2012年09月
2012年09月29日
PR
ミズノ MP-64 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは ミズノ MP-64 アイアン の7番 です。

シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは34度、クラブ長さは36.75インチ、シャフトフレックスはS200、シャフト重量は118g、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は441gです。

ミズノのニューアイアンです。
毎年、秋に出会うことのできるミズノのニューアイアンを私はとても楽しみにしています。
だいたい『中秋の名月』の時期に出会うことが多いので、やはり美しいものは共通するところがあるんだな・・・。と勝手に思っています。
一年で私は秋が一番好きです。
涼しくなって振りやすくなるせいか、自宅での素振りも、秋と冬が一番多いです。
ミズノのアイアン(MPアイアン)は、私にとって『キング・オブ・アイアン』とも呼べる存在です。
いつもMPアイアンにはお世話になっているのですが、ニューモデルに出会う度に身の引き締まる思いがします。

MPアイアンらしいシャープな感じがしますが、どことなく『厚さ』と『丸み』を感じました。
それは『ヒッティングポイントの厚さ』というよりも、全体的な厚みでした。
かなりマッスルバックに近い『ハーフキャビティ』といっていいように思います。
今年はマッスルバックは発売されないのでしょうか?
名器揃いのMPアイアンですが、特に『MP-33』と『MP-37』は、ずっと憧れのアイアンです。

彫りは浅めで、ヒッティングポイント付近だけが肉厚になっています。
ここでヒットすればいいんだな・・・。と思えるので、解りやすいです。
大味な感じのするアイアンは、かなり打点がバラついても、それを感じさせないものが多いのですが、このように最初から把握しやすいアイアンのほうが、ショットのイメージも出しやすいです。
キャビティアイアンのなかでは、結構『慣性モーメント』は小さめなのではないでしょうか?

ソール幅は、やや狭い感じがしますが、MPアイアンだということを考えると、『らしい』感じがします。
『ボテッ』とした感じがなく、『シュッ』としているところに好感がもてます。
先日試打した、エポンのパーソナルアイアンは、かなり角張っていて、尖がった印象がありましたが、このアイアンはシャープでありながら、少し丸みを帯びているような感じもします。
どちらがいいのか?ということは一概にはいえないのかもしれませんが、それぞれメーカー独自の工夫が感じられます。

ネックはパッと見て、少し短めだな・・・。と思いました。
勿論、かなりのショートネックということでもなく、むしろ今の主流の長さといっていいような気もするのですが、これまでのMPアイアンのイメージでいくと、少し短い感じがします。

今はウェッジだけでなく、アイアンにも『ミーリング加工』が施されているものが増えてきているので、このアイアンはどうなのかな?と思ったのですが、施されていませんでした。
ごくノーマルな感じです。
やはり、こういったところは、メーカーそれぞれの考え方があるような気がします。
今は『新溝規制ルール』に適合しているアイアンしか生産されていないと思いますし、当然ながら、このアイアンもルールに適合しているようですが、アイアンには『ルールギリギリの高いスピン性能』というよりは、『安定したスピン』と『ラフからでもフライヤーしづらい性能』を求めていきたいです。
ミズノのアイアンを見ると、このスコアラインの数なども、全て計算尽くしなのだろう・・・。といつも思います。
緻密な設計が感じられます。
それくらい、ミズノにはアイアンに対するこだわりが強いメーカーだと思います。
全てのメーカーが『自社生産』することは、かなり難しいことだと思いますが、ミズノはそれをずっと続けていますし、『養老ブランド』という言葉は、ずっと使われてきました。
それ以外にも『酒田ブランド』や『新潟ブランド』『姫路ブランド』など、日本には本当に素晴らしい『クラブ工場』があると思います。
是非一度、工場見学をしてみたいものです。

ボールを前にして構えた感じは、MPアイアンらしく、構えやすくて操作性も良さそうで好感を持てたのですが、正直見惚れてしまうほどの美しさは感じませんでした。
いつも、MPアイアンの新製品に出会うと、テンションがすごく上がってしまうことが多いのですが、今日は上がりきらずに『中くらいのまま』でした。
MPアイアンは昔から、私にとって特別な存在なのですが、今日は他のメーカーのアイアンと同じようなテンションで臨んでいきました。
ヘッドも大きすぎず、いわゆる『小顔』な感じでいいのですが、この構え感は私の購買意欲を刺激することがありませんでした。
グースもきつくなく、シュッとしているのでいいのですが、何となくヘッド後方に少し「何か違うな・・・。」という思いを持ってしまいました。
ただ、違和感などを感じることはなかったですし、弾道のイメージも鮮明に頭に描くことができました。
『とびっきりの美人』だとは思わなかったのですが、扱いやすそうな印象がすごく伝わってきました。
試打を開始しました。

