タイトリスト
2022年12月17日
タイトリスト T400 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト T400 アイアン の7番 です。

シャフトは N.S. PRO 880 AMC です。
ロフトは26度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、トルクは2.1、バランスはD4、キックポイントは中元調子、クラブ総重量は410gです。

タイトリストの新しいアイアンです。
前のモデルを試打して、2年が経ったのかと思うと、とても早く感じます。
私はクラブ(特にアイアン)を船に例えることがあるのですが、このアイアンは『巨艦』のようです。
『大は小を兼ねる』ということわざがあり、それは多くのことに当てはまりますが、必ずしも全てにおいてあてはまるものではなく、逆に『小よく大を制す』ということがあてはまることがあります。
それは操作性が重視されるアイアンというクラブは大きすぎて操作性が落ちてしまうよりも、やや小ぶりで意図した通りに動いてくれる(反応してくれる)アイアンのほうが易しくて実戦的だからです。

かなり大型で、こうして見るとユーティリティアイアンのように見えます。
ヘッドの色は違いますが、昔一世風靡した、ツアステのMR-23というクラブを思い出しました。
数年愛用していた時期があり、いい記憶しかありません。
あの頃がBSの黄金期だったのではないでしょうか?
野球では、ピッチャーは打者を抑えたときよりも打たれたほうの記憶のほうが強く残り、逆に打者は打てなかった記憶よりもヒットやホームランを打った記憶のほうが残りやすいようです。
そういった意味では、私はバッタータイプだと思いました。
ナイスショットの何倍もミスショットをしているのは間違いないのですが、その記憶は殆ど残っていないという、都合のいい性格をしています。

彫りの深さはたっぷりありますが、フルキャビティではなく、『部分キャビティ』といったらいいでしょうか?
なかなか見ない形状ではありますが、前のモデルと共通していますし、中空だからこのような形状になっているのだと思います。

バックフェースには大きな凹みがあり、中にウェイトが配置されています。
数字が刻印されていないので重さは分かりませんが、『MAX IMPACT』という文字がありました。
最大のインパクトということで、何か特別な工夫がされているのではないでしょうか?
前のモデルは、『ややヒール側キャビティ』でしたが、今回は違っていて『ややトゥ側キャビティ』です。
この凹みの部分がちょうど『目』のように見え、妖怪の『一つ目小僧』や、仮面ライダーストロンガーに出てきた『一つ目タイタン』を思い出しました。

ワイドソールです。
ユーティリティアイアンであれば普通ですが、ノーマルタイプのアイアンとしてはワイドになります。
ワイドソールのアイアンはソールの質感があまり良くないものが多かったのですが、さすがはタイトリストといったところでしょうか?
ワイドでありながら、いい質感を保っています。

ソールには溝が掘られています。
これはどういう意味があるのでしょうか?
アイアンのソールに溝というと、テーラーメイドのアイアンを思い浮かべるのですが、このアイアンは同じような理由なのかもしれません。

ネックの長さは普通で、やや太めです。
グースも利いているのが分かりましたし、予想していましたが、質感が良く美しい見た目なのがいいな・・・。と思いました。
チープさはありません。
質感はとても大切です。

ごく普通のフェース面でミーリングも無く、特に変わった工夫は見られません。
他のメーカーと同じように、スタンプ感の強い、『手間の掛かっていない』フェース面です。
他の部分はなかなかいい感じでしたが、このフェース面はちょっとチープに見えてしまいました。

装着されているグリップはシンプルなタイプで、これまでもタイトリストのクラブに採用されてきました。
可もなく、不可もなくといった感じです。

素振りをしてみた感じは、まずまずです。
ラージサイズのヘッドに、軽量スチールが挿してあるので、振りながら『頭でっかち』感を感じていました。
やはりユーティリティタイプだな・・・。という振り感です。
素振りしながら、インパクトをイメージすることがあるのですが、今日はそのイメージは出ませんでした。
ラージサイズなので、細かなニュアンスというよりは、『出たとこ勝負』といいますか、少しアバウトな感じで打っていくことにしました。
振っているときはもちろんヘッド(の重さ)を感じているのですが、あくまでもその比率はシャフトのほうが大きくて、ヘッドの重さよりもシャフトを味わいたい・・・。と思うのですが、今日はヘッドの存在感のほうが勝ってしまいました。
もう少し小ぶり感があれば、シャフトを味わえたかもしれません。

ボールを前にして構えてみると、予想していたよりもいい感じでした。
もっとクセがきつく、構えづらいだろうと予想していたのですが、違います。
面長でフェース高が低い(シャローフェース)なのと、グースの利きやトップラインが丸くなっているので、私の好みからは外れるのですが、ラージサイズには、やはりこのような『つかまえ顔』のほうが理にかなっているのだと思います。
私は海外メーカーのアイアンの中でタイトリストの顔が一番好きですが、このアイアンは私が好む『タイトリスト顔』ではないものの、独特の光沢感といいますか、反射する感じがタイトリストらしいです。
上から押さえ込んで打つイメージは出てこなかったので、ユーティリティのようにボールの手前から滑らせるイメージで打っていくことにしました。
試打を開始しました

『打感』は全く馴染めませんでした。
打つ前から期待はしていませんでしたが、予想を大きく下回る『バッドフィーリング』です。
何と言いますか、『冷たい』打感だな・・・。と思いました。
アイアンに限らず、どのクラブでも私は打感に『温度』を感じることがあり、理想的なのは火傷するような熱さではなく、『ほんのり温かい』打感です。
イメージとしては、今のような寒い季節にポケットに忍ばせているカイロのような温かさ・・・。といったらいいでしょうか?
もちろん実際に熱が伝わってくるわけではなく、あくまでも球を打って感じる『温度感覚』です。
それが今日はとても冷たく感じました。
冷たいといいますか、『冷酷』といったほうがいいかもしれない・・・。と思うほどでした。
すごく機械的で血の通ってない感じ・・・。といいますか、こちらも感情移入できません。
一球打って、テンションが大きく下がりました。

『音』も好きではありません。
異音というわけではないのですが、私がアイアンに求めたい音とは大きくかけ離れています。
ああ、やっぱりこのアイアンを普通のアイアンというカテゴリに入れてはいけないな・・・。と思いました。
歯切れはいいのですが、やや高めで少し耳に響くような音です。
『球の乗っかり感』をイメージさせてくれる音ではありません。
球離れが速く、コントロールさせてくれない音だな・・・。と思いました。
なかなかテンションがあがりません。

球はあがりやすく、タフさは全く感じられません。
構えたときは、一体何番のアイアンを構えているのか・・・?と思うほど、かなりロフトが立っているように見えましたが、それでも球が上がりやすくなるような工夫がされているのは間違いないと感じられるほどイージーです。
アイアン系よりもウッド系のクラブのほうが好きだ・・・。という方に合いやすいのではないでしょうか?

『安定性』も高く、完全にオートマチックタイプのアイアンです。
私は打感や音が良くないと、リズムが不安定になり、インパクトが乱れてしまうこともあるのですが、それでもこのアイアンは私のミスに耐えてくれ、球はほぼ真っ直ぐ飛んでいきました。
クセが強すぎないのも良かったと思います。
構えたときは少しフックを警戒していたのですが、それほどつかまり過ぎることはありませんでした。

『飛距離性能』は優れていて、私の感覚では『2.5番手』くらい違います。
易しく飛ばしていけるタイプなので、好感を持たれる方は多いのではないでしょうか?
弾き系で強い球が出るタイプのアイアンです。

『操作性』という点では、最初考えていませんでした。
操るというマインドにならなかった・・・。といったほうがいいかもしれません。
何球か打ってみて、「そうだ、操作性は?」と思い、とりあえずトライしてみました。
いい意味での反応の鈍さがあり、自在に扱えるタイプではありませんが、一応左右に少し曲げることができました。
敏感さは無いですが、そこが短所でもあり大きな長所なのだと思います。
試打後の感想

タイトリストのアイアンは昔から好きでテンションがあがることも多いのですが、今日は一球打っただけで、すごく下がってしまいました。
それは打感や音が好きになれなかったからです。
私がアイアンに求めたい打感や音ではありませんでした。
しかし、それはあくまでも私の好みであり、この打感や音を好まれる方はたくさんいらっしゃると思います。
それと、アイアンというカテゴリで考えず、『まだ見ぬ未来のクラブ』というくくりであれば、こういうのもありなのかな?と思えたかもしれません。

最初から最後まで、ずっと『冷たい』という印象は変わりませんでした。
今日もすごく寒くて、それがこのクラブにも伝播したのか?と思ってしまいがちですが、そうではありません。
きっと真夏に試打していても、このクラブは『冷たい』と感じていたと思います。
今日は『北風の冷たさ』を感じましたが、もし真夏に試打していたら『氷の冷たさ』を連想していたかもしれません。

高い機能性を感じさせるデザインでありながら、ゴチャゴチャしていなくてスッキリしているのがいいです。
そこがタイトリストらしい特長といえます。

今回の、このモデルには魅力を感じませんでしたが、また次のモデルに期待したいです。
☆
構えやすさ・・・☆☆
打感・・・・・・☆
音・・・・・・・☆
あがりやすさ・・☆☆☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2022年11月29日
タイトリスト TSR3 FAIRWAY METAL

先日、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TSR3 FAIRWAY METAL の5番 です。

シャフトは TOUR AD DI-6 です。
ロフトは18度、クラブ長さは43インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は65g、トルクは3.3、バランスはD2,キックポイントは中調子、クラブ総重量は329g です。

タイトリストの新しいフェアウェイメタルです。
先日、ドライバーを試打しましたが、今回はフェアウェイメタルを試打する機会に恵まれました。
フェアウェイウッドという呼び方がすっかり定着していますが、本当はこのクラブのように『フェアウェイメタル』や『フェアウェイチタン』のほうが正しいのだと思います。
今はウッドのクラブを見たことが無いという方も多いのではないでしょうか?
昔を美化するつもりはありませんが、初めて手にしたクラブがパーシモンで良かったと、心から思います。
今のハイテクイージークラブもいいですが、昔のあの『じゃじゃ馬』的なクラブにたくさん触れることができて、いろいろなことを考え、それが血となり肉となったような気がするからです。
ミスショットばかり繰り返し、どのように打ったら上手くいくのか考えることもゴルフの楽しみだと私は思っていて、それは今も変わりません。
人から聞いたり、ゴルフ雑誌などで答えを求めるのが早くていいのかもしれませんが、時には最初から自分で悩んで答えを見つけ、それが『開眼』につながることもあるのではないでしょうか?
人から聞いたことは忘れやすいですが、自分が苦労して得た答えは忘れにくく、身になります。
そうした小さな積み重ねが、上達への足がかりとなるのではないでしょうか?

クリークということもあり、コンパクトなサイズで、ソールは適度に丸みがあります。
平らなソールもいいですが、私はこのような丸っこいソールが昔から好きです。
テーラーメイドのゲタバキソールやブリヂストンのレイグランデのクラブも所有していたことがあり、『接地面積の小ささ』をイメージしやすいからなのかもしれません。
ゲタバキソールにすると、重心が高くなるというデメリットもあるようですが、接地面積が小さくなることで、ラフ(特に逆目のライ)で易しくなると信じ、しばらく使っていたことがあります。
今はなかなか見られないので、それほど有効ではないという結論に達したのかもしれないですし、とにかく『低重心』に各メーカーが舵を切ったのかもしれません。

ソールには調整システムのようなものがあります。
試打するのは、この『N』のポジションです。
専用の工具が必要なようで、今は無いですし、ニュートラルやスタンダードのポジションで試打するのが一番だと思うので、このまま試打することにしました。

ネックの長さは適度にあります。
このネックの長さはタイトリストらしい感じがします。

ネックにも調整システムが搭載されていて、試打するのは、この『A1』のポジションです。

シンプルで綺麗なフェース面です。
特に変わった工夫は見られません。

タイトリストシャローといっていいでしょうか?
タイトリストらしい形状です。
タイトリストの良いところは、新製品が出ても、過去のモデルを使っている人が、そのまま使えるということだと私は思います。
どういうことかといいますと、『変えていい部分』と『変えてはいけない部分』がクラブにはあり、それをメーカーはよく知っているということです。
メーカーによっては、ガラッとフルモデルチェンジすることもありますが、それは時にはプレイヤーの感覚を乱すことにもなり、改善ではなく、『改悪』になることもあるからで、そういったクラブを私はたくさん見てきました。
何度も書きますが、必ずしも『最新=最高』ではないということです。

コンパクトで、いい顔をしています。
タイトリストの顔といっていいのかもしれませんが、アイアンほど確立された感じはしません。
ドライバーなど『ウッド系』のクラブでは、『三角顔』もありましたし、一時期迷走していた時期があったように思います。
アイアンは惚れ惚れするほどの美顔が多いですが、FWなどはそれほど強い印象はありません。
最近はカーボンコンポジットが多いので、このクラブのクラウンを近くで見てみたのですが、カーボンの模様が見られなかったので、おそらくカーボンコンポジットではないのだろうと思いました。

素振りをしても、いい感じです。
適度にしっかりしていて、タイミングもとりやすいです。
いろいろなクラブを試打していると、『振り感の太さ』のようなものを感じることがあります。
それはシャフトの太さではなく、シャフトの硬さや重さとはまた違う感覚です。
その太さですが、私はあまり細いものは好まず、適度に太いもの(ボールと同じ大きさ=太さが理想)が好きで、それはドライバーからウェッジまで同じ太さを好みます。
そういった意味でも、このクラブは好感が持てました。

構えやすいです。
変なクセは無く、方向性への不安はありません。
少しつかまりそうな感じもしますが、コンパクトサイズなので、どうにでもなる・・・。という感じです。
これがラージサイズ&シャローだと難しくなることもあります。
小ぶりなので、ボールが際立って見えるので私は好きですが、逆に不安に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
シャロー感もそれほど強くないので、球があがるかどうか不安に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
試打を開始しました

『打感』はソフトで、いい感じです。
何と言いますか、最近では少ない『スロー感』といいますか、フェースに一瞬しっかり乗るような感覚を味わうことができました。
強い弾き感というよりも、どこかまったりした感じ・・・。といったらいいでしょうか?
『飛ばし』ではなく、『コントロール性』を求めるには、適したフィーリングです。

『音』は大きくなく、高すぎず小気味良い金属音で好感が持てました。
最近では多くなった、『余韻』が少ない音です。
『後を引かない音』といったほうが、いいかもしれません。

『球のあがりやすさ』という点では、どちらかというとヒッター向きだと思います。
シャフトも結構しっかりしていますし、ヘッドもそれほどあがりやすさを最優先して作られたクラブではないように感じました。
ヒッタータイプの方が気持ちよく振って球を運んでいけるクラブといっていいのではないでしょうか?
今のクラブでクリークというと、かなり高~い弾道のものが多いですが、このクラブは少し抑え気味の弾道でライナー系の球が出やすいです。

『安定性』も普通で、特別寛容性が高いとは思いません。
シビアさは感じませんが、ミスはミスとはっきりと伝えてくれる良さがあります。
構えやすいのでラインをイメージしやすいですし、それに向かって運んでいける易しさはあります。

『飛距離性能』は、なかなかいい感じです。
正直、特別凄いという印象はありませんが、イメージした通りに運べる感じで実戦向きだな・・・。と思いました。
『プレイヤーの手の中に収まるクラブ』といったらいいでしょうか?
『手の延長』として使っていけるクラブといっていいのかもしれません。
先ほども書きましたが、ヒッター向けのクラブなので、人によっては思ったような距離が出せないということもあるかもしれません。
そういった意味では、幅広い層に対応していないような気がします。

クラブ自体に変なクセがないので、扱いやすいです。
フェースが被りすぎていなくて、小ぶりなので、いろいろな球で遊べます。
まったりした打感も後押ししているのか、こちらのイメージを伝えやすいです。
試打後の感想

いい意味で、タイトリストらしいクラブだな・・・。と思いました。
最新の技術が使われていながらも、それがフィーリングを壊していなくて、タイトリストファンの方も受け入れやすいのではないでしょうか?

幅広い層をターゲットにしていないですが、それだけ当てはまる方には頼もしいクラブとなってくれるのではないでしょうか?
イージー系のクラブが多いなか、クラブはそれだけじゃないよ・・・。と、メーカーの思いが伝わってくるように感じました。

タイトリストのイメージを壊さない、カッコ良くてフィーリングが良く、扱いやすいクラブです。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆☆
音・・・・・・・☆☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2022年10月30日
タイトリスト TSR3 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TSR3 ドライバー です。

シャフトは TOUR AD DI -5 です。
ロフトは10度、クラブ長さは45.5インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は57g、トルクは4.7、キックポイントは中調子 です。

タイトリストのニュードライバーです。
タイトリスト2年に一度、必ずモデルチェンジしてくれるので、とても楽しみにしていました。
タイトリスト・テーラーメイド・キャロウェイ・ピン。
この4つが海外メーカー四天王で、どれも素晴らしい一流メーカーですが、それぞれメーカーの特色や個性があって好感が持てます。
最近はPINGの充実ぶりが凄いと感じているのですが、タイトリストやテーラーメイド・キャロウェイも独自路線を走っていて負けていません。
特にタイトリストは海外メーカーでありながら、美観や打感などフィーリングを大切にし、和風的なところもあるので、親近感をもっています。

前のモデルとデザインは似ていますが、細かなところが違っているようです。
今回はマイナーチェンジということでしょうか?
少し『メカニカル感』が増したような気がします。

このウェイトも前作から継続のようです。
ポジションは『N』のまま試打することにしました。

ネックの長さは標準的で、前のモデルと変わっていないようです。
この長さがベストなのでしょうか?
それとも多少の違いはあまり意味が無いということなのでしょうか?

ネックには調整システムが搭載されています。

試打するのは、この『A1』のポジションです。
これまで、いろいろな調整システム付きドライバーを試打してきましたが、『出荷状態のまま』といいますか、スタンダードな状態が一番、そのクラブの性能を発揮できるような気がしています。
フェースアングルやウェイトの位置などを変えて試打したこともありましたが、すごく不自然で重心の位置が狂ってしまったり、顔がいびつに見えてしまったりしたことがあります。

フェース面のデザインは個性的ですが、これも前のモデルと変わりません。
今度機会があれば見比べてみたいですが、大きな違いは無いようです。
やはり、今回は『マイナーチェンジ』ということでいいのだと思います。

ノーマルシャローといったらいいでしょうか?
見慣れたシャローで、薄すぎないのがいいです。
今はディープバックは敬遠される傾向にあると思うので、メーカーもあえて作らないようにしているのかもしれないですが、できるだけ厚みをもたせたい・・・。というメーカー側の意図も透けて見えます。
ディープとシャロー、どちらも一長一短ありますが、やはり『薄すぎない』ヘッドは魅力的です。
シャローバックでありながら、『フェース高』はしっかり維持されていて、『ディープフェース』になっているところがいいです。

装着されているグリップはよく見られるタイプで、特別変わっていません。
Titleistのロゴが入っていないのが残念ですが、フィーリングが良く、ドライバーに適したグリップです。

顔はまずまずです。
丸顔というよりは、少し『三角顔』に見えますが、それほど極端ではありません。
少しフェースが左を向いているように見えましたが、今はほとんどのドライバーがこのようになっているので、これが今のスタンダード顔といえるのかもしれません。
最近は見とれるような顔に出会う機会が減り、テンションもあがらず、淡々とすることも多いですが、いつかまた見とれるような顔に出会えることを期待しています。
タイトリストは今も見とれるような顔のアイアンに出会うことができます。
顔を崩さず、いかに易しくて飛ばせるクラブを作れるか・・・?ということが、メーカーの腕の見せ所ではないでしょうか?

構えた感じはまずまずですが、最近のクラブにしてはシンプルでいいほうだと思います。
フェースが少し被って見えたので、いつも通り右から回してみようか、それとも写真のようにあえて左からカットに打ってみようか・・・?などと考えていました。
構えたときに、『あがりやすさ』を主張するドライバーはたくさんありますが、このドライバーはそれほど主張しないのがいいです。
ロフトも見えすぎないので私は好きですが、球があがりづらそう・・・。と感じられる方は多いかもしれません。
試打を開始しました

『打感』は予想通りといいますか、前作と変わっていないようです。
ソフトというよりは、ややしっかりめですが、球の質感・重さを感じられ好感が持てます。
ボヤけたところもなく、ずっしり来る感じが『打っている』という感覚を楽しませてくれました。

『音』も変わっていないようで、はっきりした音でありながら、高くなく大きくなく、気持ちよく打たせてくれました。
音は『弾道』をイメージさせてくれますが、このドライバーは音と弾道の一致率が、かなり高いように感じられました。
全く合っていなくて違和感しかないドライバーもたくさんありましたが、さすがはタイトリスト。
こういったところはしっかり抑えているようです。

『球のあがりやすさ』という点では、結構しっかりしているといいますか、ヒッター向けなのは間違いありません。
叩いていけるドライバーです。
ロフトが10度ということですが、二桁ロフトの浮きやすさのようなものはあまり感じませんでした。
中弾道でライナー系の弾道で飛んでいきます。
もっと高い弾道が好きだ・・・。という方はたくさんいらっしゃると思いますが、私はこれくらいのライナー系が好きです。
ドライバーからSWまで、全て球の高さが同じだとは言われていましたし、それが理想なのかもしれませんが、実際は違っていて、それはドライバーひとつとってもスペックの幅が大きく違っているからです。
クラブやボールの進化(変化)によって、昔の常識が通用しなくなっています。
ドライバーからSWまで、全て高い弾道で好まれる方も多いと思いますが、私はドライバーはどちらかというと、やや低めのライナー系が好きです。
それはシーサイドコースでたくさんプレーしてきたからかもしれません。
もちろん、山岳コースや丘陵コースでもたくさんプレーしてきましたが、それでも基本は低い球です。
高~い球よりも、低い球のほうがカッコいいということもあります。
そういったことを含めて、このドライバーの弾道は好感が持てました。

『安定性』という点では、普通といいますか、いわゆる『イージー系』でないのは確かです。
ラインを出しやすいですし、普通に打っている限り、特別大きなミスにはつながりにくいですが、『寛容さ』『直進性』という点では、今のイージー系全盛の時代とあっては、やや『正直』なタイプだと思います。
構えたときに少しつかまえ顔に見えたのですが、実際に打ってみるとつかまり過ぎず、右にフケる球も出るドライバーです。
スライサーの方には、やや厳しいかもしれません。
ただ、このドライバーには調整システムが搭載されているので、ある程度はカバーできると思うのですが・・・。

『飛距離性能』は高いですが、最近のドライバーでは少数派といえる『しっかり叩いて』距離を出していくタイプのドライバーだと思いました。
今は『叩かないほうがいい』ドライバーも増えてきて、常に叩きたい私はちょっと物足りなさを感じることがあるのですが、このドライバーはしっかりと振っていけるのがいいです。
先ほども書きましたが、明らかにヒッター向けなので、かなり好き嫌いが分かれると思います。
スピンも抑えられている感じで、効率の良い飛びを実現してくれるドライバーといっていいのではないでしょうか?

『操作性』は、なかなかいい感じで、球を左右に曲げるのも難しくありません。
少しつかまえ顔に見えましたが、球を打ちながら、このドライバーが『球をつかまえ過ぎないオーラ』というものを発しているように感じられました。
最近のドライバーは『再現性の高さ』が求められているように感じますが、このドライバーはいい意味でそれらとは違います。
シビアすぎないけど、自分の球筋で攻めていきたい・・・。という方に試していただきたいドライバーです。
試打後の感想

前のモデルがすごく気に入っていたので、その記憶をたどりながら、どこが変わったんだろう・・・。と思いながら打っていました。
マイナーチェンジなのは明らかで、前のモデルのいいところをあえて崩さないようにしているのではないでしょうか?

実際に打ち比べてみないと詳しいことは分かりませんが、性能的に大きく進化して、飛距離が劇的に伸びた・・・。という印象はありません。
前のモデルを使っていて、すごく気に入っているのであれば、そのままでもいいのではないか?と思いました。(メーカーやショップの方には叱られそうですが・・・。)

しかし、それはこのドライバーが優れていないということではなく、それだけ前のモデルが良かったということですし、それを大きく変えていないところに、タイトリストの良さが感じられました。
『革新的なメーカー』といえば、テーラーメイドやキャロウェイなどが浮かびますが、対してタイトリストはどちらかというと『保守的』といいますか、いいところは変えずしっかりと受け継ぐ・・・。という姿勢がうかがえます。
他社が大きくモデルチェンジしてくるのに対し、タイトリストは少しずつ変化させていって、タイトリストユーザーがそのまま受け入れやすいよう配慮されているように感じます。

とてもカッコ良くて魅力的なドライバーです。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆☆
音・・・・・・・☆☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆
安定性・・・・・☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2022年04月21日
タイトリスト ボーケイデザイン SM9 ウェッジ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは

シャフトは Dynamic Gold です。
ロフト58度、クラブ長さは35インチ、シャフトフレックスはWEDGE FLEX(S200)、キックポイントは手元調子、シャフト重量は129g、バランスはD5、クラブ総重量は477gです。

タイトリストボーケイウェッジの最新モデルです。
前のモデルである『SM8』をすごく気に入っていて、いいウェッジだな・・・。と思っていたのですが、早くもニューモデルが登場しました。
タイトリストといえば、ゴルフボールのトップメーカーですが、アイアンやウェッジも大人気です。
ライバルメーカーである、テーラーメイドやキャロウェイはどちらかというと『ウッドが得意』なメーカーという印象があるのですが、タイトリストはどちらかといえばアイアンやウェッジに光るものがあり、ドライバーなどのウッド系も素晴らしいので、トータルバランスがとれているメーカーだと思っています。
私の友人の中にも、キャップやウェア・シューズ(フットジョイ)・キャディバッグ・ボールなどのアイテムがもちろん、ドライバーからパター(スコッティキャメロン)まで全てタイトリストで統一している人がいます。

黒染めなのがカッコいいです。
おまけに『艶消し』になっているので、さらに精悍さが増しています。
以前は、このようなタイプは『ノーメッキ』が多かったのですが、最近は見かけなくなりました。
耐久性の問題もありますし、どうしてもノーメッキにするのであれば、フェース面だけにするのがいいのかもしれません。
このウェッジもノーメッキタイプでないのが分かりました。
ジェットブラックというのだそうです。
大きさは標準的で、最新モデルではあっても、過去のモデルと変わりません。
試打クラブには、この黒いヘッドとメッキタイプがあったのですが、今回はこの黒いヘッドを借りて試打することにしました。

バックフェースはシンプルでカッコいいですが、おそらくいろいろな工夫がされているんだろうな・・・。と思いました。
そうでないと、新商品を発表する意味がありません。
ただ単に名前を変えたとか、ロゴを変えただけ・・・。というのは周期的に昔から、そして今もありますが、このウェッジは違うようで、いい雰囲気が漂っています。
この『BV』のロゴが好きだという方は多いのではないでしょうか?

