Orion
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2018年05月06日
Orion Closer アイアン

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは Orion Closer アイアン の7番 です。

シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは34度、クラブ長さは36.75インチ、シャフトフレックスはS200 です。

Orionのとてもカッコいいアイアンです。
しばらく見とれてしまいました。
このアイアンのもつ、何ともいえない雰囲気にすっかり魅了されてしまいました。
今はアイアンも『ハイテク化』が進み、色々なパーツが組み合わさったり、形状が複雑になっていたりしますが、やはり、このようなベーシックなタイプには惹かれるものがあります。
アイアン好きの私のアンテナが、ピンと反応しました。

大きさ的にはノーマルなタイプです。
ラージサイズでもなく、セミラージでもありませんでした。
こうして見ていても、研ぎ澄まされた感じの男前なアイアンであることが分かります。
バックフェースの形状に凹凸があるので、一瞬キャビティかな?と思いましたが、これはマッスルバックといっていいと思います。
通常のフラットバックタイプではありませんが、このアイアンは新しい形のマッスルバックといえるのではないでしょうか?
今はマッスルバックも、様々なタイプが見られるようになりました。

彫りの深さは浅く、こうして見ると、ハーフキャビティのようにも見えるので、その境界線が曖昧な感じもします。
ただ、やはりマッスルバックのほうが合っているように思います。
この角度から見ても、やはり男前だな・・・。と思いました。
挑戦意欲が掻き立てられる男前といったらいいでしょうか?

バックフェースの中央付近が肉厚になっています。
いわゆる『凸型バックフェース』です。
『凹型』ではありません。
これは打感を良くする為の工夫だと思います。

トップラインは、やや狭めで、いい感じです。
シャープさがあって、とてもいいです。
構えた時に、いいイメージが出せそうです。

ソール幅は、昔ながらの『標準タイプ』ですが、今のアイアンの中では明らかに狭いです。
ワイドソールを好まれる方の中には、このアイアンのソール幅を受け入れられない方もいらっしゃるかもしれません。
他の角度からもそうですし、このソール幅でアイアンの性格を読み取ることができます。
懐かしいな・・・。と思う方もいらっしゃると思いますし、球があがりづらそうだな・・・。と敬遠される方もいらっしゃると思います。

ネックは適度な長さがありました。
こうして見ていると、結構重心は高そうです。
今のアイアンの中では、間違いなく『高重心タイプ』になると思います。
低重心タイプのアイアンを好まれる方には、合いづらいところがあるかもしれませんが、アイアンは昔から高重心タイプが活躍し続けています。
ドライバーの高重心タイプは全くといっていいほど見なくなりましたが、アイアンは今でも支持されています。
それはアイアンとドライバーとでは、クラブとしての機能の違いによるところが大きいからではないでしょうか?
このアイアンは最新モデルですが、とてもクラシカルなところがあります。
アイアン好きの私にはたまらない魅力をもったカッコいいアイアンです。

ホーゼルには、このアイアンの名前でもある『Closer』の文字がありました。
クローザーといえば、野球好きの私は『抑えピッチャー』のことを連想するのですが、このアイアンの場合はどうなのでしょうか?
また違う意味が込められているのかもしれません。

リーディングエッジは削られていました。
小さな削りではなく、はっきりと分かる削りです。

トレーリングエッジも削りが目立っていました。
こういったところを見ると、やはり最新のアイアンなんだな・・・。と思えてきました。
他の部分ではクラシカルなところがありながら、昔では見られない工夫も取り入れています。
昔のいいところを残しながら、今の新たな工夫を取り入れている・・・。という、まさに『温故知新アイアン』といっていいでしょうか?

フェース面にミーリングはありませんでした。
すごく綺麗なフェース面です。
仕上げがとても丁寧で美しいです。
工芸品のような美しさがあります。
ボールを打って痕を付けてしまうのがもったいないような気さえしてきます。
このフェース面を見ているだけでも、いい目の保養ができます。
思わず目尻が下がってしまいました。
フェース面の仕上げにも、メーカーによって大きな違いが見られます。
仕上げが雑でチープな感じのアイアンもあれば、このアイアンのようにすごく丁寧で気を遣っているな・・・。というのが分かる物もあります。
こういったところで、アイアンに対する、そのメーカーの『本気度』といいますか、『こだわり』『センス』というものが感じられます。
同じ使うなら、このような丁寧で美しいアイアンを使いたい・・・。と思うのは私だけでしょうか?

