2022年02月
2022年02月28日
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アキラプロダクツ PROTOTYPE H-958 ウェッジ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは アキラプロダクツ PROTOTYPE H-958 ウェッジ です。

シャフトは N.S.PRO MODUS3 WEDGE 125 です。
ロフトは58度、クラブ長さは35インチ、シャフト重量は133g、キックポイントは中調子 です。

久しぶりに出会った、アキラのウェッジです。
アキラのクラブはドライバーからウェッジまで、ラインアップが豊富ですが、特にウェッジの印象が強くて、私は魅力を感じています。
アキラは、いわゆる『イージー系』クラブの印象も強いですし、アスリートモデルといわれるクラブの存在感も高いです。
アキラのウェッジにはとてもいい印象をもっていて、特にH-858のことは今でも忘れられません。
初めて試打してから、もう5年が経つのかと思うと、とても早く感じられますが、いいクラブというのは年月が経っても色あせないものです。

PROTOTYPEということで、契約プロ専用モデルなのでしょうか?
昔のプロトタイプは、いわゆる『研究段階』といいますか、商品化する一歩手前のものを指していて、一般発売されないものでしたが、今は違うようです。
プロトタイプという言葉が、購買意欲をさらに刺激してきます。

標準的な大きさでシャープな形状です。
こうして見ても、トップラインがかなり目立ちます。

いわゆるテーパーになっていて、今は多くのメーカーに採用されています。
こうすることで、重心を高くしてスピン性能を高めているのではないでしょうか?
ソールをドリルでくり抜くよりも、こちらのほうが、低コストなのは間違いありません。
『型』にはめればいいだけですから。

シンプルなバックフェースに、思わず目を細めて見ていました。
以前も書きましたが、ゴルフクラブには製作過程において、『足し算』と『引き算』で分けられると思うのですが、ドライバーからアイアン・パターまで、今のクラブのほとんどが足し算です。
元になるヘッドに後からいろいろなパーツを組み合わせていくような製作方法です。
しかしウェッジは違います。
明らかに『引き算』といいますか、余計なものが無いほうが、性能があがるという考え方です。
もちろん、キャビティやラージサイズのウェッジもありますが、理想は『削り出し』ではないでしょうか?
ひとつの鉄の塊を精密に削り出して、クラブの形にしていくという方法です。
それはかなりコストが掛かってしまうので、高価になってしまいますが、余分なものを後から足すよりも、なるべく余分なものを削り出して、贅肉のない『低体脂肪率』のほうが理にかなっています。
ゴルフクラブを様々なジャンルのスポーツ選手に例えるとするならドライバーは、力士やボディビルダー・プロレスラーといった筋骨隆々の『パワー系アスリート』といったところでしょうか?
対してウェッジは贅肉が一切ない、ボクサーやマラソン選手といった、『研ぎ澄まされた身体』といったところかもしれません。
同じアイアン系のクラブでも、ウェッジにはポケキャビやラージサイズアイアンのような寛容さは不要です。
むしろ、ダイレクトにいろいろなものが伝わってくるフラットバックタイプが最強ではないでしょうか?
寛容さは時に『操りづらさ(反応の鈍さ)』につながってしまいます。

テーパーになっているせいか、トップラインは少し厚く見えますが、これくらいであれば、構えたときにも邪魔にはならなさそうです。
こうしてじっくり見てみると、トゥ側のほうが少し厚みがあるので、これも適正な重量バランスによるものなのかもしれません。

ソール幅はSWということで考えると、標準的です。
こうして見ても、かなり削りにこだわっているのが分かります。

リーディングエッジ側はなだらかに。
そしてトレーリングエッジ側は大きく削られていますが、バンス角は標準的に見えました。
ハイバンスでもなく、かといってローバンスというほどでもありません。

角度を変えてみても、かなり大きく削られているのが分かりますし、これは858と同じです。
このような形状のウェッジは開いて構えて、そこから『抜く』ときのスピード感が素晴らしいという印象があります。
これまで、コースでこのようなウェッジを使ってきて、『抜けのスピード感』が合うので、ロブ系の距離感が合いやすいです。

