独特で、『フィン(ひれ)』のようになっていますが、これは少し重心を下げる意味合いがあったのではないでしょうか?

彫りは浅く、普通のマッスルバックといっていいように思います。
完全な『フラットバック構造』ではありませんが、これでも最大限の工夫だったのかもしれません。
今のように、クラブ開発への技術が進んでいない時代です。

トップラインも厚くなく、ちょうどいい感じです。
厚めを好まれる方には、少し狭く見えるかもしれません。

ソール幅は標準的です。
これくらいのソール幅は今でも見られます。
ワイドなタイプが多くなりましたが、これくらいのソールもよく見られます。
今はソールにタングステンなどの異材が組み込まれているのが普通になりましたが、この頃はあり得ないことでした。
『複合素材』でなく、『単一素材』で勝負していくしかなく、クラブの性能の差が小さい時代です。
クラブの性能ではなく、ゴルファーのもつスキルやポテンシャルがショットの成否を大きく分けていましたが、今ではその割合が大きく変わり、クラブが大きな鍵を握る時代になりました。

リーディングエッジは小さく削られています。
均一な削りではないので、機械というよりは手で削ったような感じです。

ネックの長さは適度にありますが、それほどロングではないですし、今でもよく見られる長さです。
こうして見ていても、何となくですが、『ひ弱な』といいますか、『大丈夫かな?』と思ってしまうような『か弱さ』が感じられます。
『力感』を感じさせない外観ですが、当時はそんなことを全く気にしていませんでした。
いろいろ経験をして、いろいろなことを感じ取れるようになったのかもしれません。

メッキが今ほど丁寧ではありませんでした。
メッキが薄く、周りの湿気を吸ってすぐに錆が浮いてしまいます。
何度綺麗に磨いても、このようになります。
今のアイアンはメッキがとても綺麗なので、このような錆は見られません。

フェース面はとてもシンプルです。
このフェース面を見て、あの『名器中の名器』と呼ばれる『スポルディングの赤トップ』をいつか買うぞ・・・。と思ったことを思い出しました。
あとはマグレガーやパワービルトのアイアンにも憧れていました。
今はいろいろな工夫がされているアイアンが多くなりましたが、昔はそんな工夫はありませんでした。
フェースの質感も、それほどよくありません。
今のアイアンのフェース面の質感と、大きく異なります。
今、このような質感のアイアンを作っても、おそらく売れにくいと思います。
ヘッド全体もそうですが、このフェース面も、かなり錆が見られます。
フェースにミーリングはありませんが、フェース面の錆がミーリングの役目を果たすのではないか?と思えるほど錆が浮いていました。

装着されているグリップは当時のままです。
久しぶりに握ってみて、懐かしいな・・・。と思いました。
ほとんど使っていないせいか、大きな消耗や摩耗は見られません。

ドライバーのときにも書きましたが、シャフトには『物品税証紙』というシールが貼られています。
これはドライバーやアイアンなどに限らず、クラブ一本一本に貼られていました。
消費税が適用される前は物品税が商品にかけられていました。
当時、ゴルフは『贅沢』ということで、ゴルフクラブには高い税率が掛けられていました。
今は物品税がないので、このようなシールを見たことがないという方が大半だと思いますが、昔はこれが普通で、特に気にとめることもありませんでした。
こういう昔のクラブが歴史を語ってくれているようです。

久しぶりに、こうしてボールを前にして構えてみたのですが、懐かしいな・・・。と思いました。
この初めて手にしたアイアンもそうですし、初めて購入したホンマのアイアンもストレートネックということで、私のストレート好きが確定したのかもしれません。
その頃、もしピンのような強いグースタイプを使っていたら今頃、グースタイプを好んで使っていたかもしれません。
昔はストレートネックとはグースネックということを考えることもなかったですし、とにかく最初に購入するのは『ホンマ PP-727』という『決め打ち』だったので、私のストレート好きは既に決まっていたような気がします。
鳥は生まれて初めて見たものを親と認識するというのは有名ですし、それはインプリンティングというのだと聞いたことがあるのですが、私の場合もそれに近いものがあるのかもしれません。
アイアンはストレートという『刷り込み』が私の中でできてしまったような気もします。
ああ、こんな感じだったな・・・。打感や打ち出しの勢いが、少し頼りない感じだったな・・・。と、こうして構えてみて思い出しました。
久しぶりに球を打ってみました。

