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2017年06月05日
プロギア RS-F 2017 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは プロギア RS-F 2017 ドライバー です。

シャフトは RSF です。
ロフトは9.5度、クラブ長さは45.5インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は55g、トルクは4.6、バランスはD2.5、クラブ総重量は307gです。

PRGR RS-F ドライバーのニューモデルです。
昨年試打して、とてもいいドライバーだな・・・。と思っていました。
しかし昨年のモデルは、いわゆる『SLEルール不適合』ということで回収し、販売中止になりました。
私は早く適合モデルが発売されたらいいな・・・。と思っていたので、こうして出会うことができて、嬉しく思いました。

どのメーカーのドライバーにも、ルール適合モデルには必ず『CONFORMING TO R&A/USGA SLE RULE』の文字がありますが、当然ながらこのニュードライバーにもありました。
昨年のモデルにもありました。
訊くところによると昨年のモデル(RS-F)は、全てが不適合ということではなく、ルールに違反している可能性のあるクラブが出回っているおそれがあるから回収・販売中止ということになったのだそうです。
これは、大手有名メーカーの泣き所といえるような気がします。
大量のロット数を捌く為に、その品質や検品の精度がどうしても不安定になってしまうところがあるのかもしれません。
多くのメーカーは、違反クラブを出せないから、反発性能に余裕をもたせて作らざるを得ないというのは、多くのゴルファーが知るところだと思います。
こういったところは、地クラブメーカーが優位性を示すところかもしれません。
少ないロット数で勝負しているので、どうしても価格が高くなってしまいますが、その分『品質』や『精度』には高い信頼性があります。
どのメーカーも、ルールギリギリまで削っているのだと聞いたことがあります。
このPRGRのニューモデルも、『GIRIGIRI』という言葉が宣伝に使われているようです。
つまり、地クラブメーカー並みにひとつひとつ丁寧に検品し、ルールギリギリセーフなのを確認して、世に送り出しているのだと思います。
私がいつもお世話になっているクラフトマンの話によると、ゴルファーならば誰もが知っている、ある大手有名メーカーのクラブは海外でずっと生産されていて、その精度にはかなりバラつきがあるそうです。
良品も、そうでない品も全て大量にまとめて買い取っているので、その分販売価格も安くなるのだそうです。
いいクラブに出会うとすごくいいですが、そうでないクラブだと、かなりパフォーマンスが落ちるそうです。
いわゆる『当たり外れ』があるのだと聞きました。
それは外見だけでは決して区別できません。
そのメーカーの同じモデルのヘッドをいくつか取り寄せて実際に反発係数を計測してみたそうなのですが、かなりバラつきがあったそうです。
それは最近だけのことではなく、ずっと昔からそのようになっているそうです。
色々なクラブを試打していると、このメーカーは品質にこだわって作っているな・・・。と思うこともあれば、このメーカーはそうではなく、ただ作って流通させているだけだな・・・。と思うことがあります。
そういうメーカーのクラブには、あまり魅力を感じません。
今は多くのゴルフクラブが海外で作られていますが、こういったところにも難しい部分がたくさんあるのかもしれません。
もちろん、その品質など充分管理されているとは思うのですが、どうしても目の届かない部分が出てきてしまうように思います。
日本製でなければ絶対にいけないというものでもないですし、日本製でも全てが完璧というわけではありません。
海外製も素晴らしい物はたくさんあります。
ただ、日本製は高い信頼性があるのは間違いないですし、それはこれまで積み上げてきた実績がものをいうのかもしれません。
ゴルフクラブではないですが、メイドインジャパンではないのに、メイドインジャパンと表記して売られている物もあると、以前新聞で読んだことがあります。
とても残念に思います。
日本で、日本人が作る製品に魅力を感じるは私だけでしょうか?
それはゴルフクラブだけでなく、自動車などの工業製品や薬品・食料品など多くの製品に当てはまります。
品質に多少目をつぶって価格をとるか、それとも品質をとるかは難しい選択といえるのかもしれません。
ただひとついえるのは、いいクラブはずっと『色褪せない』ということです。
何年経っても、いい物はいい・・・。と、これまで数え切れないほどたくさんのクラブに出会ってきた私は思います。
このドライバーは『MADE IN JAPAN』なのかな?と思い、ヘッドをよく見てみましたが、生産国は表記されていませんでした。
表記されているクラブのほうが、圧倒的に少ないのも事実です。

シャロー系の、ラージサイズのドライバーです。
こうして見る限り、デザインは多少違いますが、昨年のモデルと変わるところは無いように見えます。
フェースの反発係数だけを変えてきているのでしょうか?