トップラインにある程度の厚みがあり、重心が高そうに見えます。
このような形状は、他のメーカーでも見たことがあります。

トゥからヒールにかけてテーパーになっていて、最近は多くのメーカーが採用しているようです。

角度を変えてみても、やはりテーパーになっていて、既視感があります。
今は、これがウェッジのトレンドなのでしょうか?
売り出すメーカーは違っていても、実際のメーカー(リアルメーカー)が同じだったりするのかもしれません。

ネックの長さは適度にあります。
ロングというほどではありませんが、今はこれくらいが普通です。
もう少し長いほうが、上から拾うイメージが出やすいのですが、この長さでも全然問題ありません。
拾う角度(入射角)が少し緩やかな印象を受けます。
クリーブランドのウェッジはロングのイメージがありますが、タイトリストはこれくらいの長さが標準のようです。

ソール幅は標準的で、ワイドではありません。

ボーケイウェッジといえば、このソールというくらい見慣れた形状です。
オールマイティといいますか、ソールの使い方を限定しない懐の深さがあります。
平らさの利点もあれば、微妙に丸みがあって、接地面積が大きくなりすぎず、『抜くスピード』も早められるのがいいです。
アプローチの場面で怖いことといえば、いくつかありますが、その筆頭が『ザックリ』ではないでしょうか?
主に逆目の場合など、ライが悪いときに起こりやすいですが、それはある程度ソール形状で防ぐことができます。
リーディングエッジを少し浮かせて、ソールがいい感じで滑ってくれると、芝が邪魔せずボールを拾いやすくなりますが、それがこのソール形状だと適しています。
ソールに丸みがあり過ぎると、『据わり』が悪くなって安定感も落ちてしまいますが、このウェッジの形状だと絶妙なバランスがとれています。

フェース面には細かなミーリングがありました。
非常に繊細で緻密なデザインです。
大手メーカーに多い、『雑さ』『手を加えていない感』は無く、ここだけ見ると地クラブメーカーのウェッジのように見えます。
さすがタイトリストだな・・・。と思いました。
こういった細かなところに、そのメーカーのイメージが浸透します。
アイアンだけでなく、ウェッジでもただ単にスタンプしただけの手が込んでいないといいますか、『手を抜いている』とさえ思えるクラブが今でもたくさん見られます。
もちろんルールで厳しく定められているので、なかなか手を加えられないということもあると思いますし、もしルール違反になれば、回収しなければならないというリスクもあります。
なので各メーカー、違う部分では手を加えているけれど、フェース面だけは『無難』に作りたいのかもしれません。
しかし我々ユーザーは、それでは満足できません。
常に妥協の無いクラブ開発が求められます。
そういった点においても、タイトリストはウェッジに対してプライドを持って開発しているのが分かります。
『テンションのあがるフェース面』といったらいいでしょうか?
この綺麗で、いかにもスピンが掛かりそうなフェース面を見て、そう思いました。
指で触ってみたのですが、結構ザラザラしています。
しかも、そのザラザラ感は『大粒』ではなく、『小粒』な感じのきめ細やかさがあります。
こういうタイプはスピン性能が安定しているものが多いです。
普通の手が込んでいない、スタンプのウェッジだと、「ああ、またか・・・。」と思ってテンションが上がらないこともありますが、今日は見ているだけでテンションがあがりましたし、グッと身が引き締まる思いがしました。
ウェッジ好きの私は、こういったところをすごく気にしていて、かなり好感が持てます。

なんとなくですが、強度と硬度が増して、耐摩耗性が高まったように見えました。
鉄に『焼き』と『叩き』を入れると強度が増しますが、そのような雰囲気がこのウェッジから伝わってきました。
とはいっても、このウェッジは鍛造ではなく鋳造のようで、ボーケイなら当たり前といったところでしょうか?
タイトリストはボーケイ以外にもフォージドウェッジをラインアップさせています。
大切なのは『軟鉄』ということ。
それは以前も書きましたが、ライ角やロフトの調整が容易だからです。
ウェッジは14本のクラブのなかで、唯一の消耗品といえるので、耐久性は目をつぶらないといけない部分ではあるのですが、強度が増して長く使えるとありがたいです。
特に私はバンカーの練習が大好きで、時間があるとよくバンカー練習場にいます。
なのでウェッジの消耗が激しく、物によっては1年くらいで買い替えないといけない場合もあるのですが、ちょうど馴染んできたところなのにもったいないと思うことが少なくありません。
しかし、ソールだけでなくフェース面も摩耗してスピン性能が落ちれば仕方ないので買い替えるようにしています。
変にスコアラインを削って角溝になるとルール違反になるので、気をつけなければなりません。
そういったことがあるので、ウェッジの強度があがるのは大歓迎です。
実際に、このウェッジの強度が前のモデルのSM8からあがっているか分からないのですが、このフェース面を見て、そのように感じました。

装着されているグリップはまずまずで、無難なタイプです。
ソフトなフィーリングで手になじみますが、もし私がこのクラブを買ったら、すぐにツアーベルベットに替えると思います。
このグリップでも特に問題は無いですが、私の中で『ベスト』ではないからです。

ボールを前にして構えてみると、予想通り大満足でした。
信頼できる『タイトリスト顔』といいますか、『ボーケイ顔』といったほうがいいかもしれません。
ストレートネックで、ラインをイメージしやすいです。
黒いヘッドですが、それほど小顔感はありません。
オーソドックスな大きさで、バランスがとれています。
私は開いて使うことが多いので、『逃がすイメージ』『カットしやすさ』というのを求めているのですが、このウェッジはそれが充分保たれています。
逃がすイメージが出しやすいので、左に巻いたり、突っかかってしまったり・・・。というマイナスイメージが出ません。
フェースにミーリングはありますが、構えたときにそれが全く見えないのもいいです。
フェース面が黒いというのも大きな理由だと思いますが、おそらく通常のメッキタイプでもミーリングは目立たないと思います。
フェースを斜めに使って、ボールがフワ~っと真上に近い感じでロビングできるイメージが湧いてきました。

開いて構えてみても、いい感じでした。
ソール(特にバンス)が邪魔することなく、スッと構えられました。
私は『据わりの良さ』から、クリーブランドのウェッジを使うことが多いのですが、このウェッジはそれに匹敵するくらいの据わりの良さがあります。
それは主に『トゥ側』ではなく、『ヒール側』が重要です。
試打を開始しました

『打感』はすごくいいです。
予想通りのソフトな打感ですが、ボヤけたところはなく、『芯』をはっきりと感じ取ることができました。
フェースがボールに食いついてくれて、『押していける』のがいいです。
『押して運べる』ウェッジで、7番や8番でランニングするような易しさをもっています。
ガツンと硬い打感だと余韻を楽しめませんが、このウェッジだとじゅうぶん楽しむことができました。

ボールも拾いやすく、ロフト通りの高さが出せるウェッジです。
出球のイメージが合いやすく、安定していて余計なことをしません。
ソールもよく滑ってくれるので、多少ダフり気味に入っても上手く拾ってくれました。
その『コツ』は、少し開くことですが、このウェッジだとそれがすごくやりやすいです。

スピン性能はとても高く、よく止まってくれました。
強すぎるスピンではなく、『穏やかで押しの利いたスピン』といったらいいでしょうか?
コントロールしやすいスピンなので、実戦向きです。

ラインを出しやすく、方向性に不安はありません。
いい顔が、いいイメージを作り出してくれて、ラインに乗せやすくしてくれているのだと思います。
キャビティのような寛容さは無いかもしれませんが、それを上回るほどの『顔の良さ』『イメージの出しやすさ』が、難易度を下げています。

フェースに乗っている時間が長いので、必然的に距離感も合いやすいです。
ボールを右手に持って、そのまま下手投げで放り投げるような感覚・・・。といったらいいでしょうか?
野球のピッチャーに例えると、コントロールのいいピッチャーほど、リリースポイントが安定していますが、このウェッジがまさにそんな感じです。
球持ちがいいので、コントロールも安定しますし、球のキレも増します。
ウェッジでのコントロールショットは野球のピッチングほど、ダイナミックさ・スピード感はありませんが、共通点が多いことに気づきました。

『操作性』の高さは最高レベルです。
これひとつで、いろいろな球で遊ぶことができました。
球は浮きやすく、ロブ系のショットも打ちやすいです。
私はコースではランニングアプローチとピッチエンドランを軸にしてアプローチを組み立てているのですが、練習場ではあまり使うことのないロブ系のショットをたくさんやって遊んでいます。
このウェッジだと、それがとても易しくて楽しくなってきました。
まさに守備範囲の広い、オールマイティのウェッジといっていいと思います。
ドライバーからパターまで、全てのクラブがマニュアルタイプを使っている・・・。という方はもちろん、ドライバーからアイアンまではオートマチックタイプを使っているけど、ウェッジはマニュアルタイプを使いたい・・・。という方にもおすすめしたいです。
試打後の感想

ボーケイウェッジらしい、バランスの良さを感じました。
これといって欠点の無い、素晴らしいウェッジです。
ただ、グースネックを好まれる方には親しみがもてないかもしれません。

これまでボーケイウェッジを試打してきて、特に前のモデルのSM8は気に入っていて使っていたのですが、それよりもスピン性能が若干ですが、あがっているような気がします。
この黒染めだからそう感じるのか、それともメッキタイプであっても同じ結果なのか今のところわかりませんが、そのように感じました。

『激スピン』タイプではありませんが、『適スピン』タイプで、コントロールしやすいのが特長です。
球持ちが良く、『押してスピン』を掛けていけるところもすごくいいな・・・。と思いました。
子供の頃、お正月にコマ回しをよくやって遊びましたが、あのスナップを利かせてスピンを掛けるのと似たようなところがあるような気がします。
ゴルフのショットも、野球のピッチングも、コマ回しも『キレ』を出すにはスナップを利かせることが大切です。

タイトリストのウェッジ。
特にボーケイはプロの使用率が高いので、難しいのでは・・・。と敬遠される方がいらっしゃるかもしれませんが、実際はそんなことはないので、敬遠されず試していただきたいと思いました。
今はプロでも易しいクラブを使う時代です。
その易しいというのは、『物理的に易しい=オートマチック』ということもありますし、『自分の感覚に合った』ということもあります。
カッコいいクラブ、憧れのクラブを使うのはいいことが多いです。
ビギナーには『身分不相応』という方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそうは思いません。
カッコいいクラブを使うことによって、モチベーションがあがり、練習の質や量があがって、結果的にベストな相棒になってくれることもあるからです。
大切なのは相棒選びに妥協しないこと。
クラブがプレイヤーを引っ張り上げてくれることもあるのです。
そういった意味でも、人からのお下がりだとか、気に入らないけど安かったから買った・・・。というクラブではレベルアップは難しいような気がします。
最初が肝心で、最初から好きになれないクラブはその後も好きになれず使わなくなり、練習頻度が落ち、結果的に上達しないどころかゴルフを辞めてしまうことになりかねません。
だから、プロが使用しているモデルであろうが、同じ人間なんだから使えないことはない・・・。という考え方も時には必要ではないでしょうか?
ましてやウェッジは顔の好みさえ合っていれば、難しすぎるということはないと思っています。

メッキタイプもカッコいいですが、この艶消しの黒もシブくてカッコいいな・・・。と改めて思いました。
試打していて、とても楽しかったですし、購買意欲が強く刺激されたので、次回機会があればメッキタイプも試打してみたいと思います。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆☆
スピン性能・・・☆☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆
距離感・・・・・☆☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Titleist Vokey Design WedgeWorks Low Bounce K Custom Wedge

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2021年12月14日
タイトリスト T300 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは

シャフトは 3D055 です。
ロフトは29度、クラブ長さは37インチ、トルクは3.9、バランスはD3,キックポイントは中調子 です。

タイトリストの新しいアイアンです。
先日、T200とT100Sを試打したのですが、今日はT300です。
2年前に前のモデルを試打しているのですが、とても印象的でよく覚えているので、もう2年も経つのかと、早く感じます。

このアイアンの特長は何と言っても、このバックフェースに組み込まれているアクセサリーのようなものです。
前のモデルのT300と同じで、フェースの中央ではなく、トゥ寄りにあります。
つまり、フェースの中央ではなく、トゥ寄りでヒットするように設計されているのでしょうか?
アマチュアゴルファーの多くがフェース中央ではなく、トゥ寄りでヒットしているというデータが出て、それを踏まえて開発されたのが、かなり前に流行った『タラコ』というアイアンで、TVのCMで放送されました。
現実のデータに基づいた設計で、かなり革新的だと思いましたが、自分はフェース中央で打てるようになろう・・・。と思ったことをよく覚えています。
易しいのはいいですが、それが度を超してしまうと、プレイヤーのレベルアップを阻害してしまうおそれがあります。
レベルアップの度にクラブを買い換えればいいのかもしれませんが不経済ですし、最初から『いいものを』と、私は惚れ惚れするような美しいアイアンを相棒に迎え入れました。

やや面長なタイプで、フェース高も低めです。
輪郭も丸っこいので、親近感をもたれやすいのではないでしょうか?

彫りの深さはたっぷりありますが、バックフェースが膨らんでいないので、構えたときにも邪魔にならなさそうです。
最近は中空タイプのアイアンが多くなりましたが、このアイアンはポケットタイプです。
中空は易しいと分かってはいても、やはりこのようなキャビティタイプのほうが、見た目も易しそうで安心する・・・。という方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

トップラインは厚めで、丸みが強調されています。
ステンレスっぽい匂いがプンプンするな・・・。と思いながら見ていました。
ステンレスもアイアンには適した素材で、耐久性があり、高い人気を得ています。
ただ、タイトリストのアイアンは軟鉄のイメージが強く、こうして見ていて、昔試打したことのある、テーラーメイドのバーナーというアイアンを思い出しました。
おそらく、同じようなコンセプトではないでしょうか?

ソール幅は少しワイドですが、今のアイアンの中では標準的です。
私はもっとワイドを予想していたのですが、そうではありませんでした。

ソール全体が緩やかな丸みを帯びていますが、細かなニュアンスが伝わってこない・・・。といいますか、それほど工夫されておらず、やや大味な感じがします。
とはいっても、リーディングエッジやトレーリングエッジにも丸みがあって、抜けも良さそうです。

ネックは、やや短めです。
こうして見ても、やはりワンピースタイプではなく、複数の素材が組み合わさっているのが分かります。
テーラーメイドのアイアンに多い特徴ですが、最近は昔よりもメーカーの違いが希薄になったような気がします。

フェース面はとてもシンプルで、ミーリングなどは施されていません。
こうして見ても、やはりステンレス系だな・・・。と思いました。

装着されているグリップは無難なタイプです。
ソフトなフィーリングで、アイアンに適しています。

素振りをしてみると、カーボンシャフトが挿してあるせいか軽量タイプで、『粘り感』はやや足りないですが、何度か素振りを繰り返して、タイミングを整えました。
軽量タイプだからこそ、手先で振らず体全体(特に背中の筋肉を意識して)で振っていくことが大切だと思っています。
スチールよりも、『気持ち』スピードが出るので、少しゆっくりめでスイングが小さくならないよう心がけました。

ボールを前にして構えてみると、予想していたよりも良くて、さすがタイトリストだな・・・。と思いました。
それまでは、どちらかといえばテーラーメイドのアイアンに近い印象をもっていましたが、こうして構えてみると、やはりタイトリストです。
『タイトリスト顔』をしています。
これまで、アイアンでありながら、アイアンに見えないものも試打してきましたが、このアイアンはちゃんとした『アイアンの顔』をしています。
タイトリストアイアンらしい精悍さがありながら、大らかさも兼ね備えているアイアンです。
少し『首』が長いタイプだな・・・。と思いました。
それは通常のネック(ホーゼル)のことではなく、『面長』だということです。
このアイアンの顔を見ながら、動物の『亀』が頭に浮かんできました。
甲羅から首を出した亀です。
小ぶりのアイアンを通常の亀だとすると、このアイアンは『首長種』とでもいいましょうか。
『ヘビクビガメ』という亀を思い出しました。
それほど極端に首が長い(面長)ではないのですが、少しヒール側が『もやっと』したように見えるので、そのように亀を連想したのだと思います。
やや面長なタイプで、セミラージサイズといってもいいと思いますが、さすがタイトリストのアイアンです。
大味なタイプではありません。
タイトリストアイアンらしい、キリッとした顔と、独特な光沢感。
大顔サイズにありがちな、『ボールを小さく見せる』というのが無いのもいいです。
トップラインの厚みが少し見えますが、気になるほどではありません。
最近のアイアンはトップラインがカーブを描いているものが圧倒的に多く、『包み込む』イメージが出しやすくて好評なのだと思いますが、私はあまり丸みが強調されているのは好きではなく、このアイアンは控えめな感じで好感が持てます。
ごく普通に・・・。どちらかといえば好感を持ちながら、こうして構えていました。
試打を開始しました

『打感』は、まずまずです。
予想していた通りの打感で、特に変わったところはありません。
ソフトというよりも、ややしっかりめな打感で、球の重さをしっかりと感じ取ることができました。

球はよくあがってくれました。
高い弾道で、ロフトが立っていることを忘れさせます。
高弾道になるように設計されているのは間違いないようです。
イージーなアイアンなので、ヒッタータイプだけでなく、スインガータイプの方にも親近感をもたれやすいのではないでしょうか?
タイトリストらしく、カッコいいアイアンではありますが、ハードルを高くしていないので、幅広い層に人気が出るような気がします。

『安定性』も高く、オートマチック系のアイアンといっていいように思います。
ポケキャビ構造による安定性に加え、バックフェースにあるアクセサリーもよく仕事をしているのでしょうか?
ブレる感じがしません。
いい意味で、アバウトに打っていけるアイアンです。
変なクセがなく構えやすいので、ラインをイメージしやすく、あとはそのイメージに乗せる感じで、アバウトにといいますか、大らかな気分で、心に余裕をもって振り抜く感じ・・・。といったらいいでしょうか?
このアイアンのもつ性能に身を委ねる感じで打っていくのがいいのかな・・・。と思いました。

飛距離性能も優れていますが、今のディスタンス系アイアンの中では、標準的といっていいのかもしれません。
コンスタントに飛距離を稼げるタイプで、『爆飛び』するタイプではないと思います。
弾き感も、他のディスタンス系アイアンと比べると、それほど強くなく、メーカーもあえて、『飛びすぎない』といいますか、飛距離だけが特化しないように気をつけて『バランス重視』で設計しているのではないでしょうか?
とはいっても、やはり飛距離が出るタイプなのは間違いなく、特に軽く振っても高弾道でキャリーをしっかり稼げるので、対象となるユーザーの幅は広いと思います。

『操作性』は、まずまずです。
安定感が高いアイアンですが、扱いづらいといいますか、フェースコントロールしづらいタイプではありません。
どうしても大らかさが勝ってしまいますが、左右にも少し曲げることができました。
小顔タイプのように反応が速くはないので、細かなニュアンスを伝えづらいところがありますが、そこがまた魅力なのかもしれません。
セミグースタイプではありますが、球がつかまるといいますか、引っかかる感じがしなかったので、フッカーの私でも左はそれほど気になりませんでした。
試打後の感想

質感の良い、オートマ系のアイアンというのが、私のこのアイアンに対する感想です。

易しさと飛びを求めながらも、決して見た目が犠牲になっていないところに好感が持てます。
こういったところにメーカーの『ポリシー』のようなものを感じます。

機能性だけを重視し、見た目や打感などのフィーリングは置き去りになっているアイアンもあり、それはそれでいいのかもしれませんが、やはり『まずは見た目』が良くないと、気持ちも盛り上がってこないですし、そもそも手に取ってみたいと思わせてくれないと、こうして記事も書けないので、タイトリストのアイアンには感謝しています。

バックフェースにある、このアクセサリーのようなものですが、私の希望としては、やはりもっとヒール側に近づけて欲しいです。
今のままでは、トゥ側に寄りすぎです。

しかし、そうなると、もっと小顔にしたほうがいいのかもしれません。
そんなことを考えながら、予定の球数で試打を終えました。

これからもタイトリストのアイアンには期待していきます。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2021年11月15日
タイトリスト T100S アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは

シャフトは N.S. PRO MODUS3 TOUR 115 です。
ロフトは32度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は118.5g、トルクは1.6、バランスはD3,キックポイントは中元調子、クラブ総重量は432gです。

タイトリストのニューアイアンです。
タイトリストのアイアンに出会う度、その美しさに目尻が下がりっぱなしです。
海外メーカーで、大手有名メーカーといえば、タイトリスト・テーラーメイド・キャロウェイ・ピンが四天王だと思いますが、アイアンに関して言えば、私はタイトリストが一番好きです。
その質感はもちろん、構えやすさや打感・操作性など、魅力的なものにたくさん出会ってきたからです。
タイトリスト以外のメーカーは『異型』といえるボテッとしたものやステンレスが多いですが、タイトリストはフォージドという印象があります。
そして一番『日本的』な印象もあり、親近感をもてるというのも大きいです。

大きさも標準的で、シャープなところもタイトリストらしく、アイアン好きの私は見とれていました。
普通のハーフキャビティといっていいと思います。
この形状は他のメーカーでも、たくさん出会ってきました。
それにしても落ち着いた感じの質感が、なんともいえない雰囲気を醸し出しています。
タイトリストのアイアンはピカピカ光る、ミラー仕上げのイメージもありますが、このアイアンのように光沢感が抑えられているほうが好きです。
何と言いますか『一種の静寂感』があり、それが安心感につながっているのかもしれません。
いろいろなクラブを試打していると、時には『目が散る』といいますか、集中して見れないこともあるのですが、今日は違いました。

彫りの深さは標準的で、ヒッティングポイントが肉厚になっているので、打感も期待できそうです。
フェースとバックフェースの間に、何か挟んでいるといいますか、異材のようなものが組み込まれているのが分かりました。
これは『衝撃緩衝材』のようなものかな?と思いましたが、詳しいことは分かりません。
最初は『一体物』だと思っていたのですが、そうでもないようです。
他にもいろいろなものが組み込まれているのかもしれません。

トップラインの厚さも標準的で、こうして見てもとても美しくて目の保養になりました。

見慣れたソール幅ではありますが、今のアイアンの中では明らかに狭いです。
他のメーカーでは、アスリートモデルのアイアンであっても、少しずつ『ワイド化』しているように思うのですが、タイトリストはその流れに逆行しているように感じられます。
ワイドなほうが易しくて親近感がもてる・・・。という方は多いと思いますし、このアイアンのソール幅にネガティブな感情をもたれる方がいらっしゃるかもしれません。
これくらいの幅だと、『上から捉える』イメージが出しやすいので私は好きですが、これはどちらがいいというものではなく、『好み』も大きく関係しているのだと思います。
タイトリストらしく、ソールもすごく綺麗です。
こういったところにも、メーカーがアイアンに力を入れているのが分かります。
フェース面だけでなく、ここの部分がチープに見えるアイアンは昔からたくさんあり、それを見る度にテンションが下がってきました。
今日は『ルンルン気分』です。

ソール形状はとてもシンプルです。
最近は丸みが強調されたりして、かなり工夫されているものが多くなってきましたが、このアイアンにそのような工夫は見られません。
至極シンプルで必要最低限の工夫しかされていないように見えます。
リーディングエッジとトレーリングエッジは少しだけ削りが入っていました。

ネックの長さは普通です。
最近はロングネックを全く見なくなりましたし、このアイアンも長いタイプではありません。
かといってショートでもなく、普通といいますか、今一番多い長さです。
ホーゼルの形状も真っ直ぐに近くて、これも珍しいように思います。
最近はちょっとテーパーになっていたりして、真っ直ぐでないことが多いです。
この角度から見ると、『グース』か『ストレート』かが見分けられますが、このアイアンはグースが抑えられています。

フェース面にミーリングは無く、とてもシンプルで変わったところは見られません。
他のメーカーでもよく見かけるといいますか、『ほとんど』といっていい、『スタンプタイプ』のスコアラインです。
シンプルといえばシンプルですが、タイトリスト独自の個性が感じられません。
どうやらフェース面にはあまり力を入れていないようです。
大量生産で、しかも『OEM』なので、細かなところにこだわっていられないのかな?と思いました。
スコアラインの数が13本なので、7番アイアンとしては標準的な数です。
こういったところも、日本的な感じがします。

装着されているグリップはシンプルなタイプです。
ソフトなフィーリングで好感が持てますが、私としては『可も無く不可も無く』といった感じです。

素振りをしても、なかなかいい感じです。
7番アイアンとしては、やや軽量タイプではありますが、これが今のアイアンの中では『やや重』くらいになるのでしょうか?
軽すぎるタイプは『間(ま)』がとりづらくて、タイミングが合わないことがありますが、これくらいであれば特に問題はありません。
『重さ(適度な重さ)』は不利ではなく、『武器』です。

ボールを前にしても、さすがタイトリストです。
この美顔に顔がほころぶだけでなく、胸がときめきました。
これぞ『アイアンの顔』です。
思わず見とれてしまいました。
このアイアンは最新モデルでありながら、これまでのタイトリストアイアンの良き伝統を受け継いでるのが分かります。
過去の名器と比べて遜色ないといいますか、『クローン』といっていいほど変わりません。
『タイトリスト顔』のアイアンです。
この引き締まった精悍な顔つきは一度見たら忘れられません。


アイアンの顔を動物に例えて、肉食動物と草食動物に分けるとすると、このようなアイアンは肉食動物で、ラージサイズで大らかさのあるアイアンは草食動物でしょうか?
どちらも目は2つですが、肉食動物は相手(狩りをする相手)を見定めるため顔の『正面』に、そして草食動物は辺りを見渡して敵(肉食動物)がいないか察知するために、顔の側面に目がついています。
集中力をとるか、視野の広さをとるか・・・。
このアイアンを構えながら、そのようなことを考えていました。
どちらにもメリット・デメリットがありますが、私は肉食動物タイプのアイアンに惹かれます。
ボールとの大きさの対比も良くシャープで、特に『トゥ側が鋭角』なのがたまりません。
ストレートタイプということもありますし、トップラインの見え方も抜群です。
薄くシャープなのでイメージがぼやけることがありません。
トップラインは真っ直ぐというよりは少し丸みを帯びているので、『逃がし顔』というほどではなかったのですが、真っ直ぐに近いイメージが出せました。
私はフッカーだからなのか、逃がし系の顔が好きなのですが、この顔も大好きです。
打つ前に、しばらくこうして見つめて幸せをかみしめていました。
気持ちが高ぶり、頭の中をいいイメージが駆け巡っていて、『目で楽しむ』とは、まさのこのような状態のことを言うんだな・・・。と感じながら、この心地よい空間に身を委ね、ワクワク感が止まりません。
寒さが気にならず、心の中はポカポカしていました。
試打を開始しました

『打感』はソフトで良いです。
想像通りの打感で、一球目から楽しませてくれました。
『柔らかさ』を感じながらも『乗っかり感』というよりは少し『弾く』感じの打感です。
目で見て楽しみ、実際に打って手で楽しみ、その心地よい音を耳で楽しみ・・・。
まさの『楽しみの三重奏』といったところでしょうか?
音楽で三重奏といえば『トリオ』ですが、バイオリンが顔で、ビオラが打感で、チェロが音といったところかな・・・。などと考えていました。
ひとつだけでも素晴らしいですが、それが3つに重なると、さらに魅力が増します。
アイアンだけでなく、ゴルフクラブにおいて、『顔』『打感』『音』に私はすごくこだわっているのですが、このアイアンはそれを高いレベルでもっていて、さすがだな・・・。と思いました。

『球のあがりやすさ』という点では、今のアイアンの中ではタフなタイプで、明らかにヒッター向けです。
最近は、見た目はタフそうでも実際はあがりやすいアイアンも増えてきましたが、このアイアンは見た目通りです。
このアイアンはロフトが立っていて、私はそれが不満でした。
このようなオーソドックスといいますか、昔ながらのベーシックなタイプはロフトを立てて欲しくないな・・・。と思ってしまうのですが、これも時代の流れといいますか、ニーズがあるのだから仕方ありません。
ヒッタータイプの方だと充分な高さを出していけると思いますが、そうでない方はしっかりと浮ききらないかもしれません。

『安定性』という点では、カッコいいアイアンでありながら、マッスルバックのようなシビアさは感じませんでした。
ただ、寛容さを全面に打ち出しているアイアンではないので、アイアンに『寛容さ』を求めておられる方には、少し合いづらいところがあるかもしれません。
しかし、とても構えやすくてラインも出しやすいので、これが普通だと思えば何も気になりません。
むしろイージー過ぎるアイアンではなく、正直さをもったアイアンで、スイングの質を高めていきたい方にはちょうどいいのではないでしょうか?
スイートエリアの広さは普通といった感じで、『点』ではなく『面』で運んでいけるタイプだと思いますが、今の多数派といっていいイージー系アイアンと比べると、かなりシビアなのかな・・・?と思いました。
ただミスヒットにも『当たり負け』しづらく、そのまま押し込んでいけるので、以前試打したことのある『AP2』というアイアンを思い出しました。

『飛距離性能』は、『やや飛び』といったところで、私の感覚では6番アイアンくらいのキャリーになってしまうのですが、今は飛びに特化したアイアンが多いので、それらと比べると飛ばないほうだと思います。
私は、このようなタイプは『標準ロフト』にして欲しかったので、少し残念でした。
もし、このアイアンに番手の刻印がされていなかったら、私は迷わず『6』と入れたいです。
『やや飛び』なところが、少し邪魔に感じられました。
7番から9番・ピッチングなどはアイアンを真上からズドーンと攻めて(落として)いきたいと思っているのですが、このアイアンは少し低くて、やはり6番くらいな感じです。
アイアンは飛ばすためのクラブではなくて、正確な距離を刻むためのクラブだということは多くのゴルファーの知るところですが、この『やや飛び』なところに『ちょうどの』距離感を出しやすい方が多くいらっしゃるのかもしれません。

『操作性』はとても高く、左右に敏感に反応してくれました。
この反応の良さはハーフキャビティの長所です。
ラージサイズでボテッとしたものは、ここまで鋭く反応してくれませんが、今日はそれがとても上手くいきました。
いわゆる『ハンドルの遊び』が少ないタイプのアイアンで、ラージサイズのアイアンを例えるならば、バスのような大型車両のハンドル(ステアリング)の操作感で、このアイアンのように遊びが少ないのはF1マシンのような小型車種でありながら、馬鹿でかい排気量のエンジンを積んだ車・・・。といったところでしょうか?
新幹線よりも高速で、少しのハンドルミスが大きな事故につながります。
逆にバスなどは、スピードはそれほど出せませんが、一度に多くの乗客を乗せて走ることができます。
どちらがいいというものではなく、あくまでもその車の『使用目的』が違うに過ぎません。
私は昔から車が好きで、鈴鹿サーキットに何度か観戦に行ったのですが、2030年から純ガソリン車の販売が禁止されたらいずれは電気自動車か水素自動車でレースが開催されるのかな?と思いました。
それだと、あの独特のエンジン音が聞けなくなります。
サーキットは車のスピードを楽しむというのもありますが、あの独特の音を楽しむということが大きいです。
ちょっとゴルフクラブと、かけ離れてしまいましたが、このアイアンで球を左右に曲げながら、そのようなことを考えていました。
人それぞれ好みが違うと思いますが、私は『ハンドルの遊び』が小さく、ダイレクトに反応してくれるタイプのアイアンが好きです。
それにはヘッドだけでなく、シャフトの協力が欠かせません。
試打後の感想

地クラブの限定モデルなどは、かなり高価なものもありますが、それと同等の魅力を、リーズナブルといいますか、他のアイアンと同じような価格設定なので、コスパはとても高いです。
見た目はベーシックなタイプでシンプルですが、ニューモデルということもあり、いろいろな工夫がされているようです。

球数をこなしていくうちに、どんどんAP2のことを思い出してきて、顔など外見は異なるものの、AP2の後継モデルなのではないか?と思いましたが、実際のところは分かりません。

このアイアンは正直さもあり、それほどあがりやすくなっているタイプではないので、幅広い層に対応してはいないのかもしれません。
今のアイアンは、見た目は難しそうだけど、実際はすごく易しい・・・。というものが主流になり、このアイアンも少しは似たようなところがありますが、基本的にはイージーさをウリにしたアイアンでないことは確かです。

タイトリストらしくすごくカッコ良くて、打つ前から目で楽しみ、実際に打っても手と耳で楽しむことができました。
さすがタイトリストだな・・・。と思ったのですが、バックフェースに挟んであるようなパーツが無かったら、どんな打感なのだろう・・・?と思いました。
ひょっとしたら無いほうが良かったのではないか?と思ったのですが、それは試していないので分かりません。
『ピュア感』というよりは『ミックス感』のある打感です。

タイトリストはやはりユーザー(タイトリストユーザー)の好みをしっかりと把握しているな・・・。と思いました。
タイトリストファンの期待を裏切ることなく、決して足踏みすることなく、新たな一歩を踏み出している・・・。といったところでしょうか?
見た目はシンプルだけど、たくさんのハイテクが組み込まれたアイアンです。
アイアンだけでなく、他のクラブでも同じですが、試打をする前も試打しながらも、このクラブの『芯』はどこにあるんだろう?重心の高さはどれくらいなのかな?などと探りを入れることがあります。
今のクラブは見た目と実際が違うことが多いからです。
それはウェイトなどが組み込まれるようになったのが大きいように思います。
このアイアンも最初に予想していたよりも重心は低く、スイートエリアは広く感じました。
見とれるほどの男前でありながら、尖ったところはそれほど無く、意外と親しみやすいアイアンといえるのではないでしょうか?

ベーシックとハイテクをミックスしたアイアンといったらいいでしょうか?
あくまでも私の好みとすればもう少しロフトが寝ていると、もっと好感度がアップしたような気がしますが、カッコよさではダントツで、さすがタイトリストです。
このアイアンのおかげで、楽しい時間を過ごすことができました。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆☆
音・・・・・・・☆☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2021年10月27日
タイトリスト T200 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは

シャフトは N.S. PRO 880 AMC です。
ロフトは31度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、キックポイントは中元調子、クラブ総重量は419gです。

久しぶりに出会った、タイトリストのニューアイアンです。
タイトリストらしくシンプルなデザインでありながら、そのシンプルさが『美』へとつながっています。
こうして見ると、フェース高はやや低く、少し『面長』な感じがします。

比較的コンパクトにまとまったヘッドですが、すぐに中空だと分かりました。
一口に中空といってもいろいろあると思いますが、このアイアンは『控えめな中空』といったところでしょうか?
タイトリストのアイアンに中空のイメージはありませんが、過去に無かったわけではありません。
タイトリストが採用しているということで、それだけ中空の人気が高まっているといえるのではないでしょうか?
ポケキャビに変わって今は、中空がトレンドといっていいような気がします。

こうして見ると、バックフェースが貼り付けタイプであることが分かりました。
中空らしい特徴です。
重心を深くする為に、ここの部分はウェイトなのかな?と思いましたが、実際のところは分かりません。
打つ前にいろいろな想像をするのも、試打の楽しみのひとつです。

トップラインは少し厚めですが、目立つほどではありません。
タイトリストらしく、綺麗な流れになっています。
メーカーによっては、ここの部分に気を遣っていなくて、すごく『ぶっきらぼう』といいますか、ボテッとしているものも多いですが、さすがはタイトリストです。
綺麗で、日本的な感じがします。

ソール幅も標準的ですが、今のアイアンの中ではむしろ狭いほうといっていいように思います。
中空といえばワイドソールのイメージがありますが、最近は工夫が進んで、あくまでも普通のアイアンとしての外観を守っているアイアンが増えてきました。

ソールはなだらかな丸みがあり、リーディングエッジよりもトレーリングエッジのほうが、丸みが大きいです。

ネックは少し短いですが、今のアイアンの中では標準的です。
太くなく、ボテッとしていないところに好感が持てます。
また『頭でっかち』タイプでもありません。

フェース面にミーリングは無く、昔から見慣れたタイプです。
特に変わった工夫は見られません。
オーソドックスな『スタンプタイプ』のフェース面です。

装着されているグリップはシンプルなタイプで、これまでもたくさん出会ってきました。
適度にソフトなフィーリングがあって好感が持てますが、このタイプのグリップは時間の経過と共に、かなり『硬化』するので、早めの交換が必要です。

ボールを前にして構えると、すごく男前で、思わずため息が出ました。
さすがタイトリストだな・・・。と思うと同時に、しばらく見とれていました。
中空アイアンはボテッとした顔の印象が強いですが、このアイアンはそうではありません。
こうして構えていると、中空であることを完全に忘れてしまいます。
マッスルバックやハーフキャビティの構え感といっていいほど、遜色ありません。
均整のとれた『タイトリスト顔』です。
中空といえば、ラージサイズ&グースネックというイメージも強いですが、このアイアンは全く違います。
ちょうどいい大きさで、ストレートネックです。
グースタイプやラージサイズを好まれる方には、親しみづらいところがあるかもしれません。
ただ、私の中では完全に『ストライクゾーン』に入っているので、目尻を下げながら見ていました。
試打を開始しました

一球打って、「あれっ?」と思うと同時に、中空であるという『現実』に引き戻されてしまいました。
全く馴染めません。
中空独特の、あの『ペチャッ』という薄い打感なのです。
あまりに構えやすいアイアンなので、中空ということが意識から外れていました。
しかし実際に球を打ってみて、やっぱり中空なんだな・・・。と思い、一気にテンションが下がってしまいました。
期待という空気で膨らんだ風船に小さな穴が空き、そこから一気に空気が漏れ出す感じ・・・。といったらいいでしょうか?
夢から覚めたような気分です。
目尻も元に戻り、淡々と見ていました。
私は馴染めませんが、これこそが中空といえる打感ですし、この打感を好まれる方もたくさんいらっしゃると思います。
私はアイアンの打感は『密』であってほしいのですが、このアイアンは『空』です。
頭の中がモヤモヤしてきました。

『球のあがりやすさ』は普通です。
中空なので、見た目以上の易しさはありますが、基本的にはヒッター向けアイアンといっていいと思います。
マッスルバックやハーフキャビティほどタフではなく、今のノーマルアイアンと大差ないように感じました。
外見はシンプルですが、中空ということもあり、ヘッド内部に様々な『お助け機能』が搭載されているのではないでしょうか?