『打感』は、まずまずでした。
懐かしく、なかなかいい感じでしたが、今のマッスルバックのほうが打感はいいです。

『球のあがりやすさ』は普通です。
昔ながらのマッスルバックアイアンで、7番らしい打ち出しの高さがあります。
今のアイアンは同じ7番でもロフトがバラバラなので、打ち出しのイメージが合わないことも多いのですが、昔はメーカーが違っていても『統一感』がありました。
『スタンディングロフト』で笑う人もいれば、逆に泣く人もいるのではないでしょうか?

『安定性』という点でも、マッスルバックらしいシビアさがあり、易しさを追求したモデルではありません。
イージー系のアイアンを使い慣れておられる方には、かなり気難しく感じられるような気もします。
私はヘッドの形状というよりも、『短さ』に難しさを感じました。
かなり短く感じたので、いつも通りのスタンスはとれなくて、近くに立って打ちました。

今日は、エポンファンの友人と一緒に練習に来ていて、彼がこのアイアンを貸してくれたので、見比べてみることにしました。
EPON AF-Tour の7番です。
彼にエポンを紹介してすっかり虜になって、ドライバーからFW・UT・アイアン・ウェッジ・パター・キャディバッグ・キャップなど、全てエポンで揃えています。
しかもワンセットだけではなく、数セットもっています。
私と同じように、彼もクラブを『目で楽しむタイプ』のようで、部屋に飾ってあるエポンのクラブを見るのがたまらないのだそうです。
彼は私にエポンというクラブを教えてくれてありがとう・・・。と言ってくれたことがあるのですが、彼は私にいつもこうしてエポンのクラブを貸してくれているので、私こそ彼にお礼を言いたいですし、今日も貸してもらったので、ありがとうと言いました。
特に私が強い思い入れをもっている『AF-101』というドライバーをよく貸してくれます。
私がいつでも打てるようにと、いつもバッグに入れていますし、傷をつけないように大切に扱ってくれています。
彼の友情に感謝です。

昔のマッスルバックと今のマッスルバックですが、こうして見比べてみても、ほとんど大きさは変わりません。
『メッキの質』などは圧倒的にエポンですが、大きさや形状などは大きな違いは見られません。
昔も今も、これが『スタンダード』だからではないでしょうか?

ソール幅は、右側のエポンのほうが少し狭いです。

ネックの長さも、エポンのほうが少し長いです。

顔の違いも多少ありますが、どちらも大きさは適正ですし、クセのなさが魅力です。
エポンのAF-Tourもストレートタイプではありますが、どちらかというと『セミグーズ』的な印象をもっていて、こうして見比べ見ると、やはりAF-Tourのグースが目につきます。
こうして見ていると、やはりKing of birdsはクラシカルな顔をしています。

長さを見比べてみたのですが、このように大きな違いがありました。
エポンのマッスルバックは36.5インチなので、数インチ短いことが判ります。
もちろんレディス用のアイアンなので、短いのは当然なのですが、当時はそんなことを全く気にしませんでした。
当然、『ロフト角』や『ライ角』などにも注意がいかなかったですし、『重さ』にも無関心でした。
ゴルフクラブとはこんなものだという認識がありましたし、『ある物を使う』・・・。これしかありませんでした。
これだけ今のクラブが進化するとは思ってもみませんでしたが、それは各メーカーの努力の賜物です。

実際に打ち比べてみたのですが、打感は圧倒的にエポンのほうがいいです。
『芯の広さ』というよりも、『芯への当てやすさ』といったらいいでしょうか?
打つ度に、いい感触が手に伝わってきます。
King of birdsのほうは少し弱い感じですが、それでも今のフィーリングの良くないアイアンよりは、ずっといいです。
このアイアンやホンマのPP-727という極上のアイアンを、まだキャリアの浅い打ちから使い続けることができて、打感にもこだわることができるようになったのだと思いますし、自分なりの『物差し』ができたような気がします。
その頃は、キャビティアイアンには全く興味がありませんでした。