素振りをしてみても、いい感じです。
適度な重さとバランスの良さで、タイミングも取りやすいです。
初めて手にしたアイアンですが、もう何年も使い続けている相棒のような感じがします。
今はアイアンの重量バリエーションが、昔とは比べものにならないほど広がっています。
自分に合った、振りやすい重さのクラブを選べる時代になりました。
いいクラブがたくさんあるので、迷ってしまうこともあるかもしれませんが、それもまたゴルフの楽しみのひとつといえるのではないでしょうか?

ボールを前にして構えてみても、すごくいいです。
予想通りの構えやすさでした。
このアイアンを初めて見たときから、オーソドックスなタイプであることは予想できていました。
この雰囲気があるので、『異型』ではないと思っていました。
クセのない、素直な顔をしています。
しかし、今はクセのあるクラブも多いので、そういったクラブを好んで使っておられる方には、『クセの無さ』がまたクセにつながってしまうのかもしれません。
この構え感も、昔ながらのスタンダードといえます。
トップラインが真っ直ぐで逃がすイメージが出しやすいです。
スライサーの方や、丸みを帯びたトップラインを好まれる方にはあまり好まれないかもしれません。
グースの利きも弱いので、すごく構えやすいですが、グースタイプを好まれる方には、魅力的とはいえないかもしれません。
ラインもイメージしやすく、安心感があります。
大きさもちょうど良くて、ボールとの大きさの対比もいいです。
ワクワクしてきました。
試打を開始しました。

『打感』は、とても良いです。
何ともいえない、『球の乗っかり感』を楽しむことができました。
ディスタンス系の、薄くて弾く感じのアイアンでは、味わえないフィーリングです。
しっかりと乗ってくれる感じがあるので、コントロールするのに有利だと思います。

『球のあがりやすさ』という点でも、自然な感じであがりやすいです。
球があがりやすくなるような、色々な工夫はされていないようですが、このナチュラルさがいいです。
イメージ通りの打ち出しの高さと最高到達地点です。
ギューンと力強くあがっていく感じが頼もしいです。
自然な感じであがってくれますが、いわゆる『イージーなタイプ』ではなく、明らかにヒッター向けです。
タフに感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
ハイテクなあがりやすさのあるアイアンではありません。

『安定性』という点では、正直なタイプで、マッスルバックの特徴を感じました。
シビアに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
寛容さは、それほど持ち合わせていません。
大らかなタイプではありませんが、この正直さがまた魅力でもありますし、プレイヤーの『個性』といいますか『技量』をあげてくれることにもつながるのではないでしょうか?
どういうことかといいますと、いい意味で『ごまかせるようになる』ということです。
日頃マッスルバックやハーフキャビティなどの正直なアイアンを使い慣れておられる方でも、全て『芯』でとらえられているわけではなく、当然ミスヒットもします。
しかし、それを周りには感じさせない、ほんの一瞬の『修正力』といいますか、『対応力』が磨かれるようになると思います。
ミスヒットしても、一瞬でそれに対応できるフェースコントロールといっていいのか分かりませんが、球筋が大きく乱れないように工夫することができるようになります。
アジャスト能力が磨かれます。
周りで見ている人はミスしたと気づきにくくても、打った本人はそれをちゃんと把握していて、上手く対処できてスコアを崩さなくなります。
こういったことは、イージー系のオートマチックアイアンでは磨かれにくい要素だと思います。
どこでヒットしたか、把握しやすいのも、このような正直なタイプのアイアンの特長でもあります。
常に自分のスイングをチェックしていけるので、大きな不調にはなりにくいです。
ミスしたと本人は判っているのに、それが形となって表れないのは便利かもしれませんが、逆に怖く感じることもあります。
もちろん、クラブが易しくなるのはいいことだと思いますが、その易しいクラブを使い続けて、却って調子を崩してしまった・・・。とか、ゴルフが退屈に感じるようになって面白くなくなった・・・。という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もっとコントロール性を高めていきたい・・・。という方には、このアイアンはとても魅力的といえるような気がします。