『安定性』は高く、イージーさを感じました。
ラージサイズではないですが、このノーマルサイズでありながら、かなり寛容さをもったアイアンです。
男前で精悍な顔つきをしていながら、これだけの寛容さがあるというアンバランスさが中空の最大の魅力といえるのではないでしょうか?
少々の打点のブレにも強い寛容さがあります。

『飛距離性能』も優れていて、完全に一番手以上の飛び性能をもっています。
フェースに乗る感覚は無く、『バーン』といいますか、『ペチン』と弾くような感覚です。
弾き系アイアンらしく、初速もある程度出ているようです。
アイアンやウェッジのような『縦の距離』を大切にするクラブは、『スロー感』が欲しいですし、そこが『ミソ』なのですが、このアイアンは真逆タイプの『ファスト感』があり、勢いよく飛び出しました。
ゴルフは野球やテニス・卓球・バレーボールなど、他の球技と違い、『動体視力』が重視されない希有なスポーツですが、これだけ弾き系のクラブが多くなると、動体視力があったほうがいいのかな・・・。と思えてきます。

『操作性』は、なかなかいい感じです。
キャビティのような易しさがありながら、扱いやすいところもあります。
顔がいいから、この扱いやすさは予想していた通りでした。
左右にも同じように曲げることができました。
グースが弱いタイプなので、つかまりづらそうと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、その分『小顔』になっているので、フェースがターンしやすく、ボールが自然とつかまります。
ラージサイズでグースにして、ヘッドを『動かさないで』つかまえたい方には合いづらいアイアンかもしれませんが、昔ながらのオーソドックスなタイプを好まれる方には親近感をもちやすいのではないでしょうか?
試打後の感想

タイトリストらしく、カッコ良くて美しいアイアンでありながら、最新の技術も組みこまれたハイテクアイアンといっていいと思います。

ただ、先ほども書きましたが、打感がどうしても好きになれず、この点だけが残念でした。
顔(構え感)と打感のギャップがあまりにも大きすぎました。

顔の好みや打感は使っていけば慣れる・・・。という考え方もあり、私もその通りだと思うのですが、私はこの打感に馴染めないですし、馴染みたくありません。
ドライバーでラージサイズのグースもたくさん試打してきましたが、ある程度慣れてきたものの、親近感は未だ持てないままです。
それは私がフッカーで、左へ行くのを極端に嫌がっているというところもあるのかもしれません。

このアイアンは左へ行きそうな雰囲気はありませんが、打感が馴染めず、一球打ってテンションが下がってしまいました。
しかし『易しさ』を求めての結果なので『プラマイゼロ』といったところかな?と思いましたが、顔や打感にこだわる私にはマイナスのほうが大きかったです。

それでも久しぶりにタイトリストのニューアイアンに出会うことが出来、嬉しい日でした。

これからもタイトリストには期待していきたいです。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆
音・・・・・・・☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2020年12月14日
タイトリスト TSi2 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TSi2 ドライバー


シャフトは Speeder EVOLUTION です。
ロフトは9度、クラブ長さは45.5インチ、シャフトフレックスはS、トルクは3.7、シャフト重量は67.5g、キックポイントは中調子 です。

タイトリストの新しいドライバーです。
先日、TSi3ドライバーを試打しましたが、今日は姉妹モデルのTSi2です。
TSi1やTSi4は無いようです。
TSi3もそうでしたが、デザインが一新され、シンプルでカッコ良くなっています。

よく見る、シャロー&ラージサイズのドライバーです。
TSi3はもう少し厚みがありましたが、このドライバーはシャロータイプです。
TSi3はバックフェースにあるウェイトを移動できるようになっていましたが、このドライバーは違います。
同時期に発売されるドライバーでも、モデルによって変えているのが興味深いです。

ウェイトがひとつだけ配置されています。
数字がないので、重さは判りません。

ネックの長さは適度にあります。
過去のモデルと共通する長さです。

ネックには調整システムが搭載されています。
これは過去のモデルともTSi3とも共通する部分です。

試打するのは、このA1のポジションです。

TSi3もそうでしたが、フェース面のデザインが大きく変わりました。
おそらく、大きな理由があるのだと思いますが、メーカーの深い研究によるものではないでしょうか?
指で触っても、ザラザラしています。

シャロー感が強く、これまでのD2ドライバーと似ています。
昔のシャローは『単なるシャロー』という感じで、まだまだ頼りないものが多かったのですが、今は『理由のあるシャロー』といったらいいでしょうか?
高性能で頼れるものが多くなりました。
それだけ研究が進んでいるのだと思います。

顔は正直、好みではありませんでした。
ヘッド後方の膨らみが大きく、フェースも被っているように見えました。
私には『異型』になるのですが、違和感をおぼえるほどではなく、程よく抑えられているところにタイトリストのセンスの良さを感じます。
これだけヘッド後方が膨らんでいれば、インパクトのときにミスヒットしてもヘッドがブレにくく、そのまま押し込んでいけそうです。
顔も『つかまえ系』なので、スライサーの方には好まれやすいのではないでしょうか?
『お尻』が重そう(=重心が深そう)なドライバーだな・・・。と思いながら見ていました。

素振りをしてみると、なかなかいい感じです。
このようなラージサイズのドライバーは、『走り系』との相性がいいのかもしれません。
最近の走り系は挙動が安定しているので、安心感があります。

ボールを前にして構えた感じは、まずまずです。
好みとはちょっと違いますが、構えづらくてイメージが浮かばないということもありませんでした。
『顔』として単体で見るよりも、こうしてボールと一緒に構えたほうが、顔の癖が小さくなることに気付きました。
タイトリストは海外メーカーですが、こうして見ると、大らかなタイプの『和の顔』だな・・・。と思いました。
フェースが見えすぎないので、高くあがりすぎないように感じられるのがいいです。
『ライナー系』とまではいきませんが、いい感じの強い弾道が打てそうなイメージが浮かびます。
少しフックのイメージが出たので、ちょっとだけ右を向いて構えて、そこから回す感じで打ってみることにしました。
試打を開始しました

『打感』はしっかりめですが堅すぎず、嫌な衝撃が残ることもありません。
ソフトなフィーリングではないですが、これはこれでアリなのだと思います。

はっきりした音ですが、大きすぎず高すぎず、いい感じです。
叩いてもインパクトが緩むようなこともありませんでした。

『球のあがりやすさ』という点では、結構抑えられているといいますか、これまでのシャロー系ドライバーのような高~くあがるタイプではありませんでした。
ロフト(9度)ということもあると思うのですが、高弾道系ではなく強弾道系に近い感じです。
もっと寝たロフトだと、また違う印象になるような気がするのですが、この試打クラブのスペックは結構『しっかり系』です。
これまでラージサイズのドライバーの多くが、ロフト関係なく高弾道系といいますか、どう打っても高くあがるしかないものが多くありました。
高くあがりすぎて、ロフトが活かされてないように感じることもあったのですが、このドライバーはそのようなタイプとは違います。
先日試打したTSi3よりはあがりやすいですが、高~くあがって終わりという弾道ではなく『伸び』がありました。
強い球が打てるので、ヒッタータイプの方にも合いやすいのではないでしょうか?

『安定性』は、なかなか高いです。
大きく曲がるタイプではなく、直進性の高さもあります。
最初に構えたときは、少しフックを警戒していたのですが、思っていたよりもつかまり過ぎず、むしろ逃げていく感じがありました。
これを『逃がし顔』にすると、さらに右に抜けていきそうです。
インパクトのとき、フェースがボールをグッとつかんでくれるのですが、ボールは意外と逃げていく・・・。という感じです。
とはいっても、大きく曲がるタイプではなく、シビアさは全く感じないので、普通に打っている限り大きなミスにはなりにくいように思います。

『飛距離性能』は、なかなか高いです。
初速も出ていて、弾道がパワフルです。
高くあがりすぎないので、強く効率よく飛ばしていける感じがします。
しっかりと振っていきたい方の為のドライバーといってもいいかもしれません。
最初の印象(特に顔)よりも、ヤワなドライバーではないな・・・。という印象をもちました。

『操作性』という点では、あまり高くはありません。
顔の印象などから、操る気になれなかったということもあるのですが、なかなか思うようにはいきませんでした。
球はつかまり過ぎないですが、曲げようとしたら、意外なほどの頑固さといいますか、真っ直ぐ飛んで行ってしまいました。
高性能で素晴らしいドライバーだと思いますが、私との相性はあまり良くないような気がします。
しかし、それはあくまでも私がこのドライバーを使いこなせていないということに過ぎません。
試打後の感想

これまで、同じようなタイプ(ラージ&シャロー)のドライバーをたくさん試打してきましたが、ここまでしっかりしたスペックは記憶にありません。
いい意味での意外さがありました。

顔の好みなどもあり、私はTSi3のほうが好きですが、このドライバーも面白いな・・・。と思いました。
見た目はイージー系でありながら、実はしっかりとした部分も持ち合わせているドライバーです。

これまでの経験から、このようなタイプはおそるおそる打つのではなく、いい意味で大雑把に・・・。といいますか、細かいことを気にせず気持ちよく振り切るのが一番のような気がします。
気持ちよく振り切ったときのスピード感が、ボールを真っ直ぐ飛ばしてくれるように思いますし、今日もそんな印象をもちました。

このドライバーは調整機能が搭載されているので、それを使うと、どのように変わるかが興味あります。
ロフト9度だと結構しっかりしているので、一般的にはあまり需要が無いかもしれません。
もっと寝たロフト(10度や11度)のほうが一般受けしやすいのではないでしょうか?

シャローで叩いていきたい方の、骨太なドライバーです。
☆
構えやすさ・・・☆☆
打感・・・・・・☆☆☆
音・・・・・・・☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2020年11月12日
タイトリスト TSi3 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TSi3 ドライバー


シャフトは TOUR AD DI-6 です。
ロフトは10度、クラブ長さは45インチ、シャフトフレックスはS、トルクは3.3、シャフト重量は65g、バランスはD2.5、キックポイントは中調子、クラブ総重量は319g です。

久しぶりに出会った、タイトリストのニュードライバーです。
ライバルメーカーであるテーラーメイドやキャロウェイ・ピンなどはよく出会うので、タイトリストはまだかな・・・?と、首を長くして待っていました。
これまでのモデルとデザインが大きく変わりました。
2年前に出会ったTS1よりも、こちらのほうが好きです。
全身黒で重量感を感じさせ、シブさが増してカッコ良くなりました。

ヘッド自体は、それほど薄さが強調されていません。
どちらかというと厚みもあります。
比較的シンプルなデザインですが、それでも所々にいろいろな工夫が見られますし、2年の月日をかけて、また新たな技術が導入されているのだと思います。
試打する前に、いろいろと想像する時間も楽しいです。

トゥ側

ヒール側
ソールのトゥ側とヒール側には、独特な工夫がされています。
これはどういった意味があるのでしょうか?

他のメーカーでは見られますが、タイトリストでは初めてではないでしょうか?
ウェイトを移動できるようになっていますが、他社のモデルと違い控えめな感じでカッコ良く、好感が持てます。
いかにもウェイト移動できますよ・・・。と、派手に見せるのではなく、さりげなくアピールできていてタイトリストらしいな・・・。と思いました。
これまでタイトリストのクラブにたくさん接してきて、タイトリストは『美』に気を配っているメーカーだという認識をもっています。

ネックの長さは標準的です。
これまでもよく見てきました。

ネックには調整システムが搭載されています。
これも過去のモデルと共通するところです。
最近は一時期ほど、このシステムが多くないような気がするのですが、まだまだニーズが高いのだと思います。

試打するのは、このA1のポジションです。
この位置がおそらく標準だと思います。

フェース面のデザインが大きく変わっています。
これまでのシンプルなデザインではありません。
ソールやクラウンに色々な工夫がされていても、ボールとの唯一の接点であるフェース面に工夫が見られないドライバーはたくさんありますが、今回のニューモデルは新たな技術が採用されているようです。
指で触れてみたら、かなりザラザラしています。
ドライバーで、この触感は珍しいです。
『サラサラ』ではなく『ザラザラ』していて、目の細かいサンドペーパーを触っているような感じです。
なんと言いますか、ちょっと『ゴツい』印象をもちました。

シャローバックタイプではありますが、フェース高は充分あり、全体的なシャローではありません。
なので、『部分的シャロー』といったらいいでしょうか?
このようなタイプが、今は多くなりました。

引き締まった、いい顔をしています。
黒という色なので引き締まって見えるということもありますが、やや小振りな感じで昔の懐かしい記憶が蘇ってきます。
ひょっとしたら460ccではないのかな?と思いましたが、よく判りません。
最近では珍しい『逃がし顔』なのも特徴的です。
トゥ側が主張していないので、構えたときに逃がすイメージが出しやすそうです。
今は『ほぼ全て』といっていいほど『つかまえ顔』なので、この顔は珍しくもあり、新鮮味もあります。
つかまえ顔を好まれる方はたくさんいらっしゃると思いますし、そういった方には、このドライバーの顔はスライスを連想させ、親近感をもちにくいかもしれません。
私はこのような顔が昔から好きなのですが、これは好みがはっきりと分かれるところだと思います。
ラージサイズのシャローで逃がし顔だったら、ほぼ間違いなくスライスしか出ないような気がするのですが、このドライバーのように適度に厚みがあって小振り感があると、『つかまえていけそう』という楽なイメージをもつことができます。

クラウンマークも新しくなっていることに気付きました。
これまでのモデルとは大きく違っていて、『TSi』というモデル名がそのままクラウンマークになっています。
すごく控えめなクラウンマークです。
どちらかというと、私はクラウンマークが無いほうが好きなのですが、これくらい控えめであれば、全く気になりません。

装着されているグリップは好感が持てました。
珍しいデザインですが、いい感触です。
適度なグリップ力がありながら堅すぎないので、ハードヒットしたいドライバーには適しています。

素振りをしてみても、最近では数少ない『しっかり感』があって好感が持てました。
いわゆる『振り心地』がいいドライバーです。
今のドライバーの多くは、かなり『ソフトスペック化』しているといいますか、軽すぎたり軟らかすぎたりする印象があるのですが、このドライバーは違います。
おそらく10年以上前になると思うのですが、『適度にしっかりしていた時代』に戻ったような気がします。
地クラブでシャフトを選べるタイプや大手でも『カスタム』は別ですが、最近の『吊るし』ドライバーのアンダースペックタイプに物足りなさや不満をもっておられる方は少なくないのではないでしょうか?
ヘッドは良くても、純正シャフトでは合わないので、すぐにリシャフトしなくてはならないことが多くありました。
そういったユーザーの為に、タイトリストがスペックを昔に戻したのでしょうか?
先日、ゴルフを始める若い方が増えたというニュースを見て嬉しくなったのですが、そういった方々に合わせてスペックを見直したのかな?と思いましたが、真偽のほどは定かではありません。

この懐かしいDI-6が純正シャフトなのでしょうか?
DI-6は一世を風靡して、ゴルフ場でも練習場でも、このオレンジ色のシャフトをよく目にしました。
全く同じシャフトの再販なのでしょうか?
それともどこかバージョンアップしているのでしょうか?
ただ、球がつかまりやすいシャフトではないので、このDI-6でつかまりが弱いと感じる方は後で発売されたDJ-6を使う人も多かったように思います。
ゴルフシャフト史に名を残す、素晴らしいシャフトであることは間違いありません。
ヘッドを『名器』と呼ぶのであれば、シャフトは『名棒』と呼んだらいいのかな・・・?などと考えていました。

ボールを前にして構えてみても、すごくいいです。
好みが分かれるところだと思いますが、私は大好きです。
適度な厚みがあり、逃がすイメージが出しやすいので、左へのプレッシャーがありません。
おまけにDI-6が挿してあるので、さらに左へのミスのイメージが出てきません。
ニューモデルでありながら、この構え感は過去にたくさん出会ってきました。
今はシャローが全盛ですが、もっとディープの人気が高かった頃によく見られました。
高性能なシャローが今は多いですが、昔は頼りないシャローも多かったので、そういったクラブに物足りなさを感じた方はディープに手が伸びていたと思います。
このドライバーのロフトは10度ということですが、それ相応の見え方です。
大きくロフトが寝ているようには見えなかったので、高~い弾道というよりは、程よいライナー系のイメージが自然に浮かんできて、叩けそうな雰囲気が伝わってきました。
試打を開始しました

『打感』はソフトというよりは、ややしっかりめですが、嫌な衝撃が残ることもなく、好感が持てました。
この打感は、過去のタイトリストドライバーでも記憶していますが、それらの中でも、しっかりしています。
ズシリと、球の重さを感じ取ることができました。
ライバルメーカーである、テーラーメイドやキャロウェイなどは『弾き感』を強く感じることが多く、タイトリストもそのように感じることもありますが、それだけではなく、タイトリストドライバーには『打ち抜く』感覚を得やすいのが特徴的です。
これは過去のモデルにもありましたし、このドライバーにもありました。
ただ単に弾くのではなく、ボールのセンターを潰すといいますか、打ち抜く感じで飛ばすイメージが出せました。
フェース面の『ザラザラ感』が作用しているのでしょうか?
結構摩擦感があるといいますか、ボールを『噛む』ような打感です。
一瞬だけ『くっつく』感覚があります。

これまでと違うタイプのヘッドなので、音の予想はできていなかったのですが、落ち着いた感じの音で、『カーン』とか『キーン』という耳に響く音ではないので、気持ちよく振っていけました。
はっきりした音ですが、大きすぎず周りを気にしなくてもいい音です。
叩くべきドライバーには『叩かせてくれる音』にしてくれているんだな・・・。と、この音を耳にしながら思いました。
これまで、せっかくヘッドのポテンシャルは高いのに『叩かせてくれない音』を発するドライバーにたくさん出会ってきて残念に思いましたが、このドライバーはしっかりと叩かせてくれました。

『球のあがりやすさ』という点では、今のドライバーの中でも明らかにハードなタイプで、ヒッター向けです。
ロフト10度でも、あがりやすいタイプと『ロフト通りのタイプ』がありますが、このドライバーは後者です。
普段、9度や9.5度を使っておられる方も、まずはこの10度を試してみられるといいのではないでしょうか?
今はディープタイプでも、結構球があがりやすくなっているものもありますし、シャローでもハードなタイプもあり、見た目とのギャップがあるドライバーが多くなりました。
しかし、このドライバーは『見た目通り』といっていいように思います。
シャローバックタイプですが、それほど『お尻(ヘッド後方)』が重い印象はありません。
弾道はやや抑えめなライナー系です。
このドライバーはタイトリストですが、BSの凄かった時代を思い出していました。
ツアステ全盛期です。
あの頃にタイムスリップしたような感覚をもちました。
ツアステドライバーで、このような弾道をよく目にしていたな・・・。と懐かしくなってきました。

『安定性』という点では、シビアなタイプです。
寛容さはあまり無く、それほどお助け機能は感じません。
装着されているシャフトの影響もあると思いますが、それほど球のつかまりがいいドライバーではありません。
球がつかまらず、右に曲がる方は多くなるような気がします。
スライサーの方には厳しいドライバーといえるかもしれません。
しかしシャフトを変えたり、ネックにある調整機能を使って弾道を調整することもできそうですし、ウェイトを移動させれば、また違った顔を見せそうです。
このシャフトとウェイトの位置、そしてネックのポジションA1では、スライサーの方には合いづらいところがあるように思います。
オートマ系のドライバーではありません。

『飛距離性能』も、いわゆるオートマ系のような広い高反発エリアで飛ばすタイプではないので、好みがはっきり分かれると思います。
ミスヒットにはそれをはっきりと感じさせてくれる弾道と方向性(曲がり)を表してくれるドライバーです。
しっかりと叩いていきたいドライバーです。
腹筋に力を入れ、インパクトからフォローにかけて、グッと押し込む感じ・・・。といったらいいでしょうか?
見た目通り、硬派なドライバーです。
ライナー系で強い球が打てますが、球がドロップするということもなく、スーッと伸びていく感じでした。
叩いても吹き上がることなく、低スピン性能も長けています。
途中からフワ~と浮き上がるような弾道は好きではないのですが、このドライバーだと一定でスーッとライナー系で伸びていってくれるので頼もしさを感じました。
幅広い層に対応したドライバーではないことは明らかですが、もっているポテンシャルはとても高いです。

『操作性』は、なかなかいい感じです。
私はフッカーなので普通に打つなら、ほぼストレートのドローといった感じでしたが、右に曲げるのも簡単でした。
最近は大きく曲げづらいドライバーが多いので、久しぶりにこのようなタイプに出会ったような気がします。
直進性ではなく、自分の持ち球で勝負していけるドライバーです。
ドローヒッターの方には易しいドライバーだと思いますが、フェードヒッターの方は先ほども書きました通り、調整機能を使ったり、ウェイトを移動させたりして調整したほうがいいかもしれません。
寛容さではなく、正直さがあるので、高い再現性を求めたい方には、合いづらいドライバーといっていいように思います。
試打後の感想

ハードルを下げて親しみやすくしているドライバーが多い中で、このタイトリストのニュードライバーは『異質』といいますか、全くコンセプトの違うタイプだということを感じました。
昔にもどったような感じです。
今のドライバーの中では、明らかに『難しい設定』になっていますが、昔はこのようなタイプばかりでしたし、ネックの調整機能やウェイト移動システムが搭載されているので、その分は親しみやすくなっているような気がします。

何故、ここまでハードなタイプを発表したのかな?と思いました。
これまでもタイトリストのドライバーは素晴らしいものがたくさんありました。
特に私は913D3の印象が強いのですが、913D3は高い飛距離性能と易しさがあって、気に入っていました。

時が流れるにつれて、ゴルフクラブはどんどん『易しさ』へとシフトしていくのかと思っていたので、このドライバーはその流れに逆行しているようです。
骨太で硬派なドライバーです。

ドライバーに『上がりやすさ』や『曲がりにくさ』『安定性』を求めたい方には、はっきり合わないと断言できます。
それくらい、このドライバーには『尖ったところ』があります。
今の多くのニーズに合っていないので、それほど高い支持は得られないかもしれません。
アイアンのマッスルバックは『数量限定』になることも珍しくないですが、このドライバーもそうなのかな?と思いました。
それくらい、このドライバーは尖っていて、使い手を選びます。

人によっては取っつきにくいところもあると思いますし、尖ったタイプのドライバーですが、その分だけ、このドライバーがピタリとハマる方には、今の多くのドライバーでは得られないような頼もしさ・快感が得られるのではないでしょうか?
今の易しすぎるドライバーに不満をもっておらえる方。
今のつかまりやす過ぎるドライバーに苦手意識をもっておられる方。
左を怖がらず、しっかりと叩いていきたい方には、是非試していただきたいです。
ヒッター向けで、どんどん振っていけるドライバーです。
易しすぎるドライバーだと、時には緩んでしまうこともあるかもしれません。
しっかりしたドライバーだと、スイングがピリッと引き締まってくることもあると思います。
タイトリストは『983K』という名器を発表しましたし、顔は違うものの、その前のモデルの名器『975D』を少し思い出しました。
975Dよりも易しくて、飛距離も出ているのは間違いありません。
983Kはアーニー・エルス選手が使って大人気でしたし、975Dはタイガー・ウッズ選手がタイトリスト契約時に愛用していたことで有名です。
テーラーメイドのドライバーも素晴らしいですが、今日から開幕したマスターズで、タイガー・ウッズ選手がこのドライバーを使ったら、いい成績を残すだろうな・・・。と思いました。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆
音・・・・・・・☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆
安定性・・・・・☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。





Titleist TSi クラブシリーズ 2020年モデル

2020年06月05日
タイトリスト ユーティリティアイアン U-500

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト ユーティリティアイアン U-500 の3番 です。

シャフトは ATTAS MB-HY95 です。
ロフトは20度、クラブ長さは39.5インチ、シャフトフレックスはS、キックポイントは中調子 です。

とてもカッコいい、タイトリストのユーティリティアイアンです。
これまでたくさんのユーティリティアイアンに接してきましたが、タイトリストほど、その形をアイアンに近づけてくれているメーカーはありません。
他のメーカーではヘッドが大きすぎたり、プクッと膨れていて構えづらいものも多くありました。
タイトリスト 712U ユーティリティアイアンは今でも忘れられないユーティリティアイアンで、名器と呼ぶに相応しいクラブです。
このクラブが登場してから、ユーティリティアイアンの流れが、ガラッと変わった印象があります。
中途半端な形から、一気に『アイアン型』に近づいたような気がします。
ユーティリティというクラブは、ある意味微妙な位置にあるといいますか、ウッドでもなく、アイアンでもなく、まさにユーティリティプレイヤーで使い勝手の良いところが魅力です。
『線引き』が曖昧なのも、いいのかもしれません。
ウッド系のクラブが好きな方は、ウッド系のユーティリティを好まれると思いますし、アイアンやウェッジを好まれる方は『アイアンの延長』として、アイアン型のユーティリティを求められるのではないでしょうか?
私はそんなタイプで、ずっとアイアンの延長としてのユーティリティを探していました。
そんなときに712Uに出会い、すごく惚れ込んだのを覚えていますし、購入して今でも愛用しています。
今日は、その後継モデルに出会うことができ、テンションがあがりました。

タイトリストらしい、本格的なユーティリティアイアンです。
オーソドックスな形状で、奇をてらったところはありません。
大きさもちょうど良い感じで、アイアンとしての形を崩していません。
こうして見ていると、このクラブを『アイアンの延長』として作ってくれたんだな・・・。と、アイアン好き・タイトリスト好きの私は思いました。
タイトリストのアイアンが美しいのは多くのゴルファーが認めるところだと思いますが、その良いところが、このクラブにもしっかりと反映されています。
ゴルフクラブに限らず、『道具はまず形ありき』といいますか、見た目が良くないと興味が持てませんが、このクラブは既に興味津々です。

中空っぽい、ちょっと膨れたところは見られますが、極端ではないのがいいです。
これくらいであれば構えたときに邪魔にならないような気がします。
中空とポケキャビは『対極』にある、といいますか、『易しさ』という性能は同じでも、真逆の存在といっていいように思います。
ポケキャビタイプの、ユーティリティアイアンを見たことがないな・・・。と思いました。

トップラインが、かなり薄いのが印象的でした。
これまでの同様のユーティリティアイアンは必ずといっていいほど、ここの部分が分厚くて、ボテッとした感じが強調されて、あまり好きではありませんでした。
ウッド型ではないですし、かといってアイアンのニュアンスで構えられないので、中途半端な印象をもっていました。
しかし、このユーティリティアイアンにはそれがありません。

ソール幅は少しワイドに見えましたが、それはアイアンとして見ると、ワイドでもユーティリティアイアンとしてみれば、普通といいますか、むしろやや狭いほうだといえるのかもしれません。

ソールは全体的に丸みを帯びていました。

リーディングエッジが大きく削り込まれているのが分かりました。
結構目立ちます。
最近はアイアンでも、ソールの削りに工夫が見られるようになってきましたが、当然ながらユーティリティアイアンにも、その流れが来ているようです。

トレーリングエッジも丸みを帯びていて、鋭角的な感じはしません。
ヘッド全体は整っているのですが尖った感じはなく、どちらかというとやや『まろやか』といいますか、丸みを帯びているように見えます。

ネックの長さは適度にありました。
普通のアイアンと変わりません。

フェース面にミーリングはありませんでした。
タイトリストらしく、フェース面の質感が良く、チープさはありません。
チープさが出てしまえば、それはもうタイトリストのクラブとはいえないと私は思っています。

素振りをしてみた感じはまずまずです。
アイアン型ユーティリティなので、スチールシャフトが挿してあるモデルを探したのですが、この一本しか見当たらなかったので、このまま試打することにしました。
少し軽量タイプではありますが、シャフト自体は割としっかりとしていて頼りなさはありません。
何度か素振りを繰り返してタイミングを整えることができました。

ボールを前にして構えてみても、すごくいいです。
アイアンと全く同じ感覚で構えることができました。
昔からの『ロング顔』といったらいいでしょうか?
3番アイアンらしい構え感でした。
これはもう、完全にアイアンのイメージで打っていけるな・・・。と思いました。
昔からのロングアイアンでありながら、中空ということもあり、見た目以上の易しさがあるので、いい意味でのギャップが期待できるのではないか?と思いました。
トップラインが薄いのも、いい雰囲気を醸し出しています。
これまで出会ってきた多くのユーティリティアイアンは、ボテッとしていたり、いいイメージが出せずボヤけていたりしたものが多かったのですが、このクラブは全く違います。
完全に、昔から馴染みのある『3番アイアン』のイメージといいますか、昔の記憶をたぐり寄せながら打っていけそうです。
今は2番アイアンを見なくなりましたが 昔、2番アイアンと3番アイアンをクラブケースに入れて自転車に乗って、毎日のように練習場に通っていたのを思い出します。
雪の降る夜に、営業時間の終わりを告げる蛍の光が掛かるまで、広い練習場で独り黙々と打ち込んでいた記憶があります。
寒い日にはロングショットの練習が冷え切った体を温めてくれます。
実戦(コース)で、一番役に立って私を助けてくれたのは9番アイアンなのですが、ロングアイアンがスイングを教えてくれたといっても過言ではありません。
上からきっちりとヘッドを入れて上げないと、球は全く浮いてくれませんでした。
すぐに結果が分かるので、スイングの善し悪しを把握しやすかったです。
私はゴルフを始めた頃から、素晴らしい仲間たちに出会えたということもありますし、素晴らしいクラブにたくさん出会うことができた、幸せなゴルファーだな・・・。と改めて思いました。
少しグースが利いていますが、これくらいであれば気になりません。
昔からですが、今も『プル角』の効きが強いアイアンは見られますが、このアイアンはそんなタイプではなく、『開いている(開き顔)』ので、フッカーの私でも安心して構えることができました。
アイアン型のユーティリティを好まれない方には親しみづらいかもしれないですし、ラージサイズではないので、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
最近のアイアンは『スタンディング(ストロング)ロフト化』が進んでいて、各番手のフェースの見え方がバラバラになってしまっていて、『見え方の番手感覚』が薄らいでいるように感じられるのですが、このユーティリティアイアンを構えると、さすがに多くの方がフェースが立っていると気付かれるのではないでしょうか?
試打を開始しました

『打感』はソフトで好感が持てました。
当たり(球当たり)がきつくなく、優しくてフワッとした感じです。
中空らしく、やや薄い感じでペチャっとしたところもあるのですが、それが強すぎません。
こうして球を打っていると、一口に中空といっても、いろいろなフィーリングがあるんだな・・・。と思いました。
タイトリストのクラブなので、構え感や打感には気を遣っているというのが分かります。
このアイアンはタイトリストらしい、『グッドフィーリング』なクラブです。

『球のあがりやすさ』という点では、標準的な3番ユーティリティアイアンといった感じです。
特別あがりやすくなっているという印象は無かったのですが、いい感じであがってくれますし、不自然さはありませんでした。
私は昔の3番アイアンを経験しているので、すごく易しい3番アイアンだな・・・。と思ってしまうのですが、そういったクラブを経験していない方や、ウッド系が好きな方は球があがりづらくてハードに感じられるところがあるかもしれません。
最近の高機能クラブは確かに球があがりやすくなっていたり、曲がりにくくなっている特徴があるのですが、出球や球筋のイメージが合わないことも多くあります。
打ってみないと分からないことも多くて、意思が伝わりづらいと感じることもあります。
そういった点でも、このユーティリティアイアンはいい感じです。
『予想外』の動きをせず、イメージ通りに飛んで行ってくれました。
ユーティリティアイアンはたくさんありますが、それらの中でも、このアイアンは特別あがりやすいタイプではないので、幅広い層に対応しているとはいえないような気もします。
装着されているシャフトが、普段使い慣れているDGではなく、カーボンだったからなのかもしれませんが、イメージよりも高くあがってキャリーが出せました。
楽に打って、これだけの高さが3番アイアンで出せるとは、昔は思いませんでした。

『安定性』は、まずまずです。
とても構えやすいクラブですが、『高い直進性』で勝負するアイアンではないと思います。
私はフッカーだからなのか、最初からややドロー系の球が出ましたが、球がつかまりやすいという印象はありませんでした。
日頃スライスに悩んでおられる方は、球がつかまらず右に抜けてしまう球が出ることもあるかもしれません。
しかし、大顔タイプではないので、微妙な調整をしやすいところに好感が持てます。
大顔タイプでは、どうすることもできないということもありますが、このクラブは『感覚が伝わる大きさ』なので、使い込んでいけばいくほど、『手の延長』として働いてくれそうです。
『微妙に反応する感じ』といったらいいでしょうか?
マニュアル感のあるクラブです。

『飛距離性能』は、なかなかいい感じです。
打つ前はそれほど期待していませんでしたが、実際に打ってみると、打ち出しの高さと力強い弾道でビッグキャリーを稼ぐことができました。
3番アイアンというよりは、クリークの弾道に近いな・・・。と、弾道を目で追いながら思いました。
装着されているカーボンシャフトも大きく関係しているのかもしれません。
いつも使っているDGだと、弾道がもっと低くライナー系で抑えられているような気がします。
中空らしく『ペチャッ』とした打感ですが、弾き感は強すぎず、球を『乗せる』と『弾く』の中間くらいの印象をもちました。
アイアン型ユーティリティが好きで、今よりももっと楽に飛ばしていきたいという方には、是非試していただきたいです。
このクラブに装着されているシャフトもいいですし、今はドライバーだけでなく、ユーティリティ用のシャフトも充実しているので、色々と組み合わせてみるのもいいのではないでしょうか?