『球のあがりやすさ』という点では、ほぼ互角な感じですが、私はエポンのほうが、イメージが合いやすくて好きです。
ヘッド全体の雰囲気もそうですし、『適度な長さ』が打ち出しのイメージを色濃くさせてくれているように感じました。
私は7番アイアンのロフトは『36度』がスタンダードという認識をもっていて、基本『4度ピッチ』で前後していくのですが、昔は37度や38度も普通にありました。

『飛距離性能』も大きく違いました。
エポンAF-Tourも今のアイアンの中では、決して飛ぶほうではないですし、むしろ『飛ばないほう』といったほうが正しいです。
それでも、こうして打ち比べてみて、大きな差を感じました。
キャリーも違いますし、球の勢いもかなりの差があります。

『操作性』という点では、どちらもいいですが、やはり AF-Tourのほうが扱いやすいです。
こちらのイメージをしっかりと受け取ってくれます。
King of birdsは久しぶりだったということもあると思いますが、軽さや短さなどが難しく感じられるところでもありました。

エポンの素晴らしいマッスルバックアイアンと打ち比べるのは酷かな?と思うところもあったのですが、こうして久しぶりに実際に球を打ってみて、昔の懐かしい記憶が蘇ってきました。
練習場はもちろん、コースでも人生で初めて使ったアイアンなので、その初ラウンドのことが思い出されました。
とにかく先輩に迷惑をかけてはいけない・・・。と思いながら必死で打ちましたが、当然ながら上手くいきませんでした。
そんな焦る私を、先輩は温かい目で見守ってくれていました。
晴れの日の早朝に、二人っきりのラウンドだったのですが、ルールやマナーを厳しく叩き込まれましたし、クラブを構えてみろ・・・。といって、このアイアンを手にしながら、いろいろと教えてもらったことを覚えています。
私は帽子を取って直立不動で先輩の話を聞いていたのですが、それが普通でしたし、今でも懐かしく楽しい思い出になっています。

ゴルフはお金が掛かるから、なるべくやらないでおこう・・・。と思っていたのですが、すぐにハマってしまい、それが今でも続いています。
その先輩とは今でもお付き合いをさせていただいていますし、お互いなかなか時間が合いませんが、時間が合えば年に数回は一緒にラウンドしています。
私は今でも先輩の前では直立不動で帽子を取って話しを聞きますが、先輩は苦笑いをしながら、
「もう学生時代じゃないんだから止めてくれ・・・。あれから何年経っていると思ってるんだ。普通の友人として接してくれ・・・。敬語も使わないでいい。」
と言われたことがあるのですが、私にはできません。
先輩にはいつも敬語ですし、帽子を取って直立不動で緊張感をもって接しています。
それは昔のクセが抜けないということもあるのかもしれませんが、それ以上に私がその先輩に対して敬意を持っているからだと思います。
ゴルフだけでなく、いろいろなことを教わり感謝しています。
以前紹介させていただいたドライバーもそうですが、このアイアンを手に取ってみて、昔の懐かしい記憶が蘇ってきました。
ゴルフクラブはゴルファーにとって、単に球を打つだけの道具ではないと強く感じさせてくれます。
ゴルファーとしての成長を、ずっと見続けてくれた存在といっていいのかもしれません。

その頃から先輩はすごくゴルフに熱中していましたが、今では私のほうがはるかに熱中していますし、その炎は消えることなく、今も大きく燃え続けています。
「昔は馬鹿力だけのゴルフだったけど、寄せやパターが上手くなったな・・・。」と褒められたことがあり、とても嬉しかったことをまるで昨日のことのように覚えています。

このアイアンは私にとって初めてのアイアンだったのですが、以前書かせていただいたドライバーほど、長くは使っていないですし、思い入れも強くありません。
すぐにPP-727を購入したからです。
ただ、初めて手にしたアイアンですし、初心を忘れないようにする為、人に譲ることなく、今でも倉庫に保管しています。

