2022年04月
2022年04月26日
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PING i59 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは

シャフトは N.S.PRO MODUS3 TOUR 115 です。
ロフトは34度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は118.5g、トルクは1.6、キックポイントは元調子、クラブ総重量は431g です。

PINGの新しいアイアンです。
昔のPINGは、かなり大味な感じのアイアンばかりでしたが、最近はこのようにシュッとしていてカッコいいアイアンが多くなりました。
その代表格といえば、BLUEPRINTなのですが、このアイアンもそれに近い雰囲気があります。
ただ、このアイアンはマッスルバックというよりは、ハーフキャビティのような外見です。

大味感はなく、シャープでカッコいいアイアンです。
大きさも標準的で親しみやすさがあります。
『59』とは、どういう意味でしょうか?
私は真っ先に『13アンダー(パー72として)』を思い浮かべたのですが、おそらく違うと思います。

ヒール側には『FORGED』の文字がありました。
フォージドというと、軟鉄を連想しますが、質感的にステンレスっぽいな・・・。と思っていたので、ちょっと意外でした。

ネックの部分にはPINGアイアンらしい、凹みがあります。
最初は何のためにあるのだろう?と思っていたのですが、ロフトやライ角を調整するためだと、以前読者の方から教えていただいたことがあります。
なので、やはりステンレスなのだろうと思いました。
軟鉄に比べ、ステンレスは鍛造が難しく、割れなどが入りやすいとか、品質の均一化が難しいと聞いたことがあるのですが、鍛造技術の進歩によって克服されたのかもしれません。
そして一口にステンレスといっても、いろいろなものがあります。
代表的なのは、比較的安価な『SUS304』ですが、それ以外にも『SUS316』など、成分の配合によって性質も変わってくるのが金属の面白いところです。
私個人的には、ステンレスを使うなら無理にフォージドでなくてもいいな・・・。と思うのですが、これにも大きな理由があるのは間違いありません。
軟鉄を採用しているメーカーは多いですが、PINGは頑ななまでにステンレスにこだわっているようです。
私はステンレスのアイアンを買ったことが無いですし、これからも買う予定はありませんが、メーカーのこのようなこだわりは好感が持てます。
各メーカー全て『右へならえ』的に同じようなクラブになるのではなく、メーカー毎の特色が大切だと思っているからです。
軟鉄ではなく、ステンレスにこだわって使い続けておられる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

トゥ側にウェイトがありました。
大きさは標準的ですが、トゥ側に重心が来るよう、重心距離の長い設計になっているのでしょうか?
私はむしろ、ヒール側が少し重いほうがいいといいますか、昔からヒール側に鉛を重ねて貼り、重心距離を短くするのと、ヒール側の打感の厚みを求めていたのですが、今は長めがトレンドなのかもしれません。
トゥ側でヒットしたほうが、遠心力が増して飛距離が出やすいのかもしれないですが、私の経験上、センターよりも少しだけヒール寄りで打ったほうが強くて魂の乗った球が打てます。
これはアイアンだけでなく、ウェッジにもいえることです。
シャフトに近いということが関係しているのかもしれません。
だからといって極端にヒールで打というとすると、シャンクの危険もありますし、距離が出なくなってしまいます。
何事も『程よい』ということが大切なのだと思います。