適度な大きさで構えやすいので、操作性はいいです。
左右へ曲げるのも簡単です。
ロフトが立っているクラブなので、普段試打している7番アイアンよりも、左右へ曲げるのが簡単でした。
先ほども書きましたが、私はフック系が持ち球なので、最初から、やや左に曲がる球が出ましたが、右に曲げるのも簡単です。
球が必要以上につかまり過ぎないので、右に抜いていくことも簡単です。
ヘッドが大きすぎると、フェースが返りきらないままヒットしてしまうことも多く、プッシュ気味の球がでやすいというのが昔からあったのですが、このクラブは適度な大きさだからなのか、しっかりとつかまったフェードも打ちやすいです。
『曲がりにくさ』『直進性の高さ』『スイートエリアの広さ』で勝負しているクラブではないと思いますが、余計な動きはしないですし、自分の感覚・イメージが伝わりやすいので、難しいという印象はありません。
最近は『直線』をイメージして運ぶクラブが多くなったような気がするのですが、このクラブは中空でありながら、どちらかというと『曲線』をイメージして運ぶことができたので、曲線をイメージすることが多い私は親近感が増しました。
試打後の感想

アイアン好きの私がとても楽しめたユーティリティアイアンです。
タイトリストはボールがあまりにも有名ですが、実はアイアンも名器揃いなのが有名なメーカーでもあります。
その名器を生み出すタイトリストらしい、ユーティリティアイアンだな・・・。と思いました。
これまでの、いい流れがしっかりと継承されています。

ユーティリティという名前は付いていますが、ユーティリティではなく、『普通の3番アイアン』という意識を持って、このクラブと接したほうがいいのではないかな?と思いました。
メーカーが付けた名前が全てではなく、ユーザーひとりひとりの印象やイメージで、そのクラブを判断してもいいと思います。

そういった意味では、今のアイアンはロフトが立ちすぎて番手が合わなくなっています。
今の多くのアイアンはロフトが立ちすぎてしまっていて、7番アイアンで『28度』というものもあります。
もちろん、実際にロフトを計測してみると、カタログ通りでないことも普通にあります。
そういった意味ではドライバーなどと同じように、『リアルロフト』と『表示ロフト』の二種類のロフトが存在するといっていいのかもしれません。
私の感覚では、28度といえば『5番アイアン』なのですが、今ではそんな感覚が通用しなくなってきています。
番手ごとのロフトは『4度ピッチ』が原則なので、7番で28度だと、3番では『14度』ということになってしまいます。
完全にスプーンのロフト(アイアンでいえばドライビングアイアン=1番アイアン)です。
しかし、実際はそうならないですし、3番アイアンではなくFWで、このロフトをカバーしています。

14本以内ということもありますし、今はアイアンのロフトが立ちすぎてセッティングが難しくなっているのか、アイアンが少ない方が多くなりました。
アンケートをとると、おそらくアイアン系のクラブよりも、ウッド系のクラブのほうが好きだという方のほうが多いのではないでしょうか?
それはボールの『低スピン化』も大きく関係していると思うのですが・・・。

これまでも書いてきましたが、私はウッド系よりはアイアン・ウェッジ系のクラブのほうが好きで、手にする時間も長いです。
なので、このユーティリティアイアンには好感を持ちましたし、タイトリストらしいクラブだな・・・。と思いました。
全体的な質感もいいですし、大きさや形状も、完全にアイアンです。
見た目(構え感など)にも妥協していません。
これまでは、アイアンには見えないけど、ユーティリティアイアンとメーカーが言っているから、一応そうなのかな・・・。と思いながら、違和感出まくりで中途半端な印象しかなかったクラブも多くありましたが、このクラブは完全にアイアン感覚で打てたので気に入りました。

ヘッドを上から入れるのが苦手な方にも、あがりやすくなっています。
適度な重心の高さであったり、工夫されているソール形状にも秘密があるのかもしれません。
今日は練習場もマットの上からの試打でしたが、実際の芝やラフでも、高いパフォーマンスを発揮してくれそうです。

アイアン好きな方の為のユーティリティアイアンといって過言ではありません。
ウッド系が好きな方や、ラージサイズのクラブが好きな方には、合いづらいところがあるような気がします。
幅広い層に対応しているクラブだとは思いませんが、アイアン好きな方には是非試していただきたいクラブです。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




2020年05月24日
タイトリスト ボーケイデザイン SM8 ウェッジ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト ボーケイデザイン SM8 ウェッジ


シャフトは Dynamic Gold です。
ロフト50度、クラブ長さは35.5インチ、シャフトフレックスはS200、キックポイントは手元調子、バランスはD3、クラブ総重量は465gです。

タイトリストボーケイの新しいウェッジです。
ウェッジといえば、昔からクリーブランドとボーケイが大きな存在感を放っていて、タイトリストのウェッジもいくつか使用してきましたが、私はどちらかというとクリーブランドを多く使ってきたこともあり、親近感をもっています。
もちろん、タイトリストのウェッジも好きで、いつも気になっています。
タイトリストには、海外メーカーに時々見られる、チープさもなく、どのクラブも美しくてフィーリングにもこだわっている印象があります。
ハイテクとフィーリングのバランスが上手くとれているのがタイトリストのクラブだと、これまで接してきて思います。

シャープでシンプルな形状です。
大きさも標準的で、ボーケイらしさがあります。
今はステンレス系のウェッジも増えてきましたが、やはり軟鉄の質感はたまりません。
ピカピカ光るミラー仕上げでないところも、好感度があがった要因です。

トップラインの幅も適正です。
これならシャープで色濃いイメージが出せそうです。
トップラインが厚すぎたり丸みがありすぎたりすると、イメージがボヤけてしまうこともありますが、さすがボーケイウェッジです。
こういったところにもきちんと配慮されています。
どのショットでもそうですが、特に微妙なフィーリングを要するアプリーチでは『イメージの出しやすさ・鮮明さ』が明暗を大きく分けますし、このウェッジはそれがとてもいいです。

バックフェースにある、この溝がよく目立っています。
ボーケイウェッジでは珍しいように思うのですが、他のメーカーのウェッジでは、これまでもよく見られました。
この溝には、どのような効果が期待できるのでしょうか?
重量配分の為なのでしょうか?

『VOKEY DESIGN』の文字があり、カッコいいです。
タイトリストファンの方やボーケイファンの方にはたまらないのではないでしょうか?

ソール幅は標準的です。
ロフトが50度ということで、AWという認識でいいと思うのですが、今はAやSといった刻印は見なくなり、ロフト表示が一般的になりました。
アイアンもそうなればいいと思うのですが、なかなかそのようになりません。
ドライバーからパターまで、全ての番手のクラブにロフトが表示されていると、プレイヤーも『ロフトピッチ』の意識が芽生えやすくなると思いますし、いいことも多いと思うのですが・・・。
ソール幅は、いわゆる『テーパータイプ』ではなく、トゥからヒールにかけてストレートに近いタイプです。
『オートマ系』のイメージを抱きやすいソール幅です。

ソール形状は平らに近いタイプですが、微妙に丸みを帯びていて、滑りが良さそうです。
リーディングエッジやトレーリングエッジは大きく削り込まれてはいませんが、少し丸みがあります。
ボーケイウェッジは前のモデルもソールのバリエーションが豊富なので、このSM8もいろいろなタイプのソールが用意されているのでしょうか?
今はウェッジをソールで選ぶ時代といえるのかもしれません。

ネックは、やや短めです。
ショートネックというほどではないですが、ちょっと意外な感じがしました。
もちろん、タイトリストのウェッジでは標準的といえる長さなのですが、もう少し長くてもいいかな・・・。と思いました。
この長さだと、ウェッジというよりはアイアンに見えてしまいます。
ウェッジはある程度重心が高いほうがスピンが掛かりやすくて有利なことも多いですが、メーカーもあえて、この長さにしているのだと思います。
少し重心を下げて、横から拾いやすくしているのでしょうか?

ホーゼルにはTitleistの文字があり、カッコいいです。
ここの部分には、『FORGED』や『MADE IN JAPAN』の刻印がよく見られるのですが、このウェッジはどうなのでしょうか?

とても綺麗なフェース面です。
ツルツルと滑りやすいフェース面ではありません。
質感が良く、使い続けても、いい味が出るだろうな・・・。と思いました。

装着されているグリップはソフトフィーリングで好感が持てます。
ウェッジに適したグリップです。
ベルベットタイプで、ソフトさだけでなく、しっとり感があるのがたまりません。
手への馴染みやすさという点でも、ナンバーワンといっていいグリップです。
微妙なフィーリングを活かしていきたいウェッジは、『堅い系』や『反発系』のグリップは適さないです。

ボールを前にして構えてみると、予想通りすごくいいです。
タイトリストなので、いい顔をしているのは予想していたのですが、その予想通りのいい顔で、とても構えやすいです。
ヒール側が『幅広』ではなく、キュッと絞り込まれているところにも魅力を感じました。
『丸顔』というよりは、『ティアドロップ顔』といっていいように思います。
『タイトリスト顔』というよりは、どちらかというと『クリーブランド顔』に近い印象をもちました。
すごく柔らかそうな感じがします。
ストレートネックなので、薄めでヒットしても拾いやすそうなところもいいです。
スコアラインの『下から2本目』で球を拾って運ぶ感覚が、『コツン』という音のイメージと共に、強く浮かんできました。

50度のウェッジなので、56度や58度ほど大きく開いて使うことは実戦ではあまり無いのですが、全く無いというわけではないですし、普通に開き気味に打っていくことはあるので、ちょっと開いて構えてみたのですが、いい感じです。
AWで開くときは私の場合、高くあげるというよりは、球の前へ進む力を少し上に逃がして球の勢いを弱くする目的があります。
特に砲台グリーンや下り斜面だと、『強い球』ではなく、『弱い球』でないと寄せられない場面は多いですが、そういったときに一番易しいのが『開く』という前準備です。
そして、そのまま進行方向に振っていけば、ボールの勢いを抑えたまま、カップに近づいていきます。
このウェッジは色々なことができそうだな・・・。と思いました。
こういった色々な駆け引きといいますか、いろいろな『技の引き出し』を出していけるのも、『小技の醍醐味』です。
試打を開始しました

『打感』はソフトでいい感じです。
ボールの乗りもいいので、『面で運ぶ感覚』が出していけます。
食いつく感じはあまり無いですが、『乗っかり感』は抜群で、フェースコントロールがしやすいです。

『スピン性能』も高く、ボールがよく止まってくれました。
激スピンタイプではないですが、安定してスピンが掛かり、コントロールしやすいのが特長です。
ウェッジに高いスピン性能は欲しいけど、掛かりすぎは嫌だという方は多いと思いますし、少し足(ラン)を使いたいという方には魅力的なのではないでしょうか?
最新モデルではありますが、これまでのモデルと比べて、スピン性能が高くなっているという印象はありませんでした。
相変わらず安定しているスピン性能です。

球も拾いやすくて、少々薄く当たっても運んでいけるのがいいです。
グースタイプを好まれる方には馴染みづらいところがあるかもしれませんが、私はこういうタイプが昔から好きです。

構えやすいので、ラインも出しやすいです。
キャビティタイプと比べると、それほど寛容さはないのかもしれないですが、気難しさのない、親しみやすい性能をもっています。

距離感も出しやすくて、いい感じです。
アプローチでもいいですが、フルショットでも距離感をつかみやすいです。
構えたときのフェース面を見て打ち出しの高さをイメージし、そのイメージのまま落とし所まで、運んでいく感じです。
グリーン回りでも役に立ちそうですし、100ヤード以内でも威力を発揮してくれそうです。

『操作性』は、かなり高いです。
クセのない、いい顔をしているということもありますし、『球の乗り』がいいので、扱いやすさが格段に向上します。
『オートマ系』でなく、『マニュアルタイプ』のウェッジで、『業師』の方に対応したウェッジといえます。
試打後の感想

いい意味で、『あまり変わらない』といいますか、目新しさのようなものは感じませんでした。
しかし、ウェッジに求められる機能は全て凝縮されていて、実戦的といえます。
すぐにでもコースで使ってみたいクラブです。

ボーケイウェッジはロフトバリエーションが豊富ですし、ソール形状も色々なタイプがラインアップされているので、色々と試してみたいです。

特にSWやLWがどのような感じなのか、興味があります。

タイトリストのウェッジが素晴らしいのは昔からですが、今は他にも優れたウェッジメーカーがたくさんあって、かなりハイレベルな争いとなっています。
私たちユーザーとしては、どれを選んでいいか迷ってしまうという贅沢な悩みもありますが、今日久しぶりにボーケイウェッジを試打して、やはりいいな・・・。と思いましたし、改めて好きになりました。

アプローチの練習が大好きな私は、他の番手のクラブと比べると、ウェッジはかける時間や球数が多くなることも多いのですが、今回もやはりそのようになってしまいました。
途中から、完全にマイクラブのような扱いをしていました。

とても楽しくて、なかなか試打を止められなかったのですが、このウェッジのおかげで楽しい時間を過ごすことができました。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆☆
スピン性能・・・☆☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆
距離感・・・・・☆☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






2020年03月25日
タイトリスト T400 アイアン


今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト T400 アイアン の7番 です。

シャフトは Tensei です。
ロフトは26度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、キックポイントは中調子、クラブ総重量は366gです。

タイトリストの新しいアイアンです。
T400という名前がついているので、Tシリーズのアイアンということでいいのだと思います。
先日、T300というアイアンを試打しましたが、後継モデルというよりは姉妹モデルという位置づけなのでしょうか?
この形や独特な立体感を見て、私はマッコウクジラを連想しました。
昔読んだ小説、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』を思い出しました。
キャプテン・エイハブは、私の中でのヒーローの1人でした。
これからは、このような『鯨型』アイアンが流行るのでしょうか?

かなり大型でヘッド体積があります。
普通のアイアンというよりは、中空っぽい外見です。
ユーティリティアイアンのように見えます。

彫りの深さもたっぷりあります。
最近はポケキャビが多いですが、このアイアンはバックフェースの中央部分が凹んでいます。
いわゆる『凹型キャビティ』です。
少数派ではありますが、キャビティには『凸型』もあります。

トップラインは、やや厚めです。

ワイドソールです。

この独特なソール形状に目が行きました。
このような形状は初めてです。
おそらく、この形状にも大きな意味があるのだと思いますが、どのような効果が期待できるのでしょうか?

ネックは短めで、グースが利いているのが分かります。
ヘッドが大きいので、『頭でっかち』に見えますが、タイトリストだからでしょうか?
質感が良くて、チープな感じはしません。
私が求めたいアイアンの形状とは違うのですが、質感は嫌ではありません。
むしろ、好感が持てます。

このバックフェースの形状を見て、以前試打した718 AP3というアイアンを思い出しました。

フェース面にミーリングはありません。
シンプルで均整のとれた、美しいフェース面です。
ソフトな打感をイメージさせます。

装着されているグリップは、これまでも数多く出会ってきたシンプルなタイプです。
最近、テーラーメイドやキャロウェイで見られるソフトなタイプとは違います。

ヘッドは大きいですが、全体的に軽量感があります。
カーボンシャフトが挿してあるということもありますし、見た目とのギャップがありますが、この軽量感を好まれる方は多いのではないでしょうか?

ボールを前にして構えてみると、予想していたよりもクセがなくスッキリしているので好感が持てました。
この独特な光沢感に、やはりタイトリストのアイアンだな・・・。と思いました。
グースタイプではありますが、それほど極端ではありません。
この大きさにしては、控えめなグースといってもいいような気がします。
トップラインは丸みを帯びているので、逃がすというよりは『包み込む』イメージを出しやすいという方も多いのではないでしょうか?
ラージサイズのアイアンは『フェースターン』をイメージしにくいものが少なくないのですが、このアイアンは違いました。
大顔ではありますが、いつもと同じような感覚で打てそうです。
試打を開始しました

『打感』は、なかなかいい感じでした。
硬くてゴツンとくることもなく、衝撃が少なめでした。
フェースにくっつく感じはなく、バンと弾く感じで、やっぱり中空だな・・・。と思いました。
中空独特の打感がありますが、好感が持てるほうです。
この打感だと、普通のアイアンというよりは、やはりユーティリティアイアンといったほうがいいように思います。
ユーティリティアイアンといえば、3番や4番というイメージがありますが、それが『全番手』に移行した・・・。といったらいいでしょうか?

球はとてもあがりやすいです。
重心も低そうですし、ヘッド内部にも、かなり工夫がされているのではないでしょうか?
外からは見えませんが、内部にはタングステンなどのウェイトも配置されているのではないかな?と思いました。
横からはらう打ち方が得意な方には、頼もしい存在となってくれるような気がします。

『安定性』はかなり高く、イージーです。
見た目通りのオートマチックタイプのアイアンで、シビアさは全く感じません。
大顔タイプらしい、大らかさがあって、打点のブレにも寛容です。
『美しいイージー系アイアン』という形容詞が、このアイアンにはピッタリではないでしょうか?

『飛距離性能』も高く、2番手くらいは違う飛距離性能があります。
しかも易しく飛ばせるので、スインガータイプの方にも合いやすいのではないでしょうか?
あがりやすさや大らかさも高いですが、飛距離性能が特に優れています。
アイアンに『易しく飛ばせる』機能を求めておられる方には、是非試していただきたいです。

『操作性』という点では、大らかさが勝ってしまうので、敏感に反応はしてくれませんでしたが、左右にも小さく曲げることができました。
それほど大きく曲げられるタイプではないので、インテンショナルなショットを打ちたい方には合いづらいかもしれません。
試打後の感想

球のつかまりもいいので、ラージサイズのアイアンだとつかまりきらずに右に抜けていた・・・。という方にも、易しく感じられるのではないでしょうか?

試打していて、さすがタイトリストだな・・・。と思いました。
大きさや形状など、好みではないところもあるのですが、全体的にいい感じでまとまっていて、質感もいいです。
チープさは無く、綺麗な仕上がりで好感が持てます。
これはタイトリストの長所です。

ゴルフクラブメーカーはたくさんあり、海外メーカーも多いですが、その海外メーカーのアイアンのなかで、私はタイトリストが一番好きです。
これは他社を大きく引き離しています。
機能性を求めても、それが嫌みになっていなくて、いい塩梅(あんばい)になっているところもいいです。
やはり、クラブは打つ前に、まず目で楽しみたいものです。

このアイアンの第一印象は良かったですし、実際に打ってみても、大きな不満に感じるところはありせんでした。
細かいところをあげればきりがありません。
例えば
1.大顔過ぎる
2.飛びすぎる
3.求める打感ではない
4.軽すぎる
などありますが、これは元々タイプが違うアイアンなのだから仕方ありません。

アイアンやウェッジよりも、ドライバーやFWのようなウッド系が得意な方に合いやすいのではないでしょうか?
ウッド系のイメージで打っていけるアイアンだと思います。
易しくてオートマチック性能も高いので、コースでも大きなミスにはなりにくいような気がします。

私はアイアンに中空構造を求めてはいないですし、まだ必要に感じてはいないのですが、これまでたくさん中空アイアンを試打してきて、やはりタイトリストが一番フィーリングがいいです。
これからも、このようなバランスのとれたクラブ開発も、タイトリストにはして欲しいです。
☆
構えやすさ・・・☆☆☆
打感・・・・・・☆☆☆
あがりやすさ・・☆☆☆☆☆
安定性・・・・・☆☆☆☆☆
飛距離性能・・・☆☆☆☆☆
操作性・・・・・☆☆☆
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2019年12月04日
タイトリスト 620 MB アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト 620 MB アイアン の7番 です。

シャフトは TRUE TEMPER AMT TOUR WHITE です。
ロフトは35度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS200、バランスはD2、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は432gです。

惚れ惚れするほど美しい、タイトリストのマッスルバックアイアンです。
2年に一度の楽しみといっていいように思います。

今はマッスルバックも色々なタイプが見られるようになってきましたが、このアイアンは昔ながらのオーソドックスなタイプです。
贅肉をそぎ落とした、必要最小限のものしかない、研ぎ澄まされた形状です。
車に例えると、『F1タイプ』といえるのではないでしょうか?

トップラインの厚みも標準的です。
最近は比較的厚めの物も増えてきましたが、このアイアンは標準です。
タイトリストは、このようにベーシックなタイプから、ハイテクを駆使したディスタンスタイプのものまであり幅広いので、タイトリストファンとしても、自分に合ったものを選びやすいという魅力があります。
海外メーカーの中でも、タイトリストは特に『目で楽しむ』ことにおいて、常に『トップ』といえます。

マッスルバックにしては、ネックが少し短く見えますが、これは今のアイアンの特徴のひとつといっていいように思います。
こういったところが、昔のマッスルバックと今のマッスルバックの違いです。
ボールの『低スピン化』が進んだからでしょうか?
アイアンのロングネックは見なくなりました。

ソール幅は、かなり狭いです。
昔の高重心アイアンを見ているようです。
この狭さなら、昔のアイアンと遜色ないと思います。
今は多くのメーカーが、アスリート仕様といっても『ワイド化』が進んできているように思うのですが、タイトリストだけは、その流れから逆行しているように感じられます。
この狭いソール幅に苦手意識が芽生えたり、親近感が持てないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
アイアンを上からではなく『横から』打つタイプの方には、合いづらいところがあるかもしれません。
ソールは『平ら』というよりは、全体的に丸みを帯びています。
今はリーディングエッジやトレーリングエッジが大きく削られているアイアンが多くなりましたが、このアイアンはそれほど極端ではありません。

フェース面にミーリングはありません。
タイトリストらしく、光沢感のあるフェース面です。
スコアラインも綺麗に整っています。
私はフェース面を見るときに、『スコアラインの両端』を見ることが多いのですが、このアイアンは綺麗に整っていました。
『スタンプ式』だから、簡単なのかもしれませんが、それでも綺麗に整っていないように見えたり、仕上げが雑な感じのアイアンは今でも見られます。
スコアラインの数も、7番アイアンとしては『標準』ともいうべき、13本でした。
数だけでなく、その間隔も日本らしい感じがします。

素振りをしてみても、適度な重量感としっかり感があって、タイミングがとりやすいです。
最近は軽量タイプを試打することも多くなり、その軽さに慣れる為に入念に素振りを繰り返すこともあるのですが、今日はそれほどでもなく、普通に臨めそうです。

装着されているグリップは、これまでも出会ってきたノーマルタイプです。
今はグリップも機能的になってきていますが、このグリップはそうでもないようです。
絶妙な『しっとり感』はありませんが、ソフトなフィーリングで無難なタイプなので、好まれる方も多いのではないでしょうか?

ボールを前にして構えてみると、このあまりの『男前さ』に、一瞬で私の目尻は下がってしまいました。
このアイアンは最初から、私の目尻を下げにかかっているようです。
今日、こうして試打するのが、まるで最初から決まっていたかのような『縁』を感じました。
見とれるだけでなく、ハッとするほどの美顔です。
すぐには打たず、しばらくこうして見ていました。
ストレートネックでトップラインは真っ直ぐで、昔からある顔ですが、すごくシャープで逃がすイメージが出しやすいです。
小顔タイプなので、ボールが大きく見えるのもいいです。
逆にヘッドが大きく見えたほうが、安心感があるという方もいらっしゃると思いますが、私はこのようにヘッドとボールとの対比で、ボールが大きく見えたほうが、安心感が増しイメージがより鮮明に浮かんでくるので、扱いやすさも増します。
タイトリストのアイアンをこれまでもたくさん試打してきましたが、タイトリストは本当に『顔』を大切にしているメーカーだな・・・。と思います。
かなり小振りなので不安を感じる方はいらっしゃるかもしれませんし、ストレートタイプなので、グースタイプのアイアンを好まれる方にも構えづらいところがあるかもしれません。
私の目尻はずっと下がりっぱなしで、口角はあがりっぱなしでした。
吐く息は白いですが、私の心は真っ赤に燃え上がっていました。
頭の中を、いいイメージが高速で駆け巡り、ワクワク感が止まりません。
このアイアンで、今から球を打つことができると思うだけで、嬉しさがこみあげてきました。
試打を開始しました。

一球目から、極上の打感を楽しむことができました。
ボールがしっかりとフェースの芯にくっついて乗っかり、そこからフォローで運ぶような感覚といったらいいでしょうか?
マッスルバックなどの厚みのあるアイアンでないと味わえない打感です。
今は『弾き系』のアイアンが多くなってきましたが、全く異なる打感です。
打感がソフトなので、球を打つのが楽しくてたまりません。
こういう小振りなアイアンは私の経験上、フェースの中央でもいいですが、少しヒール寄りで打つと、さらに『厚み』が増すように思うのですが、このアイアンもそんなタイプでした。
心地良い感触がしばらく、掌や指に残ります。
今日は寒さが厳しくて『かじかむ』ほどですが、こんな日にミスショットをして手がしびれてしまうと、余計にそれが強くなってしまいます。
ハードな打感は馴染めませんが、このようにソフトな打感なら、一年中いつでもOKです。
今はたくさんのハイレベルなクラブがあり、どれにしようか迷ってしまうこともありますが、『触感』で楽しませレくれるクラブというのは、そう多くありません。

『球のあがりやすさ』は自然な感じで、本来の7番アイアンらしさをもっています。
出球の高さが合いやすく、グーンと伸びていって、しっかりとキャリーを稼げるアイアンです。
ボールを潰しながら打つのがちょうどいいです。
今のイージー系アイアンのように、色々な工夫がされているようには見えないのですが、この自然な感じに好感が持てます。
タフな性質をもっており、明らかにヒッタータイプをターゲットにしたアイアンです。

『安定性』という点では正直であり、シビアなところもあります。
今は『面』で打てるアイアンが多いですが、このアイアンは明らかに『点』で打つタイプです。
寛容さはありません。
スイートエリアは狭いですが、芯で打てたときの感触は素晴らしいです。

最高レベルの操作性の高さです。
小振りなので、ストレートネックでもフェースがターンしやすいので、自然とつかまえてくれます。
これがもし、大きさは一緒でグースがきつくなってしまうと、かなり引っかけてしまうかもしれないですし、構えただけでイップスのようになって、始動のタイミングがつかめないかもしれません。
敏感に反応してくれるので、球を曲げて楽しんでいました。
クセは無く、左右同じように反応してくれます。
最近のアイアンはドライバーなどと同じように、大きく曲げるのは難しいと感じるものが多くなりましたが、久しぶりに左右に大きく曲げることができ、その大きな『弧』を楽しむことができました。
ビリヤードには『曲打ち』というものがありますが、ゴルフにも曲打ちができます。
それには、このようなアイアンが必須です。
練習場では多くの方が真っ直ぐ飛ばそうとしておられ、曲げる練習をしておられる方はあまり見かけませんが、自分の持ち球を磨くと同時に、逆の球筋でも曲げる練習をしておけば、実戦でもすごく役に立ちます。
コースでは練習場と違って、全てがフラットで広く、障害物が無い・・・。ということはあり得ないので、ストレートボールのフルショットではなく、色々な条件によって求められるスイングや球も変わってくると思います。
そのうちの一つが『曲球』です。

『飛距離性能』はノーマルです。
私の言う『ノーマル』というのは、『昔ながら』という意味であり、今のアイアンでは、はっきりと『飛ばない』といえます。
飛距離性能をアイアンに求めておられる方には、不満に感じるところがあるかもしれません。
適正な打ち出し角による『縦の距離感』を大切にしたいゴルファーの為のアイアンです。
球がしっかりと乗ってくれるので、距離感がとても出しやすいところが気に入りました。

最新のモデルではありますが、これといった新たな工夫がされているようには見えませんでした。
二年前のモデルよりはシャープさが増しているように見えますが、それ以外は特に変わったところは見られません。
これまで同様、『男前』で『グッドフィーリング』なアイアンです。
極上の打感を楽しめるので、一球一球を大切にされる方の為のアイアンといっていいのかもしれません。

マッスルバックらしい、『芯の狭さ』が個性ともいえるアイアンではありますが、それを利用して・・・。といいますか、小さいアイアンだからこそ、打点を揃えられるようになってくることもあると思いますし、ミスヒットしても、それを上手く『ごまかす』といいますか、なるべく大きなミスにつながらないよう最小限で抑えられるような技術も身につくのではないでしょうか?
『易しすぎる』アイアンでは、ミスがミスになりにくいので、こういった技術が身につきづらいような気がします。
今はクラブがたくさんの仕事をしてくれるようになりました。
それまではプレイヤーがやっていたり、気をつけていたりしたことを、クラブがカバーしてくれるようになりました。
クラブ開発の技術が向上し、それはとても素晴らしいことだと思うのですが、プレイヤー自身がもっとイニシアチブを握って、技術を高めていきたい・・・。という方にとって、このような正直なクラブは返ってくる答えも早くて明快なので、色々とつかみ取ることが多くなるのではないでしょうか?