ゴルフクラブはゴルファーにとっての大切な相棒であると同時に、ゴルファーの歴史を刻んでいるものなんだな・・・。と、このアイアンを手にして改めて思いました。
今でもゴルフが下手ですし課題は多いですが、その頃より少しは上達していると思いますし、ゴルフへの興味は尽きません。
久しぶりにこのアイアンを手にしましたが、このアイアンは今の私のことをどう思っているのかな?少しは上達したと思ってくれたかな?と思いながら、このアイアンで球を打つことを止め、普通の練習に切り替えました。
私は素晴らしいゴルフ仲間に恵まれていますが、それだけでなく、たくさんのいいクラブとの出会いに恵まれた、幸せなゴルファーです。
ゴルフのおかげで、人生が豊かになったのは間違いありません。
それは、

King of birds です。
私が初めて購入したアイアンは、ホンマのPP-727というアイアンだったのですが、『初めて手にした』ということでいえば、このKing of birdsというアイアンです。
以前ドライバーを紹介させていただいたことがあるのですが、このアイアンはそのセットのアイアンです。
セットといってもフルセットではなく、ハーフセットです。
私がゴルフを始めるきっかけになったのは、先輩からの誘いでした。
今よりも上下関係が厳しい時代だったので、先輩からの問いや誘いに『NO』という選択肢はありませんでした。
私たち後輩は『はい』しか言えませんでした。
以前も書きましたが、先輩がカラスは白いといえば、白い・・・。という世界です。
その方はとても厳しい先輩でしたが、先輩風を吹かせて無茶なことを命令することもなく、私たち後輩にとって、とても温かく目標となる存在でもありました。
その先輩からの誘いによって私はゴルフに熱中することになったのですが、今ではとてもありがたいと思っています。
先輩から急に誘われて、クラブも持っていないのにどうしよう・・・。と困っていたときに、人から譲り受けたのが、このクラブです。
メーカー品ではなく、King of birdsというセット物のアイアンです。
しかも、レディス用です。
以前、ドライバーを紹介させていただいたので、いつかアイアンを紹介させていただこうと思い、今日練習場に持って行きました。

シャフトはオリジナルスチールで、クラブ総重量は427gです。

今時珍しいマッスルバックアイアンです。
一時期に比べ、今は少しずつマッスルバックが増えてきましたが、まだまだ少数派です。
今はプロなどごく一部しか見られませんが、昔は女性も男性と同じように普通にマッスルバックを使っていました。
もちろんキャビティもありましたが、今ほどバリエーションに富んでいませんでした。
女性用のマッスルバックを初めて見たという方もいらっしゃると思いますし、信じられないという方もいらっしゃるかもしれませんが、昔はこれが普通でした。
男性は今でも見られますが、女性でマッスルバックを使うという方は、今はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?
私が今でもマッスルバックに対して拒絶感や苦手意識をもたないのは、『初めて使ったアイアン』や『初めて購入したアイアン』がマッスルバックだったからかもしれません。
特に今のマッスルバックは研究が進み、昔より格段に打ちやすくなっているので、敬遠すべきではないと思っていますし、その極上の打感と扱いやすさを多くの方に体感していただきたいと思っているので、試打をすれば必ず記事に書くようにしていますし、友人たちにも勧めています。

すごくシンプルな形状です。
今はラージサイズのポケットキャビティが多いですが、このアイアンは小顔タイプで、ヘッド体積でいえば、およそ半分くらいではないか?と思えるほど小さく感じられます。
今のように『至れり尽くせり』のクラブではなく、『易しさ』は追求されていません。
『技術の抜け穴』が、かなり多いように思います。
気難しいタイプでも、練習を積んで慣れていくしかありませんでした。

かなりシャープな形状です。
今は分厚いタイプが多いですが、このアイアンはとても薄くてシャープです。
この形状に苦手意識をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。

ソールは独特で、『フィン(ひれ)』のようになっていますが、これは少し重心を下げる意味合いがあったのではないでしょうか?