ソール幅は標準的です。
PINGのアイアンといえば、『超』がつくほどのワイドソールのイメージが今でも強烈に残っているので、ちょっと意外でした。
一時期、そういったアイアンばかりで、かなり苦手意識をもっていました。
しかし、いろいろなタイプのアイアンを発表して、私たちユーザーの好みに合わせてくれているのだろうと思います。
ただ、ソール自体に『色気』といいますか、魅力は感じません。
アイアンによっては、ソールを見ているだけで、いろいろなプラスイメージが湧いたり、目尻が下がったりすることがあります。
それは絶妙な形状であったり、削りが綺麗だったりするからです。
しかし、このアイアンのソールはこれまでのPINGらしい形状で、やや大味な印象をもちました。
ソールが着地するイメージや、芝やラフを刈ったり滑ったりするイメージが湧いてきません。
こういったところがミズノやタイトリストなどのアイアンと違うところです。
構えたときのイメージだけでなく、いろいろな角度から見たときにイメージが湧いて欲しいですが、それがPINGのアイアンにはあまり感じられません。
ただ、これはあくまでも私の個人的な感覚なので、このソール形状がイメージにピッタリ合うという方はたくさんいらっしゃると思います。
たくさんのクラブを試打してきて、その都度ソールを見るのですが、ソールにこだわっているメーカーだな・・・。と思うこともあれば、あまりこだわっていないメーカーだな・・・。と思うこともあり、PINGの場合は後者です。
これは昔から変わりません。

ソールは平らに近い感じもしますが、全体的に丸みを帯びていて、リーディングエッジやトレーリングエッジも削られています。
抜けの良さは万全な感じがしますが、あまり手を加えられていないといいますか、メーカーのこだわりが感じられません。
ここ数年、PINGのドライバーは他のライバルメーカーを圧倒するような高いポテンシャルをもっていますが、アイアンはもうひとつだな・・・。と思ってしまうところです。

ネックの長さは標準的です。
太くなく、ボテッとしていません。
ラージサイズではないので、『頭でっかち』に見えないところも、過去のPINGアイアンと違うところで親近感が湧きます。

こうして見ると、シンプルなハーフキャビティといった感じがしますが、おそらくそれだけではないと思います。
見えないところにたくさんの工夫がされているのではないでしょうか?

トップラインの厚さは標準的です。

フェース面にミーリングは見られませんが、指で触ってみると、結構ザラザラしています。
細かな目のサンドペーパーで磨いたような触感です。

素振りをしてみると、いい感じでした。
タイミングを合わせるのにも苦労しません。
やや軽量感がありますが、これくらいが今の普通でしょうか?
軽量スチールや軽量カーボンシャフトを使い慣れておられる方には、やや重いタイプかもしれませんが、このヘッドにはこれくらいの重さが重要になってくるような気がしました。

ボールを前にして構えた感じはまずまずです。
見とれるようなことはありませんでしたが、違和感などは全く無いですし、ラインもイメージしやすいです。
私的には、スコアラインの白いラインは要らないのですが、このラインがあるほうが、構えやすいという方も多いのではないでしょうか?
私はリーディングエッジとライン(飛球方向)を垂直に構えたいタイプのゴルファーですが、トップラインとラインを垂直にしたいという方もいらっしゃると思います。
統計的に、ちょうど二分されるのではないでしょうか?
そういう方にはスコアラインではなく、トップラインを白く塗ったほうがいいかもしれません。
おそらくルールにも違反しないと思いますし、今は昔に比べ、『目印』をすることへの規制が緩くなったような気がします。
クラブにはルールによって、いろいろな規制がされていますが、『構え方』については自由です。
なので、自分に合った方法を取り入れるべきです。
『本に書いてあったから』とか、『人に言われたから』といって、これまで自分に合っていた方法を変えるのはナンセンスです。
人が10人いれば、10通りのやり方があっていいのだと私は思います。
練習や実戦で経験を積んで、自分に合った方法を模索していくべきですし、年齢を重ねていくうちに、これまで合わなかったものが逆に合ってくるということもあるかもしれません。
ある一流のプロ野球ピッチャーが、
「ボールの投げ方は、絶対にこうしなければならない。というものはないので、自分に合った方法を常に模索している。」
と言っていましたが、まさにその通りです。
もちろん基本は大事ですが、型にはめすぎるのも良くないと私は思います。
私の師匠であるレッスンプロが、教えるときに型にはめない指導方針だったので、そのように感じるのかもしれません。

トップラインやリーディングエッジの感じが、昔のホンマアイアンに似ています。
昔の懐かしい記憶が蘇ってきました。
ほんのちょっとグースが利いていますが、気になるほどではありません。
試打を開始しました