先ほども書きましたが、前のアイアンよりもシャープさが少し増したような気がします。
タイトリストのアイアンといえば、『ミラー仕上げ』の印象が強いですが、このアイアンは『サテン仕上げ』っぽいところもいいです。
ピカピカ光るミラー仕上げも美しいですが、私は昔から『艶消し』タイプが好きなので、サテン仕上げや黒染めに魅力を感じます。

最近はなかなか見なくなりましたし、タイトリストでは見たことがないですが、『黒染め』のアイアンを発売しても面白いのではないでしょうか?
シブさが増してカッコ良くなります。
技術が進んで、黒染めであっても、普通のメッキタイプと同等かそれ以上に、そしてステンレスと変わらないくらいの強度・耐摩耗性をもったアイアンを使ってみたいです。

練習場は時々横風が吹き寒かったのですが、このアイアンのおかげで、ホットな練習ができました。
途中から試打していることを忘れ、完全に自分の世界に入ってしまいました。
夏はあまりやりませんが、寒さが増してくると、私はよくドライバーの打ち込みをやります。
今日も、その予定でいたのですが、このアイアンに出会って大きく変わりました。
惚れ惚れするほどの美顔とたまらない好感触があるので、目と手で楽しませてもらいました。
また何度でも試打したい、グッドなアイアンです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2019年11月11日
タイトリスト T100 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト T100 アイアン の7番 です。

シャフトは TRUETEMPER AMT TOUR WHITE です。
ロフトは33度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS200、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は431gです。

タイトリストTシリーズの新しいアイアンです。
先日T200とT300を試打しましたが、今日はT100です。
今回のモデルはどうやら『三兄弟』のようです。

高い機能性を感じさせる外見ですが、大きさは標準的です。
こうして見る限り、このアイアンは以前試打したAP2の後継モデルではないかと思えてきます。
名前は違っても、かなり共通点が多そうです。
タイトリストのアイアンは私の周りでも人気が高く、特にAP2をよく見かけていました。
易しくてカッコいいアイアンです。

彫りの深さは普通といった感じで、これまでと特に変わった感じはしません。
普通のキャビティアイアンといったところでしょうか?

トップラインの厚さも標準的で、輪郭もシャープです。

ソール幅は、やや狭いです。
狭いですが角張っていないので、それほどシャープさは感じません。

ネックは見慣れた長さです。
これまでのモデルと変わらないように思います。
この角度から見ると、このアイアンはいわゆる『ワンピース構造』でなく、いくつかのパーツが組み込まれているのが分かります。
これはAP2と共通するところです。

ホーゼルには『FORGED』の文字があります。
タイトリストのアイアンといえば、やはりフォージドです。

フェース面にはミーリングがありません。
すごくシンプルで美しいフェース面です。
この美しさ・スコアラインの間隔・幅・数・・・と、すごく日本的な感じがしますが、これはタイトリストに共通します。
ライバルメーカーである、テーラーメイドのアイアンとの違いが一目瞭然です。

装着されているグリップは、これまで通りシンプルなタイプです。
特に工夫は見られませんが、ソフトなフィーリングで好感が持てます。

素振りをしてみると、好感が持てました。
手頃な重さでタイミングもとりやすいです。

ボールを前にして構えてみると、予想通りの美顔でいい感じです。
クセの無いストレート顔で、いいイメージが描けます。
結構小振りな感じがするので、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はボールが大きく見えるので、イメージが色濃く出せるので好きです。
トップラインも少し薄めな感じなので、厚めのトップラインを好まれる方にも、やや親しみづらいところがあるかもしれません。
顔の好みは人それぞれですが、私は大好きです。
こうして構えていると、マッスルバックやハーフキャビティと遜色ない男前なところが光ります。
以前試打したAP2にも言えることですが、この構えやすさがあって、『易しさ』も加わっているので、人気が出るのも当然のような気がします。
試打を開始しました。

『打感』はソフトで、好感が持てました。
期待通りのグッドフィーリングです。
機能性を感じさせますが、『球当たり』が優しいアイアンです。

球もあがりやすくて、タフな感じはしません。
こうして見ると、かなり小振りで難しそうに見えてしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、見た目がマッスルバックのようであっても、ヘッドに色々な工夫がされているので、いい意味でのギャップのあるアイアンといっていいように思います。
ただ、ヒッター向けのアイアンであることは明らかです。

『安定性』という点では、小振りなタイプでありながら、大らかさもあって易しさを感じます。
構えた感じはマッスルバックのようであっても、マッスルバックほどのシビアさはありません。
これが、このアイアンの最大の長所といえるのではないでしょうか?
決して易しさ最優先のイージーアイアンではないですが、ある程度打点をまとめてしっかり打ちたい方には合っているように思います。

『飛距離性能』は、今のアイアンでは普通か、やや飛ばないほうといえるかもしれません。
今はアスリート仕様のアイアンでも距離が出やすくなっていて、このアイアンにも同じように感じられますが、飛びすぎないところに信頼がもてます。
私の中では、『やや飛び』アイアンです。

『操作性』は高いです。
左右どちらにも反応してくれました。
操作性が高く、気難しいタイプではないので、気軽に攻めていけそうです。
ドローヒッターの方にも、フェードヒッターの方にも合いやすいアイアンです。

タイトリストらしい、カッコ良さと美しさがあって、打感の良さと操作性が高いアイアンです。
あらゆる角度から見て、とてもバランスがとれています。

小顔タイプなので、もっと大きいほうが安心感もあっていいという方もいらっしゃると思います。
そういう方には、先日試打したT200やT300のほうが合いやすいかもしれません。

メーカーも色々な人に対応できるように『三兄弟』にしているのではないでしょうか?
それぞれ個性は違いますが、共通しているのは『男前』であることと、『打感』がいいことです。

『T100』『T200』『T300』という三兄弟の中で、私はこのT100が一番気に入りました。
マニュアルタイプのアイアンですが、セミオートマチック的な要素も持っていて、その『いいとこ取り』されたバランスの良さも魅力的なアイアンです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2019年10月09日
タイトリスト 620 CB アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト 620 CB アイアン


シャフトは AMT TOUR WHITE です。
ロフトは34度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS200、バランスはD2、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は433gです。

タイトリストの、新しいキャビティアイアンです。
この美しいデザインに見とれてしまいました。
以前試打した718CBの後継モデルであることは想像に難くないのですが、デザインが一新されました。
これまではシンプルということもあり、何となくマンネリ感もありましたが、この最新モデルはカッコいいです。
今のアイアンの多くは、センターよりもトゥ寄りに色々なものが見られることもありますが、このアイアンは少しヒール寄りに寄っているのがいいです。
小振りアイアンらしいところといえるでしょうか?

オーソドックスなタイプで、大きさも標準的です。
タイトリストアイアンらしい、軟鉄のいい雰囲気が私の脳を刺激してきます。
試打する前の楽しい時間でもあります。

彫りは浅く、これまで通りのハーフキャビティといっていいように思います。
どの角度から見ても美しいアイアンは、いい目の保養になります。
タイトリストらしいデザインで、私の目尻は下がりっぱなしです。
最近は『ドライ』な感じで試打することもありますが、今日はそうはいかず、テンションも上がりっぱなしような気がしました。

トップラインも標準的です。
これまでのモデルと変わらないように思います。

ソール幅の広さも標準的です。
『絶妙』な幅だな・・・。と思いました。
これ以上広いと、色々なミスを誘発してしまいそうですし、狭くなるとハードルの高さを感じさせるかもしれません。
今はソールにタングステンなどの異材が組み込まれていることも多くなりましたが、こうして見る限り、異材のようなものは見られません。
『ワンピースタイプ』のアイアンなのかもしれません。

ネックの長さも標準的です。
昔のアイアンを経験している者としては、やや短く見えるところもあるのですが、これくらいが今の標準といっていいように思います。
ストレートタイプで、いい感じです。
最近は『頭でっかち』なタイプが多くなってきたので、このようなノーマルなタイプを見ると、何故かホッとします。
まだまだ需要があるんだな・・・。と思えてきます。

ホーゼルには『620 FORGED』と刻印されています。
620とは、どういう意味があるのでしょうか?
前のモデルが『718』だったので、次のモデルは『720』になるだろうと予想していたのですが、違いました。
おそらく、何らかの意味があるとは思うのですが、性能的に意味が無いと思うので、気にしないことにしました。

フェース面にミーリングはありません。
これまで通り、ノーマルなフェース面です。
今までのタイトリストのアイアンに触れてきているからなのかもしれませんが、見るからに柔らかそうな感じが伝わってきます。
フォージドアイアン好きにとって、たまらないフェース面です。

装着されているグリップはシンプルなタイプです。
特にこれといった特徴は無いですが、ソフトなフィーリングで好感が持てます。
今、最も多くのニューモデルに採用されているグリップといっていいのではないでしょうか?
いい意味で、『無難』なグリップです。

素振りをしてみても、適度な重量感としっかり感があって、タイミングが取りやすいです。
『振り心地』が合わないアイアンだと、こちらからクラブに合わせにいかなくてはならないときもあるのですが、今日はそれが不要でした。
余計なことを考えず、スイングに集中できました。

ボールを前にして構えてみると、予想通りの美顔で、思わずウォーと小さな声で唸ってしまいました。
隣の打席には人が練習しておられたので邪魔にならないよう、なるべく大人しくしていたのですが、気持ちはずっと高ぶっていました。
ボールとの絶妙な対比感。
トップラインの美しさ。
スコアラインの適正な数。
逃がすイメージが出しやすい。
様々なプラス要素が凝縮していました。
少しだけグースが利いているように見えましたが、気にならない程度でした。
グースネックを好まれる方の中には、もっとグースが利いて欲しいという方がいらっしゃるかもしれません。
しばらく見とれてしまって、何といいますか、『ほんわか』した温かい空間の中にいるようでした。
この美顔は他社と比べても、群を抜いています。
タイトリスト以外にも、優れた海外メーカーがたくさんありますが、これほどの美顔と独特な雰囲気は、他のメーカーでは見られません。
カスタムモデルでなく、量販モデルでありながら、チープさは全くありません。
目尻はずっと下がりっぱなしですが、対照的にテンションがぐんぐんうなぎ登りです。
今から、このアイアンで球を打てるのかと思うだけで、すごく贅沢に感じられます。
試打を開始しました。

『打感』は、かなりソフトで抜群のフィーリングでした。
これまでのモデルを試打しているので、このグッドフィーリングは予想できたのですが、それでもやはりいいな・・・。と思いました。
ボールとの『密着感』といったらいいでしょうか?
ゴルフクラブにおいて、ボールとの唯一の接点はフェース面ですが、このようなアイアンの場合、それがフェース面だけでなく、ヘッド全体でボールと接しているようにさえ感じられます。
『溶け込むほどの密着感・接触感』といっていいのかもしれません。
このように感じられるのは、ベーシックタイプの特権といえるような気もします。
ディスタンスタイプの弾き系アイアンでは得られない、極上のフィーリングです。
一球打つ度に、極上のフィーリングを楽しめるので、一球毎の単価も上がっているような気さえしてきます。

球のあがりやすさも自然な感じで、『ロフト通り』です。
いわゆる『ハイテクなあがりやすさ』があるわけではないですし、あがりやすくなるような工夫も見られません。
今はイージー系のアイアンが多いので、そういった意味では、ややハードルが高いと言わざるを得ないのかもしれませんが、こういったナチュラルな物を求めておられる方は、今でもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
本来の7番アイアンらしい出球の高さで、しっかりと浮いてくれるので、グリーンを上から攻めていくイメージが出せます。

『安定性』という点では、ハーフキャビティらしい正直さがあって、それほど寛容とはいえないかもしれません。
ニューモデルではありますが、『易しさ』において、それほど追求されていないと思います。
『易しい』ことも性能のひとつですが、『易しすぎない』ということも性能のひとつです。
寛容さを求めておられる方には親しみづらいところがあるかもしれませんが、はっきりした性格のアイアンを求めておられる方には、とても魅力的なアイアンといえるのではないでしょうか?
スイートエリアは、それほど広いとは思いませんでした。

『飛距離性能』も標準的で、それほど秀でている感じはしません。
今はやりの『ディスタンス系』ではなく、『ベーシック系』です。
易しく飛ばすタイプのアイアンではなく、しっかり打って、自分の意図するところに着地させる為のアイアンといった感じがします。
ディスタンス系で距離感を出していける方はそのままでいいと思いますが、ディスタンス系は確かに飛ぶけれど、どうしても縦の距離感が曖昧になってしまう・・・。という方はたくさんいらっしゃると思います。
そういった方に、是非試していただきたいです。

『操作性』は、かなり高くクセが無いので、左右に大きく曲げることができました。
シビアな場面で力を発揮してくれるといいますか、長く使っていけるタイプのアイアンです。
直線ではなく、自分の持ち球である曲線で勝負していけるところが魅力的です。

アイアンに対して求めるものは人によって様々だと思いますが、易しすぎないアイアンを求めておられる方。
扱いやすくて打感のいいアイアンを求めておられる方には、かなり魅力的なのではないでしょうか?

『純度が高い』といいますか、必要最小限のものしか無いので、プレイヤーの感性や技術を、そのままショットに反映していけそうです。
『操ることの楽しさ』を味わうことができるアイアンです。

いわゆる『易しさ(あがりやすさ・寛容さ)』という点では、それほど秀でている感じはしないので、そういったものを求めておられる方には、以前試打したT200やT300のほうが合いやすいように思います。

カッコ良くて打感も良く、操作性の高い、ハイレベルなアイアンです。


2019年09月26日
タイトリスト T200 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト T200 アイアン の7番 です。

シャフトは N.S.PRO 950GH neo です。
ロフトは30度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、キックポイントは中調子、クラブ総重量は418gです。

タイトリストの新しいアイアンです。
先日T300というアイアンを試打しましたが、今日はT200です。
このTシリーズが新しいタイトリストのアイアンなのでしょうか?
今まであったAPシリーズの代わりなのでしょうか?

機能性あふれるデザインです。
これまでのAPシリーズよりも進化しているように感じられます。
少し面長に見えますが、極端ではありません。
『フェース高』は、やや低く見えますし、セミシャロータイプのアイアンといっていいように思います。
鏡のようにピカピカしている、まさにミラー仕上げのアイアンです。
私は艶消しのサテン仕上げのほうが好きですが、このミラー仕上げも昔から人気が高いですし、好まれる方も多いのではないでしょうか?

彫りの深さは結構あります。
フルキャビティとハーフキャビティの間くらいでしょうか?
今まで見たことがないようなバックフェースで、機能的で個性を感じさせます。

トゥ側にある、このウェイトのようなものが目立っています。
これは先日試打したT300にも見られました。
おそらく目的は同じだと思いますが、フェースの中央ではなく、この位置にあるのがミソのような気がします。
フェースの中央付近やヒール寄りでいつもヒットしておられる方には、ちょっと気になるところだと思いますが、この位置にすることで大きなメリットが得られるのかもしれません。
日頃トゥ寄りでヒットしておられる方には、ここの位置が『センター』といえるかもしれないですし、重心距離をあえて長めにする狙いがあるのかもしれません。
近くで見てみると『IMPACT M MAX』という文字があったので、やはりインパクトが意識されているのだと知りました。

トップラインの厚みは標準的です。
ヘッドの形状から、やや厚めを予想していたのですが、違いました。

ソール幅は少し広く見えましたが、今では普通といえるでしょうか?
リーディングエッジもトレーリングエッジも、微妙に削られています。
かなりピカピカ光るので、『削り』をあまり目立たせないのですが、明らかにありました。
特にトレーリングエッジの丸みが目立っていました。

ネックの長さは、今のアイアンの中でも平均的なタイプです。
ストレートではなくネックの途中で、ぐいっと曲げられている感じです。
最近のアイアンで、このようなタイプは、あまり多くないような気がします。

フェース面にミーリングはありませんでした。
よく見られる、いい意味での『普通』のフェース面です。
タイトリストは海外メーカーですが、ヘッド全体の雰囲気もそうですし、このフェース面を見ても、すごく綺麗で『見た目の良さ』にこだわっているのが分かります。
タイトリストのクラブに出会って、かなりの年月が経ちましたが、昔からそのような印象があります。
フェース面を見て、仕上げが雑だったりチープに見えてしまったりするアイアンやウェッジは今でも見られますが、タイトリストのアイアンやウェッジには見られません。
こういったところがすごく好きですし、タイトリストファンのハートをしっかりとキャッチしているのではないでしょうか?

装着されているグリップはソフトなフィーリングで、いい感じです。
今年のモデルは、このグリップで統一されているのかもしれません。

素振りをしてみると、やや軽量感はありますが、なかなかいい感じです。
タイミングもすぐに合わせることができました。
これからは N.S.PRO 950GHではなく、 このN.S.PRO 950GH neoが主流になっていくのでしょうか?
N.S.PRO 950GHのマイナーチェンジモデルだと思うのですが、それほど大きな違いはないように感じます。

ボールを前にして構えてみると、好感が持てました。
ちょっとクセがキツいタイプではないかと思っていたのですが、タイトリストのアイアンだから、この整った顔は当たり前なんだな・・・。と思いました。
ヘッドに工夫をして機能性を高めても、この構えやすさ・顔の良さが、タイトリストのプライドなのではないでしょうか?
構えながら、そう思いました。
少し面長感がありますが、気になるほどではありません。
あくまでも『私の好み』としては、もう少し小振りなほうがいいですが、このままでも全く問題ありません。
バックフェースにある、トゥ寄りのウェイトのことは完全に意識から消えました。
トップラインがやや薄めで、スーッと真っ直ぐ伸びているので、いいイメージが湧いてきました。
トップラインはカーブを描いていて丸みがあったほうが、『包み込む』とか『つかまえる』イメージが出しやすいから好きだという方もたくさんいらっしゃると思いますが、私はこのように真っ直ぐなほうが好きです。
私がフッカーだからというのもあるのかもしれませんが、『つかまえ顔』よりも『逃がし顔』のほうが安心感もありますし、イメージがはっきり浮かんできます。
試打を開始しました。

『打感』は、なかなかいい感じでした。
すごくソフトなフィーリングというのではなく、ややしっかりとした感じですが、硬すぎず手に馴染むところがありました。
フェースの弾き感があって、乗る感覚はあまり無かったのですが、方向や高さをつかみとりやすい打感です。
ディスタンス系やオートマ性が強すぎると、いわゆる『ノー感』になってしまう恐れがありますが、このアイアンはそこまでではないような気がします。
トゥ寄りで打ってみようとしたのですが、なかなか思うようにできませんでした。
しかし、フェース中央で打っても、いいフィーリングを得ることができました。

弾道が高く、球はしっかりあがってくれます。
カッコいいデザインのアイアンですが、タフさは全く感じません。
装着されているシャフトもそうですし、かなりあがりやすくなるように、ヘッドにもいろいろな工夫がされているのではないでしょうか?
いくらあがりやすいアイアンでも、ワイドソールがキツすぎると、私は苦手意識が芽生えてしまうこともあるのですが、このアイアンは適正な幅でありながら、しっかりとあげてくれるので好感が持てました。
ただ、私はもうちょっと重量が欲しいと思ったので、できればDGかモーダスでも試してみたいです。

『安定性』もいい感じで、イージーです。
高機能キャビティらしい、『セミオートマチックタイプ』といっていいように思います。
シビアさは全く感じません。
やや面長なタイプですし、ウェイトのようなものもあるので、重心距離は少し長めだと思うのですが、プッシュすることなく、しっかりとつかまってくれました。
一球目から、ほぼストレートに近い、いい感じのドロー系のボールを打たせてくれました。
易しいアイアンですが、不自然に易しいのではなく、ちょうどいい感じの『さじ加減』ができているアイアンといったらいいでしょうか?
易しさを楽しみながらも、決して感性を鈍くしないアイアンだと思います。

『飛距離性能』も優れています。
コントロール系ではなく、ディスタンス系のアイアンではありますが、今はこういったタイプが多いので特別感はありません。
しっかり打ち込まなくても、優しくボールを拾っていく感じで、大きなキャリーを生んでくれるアイアンだな・・・。と思いました。
アイアンは飛距離最優先ではないけれど、やはりある程度の距離は欲しい・・・。という方には、ちょうどいい飛距離性能といえるのではないでしょうか?
私はよく飛ぶな・・・。という感覚がありますが、今はディスタンス系が殆どなので、それほど大きく目立つ感じはしません。

『操作性』という点では、ややオートマ性が勝るので、敏感さはあまり無いように感じたのですが、それでも左右に曲げることはできました。
面長タイプですが、『曲げにくい』と感じさせるほどの直進性ではありません。
カッコいいアイアンですが、見た目以上に寛容なところがあり、プレイヤーの意思をくみ取ってくれるところがありました。
ドローヒッターの方にも、フェードヒッターの方にも扱いやすい、頼りになるアイアンといっていいのではないでしょうか?

タイトリストらしい、カッコ良さとフィーリング性能が高いアイアンです。
それでいて、気難しいタイプではなく、かなり大らかなところがあります。
いわゆるハードルの高いアイアンではなく、親しみやすいアイアンです。

最初にこのアイアンを見たときは、どんな打感なのか想像できなかったのですが、思っていたよりも良かったので、好感度もあがりました。
機能性とフィーリングのバランスがとれているアイアンです。

かなりピカピカ光るのも印象的で、光沢があるのも、このアイアンの特徴で、高級感を醸し出しています。
機能的でありながら、決してプレイヤーのフィーリングを邪魔せず、一球一球楽しませてくれるアイアンです。

いろいろな部分の『いいとこ取り』した感じがしますが、そのバランスが絶妙にとれています。
さすがはタイトリストのアイアンです。
2019年09月02日
タイトリスト T300 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト T300 アイアン の7番 です。

シャフトは N.S.PRO 950GH neo です。
ロフトは29度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、キックポイントは中調子、クラブ総重量は417gです。

タイトリストの新しいアイアンです。
この時期にタイトリストのニューモデルに出会うことができて、とても嬉しく思います。
タイトリストは他のメーカーと比べて、ブランドが少ないような気もしていたのですが、この『Tシリーズ』は新たなブランドでしょうか?

小振りというよりは、やや面長なタイプのアイアンです。
輪郭も丸く、シャープさというよりは、親しみやすさを醸し出しています。


何といっても特徴的なのは、バックフェースにある、このパーツです。
これはどんな意味があるのでしょうか?
これまでの経験から、おそらくウェイトの役目を果たしているのだろう・・・。と思ったのですが、実際のところは分かりません。
しかも、フェースの真ん中ではなく、少しトゥ寄りに配置されています。
一般アマチュアゴルファーはフェースの真ん中ではなく、トゥ寄りでヒットすることが多いから、この場所に組み込まれている・・・。ということなのでしょうか?
昔一世を風靡した『タラコアイアン』を思い出しました。
タラコアイアンのTVCMを昔観たことがあるのですが、まさにアマチュアの打点はトゥに寄っているので、フェースを長くしてスイートスポットをトゥ寄りにしている・・・。というものでした。
私はそのCMを観て、なるほどなぁ・・・。と思ったのですが、その反面、一生そのままでいいのかな?本来のスイートスポットであるセンター(あるいはややヒール寄り)で打てるように練習しなくてもいい・・・。ということなのかな?と思い、疑問を持っていたのも事実です。
まるで『上達しなくてもいい』というように解釈できたからです。
それともフェースの真ん中で打てるようになったらタラコアイアンは卒業して、普通のアイアンを使う・・・。ということなのかな?と思いました。
とにかく、とても印象的なクラブとTVCMでした。
一風変わったクラブでしたが大人気でしたし、その流れは今も面長なアイアンが多いということで続いているのではないでしょうか?

彫りの深さもたっぷりありますが膨らみすぎず、ボテッとしていないところがいいです。
こういったところはタイトリストらしいです。
タイトリストは海外メーカーですが、どこか日本的なところがあるように感じます。
それはボールというよりも、クラブ全般にいえます。
チープさは無く、質感がいいのも特長です。

トップラインは少し厚めですが、極端ではありません。
これくらいであれば、構えたときにイメージがボヤけることはなさそうですし、今はやや厚めを好まれる方が多いのではないでしょうか?
昔のように薄いタイプは見かけなくなりました。

ソール幅は標準的ですが、今はもっとワイドなものが多くなってきているので、狭く見える方もいらっしゃるかもしれません。
このソール幅はタイトリストらしいな・・・。と思いました。
タイトリストはワイドソールのイメージが無いからかもしれません。
ソールの適正幅は、使う人によって変わってくるのかもしれませんが、ワイドソールが苦手だという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

ネックの長さは標準的です。
今一番よく見られる長さです。
こうして見ても、このアイアンが『ワンピースタイプ』ではなく、異材が組み込まれているのが分かりました。
おそらく重心が低くなるように、工夫されているのではないでしょうか?

ソール全体は、やや丸みを帯びていますが、それほど極端ではありません。
リーディングエッジとトレーリングエッジも微妙に削られていて、抜けの良さにもこだわっているようです。
昔は角張ってシャープなものが殆どでしたが、今は全く異なっていて、丸みを帯びているものが圧倒的に多くなりました。

フェース面にミーリングはありませんでした。
これまで通りのノーマルなタイプです。
タイトリストのアイアンにミーリングのイメージは無いですが、このアイアンもその通りでした。

装着されているグリップはソフトなフィーリングで好感が持てます。
これまでもよく採用されてきた、シンプルなタイプです。

素振りをしてみると、なかなかいい感じでした。
やや軽量感はあるのですが、すぐにタイミングを合わせることができました。
このシャフトがN.S.PRO 950GHのニューモデルなのでしょうか?
DGやモーダスでは重すぎる・・・。だけどカーボンではなく、スチールを使っていきたい・・・。という方にマッチしたシャフトといえるのかもしれません。

ボールを前にして構えてみると、予想以上にいい顔をしていたので、意外でした。
もっとクセのある顔をしているだろうと思っていたのですが、違いました。
しかしタイトリストのアイアンだから、いい顔に仕上げてくるのは当たり前だな・・・。とすぐに思い直しました。
機能性を重視しながらも、決してフィーリングを疎かにしない、こだわりが感じられるメーカーです。
やや面長なタイプですが、極端ではありません。
セミラージサイズといっていいと思います。
私はもうちょっと小振りでもいいかな?と思いましたが、これくらいの長さがちょうどいい・・・。という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
安心感を与えながらも、決してイメージの邪魔をしない、絶妙な大きさだな・・・。と思いました。
少し大きめではありますが、全体的な形が崩れていないのがとてもいいです。
グースもきつくなく、セミグースといっていいと思います。
この顔ならば、グースネックが苦手だという方でも、親しみやすいのではないでしょうか?
試打を開始しました。

『打感』はソフトで、いい感じでした。
少しトゥ寄りでヒットしようと思ったのですが、真ん中付近でヒットしてしまいました。
バックフェースにあるパーツとは位置がちょっとズレていましたが、それでもいい感触を与えてくれました。
何とかトゥ寄りでヒットしようと、ややカット目に打って打感を確かめてみたのですが、真ん中とほぼ変わらない、いいフィーリングでした。
普段からトゥ寄りでヒットする方には、すごく好まれやすいフィーリングといえるのではないでしょうか?

球はとてもあがりやすいです。
ラージサイズでワイドソールの超低重心アイアンと遜色ないあがりやすさです。
それほど速いヘッドスピードを要求しない、スインガータイプの方にも親しみやすいアイアンといっていいと思います。
易しさを感じさせるデザインでありながら、決して違和感を抱かせない・・・。
そんな絶妙なバランスがしっかりとれたアイアンだな・・・。と思いました。

『安定性』も高く、キャビティらしい易しさが充分堪能できます。
比較的整った顔立ちをしていますが、シビアさは全く感じさせません。
トゥ寄りでヒットしないと球がブレてしまうのかな?思いましたが、そんなことはありませんでした。
センターで打ってもヨレることなく、しっかりとした球筋を描いてくれました。

『飛距離性能』も優れていて、今のイージー系アイアンの要素を全部もっているような気がします。
私の感覚では明らかに『2番手』の違いがありますが、今はこれくらいが当たり前になってきました。
最初見たときは、ここまでの『ディスタンス系』ではないような気がしていたのですが、実際は明らかにディスタンス系でした。
ゆっくり振っても、しっかりとキャリーを稼いでくれますし、高さも出せました。
いくら飛距離がでるからといって、不格好なアイアンは使いたくない・・・。構えやすくて打感のいいディスタンス系アイアンを使いたい・・・。という方には、かなり魅力的なアイアンといえるのではないでしょうか?

『操作性』という点では、まずまずでした。
マッスルバックのような反応の速さはありませんが、キャビティらしい扱いやすさをもっています。
変なクセは感じられませんでしたが、どちらかというとフェード系が打ちやすいアイアンだな・・・。と思いました。

いい意味で、最初の印象と構えたときの印象にギャップがあるアイアンです。
正直、ここまでいい顔をしているとは思っていなくて、ちょっとクセのある顔をしていて、構えづらいのではないかな?と思っていましたが、実際はそんなことはなく、普段通り構えることができましたし、終始リラックスして試打を楽しむことができました。

バックフェースにある、このパーツはおそらくウェイトの役目を果たしているのだろう・・・。と思いましたし、そこの部分でヒットしたときの振動を抑える役目があるのだろうと思いましたが、試打していてそれをはっきりと感じ取ることはできませんでした。
見た目のインパクト大ですし、おそらく大きな意味があるのだろうと思います。

易しすぎないから易しい・・・。
ちょっと矛盾した言葉かもしれませんが、試打しながら、そのようなことを考えていました。

それは易しさを重視しながらも、それが極端過ぎず、いい『さじ加減』ができていて、フィーリングを疎かにしていない・・・。ということです。
タイトリストらしい心配り・・・。といったらいいでしょうか?
そういったことも、タイトリストのイメージにつながっていますし、タイトリストファンの心を揺さぶるのではないでしょうか?