最近のウェッジには珍しい、ロングネックタイプです。
今はアスリートモデルのウェッジでも、ここまで長いのは珍しいように思いますが、昔はこれくらいが普通でした。
思わず見とれる長さです。
それと同時に、均一な太さではなく、なだらかにネック部分が細くなっていて、いい味出してるな・・・。と思いながら見ていました。
何と言いますか、『艶っぽい』といったらいいでしょうか?
ウェッジ好きの私は、いい目の保養ができますし、目尻が下がってしまいました。
いわゆる『寸同タイプ』のアイアンやウェッジが今は多いですが、私は昔から、このような『首長(くびなが)美人』が好きです。
こうして見ているだけで、いろいろないいイメージが頭に浮かんできます。
いいクラブというのは、こうでなければなりません。
逆に、あまりイメージが浮かばないとか、ミスするイメージしか浮かばないクラブが今はたくさんあります。
こういったところは『好き嫌い』や、感覚的なものも大きいので、どの形・長さがベストだとは言い切れないですが、私はこのウェッジにはすごく魅力を感じました。
この形状と軟鉄の質感がマッチしています。
ステンレス系の、あの冷たい感じはなく、『ほんのり温かい』感じが伝わってきました。

フェース面には細かなミーリングがありました。
これは過去のモデルを試打しているので、予想通りです。
ひょっとしたら、違うミーリングになっているのかな?と思いましたが違いました。
指で触ってみたのですが、適度なザラザラ感があり、ボールに食らいついてブレーキを掛けてくれそうです。

ボールを前にして構えてみても、素晴らしいな・・・。と思いました。
適度な大きさ。
真っ直ぐなネックで、ほんのちょっと『出っ歯』。
ネック周りが太くボテッとしていなくて、シュッとしている。
昔は結構見られた顔ですが、最近は少なくなったような気がします。
何と言いますか、『優しい顔』だな・・・。と思いました。
あまりにも優しくていい顔をしているので、にっこり微笑んでいるようです。
男もクラブも『顔で語る』というところがあると思いますが、まさにこのウェッジがそんなタイプです。

フェースを開いて構えてみたのですが、予想通り、いい感じです。
バンスが邪魔することなく、すっと一瞬で構えられました。
比較的無難な顔をしたウェッジでも、なかなか構えが決まらないこともありますが、このウェッジは違いました。
先ほども書きましたが、開いたときの『スピード感』が伝わってきます。
標準と、開いたときのスピード感の違いは、そのクラブのもつ『技量』といっていいのかもしれません。
『据わり感・据わりの良さ』では、私はクリーブランドが一番好きなのですが、このクラブは『抜けのスピード感』がピカイチです。
コースではそれほど使う場面は無いですが、私はロブ系のショットを練習するのが好きなので、今日は楽しい試打になるぞ・・・。と思いながらワクワクしていました。
試打を開始しました

『打感』はソフトで素晴らしいです。
ソフトですが、しっかりと芯があって、その周りがほんのり柔らかい感じ・・・。といったらいいでしょうか?
写真撮影でいえば、単一焦点マクロレンズを使って花を撮影し、背景にいい『ボケ感』を出して撮影したときと似ているような感じです。
写したいものが、この場合はボールであって、その背景(この場合は芯の周辺)が、いい意味でボケていて、何ともいえない淡い感じを醸し出しているようなニュアンスです。
後には心地よさだけが残ります。
素材が柔らかいのか、ボールの当たりもきつくなく、『乗っかり』もすごくいいです。

球も拾いやすく、よくあがってくれました。
私はストレートネックが好きなので、このウェッジは易しく感じますが、グースネックを好まれる方は合いづらいところがあるかもしれません。
私が思う、ストレートネックの利点のひとつに、構えたときに『可視化』しやすいというものがあります。
球を『刃先』で拾うタイミングがイメージと合致しやすいということです。
それと出球の高さが素直で、フワッと柔らかくあがってくれます。
ソールの削りが、かなり利いているのは間違いありません。
昔と違い、今は『削りが最適化』されているので、買ってすぐに『最高の抜け感・スピード感』が楽しめます。
私がビギナーの頃から、このようなウェッジがたくさんあれば、もっとミスを減らせただろうな・・・。と、自分の技量の未熟さを差し置いて思ってしまいました。