『打感』は、まずまずです。
結構ソフトな打感ではありますが、私がアイアンに求めたい打感ではありませんでした。
見た目ソリッドでカッコいいアイアンなので、打感にも高いレベルを要求しすぎたのかもしれません。
ボテッとした構えづらくて違和感のあるアイアンなら、意外といい打感だと思えたのかもしれませんが、この外見だともうちょっと良くすることができなかったのかな・・・?と思いました。
しかし、『易しさ』を追求して、ヘッド内部にいろいろと工夫をして、どうしても打感は犠牲になるのだと思います。
やや薄めの打感で、物足りません。
アイアンの打感に『弾き感』は要りませんが、このアイアンには少しありました。

『球のあがりやすさ』という点では普通ですが、ヒッター向けであることは明らかです。
すごくあがりにくくてタフだというのではなく、『普通のヒッター向け』アイアンという印象をもちました。
ある程度のHSが無いと、あがりづらいタイプのアイアンです。
あらゆるHSに対応した、幅広い層にマッチしたアイアンではありません。

『安定性』は外見の印象よりは高くて、いい意味でのギャップがありました。
見た目はハーフキャビティですが、フルキャビティのような寛容さのあるアイアンです。
このサイズのアイアンにしては、スイートエリアも広めでシビアさは感じません。
かといってオートマチックタイプでもないのですが、気難しさは感じなかったですし、少々の打点のブレには寛容です。

『飛距離性能』は普通の『やや飛び』といった印象ですが、今のアイアンの中では飛ばないほうだと思います。
やや弾く感じがあったので、もうちょっと『乗っかり感』があったほうが、私は距離感を出しやすいのですが、このアイアンだとそれが難しいです。
慣れるまではある程度の球数と時間が必要ですが、私は慣れたくありません。
なかなか表現が難しいですが、『飛びすぎないチョイ飛び』といったところでしょうか?

『操作性』は高くて好感が持てました。
構えやすいので、この扱いやすさは予想通りです。
大きすぎないというのは、明らかに武器になると再認識しました。
クセが無いので、左右どちらにも同じように反応してくれました。
オートマタイプではなくマニュアルタイプですが、難しすぎないマニュアルタイプという表現がピッタリでしょうか?
試打後の感想

外見はカッコいいアイアンだけど、もうちょっと打感が良くなればいいな・・・。というのが一番強く残りました。
大きな不満は無いのですが、このカッコ良さと打感のバランスがとれていません。
アイアンに『球離れ感』は不要ですが、このアイアンにはそれがあったのが不満でした。
とはいっても、今流通している全てのアイアンのなかでは『いいほう』といいますか、『真ん中のちょっと上』といったところでしょうか?
あくまでも外見のカッコ良さから発せられる打感ではないということです。

やはり私はステンレスよりも、軟鉄のほうがいいな・・・。と、このネックの凹みを見て実感しました。
ロフト角やライ角を変えるための工夫だということは知っていますが、軟鉄ならこんな工夫は要りません。
触ると硬いですが、『曲げる』ことに対して、まさに『軟らかい』という表現がピッタリなのが軟鉄です。
しかし、あえて軟鉄ではなく、ステンレスにこだわっているPINGのこだわりには好感が持てます。

これまでも書いてきましたが、クラブ(特にアイアンやウェッジ)は『ライ角が命』です。
いくら練習しても、ライ角が合わなければ、自分の狙った方向に打っていくのは難しいです。
しかしそれを知っていても、確認せず、調整せずに使っておられる方が大多数ではないでしょうか?

PINGは海外メーカーの中でも、特にフィッティングに力を入れていて、こういったところを大切にしているメーカーです。
だからステンレスにこだわりながらも、購入後調整できるように、ネックに凹みを入れ続けているのだと思います。

まさに『プレイヤーファースト』『ユーザーファースト』のメーカーといえるでしょうか?
ユーザーの声を取り入れてクラブ開発しているのだと思います。
PINGには、これからもこのようなカッコ良くて易しいアイアンを作り続けて欲しいです。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。