易しく飛ばしていけるタイプなので、アイアンに飛距離性能を求めておられる方にも、魅力的なアイアンといえるのではないでしょうか?
今のイージー系アイアンは、ただ単にミスに対しての許容度や球のあがりやすさだけでなく、飛距離性能も求められています。
それを、このアイアンは見事に実現しています。
私はアイアンに、このような性能を求めていないのですが、これも高まったニーズに応える為にメーカーが開発しているのだと思います。

見た目のインパクト大ですが、クラブ全体としてはオーソドックスで、今のアイアンの流れをくんでいます。
高い機能性をもちながらフィーリングを邪魔しない、タイトリストらしいアイアンです。
2019年07月28日
タイトリスト TS1 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TS1 ドライバー です。

シャフトは Diamana 50 です。
ロフトは9.5度、クラブ長さは45.75インチ、シャフトフレックスはS、トルクは5.5、シャフト重量は50g、バランスはD2.5、キックポイントは先中調子、クラブ総重量は275g です。

タイトリストTSシリーズのニューモデルです。
つい先日、TS2やTS3を試打したような気がしていたのですが、早くもニューモデルの登場です。
ニューモデルとはいっても、かなりデザインも似ていますし、TSシリーズに新たな仲間がラインアップされたといったほうがいいのかもしれません。
『TS』とはどういう意味があるのでしょうか?
私はすぐに『ツアーステージ』を連想したのですが、BSなので、それはあり得ません。
何か違う意味が込められているのだと思います。

ラージサイズでシャロータイプのヘッドです。
私はもっとディープでコンパクトなタイプを予想していたのですが違いました。
『2』のように偶数はシャローで、『3』のように奇数だとコンパクトでややディープという印象をもっていたからです。

ソールには大きなウェイトがひとつだけ配置されています。
数字が刻印されていないので、重さは判りませんが、他にもいろいろな重さが用意されているのではないでしょうか?
これまでのモデルがそうだったので、おそらくそうではないかと思います。

ソールには銀色のパーツが組み込まれています。
これにはどういう意味があるのでしょうか?
いろいろな工夫が見られますが、これまでのモデルからすると、ややシンプルになった印象があります。
形状が複雑であったり、いろいろなパーツが組み込まれている、いわゆる『ゴチャゴチャ系』を好まれる方には、やや物足りないシンプルさかもしれません。
しかし、私はこれまでシンプルで高性能なドライバーにたくさん出会ってきているので、一目(ひとめ)いいドライバーだな・・・。と思いました。

ネックの長さは標準的です。
これまでのタイトリストドライバーと変わらない長さです。

ネックには調整システムが搭載されています。
これは、これまでと同じです。
モデルは変わっても、このシステムは変わらないのがいいです。
この調整システムは多くのメーカーが採用していますが、タイトリストの調整システムは私の周りでも評判がいいです。
シンプルなので調整が簡単で、しっかりしているところが支持されています。
あるメーカーの調整システムは強度といいますか耐久性が足りないのか、打っていたら緩んだり外れそうになってしまった物もありました。
たまたまそのクラブだけなのかも分かりませんが、ネックの部分はとても大きな力がかかる場所なので、メーカーにはしっかりとチェックして欲しいです。
使用中にヘッドが飛んで同伴競技者に当たって怪我をさせてしまった・・・。ということになれば、大変でゴルフどころではありません。
しかし、タイトリストのドライバーにはそういった不具合を感じたことはありません。

試打するのは、この『A1』のポジションです。

シャロータイプのヘッドで、見慣れた形状です。
昔のシャローは頼りないものが多くありましたが、今は全く違います。
シャローでパワフルな弾道を実現するドライバーはたくさんありますし、シャローにすることによって、幅広い層に対応できているのではないでしょうか?

フェース面の仕上げは美しくてシンプルです。
タイトリストらしいデザインです。
スコアラインは無く、手で触ってみると『つるつる感』ではなく『ザラザラ感』があります。

顔はちょっと特徴的でした。
もっとコンパクトで引き締まった顔を予想していたのですが、違いました。
シャロー感が強くて、ヘッド後方の膨らみも目立ちます。
フェースアングルも、ややつかまえ系に見えましたが、それほど極端ではありません。
TS1というように奇数なので、最初はTS3に似ているのかな?と思っていたのですが、全く違いました。
かといってTS2ともちょっと違うような気がしますが、これまでのモデルの中では似たような顔があったような気がします。

装着されているグリップはとてもシンプルです。
調整機能が付いているからでしょうか?
これまでのタイトリストのドライバーに採用されたモデルです。
特に変わった工夫は見られません。

素振りをしてみると、かなりの軽量感があります。
この軽量感が、これまでのモデルとの大きな違いです。
見た目とのギャップがありました。

このディアマナが、いわゆる『純正』なのでしょうか?
それとも違うシャフトが純正として用意されているのでしょうか?
ディアマナが挿してあるということで、おそらくカスタム仕様だと思うのですが、かなりの軽量タイプに仕上がっています。
シャフトのフレックスも『S』ということですが、硬さは感じず、かなりしなる感じです。
先が動く感じで、『つかまえ系』のシャフトだな・・・。と思いました。
ディアマナで『つかまえ系』のシャフトといえば、『ディアマナ イリマ』を真っ先に思い出すのですが、このシャフトはそれとはまたちょっと違ったタイプのようです。
つかまえ系でありながら、イリマのような『加速感』は感じませんでした。

ボールを前にして構えてみると、まずまずでした。
ヘッド後方の膨らみが目立ちますが、これはもう見慣れましたし、全体の形自体が崩れていないので違和感はありません。
少し『つかまえ顔』に見えましたが、苦手意識が芽生えるほどではありませんでした。
これまでたくさん出会ってきた、『ハイドロータイプ』に見えました。
ヘッド後方が膨らんでいますし、少しつかまえやすそうに見えるので、これが今のドライバーの『易しい顔』といえるのかもしれません。
『スライス』のイメージは全く浮かんでこなかったので、私はちょっと右から回す感じで打ってみることにしました。
試打を開始しました。

『打感』はとても良いです。
これまでタイトリストの高性能ドライバーたちに出会ってきているので、このグッドフィーリングは予想できていました。
しっかりとした手応えがありながらも、決して硬くなく心地いい感じです。
一瞬フェースに乗って、そこから一気に強く弾く感じ・・・。といったらいいでしょうか?
打感にも『陰と陽』があるとするならば、このドライバーの打感は『陽』だな・・・。と打ちながら思いました。
『月と太陽』でいえば、『太陽』です。

『音』は、はっきりしていますが、大きすぎず高すぎず、いい感じです。
こもったところがなく、感覚に訴えかけてきます。
弾道の『速さ』といいますか『熱さ』を感じさせる音だな・・・。と思いました。
最近のドライバーは『異音』を発するものが少なくなりましたが、まだ完全に無くなったわけではありません。
また音の好みもひとそれぞれだと思いますが、この音は多くの支持を集めるのではないでしょうか?
音にも打感と同じように『集中型』と『分散型』があって、個性がありますが、このドライバーは集中型です。
この音を左耳から取り入れて、弾道の方向や速さなどの、いわゆる『インパクトから先』を把握しやすいです。
私はゴルフを始めた頃から、『ヘッドアップ』と『スウェイ』という『二大悪い癖』があって、なかなか治りませんでした。
クラブといいますか、自分が発する音に自信が持てないと、ついつい方向性などが気になって顔が早く上がってしまうことがありますが、このドライバーだとそういったことにはなりにくいような気がします。

球はあがりやすくて、イージーです。
タフさは全くありません。
これまでのTSシリーズも、易しいモデルがありましたが、この最新モデルのTS1が一番ハードルを下げてきているのではないでしょうか?
弾道も高く、しっかり浮いてくれました。
このドライバーが9.5度だということを忘れていて、改めて『表示ロフト』は気にしなくていいな・・・。と思いました。

『安定性』も高く、かなり大らかです。
スイートエリアも広めで、シビアさは全く感じません。
シャフトとの相乗効果もあると思うのですが、球がしっかりとつかまってくれ、右にフケる球も出にくいです。
直進性の高い、『オートマ系』のドライバーです。

『飛距離性能』も高く、ポテンシャルの高さを感じました。
今の軽量タイプのドライバーの中では間違いなく『トップクラス』といえるのではないでしょうか?
なんと言いますか、『後戻り』する感じがありません。
つまりヘッドが当たり負けをして、力が『前方向』ではなく、『後ろ方向』へ逃げないということです。
軽量タイプの頼りなさといいますか、物足りなさは感じませんでした。
『270g』のドライバーとなると、私の中ではかなりの軽量で頼りないと感じることもあるのですが、このドライバーは『300g台級』のしっかりさをもっています。
初速が速く弾道も力強いですが、高~くあがって終わり・・・。ということはなく、しっかりと前へ前へと進んでくれました。
推進力の強い弾道です。
ヘッドだけを見ると、かなりシンプルですが、見えないところにも、たくさんの技術が注ぎ込まれているのではないでしょうか?
この軽量感と弾道の力強さを両立させるには、かなりの苦労があったように思います。

『操作性』という点では、『オートマ性』が勝ってしまうので、あまり高いとは思いません。
操るタイプではなく、安定した『ワンパターンの球』で攻めていけるタイプだと思います。
左右どちらかといえば、私は完全のフック系のほうが易しく感じました。
右へコントロールして曲げるのは容易ではありませんでした。
スライサーの方には、心強い存在といえるのではないでしょうか?

軽量感がありながら、頼りないタイプではなく、高いポテンシャルをもったドライバーです。
今のドライバーの中では、比較的シンプルなヘッドですが、かなりの工夫がされているように思いました。
正直いいますと、私はこの軽量感をまだ必要としていませんが、タイトリストのTSシリーズを使いたいけれど、どうしても重くて使えなかった・・・。という方には朗報とも言うべき、頼もしい相棒になってくれるのではないでしょうか?
またメーカーも、そういった方々の為に開発したような気がします。

今年もたくさんの素晴らしいドライバーに出会えています。
海外四大メーカーといえば、テーラーメイドとキャロウェイとタイトリストとピンでいいと思うのですが、これまでテーラーメイドとキャロウェイとピンのドライバーには出会えてきました。
その中では、今のところキャロウェイのドライバーが頭一つリードしているように思っていたのですが、強力なライバルの登場です。

ヘッドの芯と、ボールの芯がぶつかりあった、極上のフィーリングを楽しんで頂きたいです。
2019年06月23日
タイトリスト ボーケイデザイン SM7 ウェッジ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト ボーケイデザイン SM7 ウェッジ です。

シャフトは N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 です。
ロフト58度、クラブ長さは35インチ、シャフトフレックスはS、キックポイントは中元調子、クラブ総重量は464gです。

タイトリストボーケイシリーズの新しいウェッジです。
ボーケイウェッジは私の周りでも大人気で、よく見かけます。
このボーケイとフォーティーンのウェッジが特に多いように思います。
ボーケイシリーズのウェッジはお馴染みですが、この独特のフォルムがたまりません。
『変わらない美しさ』といったらいいでしょうか?

これまで通り、オーソドックスなタイプです。
ニューモデルではあっても、特に変わったところは見られません。
軟鉄の質感がとてもいいです。

トゥ側には『58 08 M』という刻印があり、これまでも見られました。
ウェッジに特化したメーカーは、様々なソールパターンを用意していますが、タイトリストはその『草分け的な存在』といっていいのではないでしょうか?
ロフトやバンスだけでなく、その人にマッチしたソール形状を選ぶことができるというのは画期的なことです。
自分に合ったソール形状を選ぶことができるのでアプローチが易しく、そして楽しくなります。
自分に合ったソール形状を選ぶだけではまだ不完全で、自分に合った『ライ角』というものが重要になってきますが、軟鉄だとそれがとても簡単にできるので、カスタマイズ性にも優れています。
ステンレスは耐久性に長けていますが、こういったところが短所です。

ソール幅は少しワイドですが、今はこれくらいが普通です。
ソール形状も一見『平(たいら)』に見えますが、完全なフラットではなく、微妙に丸みを帯びています。
スリクソンのように、『ソールの前後(リーディングエッジ側とトレーリングエッジ側)』が二分割されているようなものもありますが、このウェッジは全く違うタイプで、ソールのほぼ全体が万遍なく削られているようなタイプです。
このようなソール形状だと、ソールを滑らせてボールを上手く拾っていくイメージが出しやすいです。

バンスの利きは弱めです。
最近はハイバンスタイプも多くなってきましたが、このウェッジはローバンスタイプです。
『標準バンス』といえば、おそらく『10度』だと思いますが、今はバンスの形状もバリエーションに富んできていて、昔のように邪魔に感じることも少なくなりました。
フェースの開閉をあまり使いたくない・・・。という方はハイバンスタイプを好まれることが多いように思いますが、ローバンスタイプでも、フェースを開けば勝手にバンスが利いてくるので、バンスを使っていくことができます。

ネックの長さは適度にあります。
これまでのボーケイウェッジと変わりません。

この独特なトップラインもボーケイウェッジらしいです。
ここの部分を見て、ボーケイだと見分けがつく方も多いのではないでしょうか?

微妙な凹凸がありますが、ボーケイらしいシンプルな形状です。
このバックフェースの形状もボーケイの個性といえます。
いい目の保養ができていますし、早くボールを打ちたいという衝動にも駆られます。
試打するときの、何ともいえない『楽しい時間』です。

トップラインの、この独特な『プクッと』したところも、ボーケイらしい特徴です。
トップラインが厚すぎたり、丸みがありすぎたりすると、構えたときにイメージがボヤけてしまうことがあるのですが、これくらいであれば全く問題ありません。
これまでもボーケイウェッジで構えづらいと感じたことはありません。

フェース面には細かなミーリングがあります。
近くでよく見ないと分からないような細かなミーリングですが、とても綺麗で均等に刻まれています。
こういったところも、各メーカーの個性といいますか、違いが見られます。
すごく綺麗なミーリングですが、おそらく耐久性はそれほど高くないだろうな・・・。と思いました。
しかし、使っていけばいくほど、いい味を出すフェース面のように見えました。

ボールを前にして構えてみても、これまで通り、すごくいいです。
この何ともいえない、絶妙な構えやすさに、思わず笑みがこぼれてしまいました。
ボーケイウェッジなので、この構えやすさは期待していましたが、見事にその期待に応えてくれ、テンションがあがっていきました。
グースタイプではなく、ストレートタイプです。
ほんの少しだけ『出っ歯』のようにも見えますが、この微妙な加減がたまりません。
球を拾いやすそうですし、『出っ歯過ぎない』ので、球を拾うタイミングも整いやすそうです。
クラブによっては、こちらが合わせにいかなければならないこともありますが、このウェッジだと、それは不要だと感じました。
全てこちらの要求に応えてくれそうな懐の深さがあります。
こうして構えていて、「温かそうなウェッジだな・・・。」と思いながら見ていました。
私の目尻は下がりっぱなしです。

フェースを開いてみたのですが、とてもいい感じです。
開くことによる『邪魔な部分』は全くありませんでした。
いつも通り、自然に構えることができました。
ウェッジではフェースの開閉をあまり使わないという方には、この機能は不要なのかもしれませんが、私はフェースの開閉を多く使うタイプなので、この開きやすさは心強いです。
一時期は開きづらいウェッジがたくさんあったのですが、今は逆に開きやすいウェッジが増えてきました。
アプローチ好き・ウェッジ好きの私としてはとても嬉しいことです。
開いたままストレートに抜いていくイメージも出せますが、私はどちらかというとフェースを斜めに使って『カット』に打ちたいタイプなので、このウェッジの『逃がし顔』がそれを簡単にイメージさせてくれました。
『フェースの真ん中』ではなく、『ややトゥ側』で拾っていけると勢いをさらに抑えられるので、絶妙なタッチが出せることを、これまでの経験でつかんでいます。
試打を開始しました。

『打感』はソフトで、とてもいいです。
球持ちが良く、乗せて運ぶことができます。
『ガツン』ということはなく、ソーッと乗せて運ぶ感じです。
極端にいえば、ゴルフボール大の『綿あめ』を作って、それをフェースに乗せている感じ・・・。といったらいいでしょうか?
このソフトな打感が、そのようなことを感じさせてくれました。

『スピン性能』は高いです。
ボーケイウェッジは元々『スピンの優等生』というイメージがありますが、このウェッジもそんなタイプでした。
強烈に噛んでスピンを掛けるというよりは、『高速にスピン』を掛けるという印象をもちました。
これまでのボーケイウェッジもスピン性能が優れていますが、このウェッジはさらに高速化したような感じです。
フェースにある、細かなミーリングがよく効いているのでしょうか?
今は強烈にスピンを掛ける『激スピンタイプ』のウェッジが多く見られるようになりました。
このウェッジはそういった激スピンタイプのウェッジほどではないと思いますが、この『優等生的なスピン』は魅力的です。
安定してスピンを掛けていけるので、『計算しやすい』というメリットがあります。
これはとても実戦的な性能です。

球も拾いやすくて、出球の高さのイメージもバッチリ合います。
直接拾っていってもいいですが、ボール手前から多少ダフらせ気味に打っていっても、上手く滑ってくれるのですごく易しく感じられます。
滑らせていっても、ソールが跳ねないのも魅力です。
ソールが跳ねるタイプだと難しいといいますか、『ボールの前後』がシビアに感じることもあるのですが、このように跳ねずにスーッと滑ってくれると、それがイージーに感じられます。
いい意味で『多少アバウト』に拾っていけるのがいいです。
ロブショットは野球のピッチングでいうと、『チェンジアップ』に似たところがあるでしょうか?
ストレートと同じような腕の振りをしながら、なかなか球が来ないので、バッターはタイミングが取りづらいです。
ロブショットも結構速く振っていながら、球はほぼ真上にあがって距離は出ないので、いい意味でのギャップがあります。
このウェッジでロブショットを楽しみながら、そのようなことを考えていました。

『安定性』は普通です。
今は多くの『イージー系』ウェッジがあり、それらと比べると正直なところもあると思いますが、これくらいがちょうどいいように感じます。
正直なので、こちらのイメージも伝えやすいですし、クラブからのレスポンスもいいです。
曖昧さといいますか、ボヤけたところがないのが魅力的です。
ストレートタイプでいい顔をしているので、かなりシビアにラインを出していけます。
いい顔をしたウェッジは開いても真っ直ぐにラインを出していけますが、このウェッジはまさにそんなタイプです。

構えやすいので出球のイメージが出しやすく、打感もいいので、距離感もバッチリ合います。
初めて出会ったウェッジでありながら、もう何年も使い続けているような『タッチの出しやすさ』があります。
パッティングもそうですが、アプローチなど『小技』になればなるほど『距離感が命』といったところがありますが、このウェッジでは、その距離感の出しやすさが絶妙でした。
フェースにしっかりと乗せて運ぶことができますが、『飛びすぎない』のが大きな魅力です。

『操作性』も、かなり高いです。
先ほども書きましたが、フェースを回して(開閉して)使っていけるので、いろいろな球で遊ぶことができます。
低めに出して多少足(ラン)を出したいときも、開いてカットしてロブ系のフワッとした球も打ちやすいです。
一本のクラブでいろいろな球をカバーする、まさに『守備範囲の広い』マニュアルタイプのウェッジです。

期待通りの高性能なウェッジで充分楽しめました。
試打しながら、これまでのボーケイウェッジと、どこが進化したのだろう・・・?と考えていたのですが、はっきりとした違いは正直よく分かりませんでした。
強いて言えば、『スピンの高速化』といったところでしょうか?

ゴルフクラブにおける『海外四大メーカー』といえば、おそらく『タイトリスト』と『テーラーメイド』『キャロウェイ』『ピン』になると思うのですが、ウェッジの人気といえば、このタイトリストのボーケイが頭一つ抜きん出ているような気がします。
もちろん、他のメーカーのウェッジも充実していますし高性能ですが、『人気』といいますか、よく見かけるのは海外メーカーではタイトリストのように思います。

それは『カッコいい』ということもありますし、フィーリングの良さやソールのバリエーションの豊富さなども大きく関係していると思います。
私はボーケイだけにこだわっていませんが、私の周りにはボーケイウェッジしか使わないという友人もいます。

このウェッジのスピン性能は高いですが、スピン性能だけでいうと、以前試打したキャロウェイのウェッジのほうが高いような気がします。
しかし、タイトリストもあえてスピンを高くしすぎないようにしているのではないか?と思いました。
ウェッジでスピンが掛かりすぎてしまうと、距離感が合いづらい・・・。と感じておられる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
イメージしやすい『スピンの安定化』を目指しているような気がします。

タイトリストは海外メーカーでありながら、日本的なところも感じられるのがいいです。
機能性ばかりを追っていなくて、『フィーリング』にもすごくこだわっている印象があります。
そういったところもタイトリストの魅力です。

今日は練習場の打席でしたが、また試打する機会があれば、アプローチ練習場やバンカーでも試してみたいです。
このウェッジのおかげで、今日は楽しい試打ができました。
2018年12月20日
タイトリスト T-MB アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト T-MB アイアン の7番 です。

シャフトは ダイナミックゴールド AMT です。
ロフトは33度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS200、キックポイントは手元調子、クラブ総重量は432gです。

タイトリストのニューアイアンです。
タイトリストらしく、シンプルでカッコいいデザインです。

形状はオーソドックスですが、独特の膨らみ感から、中空構造なのだということが、すぐに分かりました。
中空は大顔タイプもありますが、このアイアンは大顔ではなく、小顔に近いです。

ソールにある、このウェイトが一番の特徴です。
T-MBは数年前にも試打したことがありますが、その後継モデルであることは明らかですし、様々な改良が加えられて、さらにパワーアップしているのだと思います。
ただロングアイアンはともかく、7番という番手で、ここまでのウェイトが必要なのかな?と思うところもあるのですが、重心の低いアイアンを使いたいけど、昔ながらの男前のアイアンが好きだという方には、魅力的に見えるのではないでしょうか?

ソール幅は昔ながらのオーソドックスな感じがしますが、今のアイアンの中では明らかに狭いです。
ソール幅は気にしないという方もいらっしゃると思いますし、ワイドソールが苦手だという方も、このソール幅は好感を持ちやすいのではないでしょうか?
これだけたくさんのウェイトが組み込まれているので、見た目以上の低重心化が図られていると思うのですが、この狭いソールを見ているだけで、上からとらえるイメージが浮かんできます。
ただ、やはりこのウェイトが邪魔だな・・・。と思ってしまいました。
見た目の良さを消していますが、『易しさ』を追求していくうえでは仕方のないことなのかもしれません。

ネックの長さは標準的です。
ロングでもショートでもありません。
こういったところは、今のアイアンらしい特徴といえます。
ウェッジは今でも健在ですが、今はロングネックのアイアンを探すほうが難しくなりました。

トップラインは標準的です。
少し厚めを予想していましたが、違いました。
今の中空アイアンは少し厚めが多いように思いますが、このアイアンはノーマルです。

フェース面にミーリングはありませんでした。
タイトリストのイメージに合う、綺麗なフェース面です。
メーカーによっては、今でも雑な仕上げのアイアンがありますが、このアイアンはそういったことがないので好感が持てます。
フェース面はボールとの唯一の接点なので、すごく神経を使うところだと思うのですが、他の部分と比べると、それほど手を加えられていないように思います。
スコアラインなど、ルールによって厳しく制限されているからなのかもしれません。

装着されているグリップはシンプルなタイプです。
これまでのタイトリストのクラブに採用されているグリップです。
今年のモデルはずっとこれでいくのでしょうか?

素振りをしてみると、いい感じです。
タイミングもとりやすく、すぐに馴染むことができました。
今のアイアンはカーボンシャフト装着モデルが多くなったせいか、アイアンであっても、『ウッドのような振り感』のクラブも多くなってきましたが、このアイアンは『アイアンらしい振り感』です。
アイアンは『飛ばすクラブ』ではなく、『狙うクラブ』なので、『シャフトの遊び』が小さいほうがいいのですが、このクラブはそこの部分がいいです。

ボールを前にして構えてみると、すごくいいです。
中空ということを忘れさせてくれる美顔です。
マッスルバックのような精悍さがあります。
大きさもちょうど良くて、ボールとの対比も素晴らしいです。
大顔過ぎると、イメージがぼやけてくることもあるのですが、今日は違いました。
すごくいいイメージが鮮明に浮かんできました。
逃がすイメージが出しやすいので、左へのミスを嫌う私にはすごく安心感があります。
つかまるイメージが欲しいとか、もっとヘッドが大きいほうが安心感がある・・・。という方もいらっしゃると思いますし、人の好みは様々ですが、私はこういうタイプが好きです。
さすがタイトリストだな・・・。と思いました。
易しさを追求しながらも、決して『構えやすさ』は妥協していません。
いかにいい顔を保ちながら易しくしていくか・・・。ということが設計のコンセプトになっているのではないでしょうか?
こういうファンを裏切らないクラブが多いから、昔からタイトリストには根強いファンが多いのではないでしょうか?
コンセプトがぶれていません。
試打を開始しました。

『打感』は、いい感じです。
適度なソフト感があって楽しめました。
こうして打ってみると、一口に中空といっても、色々なフィーリングがあるのだということに気づきます。
マッスルバックやハーフキャビティのような『乗っかり感』や『くっつき感』はあまり無く、バーンと弾く感じですが、硬すぎないのがいいです。

球はあがりやすいです。
ソールにあるウェイトがよく効いているのだと思いますが、タフさは全く感じません。
構え感はマッスルバック。
しかし、実際に打ってみると、ノーマルキャビティのようなあがりやすさがあります。
いい意味での見た目と実際のギャップが、中空の最大のポイントです。
タフなアイアンではありませんが、どちらかというとスインガータイプの方よりはヒッタータイプの方に合いやすいアイアンだと思います。
普段から軽量のラージサイズアイアンを使い慣れておられる方には、タフに感じられるかもしれません。

『安定性』は普通です。
高い寛容性とか、曲がりにくさがあるというタイプではありません。
ミスヒットに対する寛容さを求めておられる方には、少し合いづらい部分があるかもしれません。

『飛距離性能』は、なかなか優れていますが、今のアイアンの中では標準的といえるでしょうか?
『やや飛び』といっていいような気もします。
その気になればメーカーも、もっと距離を出せるタイプに作れたと思うのですが、そうするとアイアンの大切な性能のひとつである『狙う』ということが難しくなるから、そこそこに抑えているのではないかな?と思いました。
ただ、バーンと弾く感じがするので、縦の距離感を出すには、相当使い込んでいかないと難しいような気がしました。

『操作性』は高いです。
左右同じように反応してくれました。
やはりノーマルサイズの美顔は扱いやすいな・・・。と思いました。
球が自然につかまってくれるタイプではないので、スライスに悩んでおられる方は少し難しく感じられるかもしれませんが、シャフトを変えれば、また違う印象になってくると思います。

タイトリストらしい、カッコ良さがありながら、適度な易しさがあるアイアンです。

私はソールにあるウェイトが、もっと目立たないほうがいいと思うのですが、ウェイトを組み込ませてあるという、『視覚的な効果』も狙っているのではないでしょうか?
あえて目立つようにして、プレイヤーの安心感をもたせるようにしているのだと思います。

構えたときに全く気にならないですが、バッグに入れたときにすごく目立つので、そこがいいという方もいらっしゃれば、私のように目立たないほうがいいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

かなりの美顔でオーソドックスなタイプですが、見た目以上の易しさをもったアイアンなので、タイトリストファンの方はもちろん、多くのゴルファーのハートをキャッチするのではないでしょうか?
2018年11月30日
タイトリスト TS2 フェアウェイウッド

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TS2 フェアウェイウッド です。

シャフトは Speeder 519 Evolution です。
ロフトは18度、クラブ長さは42インチ、シャフトフレックスはS、トルクは4.6、シャフト重量は52g、バランスはD0、キックポイントは先中調子、クラブ総重量は323gです。

タイトリストTSシリーズのフェアウェイウッドです。
先日ドライバーを試打したのですが、今日はFWを試打する機会に恵まれました。

シャロー感のあるヘッドですが、形は崩れていません。
適度にキュッと引き締まっています。
シンプルなタイプではなく、色々なパーツが組み合わさった機能的なタイプのようです。

ソールにはウェイトがひとつだけありました。
ここの位置にあるのが一番多いように思います。
一時期、フェース寄りにある物が多くありましたが、『あがりやすさ』を追求するのであれば、ここの位置がベストなのではないでしょうか?
刻印が無かったので重さは分かりませんが、色々な重さのウェイトが用意されているのだと思います。

ネックには調整機能が搭載されていました。
タイトリストでは普通です。

試打するのは、この『A1』のポジションです。

ネックは適度な長さがありました。

ソールのフェース寄りは溝のようになっていて、『ACTIVE RECOIL CHANNEL』の文字がありました。
これは今までも見たことがあります。

フェース面の仕上げは丁寧で美しいです。
タイトリストのイメージにピッタリ合います。
海外メーカーはたくさんありますが、その中でも特にタイトリストは『チープさ』とは縁遠いメーカーだと思っています。
このフェース面を見ただけで、やる気度がどんどんあがっていきます。

シャロータイプのヘッドですが、今はこれくらいが標準的です。
ディープバックタイプは、全くといっていいほど見なくなりました。

とてもいい顔をしています。
こういった顔の良さもタイトリストの特徴のひとつです。
今は白いヘッドも人気がありますが、タイトリストは昔からシルバーや黒を採用していますし、この『収縮色』のおかげで引き締まって見えカッコ良さが増しています。
気難しそうな感じはなく、むしろ易しそうな顔をしているのですが、整っているのがいいです。
タイトリストは海外メーカーですが、日本的に感じることが多いメーカーでもあります。

装着されているグリップはシンプルなタイプです。
よく見られるグリップで、多くのクラブに採用されています。
最近ではタイトリストといえば、このグリップという印象もあります。

素振りをしてみた感じはまずまずでした。
FWにしては軽量感がありますが、今はこれくらいが普通でしょうか?
本当はもっと重量感があったほうがいいような気もするのですが、ドライバーの軽量化がかなり進んでいるので、それに合わせると、このような重さになってしまうのかもしれません。
シャフトもハードなタイプではなく、よく動く感じです。

ボールを前にして構えてみると、とてもいい印象をもちました。
タイトリストらしい構えやすさです。
この構えやすさは最初から想定していましたが、その通りだったので、さすがタイトリストだな・・・。と思いました。
『ブレない構えやすさ』といったところでしょうか?
今ではFWも異型を見なくなりましたが、一時期は見られました。
タイトリストには、これからも『構えやすさの王道』を突っ走って欲しいです。
こうして構えてみると、シャロー感は感じるのですが、それが強すぎず小振りになっているのがいいです。
ロフトが18度なのでクリークという認識でいいと思うのですが、クリークらしい大きさだな・・・。と思いました。
クセのない顔で、方向性に対する不安は全くありませんが、つかまえ系の顔を好まれる方でしたら、少し不満に感じられるかもしれません。
しかし、このクラブは調整機能が付いているので、構え感も多少は変えられるのではないでしょうか?
試打を開始しました。

『打感』はソフトで良いです。
期待していた通りのグッドフィーリングです。
フェース面を見ていたときに、打感が良さそうに感じていたのですが、その通りでした。
弾き感のあるフィーリングですが、インパクトがボヤけていないところもいいです。

『音』も好感が持てます。
どちらかといえば、おとなしめな感じで、主張しすぎないところもいいです。
インパクトが緩むことなく、しっかり振っていくことができました。

球はあがりやすくタフなタイプではありませんが、どちらかといえばヒッター向けかな?と思いました。
直打ちでも、クリークらしい浮きやすさと弾道の高さがありました。

『安定性』という点では、平均的といったところでしょうか?
寛容さが特別秀でてはいませんが、普通に打っている限り、特に難しく感じることはありませんでした。
『悪さ』をしないタイプのFWです。

『飛距離性能』は、かなり優れています。
タイトリストのドライバーやFWは飛びが優れているものが多いですが、このクラブもその伝統を引き継いでいます。
初速が速くて頼もしいです。
ハードなタイプではなく、易しさもありますが、弾道は力強くて実戦的です。

『操作性』は、なかなかいい感じです。
普通に左右への打ち分けもできました。
オートマ性とマニュアル性の中間くらいにあって、少しマニュアル性に寄っているかな?という印象をもちました。