『飛距離性能』という点では、ノーマルだと思いますが、今のアイアンの中では明らかに飛ばないタイプだと思います。
飛距離性能よりも距離感を大切にしたい方の為のアイアンといっていいのではないでしょうか?
『少しでも飛ばす』というタイプのアイアンではなく、確実に狙ったところへ『落とす』『狙う』ことができるアイアンです。
ロフトピッチを大切にしたい方のアイアンといっていいと思います。
今はアイアンのロフトがすごく立っていて、クラブによっては『2番手以上』の『ずれ』が生じています。
もちろん、それは飛距離ということになると思うのですが、それでいいという方もいらっしゃると思いますし、あまりいいことではないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今はアイアンも飛距離を求められている時代なので、仕方ないと思いますが、どこかに重点を置けば、必ず違うところに歪みが出てしまいます。
アイアンが飛ぶ(番手ずらし)ようになって、他の短いクラブで距離を合わせるのが難しくなった・・・。という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このアイアンのように自然な感じならば、『番手の刻印』でいいな・・・。と思いました。
14本のセッティングで、おそらくアイアンだけが今でも『番手』の刻印がされているのではないでしょうか?
ウェッジやFW・UTやドライバーも、全てロフトが表示してあるのに、アイアンだけは未だにロフトが表示されていません。
それは『ゴルファー心理』というものが大きく関わっているのは間違いないですが、もし正直にリアルロフトがアイアンにも表示されるようになると、『飛ぶ』という感覚は薄まってしまうのではないでしょうか?
アイアンにもロフトが表示され、ロフトピッチ(基本は4度)でクラブセッティングすると、ゴルフがすごくシンプルに感じられるような気もするのですが・・・。

『操作性』は抜群です。
すごく敏感に反応してくれるので、こちらの意図がはっきりと伝わっているのが分かります。
いわゆる『ハンドルの遊び』が小さいアイアンです。
この反応の速さは心強いです。
『曲がりにくさ』『寛容さ』『直進性』で勝負しているアイアンではありませんが、反応がいいので、いわゆる『逆球』は出にくいです。
真っ直ぐではなく、自分の持ち球の曲線で狙っていけるタイプのアイアンです。
ラージサイズのアイアンは確かにスイートエリアが広いけど、球がつかまりきらずプッシュしてしまう・・・。構えづらくてイメージが湧かない・・・。などマイナスに感じられる方もいらっしゃると思います。
そういった方には、このようなノーマルな大きさのアイアンを試していただきたいと思いました。

試打していて、何となくですが、三浦技研のアイアンを思い出しました。
今度機会があれば、三浦技研のマッスルバックアイアンと打ち比べてみたいと思います。

このアイアンで球を打ちながら、『鉛筆書き』と『サインペン』の違いを感じていました。
どういうことかといいますと、ひとくちにアイアンといっても『鉛筆書きタイプ』と『サインペン(マジック)タイプ』に分かれるということです。
このアイアンは鉛筆(シャープペンシルも含む)タイプで、文字や線の『濃淡』を描くことができます。
鉛筆は『筆圧』で文字や線の濃さを書き分けていくことができますし、芯の濃さ(HやHB・2Bなど)を選ぶこともできます。
細くシャープなので、細かいところに書いていけます。
対して、ラージサイズのディスタンス系アイアンは『サインペン(マジック)タイプ』です。
サインペンは筆圧で線の濃さを書き分けることはできず、インクの濃さで決まってしまいます。
軽く書いても力を入れても同じ濃さです。
それはまさに『マジック』といえるのかもしれません。
手帳やノートなど細かいところに文字を書くには適さないですが、引っ越しの段ボールに中身を書くときには鉛筆よりも重宝します。
どちらもその場面において、使い分けるのが通常です。

私は小さい頃から、とにかく鉛筆で文字をたくさん書いていて、筆圧も強めでした。
『漢字の書き取り』もよくやっていました。
なので、私の右手の中指には、小さい頃からずっと『鉛筆ダコ』があります。
右手と左手で見比べても、大きな違いがあります。
これは小さい頃からですし、今でもよく手帳やノートなどに手書きしているので、このタコが消えることはおそらくないと思います。

このアイアンのようなベーシックなタイプは、鉛筆のように『色の濃淡』を付けることができます。
フルショットの時(色を濃くしたい時)には、強めの筆圧。
距離をコントロールしたい時(色を薄くしたい時)は、少し抑えめの筆圧のイメージ。といったらいいでしょうか?
鉛筆は、細かいところにも書き込んでいけるので、このようなアイアンの繊細さにもつながるような気がします。
オートマチック系のアイアンは、どのように書いても、インクの濃さは変わらないので、まさに『オートマチックタイプ』といえるかもしれません。
細かなところに書くのも適さないです。
それがいいところでもあると思いますし、やや物足りないところでもあるのかな?と思ってしまいます。
色を薄くしたいと思ってもできないですし、それは距離のコントロールがしづらいところにもつながるのかもしれません。
ディスタンス系のアイアンは確かによく飛ぶのですが、抑えて打ちたいと思っても、とにかくよく飛ぶので、縦のコントロールがとても難しいです。
少し距離を抑えて打とうと、短く持って打っても、ほぼ同じような距離まで飛んで行ってしまい、なかなか思うようにはいきません。
オートマチック性とは、『一種の頑固さ』のようなものかもしれない・・・。と思うことが、試打していてあります。
なかなか、こちらのいうことをきいてくれません。
鉛筆はナイフを使って、自分好みの角度や芯の形に削っていく楽しみもありました。
『芯の出し方』にも、こだわりがありました。
削った後はキャップを挿して筆箱に入れて、大切に保管していました。
鉛筆削りでは出せない、自分だけの好みの顔にすることができました。
サインペンはキャップを閉め忘れてしまうと、インクが乾いて書けなくなってしまいますが、鉛筆にはそういった心配はありません。
どちらも同じ筆記用具ではありますが、性格が大きく違うので、一長一短があるのだと思います。
ゴルフとは直接関係ないかもしれませんが、このアイアンを試打しながら、そんなことを考えていました。