『スピン性能』は、とても高いです。
これも過去に経験しているので、予想通りでした。
ボールへの食いつきが良く、ピタッピタッと止めてくれました。
ガツンという感じの『激スピン系』ではなく、強スピンでありながら、穏やかな感じのスピンです。
『高速スピン性能』といったほうがいいかもしれません。

『安定性』は普通ですが、拾いやすく、抜けがいいからなのか、ブレずにスッと抜けてくれるのがいいです。
ヘッドの挙動が安定しているので、必然的のボールも安定しています。
ラインを出しやすいですし、フェースをかなり開いても、しっかりとつかまえてくれました。
キャビティタイプの易しさとは違いますが、イメージを出しやすく、それに合致させやすいとか、余計な雑念が浮かばないという点でも易しいウェッジです。

『距離感』も出しやすいです。
私が慣れ親しんだDGではないのですが、このモーダスもかなり優秀なシャフトでヘッドとマッチしていました。
出球の高さ、そしてスピード感がイメージ通りなので、縦の距離(落としどころ)も合わせやすいです。
普通は低く出していくほうが、距離感が出しやすいですが、このウェッジはロブ系にも優れた性能を発揮してくれて、かなり実戦向きだな・・・。と思いました。

『操作性』も高く、完全にマニュアルタイプです。
普通はもちろん、フェースを開いたときが、このウェッジの真価を発揮するといえるように感じました。
いろいろな球で遊ぶことができます。
少し『出っ歯』に見えて、閉じて使うのはあまり向かないかな・・・?と思いましたが、それは私の技量を高めれば上手く順応してくれるのではないかな・・・。と思いました。
オートマ系のウェッジを好まれる方には、あまり好感をもたれないかもしれませんが、明らかに『業師』のためのウェッジなので、ショートゲームを得意としておられる、『軟鉄好き』『ストレートネック好き』の方に、是非試していただきたいウェッジです。
試打後の感想

楽しくて、ずっと『実戦モード』でした。
一球一球、ホームコースの、〇番ホールのバンカー越えや、左足下がりやつま先下がり・・・。など、様々なシミュレーションをイメージしながら、このクラブと楽しい時間を過ごしました。

試打するのが本来の目的でありながら、ウェッジ好きの私は、好みのウェッジを手にすると、どうしても抑えが利かなくなります。
以前も書きましたが、ゴルフが大好きで、どの練習も好きですが、最も好きなのがアプローチ練習です。
練習グリーンとバンカー。
そしてボールが20~30球くらいあれば、朝から晩までずっと楽しむことができます。

今日は完全に、そのモードにはまってしまいました。
最初は練習場の打席で楽しんでいたのですが、アプローチグリーンやバンカーでも試していいと言われていたので、思いっきり楽しませてもらいました。

実際の芝の上でも抜けが良く、何と言いますか『草を切る感覚』といったらいいでしょうか?
ラフからのロブショットをよくやられる方には理解していただけるのではないか?と思うのですが、今日はそれが楽しくできました。
少し出っ歯のリーディングエッジやソール形状がよく利いているのだと思います。
鎌で草を刈るような感覚で、草やボールと戯れていました。

グースネックのウェッジなら、『面全体でとらえるイメージ』。
逆にストレートネックのウェッジなら『刃先で拾うイメージ』。
それが私にはあるのですが、今日はさらに上書きすることができました。
私はグースタイプが苦手で、未だに克服できていません。
それは私の練習が足りないということですが、ストレート系はとても易しいです。
といいますか、楽に感じられます。
今日はその易しさ・楽さにどっぷりと使ってしまいました。

なかなか出会う機会がない、アキラのウェッジですが、すごく楽しめましたし、好感度がさらにあがりました。
今はいいウェッジがたくさんありますが、このウェッジもとても印象深いですし、また何度でも楽しみたいです。
☆
構えやすさ・・・・・☆☆☆☆☆
打感・・・・・・・・☆☆☆☆☆
スピン性能・・・・・☆☆☆☆
あがりやすさ・・・・☆☆☆☆
安定性・・・・・・・☆☆☆
距離感・・・・・・・☆☆☆☆☆
操作性・・・・・・・☆☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。