一球目からすごく気に入って、何球も楽しむことができました。
是非実戦でも使ってみたい、高性能なFWです。
2018年10月26日
タイトリスト TS2 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TS2 ドライバー です。

シャフトは GRAPHITE DESIGN VR-6 です。
ロフトは9.5度、クラブ長さは45インチ、シャフトフレックスはS、トルクは3.2、シャフト重量は65g、バランスはD1.5、キックポイントは中調子、クラブ総重量は314gです。

タイトリストの新しいドライバーです。
先日TS3を試打しましたが、今日は姉妹モデルのTS2を試打する機会に恵まれました。
TS2とTS3があるので、当然TS1というのもあるのかな?と思っていたのですが、2と3だけだそうです。

TS3同様、シンプルでシブいデザインになっています。
TSモデルということで、前のモデルの917と名前は変わりましたが、デザインは引き継いでいるように見えます。
ヘッドが大きく見えますし、シャロー感もたっぷりです。

ソールにはウェイトがひとつだけありました。
この位置にあるということは、重心深度を深める狙いがあると思いますが、数字が刻印されていなかったので、重さは分かりません。
先日試打したTS3は『筒』のようなタイプでしたが、このTS2はノーマルなウェイトです。

ネックの長さは適度にありますが、見慣れた長さで標準的といっていいと思います。

ネックには調整システムが搭載されていました。

試打するのは、このA1のポジションです。
おそらく、この位置がノーマルポジションなのだと思います。

シャロータイプのヘッドです。
シャローではありますが、形が崩れていないところがタイトリストらしくていいです。
機能美も追及されているようです。

顔はちょっとクセがありました。
この顔は予想していなかったので、ちょっと意外です。
『オニギリ型』といいますか『トライアングル顔』なのですが、それよりもかなりの『つかまえ顔』に見えます。
フェースが被っています。
バルジ自体はそれほど利いている感じはしませんが、とにかくトゥ側が主張しているように見えました。
今も『つかまえ顔』のドライバーはたくさんありますが、ここまで強いのは珍しいような気がします。
ネックに調整システムが搭載されているので、それを使えば少しは顔の印象も変わるかな?と思ったのですが、ポジションがA1ということもあり、最初からこのつかまえ顔が、このTS2の『標準顔』なのだろう・・・。と思いました。
正直、あまり好みの顔ではないのですが、このつかまえ顔を好まれる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

グリップはとてもシンプルなタイプです。
色々なクラブに採用されているグリップです。

素振りをしてみると、なかなかいい感じでした。
最近は軽量タイプのドライバーが多いので、このドライバーもそうなのかな?と思っていたのですが、そうではありませんでした。
先日試打したTS3同様、適度な重さがあり、しっかりと振っていくことができました。
シャフトはハードなタイプではないですが、暴れることはなく、無難な感じでした。

ボールを前にして構えてみると、やはり構えづらい感じがしたのですが、こういうタイプもたくさん経験しているので、その経験を活かして打っていくしかない・・・。と思いました。
スライサーの方は、このドライバーはかなり構えやすいかもしれません。
私は左へ巻いてしまいそうだったので、右を向いてそこから回すイメージで打っていくことにしました。
逃がすイメージは全く出ませんでした。
試打を開始しました。

『打感』は良いです。
ボヤけた感じはなく、しっかりしているのですが、硬すぎず心地よい抵抗感が残りました。
タイトリストらしいグッドフィーリングです。
タイトリストのクラブはアイアンやウェッジのイメージも強いですが、実はドライバーもずっと優れものが登場してきていて、それが今でも続いています。
飛距離性能が高いというのはもちろんですが、それ以外にも、こういったフィーリングがいいというのが魅力のひとつになっています。

『音』も好感が持てました。
はっきりとしたインパクト音が耳に心地いいです。
高すぎず大きすぎず、しっかりと振り抜いていくことができました。

『球のあがりやすさ』という点では、予想していたよりは少し『しっかりめ』な感じがしましたが、キャリーも充分出していけましたし、タフな印象はありませんでした。
ただ、最近のドライバーの中では、しっかりと振っていけるスペックになっているところに好感が持てます。
球が高~くあがって急速に落ちてくるということはなく、伸びがありました。

『安定性』という点では高いと思いますが、私の場合ずっとフック系で、それが安定していました。
スイートエリアの広さは、今のドライバーの中では標準的といえるでしょうか?
今はワイドスイートエリアのドライバーが多いので、このドライバーもそういうタイプのような気がします。
球のつかまりがかなりいいので、そこに魅力を感じられる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
右に抜けていくような球は出ませんでした。
シビアさは無く、易しさがありますが、それがストレートではなく、ほぼフック系の球で安定していました。
調整機能を使えば、また球筋は変えられるかもしれません。

『飛距離性能』は優れていました。
タイトリストのドライバーですし、先日TS3を試打して期待していたのですが、その期待通りでした。
今年のモデルはすごくいいな・・・。と思いました。
タイトリストらしい、初速の速さと力強い弾道が印象的です。
TS3には無い、球のつかまりやすさも、このドライバーの個性です。
プレイヤーがつかまえるのではなく、クラブにつかまえてもらってしっかり飛ばしていきたい・・・。という方には、かなり易しくて魅力的なドライバーといえるのではないでしょうか?

『操作性』という点では、球つかまりすぎる感じがしたので、私はフック系のほうが易しく感じました。
大きく右に曲げる球はなかなか打てませんでした。
ややクセのあるタイプのドライバーですが、『右には行きづらい』というのも、大きな特長です。
私にはつかまりすぎるところがあったのですが、このドライバーのもつ寛容さ・つかまりの良さに魅力を感じられる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

このTS2もいいドライバーだと思いましたが、私は先日試打したTS3のほうが気に入りました。
優しさと確かな飛び、そしてフィーリングの良さが魅力的です。

毎年のことではありますが、今年も魅力的なドライバーにたくさん出会うことができました。
購買意欲を刺激してくるドライバーもいくつかあり、TS3にもすごく惹かれています。

また何度も試打したいですし、もし機会があれば、あの地クラブメーカーのドライバーと打ち比べてみたいです。
とても楽しい時間を過ごせるだろうな・・・。と思いながら、練習場を後にしました。
2018年09月27日
タイトリスト TS3 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト TS3 ドライバー です。

シャフトは Speeder 661 Evolution V です。
ロフトは10.5度、クラブ長さは45インチ、シャフトフレックスはS、トルクは3.7、シャフト重量は66g、バランスはD2.5、キックポイントは先中調子、クラブ総重量は314gです。

タイトリストのニュードライバーです。
2年に一度モデルチェンジされるので、そろそろ出会えるだろうと期待していました。
前のモデルは917だったので、今年は919かな?と、私もそうですし、多くの方が思っておられたのではないでしょうか?
しかしTSになっています。
TSとはどういう意味でしょうか?
私はすぐにツアーステージが浮かんだのですが、ブリヂストンの名称なので、違うことは明らかです。

シャロー感のあるヘッドです。
これまでのモデルと変わりません。
シャローではあるものの、黒いヘッドで少し引き締まって見えます。

トゥ側

ヒール側
トゥ側とヒール側にはウェイトがあり、筒のようになっています。
これは前のモデルの917と同じです。
917のことは今でもよく覚えているのですが、もう2年が経つのかと思うと、とても早く感じられます。

最近のドライバーはショートネックが多いので、そういう意味では少し長く見えますが、これくらいであれば『標準的』といっていいように思います。
シャロータイプのドライバーですが、こうして見てみると、結構厚みのあるタイプだということが分かりました。
バックフェース寄りにあるウェイトが目立っていますが、それ以外は特に何も見られず、シンプルな形状です。
しかしタイトリストのニューモデルということもあり、見えないところにたくさんの新しい技術が注ぎ込まれているのは間違いありません。

ネックには調整システムが搭載されています。
ニューモデルであっても、この調整システムはずっと変わらないようです。

試打するのは、この『A1』のポジションです。
おそらく、このポジションがノーマルなのだと思います。

シャローバックタイプですが、見慣れた形状です。
今はディープバックタイプを探すほうが難しくなりました。
以前も書きましたが、昔と違い、今は『頼れるシャロー』『力強いシャロー』がたくさんありますし、何よりタイトリストが満を持して発表してきたニューモデルということのあり、期待感が膨らみます。
どのクラブにもあるのですが、ゴルフクラブには『雰囲気』というものがあります。
それは何となく感じるものなので、上手くは表現できないのですが、このドライバーはとてもいい雰囲気がありました。

タイトリストらしい、クセの無い、いい顔をしています。
大らかそうなところありながらボテッとしたところはなく、シュッとしています。
これまでのモデルと共通する美顔で、『タイトリスト顔』といっていいように思います。
最近はクラウンにカーボンコンポジットされているクラブが多くなってきているので、このドライバーはどうなのかな?と思い見てみましたが、カーボンの模様は見られませんでした。

素振りをしてみると、適度にしっかりしていて、振りやすいです。
今の大手有名メーカーのクラブはどんどん『軽量化』が進み、軟らかくなっているように感じるのですが、このドライバーはそれらとは違い、一本太い芯が通ったような硬派な感じがあります。
ちょっと前までは、このようなクラブばかりだったのですが、今はかなり軽量化が進み、シャフトも軟らかくなってきています。
もちろん、そういったスペックがピッタリ合うという方もいらっしゃると思いますが、軽すぎるのでもうちょっと重量が欲しい・・・。と思っておられる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
そういった方々にも、このドライバーを試していただきたいと思いました。
スペック的に見て、ヒッター向けだな・・・。と思いましたが、そのハードルは決して高くないような気がします。
最近、他のメーカーのドライバーで、このスピーダーを試打していて好感を持っているので、さらに親近感が増しました。
このシャフトが、いわゆる『純正』ということになるのでしょうか?

ボールを前にして構えてみても、いい感じでした。
タイトリストの、しかも『2』ではなく、『3』のほうなので、構えやすいだろうな・・・。と期待していたのですが、その通りでした。
これまでタイトリストのドライバーをずっと使い続けてこられた方には、とても親しみが持てる構えやすさといっていいのではないでしょうか?
このオーソドックスな構えやすさは、大きな安心感をもたらします。
こうして構えてみても、『シャロー感』は伝わってきますが、それが強すぎないところも気に入りました。
普通に構えて、普通に振っていくだけで、いい球が出そうな予感がします。
方向性に対して、不安に感じるところは全くありませんでした。
このドライバーはロフト10.5度ということですが、それにふさわしいフェース面の見え具合です。
『絶壁感』はなく、よく見えたので、少し高めの弾道をイメージしました。
試打を開始しました。

『打感』は、とてもいいです、
期待通りのグッドフィーリングです。
これまでタイトリストのドライバーを試打してきているので、打感には期待していました。
試打しながら、あの名器『913D3』を思い出しました。
何となく似ているな・・・。と思いました。
913の前の『910』も良かったですし、後継モデルの『915』。
そしてさらに後継モデルの『917』も素晴らしかったですが、私は913が一番好きです。
何故か分かりませんが、一番フィーリングが合いました。
かなり気に入ったので、コースでも何度か試しました。
易しくて、飛距離性能がとても高いドライバーです。
練習場でマイドライバーと打ち比べて、とても楽しかったのも覚えています。
今日は、その思い出が蘇ってきました。
適度にしっかりした打感なのですが、決して硬くなく、程よい手応えもあって、ボヤけていないのがいいです。
かなり弾き感が強いドライバーです。
以前、あるメーカーの高反発ドライバーを試打したとき、その弾きの強さが印象に残ったのですが、このドライバーはそれに近いものがありました。
タイトリストは『ルール適合モデル』しか販売しないので、このニュードライバーもおそらく適合モデルだろうと思っていたのですが、やはりその通りでした。
『反発性能』にも、かなり力を入れて開発されているのでしょうか?

『音』は、はっきりしているのですが、高すぎず大きすぎず好感が持てました。
『耳に優しい音』です。
いくらでも振っていくことができ、スイングの邪魔をしません。

『球のあがりやすさ』という点では、なかなかいい感じですが、今のドライバーの中では普通か、ちょっとしっかりしているように感じました。
ロフトが10.5度ですし、しっかりとあがってくれるのですが、高くあがりすぎて吹き上がるということもなく、強い弾道を打たせてくれるドライバーです。
『効率の良い高弾道』といったらいいでしょうか?
頼もしさがあります。

『安定性』は高く、シビアさは感じません。
913などもそうですが、ポテンシャルの高いドライバーでありながら、決してシビアさが顔を出さないところが魅力的です。
いわゆる『易しすぎない』ドライバーではありますが、大らかさも十分感じられ、親しみやすいところがあります。
スイートエリアといいますか、『反発エリア』は広く感じました。

『飛距離性能』は、かなり高いです。
一球目から、いい球を打たせてくれました。
先ほども書きましたが、かなり弾き感があり、勢いがあります。
ボールにターボエンジンを積んでいるかのように、力強く前へ前へと突き進んでいきます。
昨年出会うことができなかった鬱憤を、このドライバーで晴らすことができそうです。
そう感じさせるくらい、このドライバーの放つ弾道は魅力的でした。

『操作性』は、なかなかいい感じです。
シャローヘッドですし、あまり操作するタイプではないような気もしたのですが、『3タイプ』ということもあり、扱いやすさもあるだろうと思いました。
実際に左右に曲げることは易しかったのですが、つかまりのいいドライバーなので、どちらかというと私はフック系のほうが易しく感じました。
右にも曲げてみたのですが、つかまりきらずに右にプッシュするということもなく、しっかりとつかまってくれました。
シャロータイプのドライバーというと、『フックフェース』が今でも『お約束』のようになっていますが、このドライバーはそんな感じはしなかったので、強いフックフェースが苦手だという方も、構えやすく感じられるのではないでしょうか?
ドローヒッターの方にも合いやすいですが、フェードヒッターの方には、さらに相性がいいような気がします。

試打しながら、二年待った甲斐があったな・・・。と思いました。
早くニューモデルに出会いたいと思っていましたが、今日その願いが叶い、楽しい時間を過ごすことができました。
タイトリストのドライバーなので、『基本性能の高さ』があるのは『当然』ですが、それがさらに洗練されている感じがします。

バックフェースにあるウェイトが目立ちますが、それ以外は特に工夫は見られず、すっきりしています。
ゴチャゴチャした感じはありません。
ネックには調整機能が搭載されていますが、これまでのモデル同様、それが邪魔にも感じられません。
自分に合うように調整をするという楽しみもありますし、飛距離性能に直結しているようです。

シンプルなヘッドの中に、たくさんの工夫がされているのは間違いありません。
そう思わせてくれる『確実な飛距離性能』が私の心を強く揺さぶりました。
難しすぎず、適度な易しさを持ち合わせたドライバーで、ポテンシャルが高いです。

しばらく『910』シリーズが続きましたが、これからは『TS』シリーズとなるのでしょうか?
同じタイトリストの『VG3』のように、年が変わってモデルチェンジされても、ずっと名前が変わらないのでしょうか?
そんな、『これから先』のことを考えながら、このドライバーの試打を楽しみました。
今は地クラブメーカーの実力も高いですが、大手有名メーカーも負けてはいません。
たくさんのクラブを試打していると、『期待外れ』に感じてしまうことも、たまにあるのですが、このタイトリストのニューモデルはとても気に入りました。
装着されているスピーダーとの相性はバッチリですし、できれば他のシャフトでも試してみたいです。
何度も試打したいですし、コースでも試してみたい、魅力的なドライバーです。
次のモデルが登場するのは、おそらく二年後だと思いますが、二年間このドライバーを楽しむことができるのかと思うと、嬉しくてたまりません。
気持ちよく練習場を後にすることができました。
2018年07月13日
タイトリスト 818H2 ユーティリティ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト 818H2 ユーティリティ です。

シャフトは N.S.PRO 950GH です。
ロフトは21度、クラブ長さは39.5インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は98g、トルクは1.9、キックポイントは中調子、クラブ総重量は383gです。

とてもカッコいいタイトリストのユーティリティです。
タイトリストのユーティリティは、私の周りでも人気が高いです。
ある意味、ドライバーよりも高いといえるかもしれません。
ドライバーは他社を使っているけど、ユーティリティはタイトリストという人をよく見かけます。

やや小ぶりなタイプのユーティリティです。
タイトリストらしいといえるでしょうか?
VG3と住み分けができているように思います。

ソールには溝のようなものがあります。
『ACTIVE RECOIL CHANNEL』という文字がありました。

ネックには調整システムが搭載されています。

試打するのは、この『C1』のポジションです。
他にもいろいろと調整できるようです。

トゥ側にはウェイトがありました。
この位置にあるのは珍しいです。

フェース面のデザインはオーソドックスです。
とても綺麗で、タイトリストらしさがあります。

オーソドックスな形状です。
小顔タイプではありますが、ディープではありませんでした。
むしろ、シャローバック感のほうが強いです。

コンパクトでいい顔をしています。
タイトリストは独特なクラウンマークが思い出されますが、このクラブにはありませんでした。
クラウンマークはあってもいいけど、どちらかといえば無いほうが私は好きなので、好感度がさらにあがりました。
ブラックというよりは、メタリックグレーといったほうがいいかもしれません。
この色も、タイトリストではお馴染みです。

装着されているグリップはオーソドックスなタイプです。
最近はグリップにも色々な工夫がされている物が多くなりましたが、このグリップにはありませんでした。
ヘッドにはたくさんの工夫が見られますが、グリップは至ってシンプルです。

素振りをしてみても、なかなかいい感じです。
スチールシャフトが挿してあるせいか、アイアンのような感じで振っていけます。
試打クラブにはカーボンシャフト装着モデルもあったのですが、このスチールシャフト装着モデルで試打することにしました。

ボールを前にして構えてみても、いい感じです。
小ぶりということもあり、アイアンに近いイメージで構えることができました。
私がアイアン系のクラブが好きだからというわけではないのですが、このユーティリティはアイアン好きの方には、かなり構えやすいのではないでしょうか?
逆にウッド系のクラブのほうが好きだという方には、イメージが出しづらいところがあるかもしれません。
高く上げるというよりは、少し抑えめな感じの弾道が浮かんできました。
試打を開始しました。

『打感』は好感が持てました。
しっかりしているのですが、硬くなく、嫌な衝撃も残りません。
球の重さをはっきりと感じ取ることができました。
タイトリストユーティリティらしい打感といえるかもしれません。
このフィーリングは、打つ前からある程度予想できていました。

『音』も好感が持てました。
はっきりした音ですが、高くなく大きすぎず、ちょうどいい感じです。
この音質と、実際の弾道とのイメージがいい感じでシンクロしているな・・・。と思いました。
色々なクラブを試打していると、音のイメージと弾道のイメージが全く合っていない・・・。と思えるクラブに出会うこともあります。
そういったクラブはあまり好感が持てませんが、このクラブは好感が持てました。

『球のあがりやすさ』という点では、結構しっかりしている印象をもちました。
ヒッター向けのUTであることは間違いありません。
球のあがりやすさで勝負しているUTではないと思います。

『安定性』という点でも、結構正直なところがあって、寛容さを求めるクラブではないように思います。
そういった意味では、好みがはっきりと分かれるかもしれませんが、こういうコンパクトなタイプを好まれる方は、『易しすぎない』というところも、クラブを選ぶポイントのような気がします。
かなりシビアで気難しいタイプということはないですが、今は易しいUTがたくさんあるので、それらと比べると易しさは感じにくいかもしれません。

『飛距離性能』は、いい感じでした。
高い弾道というよりは、やや抑えめで強い弾道です。
高くあがりすぎない分、しっかりと前に運んでくれます。
前に押し出す力の強い高性能なUTです。

『操作性』という点では、高いものを感じました。
左右どちらにも同じように反応してくれました。
この扱いやすさは実戦でも大いに役立ってくれそうです。

高性能でありながら、骨太で硬派な感じの魅力的なユーティリティです。
是非コースでも試してみたいと思いました。
2018年03月05日
タイトリスト VG3 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト VG3 アイアン の7番 です。

シャフトは N.S.PRO MODUS3 TOUR 105 です。
ロフトは30度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、バランスはD1、クラブ総重量は420g です。

タイトリストVG3のニューアイアンです。
先日TYPE-Dを試打しましたが、今日は普通のVG3です。
ハイセンスなデザインです。

オシャレなキャビティアイアンです。
ハーフキャビティなどと違う、『イージー系キャビティ』といっていいと思うのですが、すっきりしていて好感がもてます。
適度な大きさですが、シャープというよりは、丸みがあって、易しそうな雰囲気があります。
この外見に好感を持たれる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

トゥ側には『TUNGSTEN』の文字がありました。
これは先日試打したTYPE-Dと同じです。

ソールの広い部分にウェイトが配置されているのが分かります。
比重の大きいタングステンを組み込んで、大きさを変えずに易しさを追求しているのだと思います。
今は『ワンピースタイプ』のほうが少ないかもしれません。
『鍛造』もそうですが、特に『削り出し』になると、すごく贅沢な感じがします。
価格が高くなっても、『削り出し』のアイアンやウェッジを所有したいな・・・。と思っています。
便利さではなく、『シンプルな不便さをあえて愛する』といったらいいでしょうか?
不便だからこそ、使いこなしてみたいと思いますし、長くつきあっていけるような気がします。

彫りの深さは、普通でした。
一応、ポケットのようになっていますが、ほぼノーマルなフルキャビティアイアンといった感じがします。
ソールにウェイトを配置しているので、ポケットを大きくする必要がなくなったのでしょうか?
重心の低さはもちろん、深さも充分ありそうです。
私は腫れぼったい感じのアイアンは苦手ですが、このようにすっきりしているものは興味が湧きます。

トップラインは、ほんの少しだけ厚く見えましたが、標準の範囲内です。

ソール幅はノーマルでした。
ワイドというタイプではありませんでした。

ネックは少し短く見えましたが、今のアイアンの中では平均的といえるように思います。

フェース面にミーリングは見られませんでした。
スコアラインの均一性がとれていて、美しいフェース面です。

装着されているグリップは、先日試打したTYPE-Dと同じです。
ソフトなフィーリングで好感がもてます。

ボールを前にして構えてみると、予想していたよりもいい顔をしていて、好感がもてました。
最近は『つかまえ系の顔』をしたアイアンが多いように思うのですが、このアイアンはどちらかというと逆に近い感じがしました。
グースの利きが弱いのが意外でした。
VG3シリーズはセミグースのイメージがありますが、このアイアンはそれほど強くないように見えました。
グースタイプを好まれる方には、物足りないところがあるかもしれませんが、私は好感を持ちました。
どこかまろやかで、易しそうな感じがするのですが、決して形は崩れていなくて、スッキリしているのがいいな・・・。と思いました。
ヘッドの大きさも、いい感じです。
試打を開始しました。

『打感』は良いです。
適度にソフトさがあって、好感がもてました。
キャビティタイプなので仕方ないですが、『厚み感』はそれほどなく、薄い感じがしましたが、特に不満はありませんでした。

球はあがりやすくて、イージーです。
形の整ったオーソドックスな感じのアイアンですが、かなり親しみやすい性格のアイアンです。
尖ったところはありませんでした。
ソールに配置されているウェイトがよく効いているのだと思いました。

『安定性』も高く、キャビティアイアンらしい寛容さがありました。
見るからに易しそうな雰囲気を醸し出しているアイアンですが、実際に打っても、その通りの印象をもちました。
いわゆる『イージー系』では、形が崩れてしまっている物も少なくないですが、このアイアンは充分な易しさがありながら、形が整っているところも魅力的です。
ボールだけでなく、アイアンでも世にたくさんの名器を送り出しているタイトリストらしい気配りといったらいいでしょうか?
メーカーの、そしてブランドイメージを高めています。

『飛距離性能』も優れています。
よく飛びます。
今はディスタンス系アイアンが多いので、この飛びにも驚くことはなかったのですが、やはり飛距離にも重点をおいて開発されているんだな・・・。と思いました。
今のアイアンの特徴といっていいと思いますが、『距離』と『易しさ』がセットになっているものが圧倒的に多いです。
昔のクラブは飛ぶことは飛ぶけど、上手くいったときとそうでないときの差が激しい・・・。ということが多くありました。
しかし最近のクラブは違います。
『安定して』飛ばせるようになっています。
こういったところが、多くのゴルファーの支持を集めているのではないでしょうか?
このアイアンも、そのようなタイプです。

『操作性』は、まずまずでした。
易しいのでオートマチック的な印象をもちましたが、左右に曲げるのも難しくありませんでした。
マッスルバックのような敏感に反応するタイプではありませんが、この扱いやすさは好感がもてました。
フェード系のイメージが出しやすいので、グースタイプでラージサイズが苦手なフェードヒッターの方に合いやすいのではないかな?と思いました。
構えやすいので、マニュアル系のようなイメージも持てたのですが、実際に打ってみると『オートマ色』が強く、大きく曲げるのは難しいように感じました。
寛容さがあり、大きなミスにはつながりにくいように感じました。

VG3らしい易しさを充分感じることができました。
このアイアンをひと目見たときから、易しそうだな・・・。綺麗だな・・・。と思っていたのですが、その外見の印象通りの性能があって、フィーリングもいい感じでした。

『親しみやすさ』というのは、とても大切なことだと思いますが、このアイアンはそれがとても秀でているように思います。
ただ単に物理的に易しいというのではなく、『形の美しさからくる易しさ』といったらいいでしょうか?
あらゆる面で易しさを感じられました。
バランスの取れた易しさといっていいのかもしれません。

アイアンは『狙う』クラブなので、余計なものがなくすっきりして欲しいと思っていますが、このアイアンはすっきりしていたので興味をもつことができました。
タイトリストらしい美しさがあって、目でも楽しむことができました。

ただ美しいだけじゃダメ。易しいだけじゃダメ。
やっぱり飛ばなきゃ・・・。仲間達に距離でおいていかれたくない・・・。という方もたくさんいらっしゃると思います。
今はディスタンス系のアイアンが多いですが、このアイアンはそれらと比べても、距離で負けていなくて充分勝負できるので、距離を求めていきたい方にも頼もしい相棒になってくれるのではないでしょうか?
私の感覚では、だいたい『1番手半』くらい距離が違うように感じたのですが、今はこういったことが多いので、『主流』といえるのかもしれません。

先日試打したTYPE-Dも印象深いですが、私はこちらのノーマルなVG3のほうが気に入りました。
これはどちらがいいというものでもなく、人によって好みが分かれるような気がします。
中空タイプでユーティリティの要素も兼ね備えているTYPE-Dは『高機能な最新系』といえるのかもしれません。
対して、このアイアンは『フルキャビ』と『ポケキャビ』の両方の特徴をもった『複合型最新系』といっていいのかもしれません。
このアイアンはポケキャビのようなところもありますが、どちらかといえば、フルキャビの印象のほうが強く残りました。

タイトリストのイメージに合う、すっきりしてカッコいいアイアンですが、決してハードルは高くなく、親しみやすい性格をもっているので、多くの方に試していただきたいと思いました。
見た目以上に慣性モーメントが大きいので、曲がりづらくて安定感があります。
打点のブレにも寛容なので、高い支持を集めるのではないでしょうか?

これまでVG3シリーズのアイアンはいくつか試打してきて、いい印象が残っているのですが、私はこのモデルが一番気に入りました。
また何度でも試打を楽しみたいと思います。
2018年02月28日
タイトリスト VG3 アイアン TYPE-D

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト VG3 アイアン TYPE-D の7番 です。

シャフトは VGI です。
ロフトは26度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはR、シャフト重量は64g、トルクは3.1、キックポイントは中調子、バランスはD0、クラブ総重量は375gです。

タイトリストVG3シリーズの新しいアイアンです。
先日ドライバーとFWを試打したのですが、今日はアイアンを試打する機会に恵まれました。

ノーマルなアイアンというよりは大きめで、かなり膨らみの目立つアイアンです。
この膨らみを見て、おそらく中空構造になっているんだろう・・・。と思いました。
ユーティリティアイアンのようです。

トゥ側にはタングステンが組み込まれているのが分かりました。


角度を変えてみても、たくさん使われているように見えました。
重心の低さや深さが、かなりありそうです。

彫りの深さもたっぷりありました。
ポケットにせずに、中空にして色々な工夫をしているようです。
見た目はノーマルなキャビティアイアンのような感じもしますが、『中空っぽさ』は充分出ています。

トップラインは少し厚めに見えましたが、極端な感じはしませんでした。
構えやすさにも影響しないだろう・・・。と思いました。
こういった細かい配慮がされているのが、タイトリストのいいところだと思います。
海外メーカーの中に、時にはやや大味に感じられるクラブに出会うこともあるのですが、タイトリストには殆ど感じません。
繊細さもありますし、綺麗なクラブが多いです。
このアイアンもそうですが、雰囲気が柔らかい感じのクラブが多いです。
とても日本的な感じがします。

ソール幅はノーマルな感じでした。
ワイドということはありませんでした。
ただ、これだけたくさんのウェイトが組み込まれているのだから、これ以上ワイドにする必要はないのだと思います。
ワイドソールタイプが苦手な私は、このソール幅を見て、好感を持てました。

ネックは少し短く見えましたが、今のアイアンでは標準といえるでしょうか?
程良い低重心という感じがします。

ホーゼルには『FORGED TYPE-D』という文字がありました。
前も見たことがあるのですが、TYPE-Dとはどういう意味があるのでしょうか?
ゴルフクラブで『D』というと、私はディープを連想するのですが、このアイアンはディープという感じはしないですし、おそらく違う意味があるのだと思います。

リーディングエッジは、大きくなだらかに削られていました。
これくらいがちょうどいい抜けの良さにつながるのかもしれません。
あまりたくさん削りすぎるよりも、クラブは使っていくうちにだんだんと変化していくので、これくらいがちょうどいいような気もします。

フェース面にミーリングはありませんでした。
均一性があって、とても綺麗なフェース面です。
雑な感じは全くありませんでした。
こういったところもタイトリストの特長のひとつといっていいと思います。
相棒に選ぶのなら、やはりこのような丁寧で美しく仕上げられているクラブにしたいです。

装着されているグリップは、よく見かけるタイプです。
無難なグリップといっていいかもしれません。
『ゴツゴツ感』は無く、ソフトなフィーリングで好感がもてます。

ボールを前にして構えてみると、正直好みとはちょっと離れるのですが、苦手意識のようなものは芽生えませんでした。
まずまずの構え感だと思いました。
大顔タイプで、グースも効いていました。
トップラインは直線タイプではなく、曲線タイプです。
逃がすイメージよりも、包み込むイメージが出しやすいので、好まれる方も多いのではないでしょうか?
大顔タイプのアイアンは、逃げやすい特徴があるので、このトップラインのカーブは理に適っているのかもしれません。
大きさや形状は、私の好みから少し離れるのですが、タイトリストアイアンがもつ独特の雰囲気があって、好感がもてました。
美しいアイアンです。
試打を開始しました。

『打感』は、なかなかいい感じでした。
やや薄い感じの打感ではありましたが、手に嫌な衝撃が残ることもなく、ソフトな感じで、優しくコンタクトしてくれました。
『くっつき感』のようなものは感じなかったのですが、球を弾き飛ばすイメージが自然に出てきました。

球はとてもあがりやすいです。
かなりイージーに作られているように感じます。
球があがらないということになりにくいアイアンといったらいいでしょうか?
かなり幅広い層に対応できているアイアンだと思います。
グースタイプのアイアンではありますが、きつすぎないので、球を拾いやすい感じがしました。

『安定性』も高く、見た目通りのイージー系オートマチックアイアンといっていいと思います。
かなり『慣性モーメント』が高いアイアンといえるのではないでしょうか?
打点のブレにも寛容なタイプです。
フェース面の大部分を使っていけるアイアンといっていいように思います。
シビアさは全く感じませんでした。

『飛距離性能』は、かなり優れていました。
完全な『飛び系アイアン』といっていいと思います。
おそらく、これまでのタイトリストのアイアンの中で一番飛距離性能に優れているのではないかな?と思いました。
もちろん、これまでタイトリストが飛び系アイアンを作ってこなかったわけではなく、出会ってきましたが、ここまでよく飛ぶのは初めてのような気がします。
他のメーカーのアイアンに比べ、タイトリストのアイアンはそれほど『ディスタンス』にはこだわっていなかったような印象もありますが、このアイアンはそれをはっきりと打ち出してきたように感じます。
アイアンに飛距離性能を第一に考えておられる方にとって、とても頼もしい相棒になってくれるのではないでしょうか?