『打感』は、『さすが』の一言に尽きます。
何と言いますか、『MPアイアン独特の乾いた打感』といったらいいでしょうか?
MPアイアンを手にした者だけが、この快感を楽しむことを許されるのだということをつくづく感じます。
『軟鉄鍛造』は、その打感の良さが大きなウリですが、こうして新しいMPアイアンを手にしてみると『一味違う』感じもします。
やはり、ミズノが研究に研究を重ねて、このフィーリングを作り出しているのでしょうか?
構えたときには、あまり脳が揺さぶられなかったのですが、一球打っただけで、かなり揺さぶられました。
時間の許す限り、何球でも打っていたくなります。
こういったフィーリングの良さは、さすがMPアイアンだな・・・。と思いました。

『球のあがりやすさ』という点では、やはりそれほど敷居が低くて誰にでも親しみやすい・・・。とはいえないような気がします。
MPアイアンらしく、いわゆる『ナチュラル』なタイプで、易しくするための機能が凝縮されている感じはしません。
今月出会った、スリクソンのニューアイアンはタングステンが充填されていると聞いたことがあるのですが、このアイアンはどうなのでしょうか?
全体を見回してみたのですが、おそらく充填されてはいないと思います。
シャフトもDGが挿してありますし、アイアン自体が上げてくれる・・・。というよりも、あくまでもプレイヤーのスキルで上げていく・・・。ということになるのだと思います。
高機能過ぎて『不自然』に感じるアイアンは、ロフトが立っていても、かなり球があがりやすくなっていて、距離が出る物ばかりです。
その物理的な性能に魅力を感じられる方はたくさんいらっしゃるかもしれません。
しかし、私はそういった感覚にどうも馴染めずに、なかなか思うように打てません。

理論的に易しくなっているアイアンでも、心では『よそ行き』な感じがしています。
いい感じで球が打てても、イメージを全く出せていないまま打っているだけなので、そのナイスショットはあくまでも『偶然』に過ぎません。
しかし、こういった『自然』なタイプのアイアンだと、自分の感覚が伝わりやすいので、『普段着』の感覚で打っていけます。
ショットをミスしても、その原因をつかみやすいですし、いわゆる『保険』も掛けやすいです。
このアイアンは、これまでのMPアイアンの中でも、特別タフな部類に入るとは思いませんが、MPアイアンのイメージを損なわない『節度』が感じられました。

『安定性』という点でも、ハーフキャビティらしい、ある程度のシビアさがあるのかもしれません。
『易しいキャビティアイアン』を使い慣れておられる方には、やはりシビアに感じられるかもしれません。
ハーフキャビティは形状的には『キャビティ』でも、殆ど『マッスルバック』に近いと考えたほうがいいように思うのですが、このアイアンもそんな感じがすごくします。
それほど敷居の低い感じはしませんが、ごまかしの効かないアイアンで、ショットの精度を高めていきたい・・・。という方には、このようなアイアンはとても頼もしい相棒になってくれるのではないでしょうか?

『飛距離性能』という点でも、はっきりと飛ばないほうだと思います。
1ミリでも1センチでも遠くに飛ばしていくタイプのアイアンではありません。
見た目通りといいますか、MPアイアンらしく『飛距離』よりも『縦の距離感』を重視される方が手にされるべきアイアンなのだと思います。
時々、アイアンにも『反発力』という言葉が使われることもあるようですが、アイアンの距離を決めるのは、やはり大まかにいって『ロフト角』と『クラブ長さ』だと思います。
そういった意味でも、このアイアンはとても『ノーマル』です。
『飛び』よりも『止める』ということに重きを置いているように思います。
ブリヂストンのアイアン(X-BLADE 707)やスリクソンのアイアン(Z725)など、いわゆる『アスリートモデル』と呼ばれるようなアイアンでも、最近は少しずつロフトが立ってきていているので、こういったところも時代の流れなのかな・・・?と思ってしまうのですが、このアイアンはMPアイアンらしく『ノーマルロフト』です。
私はこういったところに好感がもてました。
いずれ、MPアイアンでも時代の流れと共に、少しずつロフトが立ってくるのかもしれないですが、それには『異材』を組み込んだりしなければならず、いわゆる『単一素材』では難しいのかもしれません。
もし無理やり、そうしようとしたら、かなり厚ぼったくて構えづらくて使い物にならないような気がします。

『操作性』という点では、すごくいいです。
かなり敏感に反応してくれました。
左右に曲げていくことがとても易しく感じられました。
一球一球、球を打つのがとても楽しいです。
微妙なニュアンスを感じ取ってくれるところが、さすがMPアイアンだと思いました。
『ミスに対する寛容さ』というよりも、『扱いやすさ』を求めておられる方に、すごく適したアイアンだと思います。