ソールにはウェイトが2つありました。
これも、前のモデルと同じです。

バックフェース寄りのウェイトには『8』という数字がありました。
おそらく『8g』ということなのだと思います。

フェース寄りのウェイトには『3』の数字がありました。
『3g』なのだと思います。
こうして、それぞれが違う重さのウェイトが配置されるようになって、結構日にちが経ちました。
昔は同じ重さのウェイトを組み合わせている物もありましたが、今は色々なバリエーションがあります。
これが計算され尽くした結果なのでしょうか?
専用の工具を使えば、簡単に取り外せそうです。

ネックの長さは短めです。
この長さも、前のモデルと変わらないような感じです。

ネックには調整システムが搭載されていました。

試打するのは、この『RS』のポジションです。

他に色々な目盛があるのかな?と思いましたが、この▲だけでした。
2種類だけの調整なのでしょうか?
ただ、調整機能は多ければ多いほどいいというものでもないと思いますし、基本性能さえしっかりしていれば、調整機能自体それほど必要性を感じていません。
今の多くのニーズに合わせて、このドライバーにも調整機能が搭載されていると思いますが、もし搭載させなければ、もっと性能や強度のアップが図れたのではないかな?と思いました。

フェース面にはスコアラインが美しく刻まれていました。
弾きの良さそうなフェース面です。
スコアラインはありますが、ヒッティングエリアに溝はありませんでした。
これは強度の問題があるからではないか?と思いました。
溝にすると、フェースの強度が落ちて『割れ』や『ヒビ』などの問題が発生してしまうからなのかもしれません。
ただ、その周りの白い部分は少し溝のようになっていました。

シャロータイプのヘッドです。
これも前のモデルと変わりません。
今はディープタイプも見かけるようになりましたが、まだまだシャロータイプの人気は根強いですし、このシャロー形状を好まれる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

ヒール側の模様も健在です。
前も見たな・・・。と思いましたが、ちょっと模様が変わっています。
これは性能云々というよりも、単なるデザイン上のことだけなのかもしれません。

ヒール側には『nabla▼DESIGN』の文字がありました。
これまでのモデルから続いています。
それだけ、素晴らしいデザインなのだと思います。


独特なクラウン形状も、このRSシリーズの大きな特徴です。
この形状に飛びの大きな秘密があるのだと、以前店員さんから教えてもらいました。

今では多く見かけるようになった、ソールの溝もクラウンの溝も、このドライバーにはありません。
こういったところがプロギアらしいと思いますし、独自性が感じられます。
プロギアの魅力のひとつでもあります。

顔も個性的ですが、前のモデルと変わらないように見えます。
ヘッド後方が伸びていて、直進性の高さをうかがわせます。
曲がりにくそうな顔だな・・・。と思いました。
こういうタイプの顔は、私には頑固そうに見えてきます。
これまで同様のクラブで何度も曲げようと試みましたが、なかなか大きく曲げられず、『頑固さ』を感じたからなのかもしれません。
私の中での好みの顔とは違うところもあるのですが、これまでもたくさん経験していますし、特に気になることはありませんでした。

このオリジナルグリップはソフトなフィーリングで、とても良いです。
ベルベットタイプで、シンプルなグリップです。
今はグリップも色々なタイプが登場するようになりましたが、このドライバーにはそういうグリップは採用されていませんでした。

素振りをしてみた感じは、まずまずでした。
ハードなタイプではありませんでした。
戻りが少し遅い感じがしたので、速く下ろすというよりも、大きく振って『気持ちゆっくりめ』にしながら、『待つ感じ』がちょうどいいのかな?と思いました。
まずはタイミング重視で振っていくことにしました。

ボールを前にして構えてみると、なかなかいい感じでした。
ヘッド全体的には、私の好みの顔とは違う部分もあるのですが、どこが良かったかというと、『被って見えない』ところです。
これまで、このようなタイプのドライバーの多くはフェースが被っていました。
このドライバーもそうなっているのだろう・・・。と勝手に思っていたのですが、そうではありませんでした。
『逃がし顔』というほどではないのですが、かなり『中立』に近い顔をしているな・・・。と思いました。
『ドロー』『フェード』でいうと、少しドローのイメージのほうが出やすかったのですが、左へ巻き込んでしまうようなマイナスな感じではありませんでした。
これならば方向性を気にせず、気持ち良く振り抜いていけそうだな・・・。と思いました。
球もあがりやすそうです。
試打を開始しました。

『打感』は良いです。
しっかりしているのですが、硬くなく手に嫌な衝撃も残りませんでした。
『後をひく』のではなく、あっさりしていました。
かなり弾き感のあるフィーリングでした。

『音』も好感がもてました。
大きすぎず、高すぎない小気味いい音です。
インパクトを邪魔しない、好感のもてる音です。
私にとって音はとても重要で、この音ひとつで、飛びが変わってきます。
馴染めない音だと、インパクトが緩んだり詰まった感じになってしまったりすることがあります。
ベストなパフォーマンスを発揮できません。
そういった意味でも、このドライバーの音は好感がもてました。

球はあがりやすいです。
最初の打ち出しから高いです。
タフさは全く感じませんでした。
弾道は高いですが、頼りない感じではなく、しっかりしていました。
『一桁ロフト』でも、充分なあがりやすさがありました。