『操作性』という点では、正直それほど長けている感じはしませんでしたが、左右に曲げることもできました。
やはり『オートマ性』のほうが勝ってしまうな・・・。と思いました。
大きく曲げるタイプではなく、小さな曲がり幅で勝負していけるアイアンなので、大きなミスにはつながりにくいような感じがします。
このようなラージサイズのアイアンなので、インテンショナルなことをしようとすると、逆に『逆球』が出てしまうかもしれません。
今日は練習場なので、どんなにミスしても大丈夫な環境でしたが、コースではたまに失敗してしまうかもしれません。
小顔タイプは、確かにスイートエリアは大顔タイプに比べて狭いかもしれませんが、小さい分だけ逆球も出にくくなっています。
左に曲げようと思えば曲げられますし、右も同様です。
ラージサイズを使い、つかまりを予想して右から攻めていって、つかまりきらずにプッシュ気味に飛んでいってしまった・・・。という経験をされた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
そういった怖さは、アイアンに限らずラージサイズクラブにはあると思います。
なので、このアイアンもそういうところは気をつけたほうがいいような気もしました。
操作したい方には合いづらいかもしれません。

完全なオートマ系アイアンで、飛距離性能にも優れたアイアンです。
今のニーズに完全にマッチしたアイアンといっていいのではないでしょうか?

これまでもたくさんオートマチックタイプで距離の出るアイアンに出会ってきましたが、その多くが、クセがきつくて大味な感じがしていました。
しかし、このアイアンにはそういったことをあまり感じませんでした。

タイトリストのクラブらしく、仕上げが丁寧なのも好感がもてました。
タイトリストというメーカーのイメージに合っています。
雑な感じは、タイトリストには合いません。

大手有名メーカーと比べ、少ないロット数で勝負する、いわゆる『地クラブメーカー』で丁寧な仕上げなのはよく感じますが、大量生産される大手有名メーカーのクラブでは雑に感じられることは、正直よくあります。
タイトリストはそんな感じはしないので、好感を持っています。

このアイアンは、いわゆる『機能的なアイアン』といっていいと思いますが、様々な工夫がされていながら、それが『美観』を邪魔していないのがいいと思いました。
基本性能の高さは充分ありながら、『クラブの美しさ』がしっかり残っています。
ただ、私もそうなのですが、アイアンに『飛び』を求めておられない方は、このアイアンは飛びすぎてあまり魅力を感じないかもしれません。
もっと小顔タイプが好きだという方もいらっしゃるかもしれません。
そういった意味では、好みが分かれると思いますが、今はこういうアイアンが多くの支持を集めているのは間違いないと思います。

基本性能がしっかりとした、美しいアイアンです。
オートマチックアイアンの雄といっていいのではないでしょうか?
2018年01月17日
タイトリスト VG3 フェアウェイメタル

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト VG3 フェアウェイメタル の3番 です。

シャフトは VGF です。
ロフトは15度、クラブ長さは43インチ、シャフトフレックスはR、シャフト重量は58g、トルクは4.0、キックポイントは中調子、バランスはD1.5、クラブ総重量は297gです。

タイトリストVG3シリーズの新しいFWです。
FWとはいっても、名前がフェアウェイメタルなので、FMというほうが正しいのかもしれません。
フェアウェイウッドという名前が当たり前過ぎていて、なかなか他の名前が定着しません。
しかし、フェアウェイメタルという名称はこれまでもありましたし、フェアウェイチタンという名前もありました。
これまでもそうですし、昨年出会ったFWを試打していて感じるのは、ドライバー同様フェアウェイも飛距離を求めようとするのならば、チタンのほうが理に適っているような気がします。
ドライバーに比べ、FWはそれほど大型化することはないですが、チタンにするメリットは大きいような気がします。
ここ数年、このFWはよく飛ぶな・・・。と思ったクラブの多くがチタンでした。

VG3らしく、かなりシャロータイプのFWです。
ブランドイメージに合っています。
シャロー感は強いですが、タイトリストらしく、黒でビシッと決めているので、重厚感とカッコ良さがあり、好感がもてます。

ドライバーと同じく、ウェイトがひとつだけ配置されていました。
赤い色があったので、違う色のウェイトも用意されているのかもしれません。

ネックの長さはたっぷりとありました。
最近はショートタイプが多いので、少数派といっていいように思います。

ネックには調整システムが搭載されていました。
最近は、このシステムも少しずつ見なくなっているような気もするのですが、まだまだニーズは高いのだと思います。
飛距離性能など、クラブの基本性能が犠牲にならないのであれば、このシステムはとても有効です。

ソールには溝がありました。
結構大きな溝です。
この溝はポピュラーになりました。

フェース面の仕上げはタイトリストらしく、シンプルで美しいです。
見慣れた感じがします。

かなりシャローなヘッドです。
『円盤』のようなタイプです。
昔は、このようなかなりのシャローだと、全体的な形が崩れているものがありましたが、最近のクラブはそれが上手く解消されています。
物理的な性能だけでなく、形状としてのバランスにも気を配って開発されているのではないでしょうか?

顔はまずまずでした。
VG3なので予想はしていましたが、フェースが被っているように見えました。
これが『シャロー』&『ラージ』全盛である今の『ニュートラル』といえるのかもしれません。
私は被って見えるので、ストライクゾーンからは外れてしまうのですが、この顔が好きだという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

装着されているグリップは、これまでもよく目にしたタイプです。
シンプルなグリップで、好感がもてます。

素振りをしてみると、見た目の印象よりもソフトスペックに仕上がっている感じでした。
軽量感があって、軟らかい感じのシャフトです。

ボールを前にして構えてみた感じは、まずまずでした。
球がつかまりそうでしたが、特に苦手な印象はありませんでした。
シャロー感があり、少し大きく見えますが、大きすぎないのがいいです。
こうして構えてみると、ドライバーだけでなく、FW(特にスプーン)も昔に比べ、構え感が大きく変わったような気がします。
平べったくてシャロー感が伝わってくるものが多くなり、スプーンを構えているようには見えません。
昔ならクリークに感じられるくらいのあがりやすいイメージが、このクラブにはありました。
スプーンはドライバーと同じように『ディープなもの』というイメージが昔からありましたが、今はそうではありません。
全ての『ウッド系』クラブのシャロー化が進んでいます。
ボールの低スピン化が進むにつれ、あがりやすさが追求されているのだと思います。
高い機能性をもっているクラブだと思いますが、比較的シンプルな構え感に好感をもつことができました。
試打を開始しました。

『打感』は、ややしっかりめでした。
ソフトというよりは、球の重さをしっかりと感じることができました。

『音』は好感がもてました。
はっきりしていますが、大きすぎず、しっかりと振り抜くことができました。
インパクトが緩むこともありませんでした。

球はとてもよくあがってくれました。
ヘッドの形状(シャロー)から、あがりやすいタイプだろうと思っていましたが、実際に球を打ってもその通りでした。
重心も低くて深そうです。
タイトリストは海外の一流メーカーですが、このVG3シリーズは、私たち日本人ゴルファーに受け入れられやすいように設計されているのだと思います。
とても親しみやすい性格をしています。
ティアップせずに直打ちで試してみたのですが、充分すぎるほどの高さを出してくれました。

『安定性』も高いです。
つかまりのいい、オートマチックタイプのFWです。
シビアさは全くなく、寛容なところもありました。
球が逃げにくいので、ここに魅力を感じられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

『飛距離性能』は、いい感じでした。
初速も速いですし、充分なキャリーで距離を伸ばしていけるタイプです。
これまでのモデルと重複する感じがしました。
性格の尖った飛びではなく、性格の丸い飛びといったらいいでしょうか?
ユーザーを限定するのではなく、易しく飛ばしていけるタイプのFWです。

『操作性』という点では、『オートマチック性』のほうが長けているような感じがしましたが、左右にも曲げることができました。
球がつかまりやすい感じがしたので、どちらかといえばフック系のほうが易しい感じがしましたが、極端なクセは無いように感じました。

VG3シリーズらしく、易しくつかまえて飛ばしていけるタイプのFWです。
気難しい感じやハードルの高さは全く感じませんでした。

それでいながら、基本性能はしっかりしていて、頼れる感じがしました。
前のモデルの『フルモデルチェンジ』タイプではなく、あくまでも『マイナーチェンジ』タイプだと思いますが、いいところはしっかりと残っているので、前のモデルを使っておられる方も、親しみをもちやすいのではないでしょうか?

タイトリストはボールだけでなく、FWも定評がありますが、このクラブも多くのタイトリストファンの方に支持されるのではないでしょうか?
2017年12月09日
タイトリスト VG3 ドライバー

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト VG3 ドライバー です。

シャフトは GRAPHITE DESIGN Tour AD IZ-5 です。
ロフトは9.5度、クラブ長さは45.5インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は56g、トルクは4.4、キックポイントは中調子、バランスはD4.5、クラブ総重量は282gです。

タイトリストVG3のニュードライバーです。
前のモデルを試打したのが、ついこの前のような気がするのですが、この時期にニューモデルに出会うことができて、とても嬉しく思いました。
前のモデルでは採用できなかった新たなテクノロジーが、このドライバーに搭載されているのでしょうか?
タイトリストは917のような『91シリーズ』と、この『VG3シリーズ』がありますが、VG3シリーズは日本市場向けということなのかもしれません。
私たち日本人ゴルファーを意識して開発されているように見えます。
私の周りにもタイトリストファンは多いですが、このVG3の人気も高いです。

装着されているシャフトに『IZ』という文字があったので、私は伊澤選手モデルなのかな?と思いました。
昔からBSファンで、BSのクラブにはたくさん接してきた私は、ツアステ時代の伊澤選手モデルを思い出しました。
よく見ると『Into the Zone』という文字があったので、違うのだと気づきました。
『ゾーンへ』ということでいいのでしょうか?
ゴルフをしていて、なかなかゾーンには入れないものですが、意識的にゾーンに入れたらすごくいいな・・・。といつも思います。
プレー中は、何らかの不安や気の乱れなど、集中力が落ちることも多いです。
世界的なシャフトメーカーとしての地位を築いているグラファイトデザインのシャフトなので、おそらく特別な工夫がされているのだろう・・・。と期待感が高まりました。

形状的には、これまでもよく見られたシャロー感があって、ラージサイズです。
特に変わったところは見られません。
前のモデルには溝があって、それがとても特徴的だったのですが、このモデルには採用されていません。
前のモデルとは違う、新たなコンセプトで開発されているのでしょうか?
シンプルになったような気がします。
ゴチャゴチャしていなくてスッキリしているので、好感がもてます。
こういったセンスの良さも、タイトリストの特長のように思います。
クラブは実際に球を打つ前に、まずは目で楽しみたいと、いつも思っています。

ネックの長さは適度にありました。
見慣れた長さではありますが、今のドライバーの中では少し長いほうだと思います。

ネックには調整システムが搭載されていました。
前のモデルと同じです。
最近は少なくなってきているように思うのですが、この調整システムにこだわっておられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

試打するのは、この『A1』のポジションです。
この位置が、おそらくノーマルなのだと思います。

見慣れた感じのシャロータイプです。
この円盤のような形状を初めて見たときは驚きましたが、今はすっかりポピュラーになりました。
今は殆どが、この形です。
これより先の形がまだ見えてきません。
今の段階では、この形がベストなのかもしれません。
素材が変われば、また設計も変わってくると思うのですが、もうずっとチタンのままです。

ソールにはウェイトがひとつだけ配置されていました。
これも前のモデルと同じです。
この位置がベストポジションなのでしょうか?
今はウェイトの大きさも色々なタイプがありますが、このドライバーは小さめです。
数字が刻印されていなかったので、何グラムなのかは分かりませんでした。
赤い点がひとつだけありました。
専用の工具を使えば、簡単に交換できそうです。
色々な重さが用意されているのでしょうか?

フェース面は見慣れた感じです。
これまでのVG3らしい感じがします。
フェース面のヒッティング部分にスコアラインの無いドライバーが多くなったので、驚くことはなくなりましたが、初めて見たときは驚きました。
ボールが滑るのではないかな?と思いましたが、実際に打ってみると逆によく乗る感じがしたのを覚えています。
強度の問題でスコアラインを無くしているのでしょうか?
それともスピンなど色々な要因があるのでしょうか?
晴れた日はこのままでもいいと思うのですが、雨の日はスコアラインがあったほうがいいのではと思うこともあるので、私は無難なフェース面が好きです。
しかし、VG3をずっと使い続けている友人に聞いてみると、雨の日でも特に不安は感じないという返事が返ってきました。

いい感じのタイトリスト顔です。
こうして見ていると、『917』などの『91シリーズ』と、それほど変わらないように見えました。
似ている部分があり、これがタイトリストのこだわりなのかもしれません。
タイトリストらしい、いい顔をしていますが、少しつかまえ系に見えました。

装着されているグリップはシンプルな物でした。
調整機能が付いているからなのかもしれません。

素振りをしてみると、これまでのVG3よりはしっかりしていて振りやすいな・・・。と思いました。
それは純正のVG50などではないからなのかもしれません。
ハードなシャフトではないですが、特にクセもなく、タイミングもすぐに合わせることができました。

ボールを前にして構えてみると、なかなかいい感じでした。
極端ではないのですが、フェースが左を向いているように見えたので、少し右を向いて回すことにしました。
そうでないと、左へ巻いてしまいそうな感じがしました。
ただ、これは私が左へのミスが怖いからであって、この顔に何の不安も感じない・・・。という方は多いのではないでしょうか?
今どきのつかまえ顔といっていいでしょうか?
よく見かけますし、昔のように極端なフックフェースではないので、強い苦手意識は芽生えませんでした。
このつかまりそうな顔が、多くの方に安心感をもたらすのではないでしょうか?
これが、今の『スクエアフェース』といえるのかもしれません。
試打を開始しました。

『打感』は、ややしっかりしていました。
ソフトというよりはしっかりしていて、球の手応えがありました。
インパクトのときにずっしりする感じがありました。

『音』は、はっきりしていました。
しっかりと耳に届いてきます。
甲高くないですし、大きすぎないので、インパクトが緩むことなく、しっかり振り抜くことができました。

球はあがりやすくてイージーです。
外見からくるハードそうな印象と違い、とても親しみやすいドライバーだと思いました。
VG3らしい特徴です。
ロフトは9.5度ということですが、一桁ロフトのタフさのようなものは感じませんでした。
出球が高く、充分なキャリーを稼ぐことができました。
このスペック(ロフトやシャフトなど)だと、おそらくヒッター向けということになると思うのですが、そのハードルはそれほど高くないように感じました。
調整機能を使えば、もっと弾道を変えられそうです。

『安定性』が高くて、おそらくこの性能が一番のウリなのではないかな?と思いました。
『中立的な安定性』というのではなく、はっきりとした『つかまりの良さからくる安定性』だと思いました。
少しつかまりながら、しっかりとした球筋でブレる感じがしません。
右に滑る感じもなく、よくつかまえてくれました。
昔はラージサイズのドライバーは球が右にプッシュする物が多かったのですが、今はそれがすごく改善されていると思います。
『つかまりの良さ』が、ラインの出しやすさ・方向性の安定感につながっているように感じました。
打点のブレにも寛容なところがあり、シビアさは全く感じませんでした。

『飛距離性能』は、なかなかいい感じでした。
前のモデルよりも大きく飛距離が伸びているという感じは正直あまりしなかったのですが、これまでのモデル同様、高性能だと思いました。
フェースの弾きもいいですし、初速も速いです。
VG3は『易しい』イメージがありますが、これだけポテンシャルが高いと、普段『91シリーズ』を使っておられる方にも、頼もしく感じられるのではないでしょうか?
イージー系だから、アスリートモデルに性能が劣るということは無いように思います。

『操作性』という点では、安定性や球のつかまりの良さが勝ちすぎている感じで、あまり操作するタイプではないように感じました。
一応右にも曲げてみようと思ったのですが、大きく曲げることは難しいと思いました。
ラージサイズのドライバーではありますが、かなり球のつかまりがいいので、日頃球がつかまりきらずプッシュして距離をロスしている・・・。という方には、心強いパートナーとなってくれるのではないでしょうか?

VG3はダンロップでいうところの『ゼクシオ』にあたるのでしょうか?
91シリーズがスリクソンといえるのかな?と想いながら試打を繰り返していました。
イージー系のドライバーですが、基本性能は全く負けていないと思いました。
むしろ、安定性が高いので、平均飛距離が伸ばしていけるかもしれません。
普段91シリーズを使っておられる方にも、このドライバーは好感を持ちやすいのではないでしょうか?

前のモデルのVG3と飛距離はそれほど変わらないような気がしますが、『易しさ』では、こちらのほうが上のような気がします。
実際に打ち比べていないので詳しいことは分かりませんが、今日の初見ではそのように感じました。
今度機会があれば、前のモデルと打ち比べてみたいと思います。
2017年11月24日
タイトリスト 718 CB アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト 718 CB アイアン の7番 です。

シャフトは N.S.PRO 950GH です。
ロフトは34度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、バランスはD1、キックポイントは中調子、クラブ総重量は414gです。

タイトリストのニューアイアンです。
先日MBを試打しましたが、今日はCBを試打する機会に恵まれました。
タイトリストは2年に一回、同時に色々なタイプのアイアンを発表しますが、毎回好感度の高いものが多いです。
このCBも、いい印象が残っています。

オーソドックスなハーフキャビティです。
これまでのCBアイアンと大きな違いは無いように見えます。
今はハーフキャビティが少なくなってきていますが、フルキャビティでもポケットキャビティでもない、ハーフキャビティにしているというのが、メーカーのこだわりといえるでしょうか?

彫りは、かなり浅いですが、ソール中央部分が一番肉厚になっているので、重心の低さや打感の良さを考慮しているのかな?と思いました。
何気ない形状ですが、メーカーの深い研究があるのだと思います。

ソール幅は狭いです。
これは先日試打したMBもそうでしたし、前のモデルも同じでした。
今はアスリートモデルでも、少しずつワイド化している傾向があるように思うのですが、この狭いソール幅も、メーカーの狙いがあるのではないでしょうか?
ソールを広くしなくても、重心の低さは充分確保できるよ・・・。といっているようです。
今のワイドソールタイプのアイアンを使い慣れておられる方は、狭すぎてあまり好感がもてないかもしれません。

ネックの長さは普通でした。
ワイドソールでショートネックの、いわゆる『頭でっかち』タイプのアイアンも増えてきましたが、このアイアンはそのようなタイプではなく、オーソドックスですっきりした感じがします。

ヘッド全体がワンピース構造ではなく、ソールには異材がコンポジットされているのが分かりました。
これまでの経験から、おそらくタングステンが組み込まれているのだろうと思いました。
こういった工夫はよく見られますし、この工夫があるからこそ、あのソールの狭さがあるのだろうと、改めて思いました。

トップラインの厚さはノーマルでした。
ちょうどいい感じです。

フェース面にミーリングはありませんでした。
スコアラインの数や間隔も適正で、親しみがもてます。

素振りをしてみると、少し軽く感じましたが、装着されているシャフトNSPROも人気が高いですし、今のスタンダードといえるのかもしれません。
カッコいいハーフキャビティを使いたいけど、軽量スチールシャフトが好きだという方には、好感を持ちやすいのではないでしょうか?

ボールを前にして構えてみても、これまでのモデル同様、とてもいいです。
このタイトリスト顔を見ると、笑みがこぼれてしまいます。
大きさもちょうどいいですし、グースも弱く、いいイメージが自然と湧いてきます。
タイトリストのアイアンは、先日試打したMBやAP2、そしてこのCBというように、バックフェースのデザインの違いはあっても、構えやすさが共通しているところが好きです。
海外メーカーではありますが、とても日本的な感じがして親近感が湧きます。
しばらく、こうして見つめていました。
試打を開始しました。

『打感』はとてもソフトです。
予想していた通りのグッドフィーリングです。
マッスルバックと遜色ない、適度な厚み感と軟らかさがあります。
いわゆる『スカスカ』した打感ではないですし、バーンと弾くタイプでもありません。
中身がギュッと詰まった打感です。
フェースにしっかりとボールが乗ってくれる感じがありました。

『球のあがりやすさ』という点でも、なかなかいい感じでした。
外見から、かなりのアスリートモデルだということが分かりますが、それほどハードルを上げていない感じがしました。
『異材』もよく効いているのかもしれないですし、装着されているシャフトも大きく関係していると思います。
ヒッター向けであることに変わりないですが、そのハードルは高すぎないと思いました。
タフなタイプではなく、『標準的な』あがりやすさという印象をもちました。

『安定性』という点では、ハーフキャビティらしいところはありました。
小顔タイプですし、打点のズレにはそれほど寛容ではないと思います。
MBを使い慣れたおられる方でしたが、キャビティタイプの易しさを感じやすいと思うのですが、アイアンに寛容さを最優先して求めていきたい方には、親しみづらさのようなものがあるかもしれません。
しかし、こういったタイプでしっかりと打ち込みをし、球筋や高さが安定してきたら、ゴルフがより楽しくなってくるのではないでしょうか?
クラブの正直さは、プレイヤーの向上の手助けをしてくれることが多いです。
自分の足りないところや、修正すべきポイントを直に教えてくれます。
ゴルファーにとって、ゴルフクラブはかけがえのない相棒ですが、見方を変えてみればコーチのような側面も持ち合わせているのではないでしょうか?
難しければいいというものでもないと思いますが、易しすぎすぎて何でもいいよ・・・。といってくれているようなクラブはどうなのかな?と思うことはよくありますし、自分がミスしたと分かっているのに、ボールが真っ直ぐ飛んで行ってしまうのは怖く感じることもあります。

『飛距離性能』という点では、普通だと思いました。
アスリートモデルらしい、『抑えた距離』という感じでした。
飛距離を追求するモデルではなく、あくまでも標準的な距離を刻むことに長けたアイアンだと思います。
アイアンに飛距離性能を求めておられる方には、あまり魅力的とはいえないかもしれませんが、飛びよりも縦の距離の正確性を高めたい方や飛びすぎを警戒しておられる方には、頼もしい相棒になってくれるのではないでしょうか?

『操作性』はとても高いです。
左右に敏感に反応してくれました。
今はクセのある感じのアイアンも増えてきましたが、このアイアンはクセのない、クリアな感じがしました。
自分の持ち球で勝負していけるアイアンです。
まさに『手の延長』として使っていけるアイアンだと思います。

今はドライバーを『オートマチックタイプ』にしておられる方が増えてきたように思います。
しかし、アイアンは今でもマニュアルタイプを使っておられる方がまだまだ多くいらっしゃるように見受けられます。
もちろん、オートマチック系のアイアンの人気も高いですが、マニュアルタイプのアイアンの人気もまだまだ健在です。
前はオートマチック系のアイアンを使っていたけど、今はマニュアルタイプに戻して使っているという方も多いのではないでしょうか?

ドライバーなどはある程度寛容さを求めて、よりシンプルで、いい意味での『アバウトさ』をもって球を運んでいきたいけど、グリーンを直接狙うクラブは、やはり操作性の高い物を使いたい・・・。という方も多いのではないでしょうか?
オートマチック系ではなかなか思うようにはいかない。
飛びすぎて、どうしてもスイングが小さくなってしまう・・・。という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

アイアンに対して求めるものが人によって大きく異なると思いますが、このアイアンは『過ぎない』のがポイントだと思いました。
正直なタイプですが、決して難しすぎない。
あがりやすさを強調しているタイプではないけど、決してタフ過ぎない。
飛びすぎない。

そういった『過ぎない性能』があって、長く付き合っていけるのではないでしょうか?
易しさを最重要視して造られたアイアンではないですが、先ほども書きました通り、『プレイヤーの上達』を手助けしてくれ、ゴルフをするのが楽しくなってくるのではないかな?と思いました。

前のモデル(716)のCBと、どこが進化したのか、正直よく分かりませんでした。
前のモデルも手にとって実際に見比べたり打ち比べたりすると違うが分かるのかもしれませんが、今日はそれができませんでした。

機会があれば比べてみたいと思いますが、ひとつ確実にいえることは、このアイアンはいいということです。
いわゆる『イージー系』のアイアンではないですし、敬遠される方もいらっしゃるかもしれません。
このようなタイプは一生使わないという方も、ひょっとしたらいらっしゃるかもしれません。
人によってクラブに求めるものは違いますが、このようなカッコ良くて男前でグッドフィーリングなアイアンはやっぱりいいな・・・。と思いましたし、楽しむことができました。
2017年11月02日
タイトリスト 718 AP1 アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは タイトリスト 718 AP1 アイアン の7番 です。

シャフトは N.S.PRO 950GH です。
ロフトは29度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS、バランスはD1、キックポイントは中調子、クラブ総重量は411gです。

タイトリストAPシリーズのアイアンです。
これまで、AP3・AP2と試打してきましたが、今日はこのAP1を試打する機会に恵まれました。
前のモデルまでのAP1は赤のイメージが強いですが、このニューモデルは違いました。
落ち着いたデザインで、シブさが増してカッコいいです。

小顔というよりは、やや大きめです。
これは、これまでのAP1と共通する特徴のひとつといっていいように思います。

こうして近くでみていると、ワンピース構造ではなく異材が組み込まれているのが分かります。
おそらく、これまで通りタングステンが中に入っているんだろう・・・。と思いました。
タングステンは昔から『希少金属』というイメージが強いのですが、多くのクラブに使われているということは、そうでもないのかもしれません。
鍛造アイアンは今でもよく見られますが、昔のような『削り出し』アイアンは見かけなくなったな・・・。と、この部分を見て思いました。
今は高価なクラブよりも、コストパフォーマンスの高いクラブが求められているのかもしれません。

彫りの深さは充分ありますが、バックフェースが膨れていないのがいいです。
これくらいであれば、構えたときに邪魔に感じないような気がします。

トップラインは、やや厚めでした。
イージー系アイアンによく見られる特徴です。

ソール幅は普通でした。
もっとワイドソールを予想していましたが、広いというほどではありませんでした。
ソールに組み込まれている『異材』が上手く機能して、それほどワイドにしなくてもいいということなのかもしれません。

ネックは少し短く見えましたが、今のアイアンでは見慣れた長さです。
細いというよりはやや太めで、寸胴タイプに見えました。
どっしりした感じがあります。

リーディングエッジは削られていて、抜けが良さそうです。
これは、これまで試打したモデルと共通しています。

フェース面にミーリングはありませんでした。
見慣れた感じのフェース面です。
特に変わった工夫は見られませんでした。

装着されているグリップも、ラバータイプのシンプルなデザインでした。
ソフトなフィーリングで、好感がもてます。

ボールを前にして構えてみると、面長なタイプだということが分かりました。
ものすごく大きいラージサイズというほどではなく、セミラージサイズといっていいと思います。
面長で、グースも効いていました。
小顔なタイプは少しヒール寄りで打つイメージが出しやすいですが、このような面長なタイプは少しトゥ寄りで打つイメージのほうが出やすいです。
私は小顔なタイプが好きですが、この『面長さ』を好まれる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
コンパクトな感じはしないですが、かといって大味な感じはしないですし、適度に締まっているようにも見えました。
タイトリストアイアンの特徴といっていいのかもしれません。
易しさを追求しながらも、決して雑な感じにはしたくない・・・。というメーカーの思いが伝わってくるようです。
私が好むタイプとは違うところもあるのですが、苦手意識も芽生えないですし、普通に構えることができました。
素振りをしてみると、少し軽量感があったので、もう少し重量があると、もっと易しくなるだろうな・・・。と思ったのですが、このモデルには、NSプロがおそらく『純正』なのだと思います。
最近は軽量スチールも、良い物がたくさん登場してきています。
試打を開始しました。

『打感』は、まずまずでした。
タイトリストらしい打感ではないのですが、この打感もこれまでたくさん経験しているせいか、違和感などはありませんでした。
ソフトというよりは、ややしっかりめの打感でした。
いい意味でいえば、無難な感じの打感だな・・・。と思いました。

球はとてもあがりやすくてイージーでした。
タフさは全く無く、外見通りの親しみやすさをもっていました。
ワイドソールを好まれる方には、少し広さが足りないように見られるかもしれませんが、充分な重心の低さをもっているので、打ってみてもあがりやすいと感じやすいのではないでしょうか?

『安定性』は高いです。
見た目通りのオートマチック系アイアンです。
充分な大らかさがありました。
タイトリストのアイアンはカッコいいけど難しそう・・・。と敬遠しておられる方にも、このアイアンの易しさは感じやすいのではないでしょうか?
少々の打点のブレにも寛容なところがありました。

『飛距離性能』は優れていました。
よく飛ぶタイプのアイアンです。
タイトリストらしくない飛び・・・。といったらいいでしょうか?
そう思えるほど、よく飛びました。
このアイアンは7番ではありますが、私の感覚では確実に2番手くらい違うように感じました。
ただ、こういったことは別に珍しくもなく、他のメーカーのアイアンでもよく経験しているので驚くことはありませんでした。
タイトリストがこういうタイプのアイアンを作るということは、それだけ飛距離へのニーズが高いんだな・・・。と思いました。
私には、『7』という刻印をした『易しい5番アイアン』という感じしかありませんでした。

『操作性』は、まずまずでした。
オートマチック性が強いですが、左右へも曲げることができました。
面長なタイプのアイアンですが、球もしっかりつかまってくれました。
『イージー系』でありながら、それほどクセが強くないのがいいです。

ディスタンス系のアイアンですが、バーンと強く弾く感じのフィーリングではないのがいいです。
フェースに球がしっかりと乗るという感じではありませんが、この打感を好まれる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
『フィーリングの多様化』が既に何年も前から始まっているのだと思います。

これまで、いくつかタイトリストの今年のニューモデルを試打してきましたが、このアイアンが、一番『イージー色』が強いです。
先日試打したAP3と比較するとどうなのかな?と、試打する前は思っていたのですが、このAP1のほうが一般的なハードルは低いように感じました。

小顔タイプではなく、やや大型のアイアンが好き。
距離もしっかりと稼いでいきたい。
とはいっても、クラブとしてのカッコ良さも求めていきたい・・・。という方には、魅力的なアイアンといえるのではないでしょうか?

このAP1よりは、先日試打したAP2のほうが私は好きですが、このアイアンもかなりたくさんの工夫が見られました。
これまでタイトリストのアイアンを使ったことが無いけど、易しいのなら使ってみたいな・・・。という方には、試していただきたいと思いました。

タイトリストがこのアイアンを発表してきたということで、やはりこのようなタイプが多く求められているんだな・・・。と改めて思いました。
球を易しく打つ為のたくさんの工夫が組み込まれていますが、決してアバウトな感じではなく、抑えるところはきっちりと抑えている感じがして、フィーリングを邪魔していないのがいいです。