彫りは浅く、普通のマッスルバックといっていいように思います。
完全な『フラットバック構造』ではありませんが、これでも最大限の工夫だったのかもしれません。
今のように、クラブ開発への技術が進んでいない時代です。

トップラインも厚くなく、ちょうどいい感じです。
厚めを好まれる方には、少し狭く見えるかもしれません。

ソール幅は標準的です。
これくらいのソール幅は今でも見られます。
ワイドなタイプが多くなりましたが、これくらいのソールもよく見られます。
今はソールにタングステンなどの異材が組み込まれているのが普通になりましたが、この頃はあり得ないことでした。
『複合素材』でなく、『単一素材』で勝負していくしかなく、クラブの性能の差が小さい時代です。
クラブの性能ではなく、ゴルファーのもつスキルやポテンシャルがショットの成否を大きく分けていましたが、今ではその割合が大きく変わり、クラブが大きな鍵を握る時代になりました。

リーディングエッジは小さく削られています。
均一な削りではないので、機械というよりは手で削ったような感じです。

ネックの長さは適度にありますが、それほどロングではないですし、今でもよく見られる長さです。
こうして見ていても、何となくですが、『ひ弱な』といいますか、『大丈夫かな?』と思ってしまうような『か弱さ』が感じられます。
『力感』を感じさせない外観ですが、当時はそんなことを全く気にしていませんでした。
いろいろ経験をして、いろいろなことを感じ取れるようになったのかもしれません。

メッキが今ほど丁寧ではありませんでした。
メッキが薄く、周りの湿気を吸ってすぐに錆が浮いてしまいます。
何度綺麗に磨いても、このようになります。
今のアイアンはメッキがとても綺麗なので、このような錆は見られません。

フェース面はとてもシンプルです。
このフェース面を見て、あの『名器中の名器』と呼ばれる『スポルディングの赤トップ』をいつか買うぞ・・・。と思ったことを思い出しました。
あとはマグレガーやパワービルトのアイアンにも憧れていました。
今はいろいろな工夫がされているアイアンが多くなりましたが、昔はそんな工夫はありませんでした。
フェースの質感も、それほどよくありません。
今のアイアンのフェース面の質感と、大きく異なります。
今、このような質感のアイアンを作っても、おそらく売れにくいと思います。
ヘッド全体もそうですが、このフェース面も、かなり錆が見られます。
フェースにミーリングはありませんが、フェース面の錆がミーリングの役目を果たすのではないか?と思えるほど錆が浮いていました。

装着されているグリップは当時のままです。
久しぶりに握ってみて、懐かしいな・・・。と思いました。
ほとんど使っていないせいか、大きな消耗や摩耗は見られません。

ドライバーのときにも書きましたが、シャフトには『物品税証紙』というシールが貼られています。
これはドライバーやアイアンなどに限らず、クラブ一本一本に貼られていました。
消費税が適用される前は物品税が商品にかけられていました。
当時、ゴルフは『贅沢』ということで、ゴルフクラブには高い税率が掛けられていました。
今は物品税がないので、このようなシールを見たことがないという方が大半だと思いますが、昔はこれが普通で、特に気にとめることもありませんでした。
こういう昔のクラブが歴史を語ってくれているようです。

久しぶりに、こうしてボールを前にして構えてみたのですが、懐かしいな・・・。と思いました。
この初めて手にしたアイアンもそうですし、初めて購入したホンマのアイアンもストレートネックということで、私のストレート好きが確定したのかもしれません。
その頃、もしピンのような強いグースタイプを使っていたら今頃、グースタイプを好んで使っていたかもしれません。
昔はストレートネックとはグースネックということを考えることもなかったですし、とにかく最初に購入するのは『ホンマ PP-727』という『決め打ち』だったので、私のストレート好きは既に決まっていたような気がします。
鳥は生まれて初めて見たものを親と認識するというのは有名ですし、それはインプリンティングというのだと聞いたことがあるのですが、私の場合もそれに近いものがあるのかもしれません。
アイアンはストレートという『刷り込み』が私の中でできてしまったような気もします。
ああ、こんな感じだったな・・・。打感や打ち出しの勢いが、少し頼りない感じだったな・・・。と、こうして構えてみて思い出しました。
久しぶりに球を打ってみました。

『打感』は、まずまずでした。
懐かしく、なかなかいい感じでしたが、今のマッスルバックのほうが打感はいいです。

『球のあがりやすさ』は普通です。
昔ながらのマッスルバックアイアンで、7番らしい打ち出しの高さがあります。
今のアイアンは同じ7番でもロフトがバラバラなので、打ち出しのイメージが合わないことも多いのですが、昔はメーカーが違っていても『統一感』がありました。
『スタンディングロフト』で笑う人もいれば、逆に泣く人もいるのではないでしょうか?