『極上の打感』と『抜群の操作性』が特に素晴らしいと思いましたし、MPアイアンらしい『度を越していない』ところがまた魅力的に見えました。
MPアイアンは毎年、かなり細部にこだわった造りになっていて、そこが『マイナーチェンジ』といえるような気もしますし、それほど大きな変化は見えにくいのかもしれません。
ずっとMPアイアンだけを使ってこられた方には、毎年のモデルチェンジが『フルモデルチェンジ』にも感じられるのかもしれませんが、私は他のメーカーのアイアンもたくさん試打するので、今回は『マイナーチェンジ』に感じられました。
勿論、メーカーもかなりのこだわりをもって造り上げていると思いますし、これまでにない『新たな技術』もひょっとしたら組み込まれているのかもしれません。

しかし、私はやはり微妙に形状などを変化させて完成された『マイナーチェンジ』のヘッドのように思えました。
それだけMPアイアンは、アイアンとしての完成度が元々高く、既にある程度『出尽くした感』があるのかもしれません。
私はずっと『MP-67』というアイアンにお世話になっていて、今でも大切な相棒です。
しかし2014年から、私たちアマチュアにも新溝規制が適用されるので、どのアイアンを選ぼうか?と悩みっぱなしです。
今年は勿論、昨年・一昨年と、素晴らしいアイアンにたくさん出会いました。

それでも、やはり『MPアイアン』が第一候補になるんだろうな・・・。という思いがありました。
MP意外にも『ヤマハ』や『三浦技研』『EPON』『BUCHI』『ロマロ』『プロギア』『キャロウェイ』『ブリヂストン』『ダンロップ(スリクソン)』・・・。など候補がたくさんあります。
共通するのは絶対に『軟鉄』ということです。
軟鉄アイアンでゴルフを始めて、今でもずっとそうなので、変えることができません。
私は軟鉄アイアンで、ゴルフのキャリアを終了すると思います。
あの素晴らしい打感が体に染みついてしまうと、今さら他の素材のアイアンを相棒に迎え入れようとは思えません。
試打はしても、購入までには絶対に至りません。
あの、軟鉄独特の『風合い』も好きです。
軟鉄アイアンは『上級者用』とか『難しい』というイメージを持っておられる方も少なからずいらっしゃると思いますが、決してそんなことはないですし、最初のうちから軟鉄のあの素晴らしいフィーリングを体に覚えさせておくことは、とても意味のあることなのだと思います。
いくら物理的に易しくなったアイアンでも『プレイヤーの感性』には絶対に及びません。
理論的に易しいアイアンが、必ずしもスコアを良くしてくれるのではないと私は思っています。
もし、そうだとしたらマッスルバックやハーフキャビティなどは、とっくに見なくなっているだろうと思います。
それよりも、多少シビアなアイアンでも、プレイヤーの感性を表現しやすいタイプのほうがスコアに直結しやすいと思います。
そして何より、打感がいいので、球を打っていても楽しさが全く違います。
芯を喰ったときの極上の打感と、ミスをしたときの打感の差が大きいのがいいです。
自分のスイングやショットを分析しやすいので、多少調子が落ちても、大きなスランプにはなりにくいことを私は実感しています。

そういったことなどを考えてみると、やはり『MPアイアン』は欠かせません。
『アイアンの王様』でありながら『ベーシック』だと私は思っています。
しかし、先ほども書きましたが、今回試打した、この『MP-64』には購買意欲を刺激されることはありませんでした。
勿論、いい印象のほうが大きいのですが、構えたときのインスピレーションがあまり良くなかったからです。
聞くところによると、このMP-64というアイアンは、かつてのワールドランク1位のルーク・ドナルド選手が監修しているのだそうですが、そういったことを聞いても私は購買意欲が刺激されることはありませんでした。
ルーク・ドナルド選手のあの、アイアンの切れや小気味よいスイングに憧れていはいますが、このアイアンには、それほど気持ちが揺さぶられることはありませんでした。
球を打っていてとても楽しいアイアンでしたが、夜眠れなくなるほどの強いインパクトはありませんでした。

勿論、それは他のメーカーのアイアンだとしたら、かなりいい印象をもっていたのかもしれませんが、『MPアイアン』というカテゴリーの中に入ってしまうと、自然と厳しい判断になってしまうような気がします。
打感や操作性なども、すごく追及していきたいのですが、私はやはり『アイアンに見惚れていたい』です。
構えたときに惚れ惚れするアイアンを相棒に選びたいと思っています。
確かに人間には『慣れ』という特殊な能力がありますし、構えているうちに、あまり気にならなくなることも多いです。
特にドライバーなどではそういったことを感じます。
あれだけ大きいと感じていた『400cc』のヘッドが、今では気にならなくなりました。
しかし、アイアンのような『狙う』クラブでは、大きすぎることはパフォーマンスの低下につながりますし、形にこだわっていきたいと思っています。
このMP-64というアイアンは、MPアイアンらしいメーカーのこだわりが感じられましたが、私は今回はあまり魅力を感じませんでした。
一年に一度の大きな楽しみだったのですが、私は来年のモデルに期待しよう・・・。と思いました。
購買意欲は刺激されませんでしたが、また機会があれば、何度でも試打してみたいアイアンです。