『安定性』は高いです。
直進性の高いドライバーです。
球のつかまりが良く、
「あっ、今のはちょっと外してしまったな・・・。右にフケてしまうかな?」
と思ったボールでも、ボールは曲がらずしっかりと真っ直ぐ飛ばしてくれました。
打ち出しの方向から外れることはありませんでした。
シビアさは全く感じませんでした。
『真っ直ぐの幅』があるドライバーだな・・・。と思いました。
『ここからここまで』の幅で打てば、ボールは真っ直ぐ飛ばしていける感じがしました。
構えたときの印象よりも球はつかまる感じがしました。
いい意味で、ある程度『アバウト』に打っていけるドライバーだと思いました。

『飛距離性能』は、かなり優れています。
昨年試打したモデルが、かなり高性能だったので、このドライバーにも期待していましたが、その期待通りでした。
初速が速く力強い弾道です。
弾道が高めで、なかなか落ちてきません。
いわゆる『落ち際に強い』ボールを打てるドライバーです。
昨年試打したモデルの、あの強烈な弾道は今でも強く印象に残っているのですが、その強烈な弾道と完全にダブっていました。
おそらく昨年試打したモデルも、『ルール適合』の範囲内にあったのではないかな?と、このルール適合モデルを試打して感じました。
印象に残る『強い高弾道』です。

『操作性』という点では、正直難しい感じがしました。
どうしても直進性が勝ってしまう感じがしました。
なかなか大きく曲げられません。
私がフッカーだからでしょうか?
『フック』『スライス』でいうと、フックのほうが易しく感じられました。
昔の、このようなラージサイズのドライバーは球のつかまりが弱いものが多かったのですが、こうったところは完全に改善されていると思います。
私としては、かなり極端にカットして打ったつもりだったのですが、ボールは右に曲がらず、ひたすら真っ直ぐ進んでいき、イメージと実際の軌道とのギャップの大きさに不思議さを感じずにはいられませんでした。
『曲がらなすぎ』だな・・・。と、弾道を目で追いながら思っていました。

フックフェースということではありませんが、かなり球のつかまりがいいドライバーです。
スライサーの方でも、実はフックフェースが嫌い。できればニュートラルに近い感じのドライバーを使っていきたい・・・。という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
スライサーの方にも、心強い存在になってくれそうです。
やっぱり『頑固』なドライバーだな・・・。と思いました。
この曲がりにくさ(右に行きにくさ)は、頑固としかいえないような気がしました。

昨年から続く、この不適合問題は、メーカーにとっては大きな打撃だったかもしれません。
しかし、それを厳正に受け止め、すぐに改善策を講じることができるのが、クラブメーカーに限らず、日本のメーカーのいいところだと思います。
すぐに代替ヘッドを用意するなど、常にユーザー(ラストユーザー)の身になって対応してくれました。
だから日本国内だけでなく、海外からも信頼性が高いのだと思います。
もちろん、問題ない製品を作り続けていくのがベストですが、もしそうなったときにどう対処するかが問われるのだと思います。
製品は、ただ売れればいいというのではなく、その国の信頼性やイメージというものを担っているように思います。

こういった問題(ルール不適合)は、これまで全く無かったわけではなくて、いくつかありました。
それはクラブよりも、ボールのほうが多かったような気がします。
いわゆる『初速違反』です。
発売されてしばらく経ってから、あのメーカーの『A』というボールは競技で使えなくなり、回収されるようになった・・・。というのは珍しいことではありませんでした。
それはゴルフ場や練習場にも、ポスターに張られていたこともありました。
競技の時は、スタート前に必ず使用するボールの確認をしますが、そのメーカーのその銘柄のボールを使っていないかというチェックもありました。
発売されてしばらくといいますか、かなり月日が経ってからの回収というのは珍しくなかったのですが、それは今よりももっと厳密ではなかったのかな?と思うところもあります。
のんびりしていた時代だったのかもしれません。
そのボールを実際に使ってみて、驚くほどよく飛んだ・・・。という実感は無かったのですが、ルールには従わなくてはなりません。

ゴルフクラブには様々なルールによる規制があります。
それはゴルフというスポーツの根幹を変えない為にも、ある程度の規制は必要だと思います。
全てのゴルファーが公平にプレーするには欠かせないことだと思います。
『ワンルール』であるべきだと思います。
ただ、これ以上規制が厳しくならないで欲しいという思いもあります。

このドライバーはかなりスグレモノだと思いました。
プロギアの高い技術力が感じられます。
この適合モデルを発売するまでには、かなり大変だったこともあると思いますが、メーカーとしての底力を見せつけてくれたような気がします。
飛びが最大のウリですが、その他にも『曲がりにくさ』『あがりやすさ』があります。
今のニーズに合った、優等生ドライバーといってもいいのではないでしょうか?
優等生といっても、決して細くて弱々しいタイプではなく、骨太でしっかりとした『芯』をもった優等生といった印象をもちました。
PRGRファンの方だけでなく、多くのゴルファーを魅了するのではないでしょうか?
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