『安定性』という点でも、マッスルバックらしいシビアさがあり、易しさを追求したモデルではありません。
イージー系のアイアンを使い慣れておられる方には、かなり気難しく感じられるような気もします。
私はヘッドの形状というよりも、『短さ』に難しさを感じました。
かなり短く感じたので、いつも通りのスタンスはとれなくて、近くに立って打ちました。

今日は、エポンファンの友人と一緒に練習に来ていて、彼がこのアイアンを貸してくれたので、見比べてみることにしました。
EPON AF-Tour の7番です。
彼にエポンを紹介してすっかり虜になって、ドライバーからFW・UT・アイアン・ウェッジ・パター・キャディバッグ・キャップなど、全てエポンで揃えています。
しかもワンセットだけではなく、数セットもっています。
私と同じように、彼もクラブを『目で楽しむタイプ』のようで、部屋に飾ってあるエポンのクラブを見るのがたまらないのだそうです。
彼は私にエポンというクラブを教えてくれてありがとう・・・。と言ってくれたことがあるのですが、彼は私にいつもこうしてエポンのクラブを貸してくれているので、私こそ彼にお礼を言いたいですし、今日も貸してもらったので、ありがとうと言いました。
特に私が強い思い入れをもっている『AF-101』というドライバーをよく貸してくれます。
私がいつでも打てるようにと、いつもバッグに入れていますし、傷をつけないように大切に扱ってくれています。
彼の友情に感謝です。

昔のマッスルバックと今のマッスルバックですが、こうして見比べてみても、ほとんど大きさは変わりません。
『メッキの質』などは圧倒的にエポンですが、大きさや形状などは大きな違いは見られません。
昔も今も、これが『スタンダード』だからではないでしょうか?

ソール幅は、右側のエポンのほうが少し狭いです。

ネックの長さも、エポンのほうが少し長いです。

顔の違いも多少ありますが、どちらも大きさは適正ですし、クセのなさが魅力です。
エポンのAF-Tourもストレートタイプではありますが、どちらかというと『セミグーズ』的な印象をもっていて、こうして見比べ見ると、やはりAF-Tourのグースが目につきます。
こうして見ていると、やはりKing of birdsはクラシカルな顔をしています。

長さを見比べてみたのですが、このように大きな違いがありました。
エポンのマッスルバックは36.5インチなので、数インチ短いことが判ります。
もちろんレディス用のアイアンなので、短いのは当然なのですが、当時はそんなことを全く気にしませんでした。
当然、『ロフト角』や『ライ角』などにも注意がいかなかったですし、『重さ』にも無関心でした。
ゴルフクラブとはこんなものだという認識がありましたし、『ある物を使う』・・・。これしかありませんでした。
これだけ今のクラブが進化するとは思ってもみませんでしたが、それは各メーカーの努力の賜物です。

実際に打ち比べてみたのですが、打感は圧倒的にエポンのほうがいいです。
『芯の広さ』というよりも、『芯への当てやすさ』といったらいいでしょうか?
打つ度に、いい感触が手に伝わってきます。
King of birdsのほうは少し弱い感じですが、それでも今のフィーリングの良くないアイアンよりは、ずっといいです。
このアイアンやホンマのPP-727という極上のアイアンを、まだキャリアの浅い打ちから使い続けることができて、打感にもこだわることができるようになったのだと思いますし、自分なりの『物差し』ができたような気がします。
その頃は、キャビティアイアンには全く興味がありませんでした。

『球のあがりやすさ』という点では、ほぼ互角な感じですが、私はエポンのほうが、イメージが合いやすくて好きです。
ヘッド全体の雰囲気もそうですし、『適度な長さ』が打ち出しのイメージを色濃くさせてくれているように感じました。
私は7番アイアンのロフトは『36度』がスタンダードという認識をもっていて、基本『4度ピッチ』で前後していくのですが、昔は37度や38度も普通にありました。

『飛距離性能』も大きく違いました。
エポンAF-Tourも今のアイアンの中では、決して飛ぶほうではないですし、むしろ『飛ばないほう』といったほうが正しいです。
それでも、こうして打ち比べてみて、大きな差を感じました。
キャリーも違いますし、球の勢いもかなりの差があります。

『操作性』という点では、どちらもいいですが、やはり AF-Tourのほうが扱いやすいです。
こちらのイメージをしっかりと受け取ってくれます。
King of birdsは久しぶりだったということもあると思いますが、軽さや短さなどが難しく感じられるところでもありました。

エポンの素晴らしいマッスルバックアイアンと打ち比べるのは酷かな?と思うところもあったのですが、こうして久しぶりに実際に球を打ってみて、昔の懐かしい記憶が蘇ってきました。
練習場はもちろん、コースでも人生で初めて使ったアイアンなので、その初ラウンドのことが思い出されました。
とにかく先輩に迷惑をかけてはいけない・・・。と思いながら必死で打ちましたが、当然ながら上手くいきませんでした。
そんな焦る私を、先輩は温かい目で見守ってくれていました。
晴れの日の早朝に、二人っきりのラウンドだったのですが、ルールやマナーを厳しく叩き込まれましたし、クラブを構えてみろ・・・。といって、このアイアンを手にしながら、いろいろと教えてもらったことを覚えています。
私は帽子を取って直立不動で先輩の話を聞いていたのですが、それが普通でしたし、今でも懐かしく楽しい思い出になっています。

ゴルフはお金が掛かるから、なるべくやらないでおこう・・・。と思っていたのですが、すぐにハマってしまい、それが今でも続いています。
その先輩とは今でもお付き合いをさせていただいていますし、お互いなかなか時間が合いませんが、時間が合えば年に数回は一緒にラウンドしています。
私は今でも先輩の前では直立不動で帽子を取って話しを聞きますが、先輩は苦笑いをしながら、
「もう学生時代じゃないんだから止めてくれ・・・。あれから何年経っていると思ってるんだ。普通の友人として接してくれ・・・。敬語も使わないでいい。」
と言われたことがあるのですが、私にはできません。
先輩にはいつも敬語ですし、帽子を取って直立不動で緊張感をもって接しています。
それは昔のクセが抜けないということもあるのかもしれませんが、それ以上に私がその先輩に対して敬意を持っているからだと思います。
ゴルフだけでなく、いろいろなことを教わり感謝しています。
以前紹介させていただいたドライバーもそうですが、このアイアンを手に取ってみて、昔の懐かしい記憶が蘇ってきました。
ゴルフクラブはゴルファーにとって、単に球を打つだけの道具ではないと強く感じさせてくれます。
ゴルファーとしての成長を、ずっと見続けてくれた存在といっていいのかもしれません。

その頃から先輩はすごくゴルフに熱中していましたが、今では私のほうがはるかに熱中していますし、その炎は消えることなく、今も大きく燃え続けています。
「昔は馬鹿力だけのゴルフだったけど、寄せやパターが上手くなったな・・・。」と褒められたことがあり、とても嬉しかったことをまるで昨日のことのように覚えています。

このアイアンは私にとって初めてのアイアンだったのですが、以前書かせていただいたドライバーほど、長くは使っていないですし、思い入れも強くありません。
すぐにPP-727を購入したからです。
ただ、初めて手にしたアイアンですし、初心を忘れないようにする為、人に譲ることなく、今でも倉庫に保管しています。

ゴルフクラブはゴルファーにとっての大切な相棒であると同時に、ゴルファーの歴史を刻んでいるものなんだな・・・。と、このアイアンを手にして改めて思いました。
今でもゴルフが下手ですし課題は多いですが、その頃より少しは上達していると思いますし、ゴルフへの興味は尽きません。
久しぶりにこのアイアンを手にしましたが、このアイアンは今の私のことをどう思っているのかな?少しは上達したと思ってくれたかな?と思いながら、このアイアンで球を打つことを止め、普通の練習に切り替えました。
私は素晴らしいゴルフ仲間に恵まれていますが、それだけでなく、たくさんのいいクラブとの出会いに恵まれた、幸せなゴルファーです。
ゴルフのおかげで、人生が豊かになったのは間違いありません。
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