やはり、マニュアルタイプはいいな・・・。と思いました。
『ショットの濃淡』を楽しむことができるので、一球一球が新鮮で飽きることがありません。
球持ちのいいアイアンなので、乗せて運ぶ感覚が出しやすいのもいいです。
今はウェッジにもキャビティタイプが登場している時代ですし、どの番手にも『易しさ』『寛容さ』に対するニーズが高いのは間違いありません。
ミスヒットに寛容で、とにかく真っ直ぐ飛ぶクラブが欲しい・・・。という方が多いのではないでしょうか?
そういったこともあるので、このようなタイプは敬遠されるところがあると思いますが、昔のマッスルバックよりは今のほうが、明らかに親しみやすくなっていますし、性能もアップしています。
技術も高まっているので、『目に見えない易しさ』があります。
素材も多様化し、精度も高まっています。

Orionというメーカーのクラブは、試打した経験が少ないのですが、ウェッジの印象が強いですし、このアイアンもすごく気に入ったので、さらに好感度が増しました。
基本的な性能の高さもありますが、美しくて精度の高いクラブを造るメーカーだという認識をもつことができました。
日本にたくさんある地クラブメーカーの優秀さを、今日も感じることができました。
球を打つのがとても楽しくて、予定の時間と球数をオーバーしてしまいました。
また何度でも試打したいですし、コースでも楽しみたいです。
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2017年06月22日
Orion SPY-1 WED PROSPEC ウェッジ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは Orion SPY-1 WED PROSPEC ウェッジ です。

シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは56度、クラブ長さは35インチ、シャフトフレックスはS200、クラブ総重量は473g です。

久し振りに出会った、Orionのウェッジです。
そのあまりの美しさに圧倒されそうでした。
他のウェッジもたくさんあったのですが、このウェッジの存在感は際立っていました。
何とも言えない、いい雰囲気がありました。
今日は、何かいいFWが無いかな?と思っていたのですが、このウェッジを一目見て、試打することを決めました。
FWはまた次回にすることにしました。

オーソドックスなタイプのウェッジです。
シンプルな形状が美しさを際立たせているように感じました。
ミラー仕上げのウェッジです。
ピカピカ光る感じです。
私は艶消しのほうが好きなのですが、このメーカーはずっとミラー仕上げにこだわっているようです。
ミラー仕上げのほうが、サテン仕上げよりも好きだという方も、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

ヒール側には『PRO SPEC』の文字がありました。
プロが求めるスペックということなのでしょうか?

ソール幅は少し広く見えますが、SWとしては標準的です。

ネックの長さは、しっかりとありました。
適正な長さといっていいと思います。
ソール形状や顔など、ウェッジにはこだわりたいところがたくさんありますが、私はネックの長さをすごく気にします。
適度な長さのあるウェッジのほうが、スピンを掛けやすそうに感じますし、親近感が湧きます。

ホーゼルには『MADE IN JAPAN』の文字がありました。
日本のメーカーで、日本製ということで、好感度がさらに増します。
日本のメーカーでも海外製のクラブは多いですが、日本製のこだわってくれているところに好感がもてますし、興味が増します。

フェース面にミーリングはありませんでした。
ノーマルな美しいフェース面です。
Orionのウェッジを試打するのは、まだ3本目ですが、ミーリングは見られなかったので、これがメーカーの方針なのだと思います。
ウェッジに、積極的にミーリングを採用しているメーカーも多いですが、採用していないメーカーもたくさんあります。
どちらがいいとは、一概に言えないのかもしれません。

トップラインの厚さは普通でした。
ここの厚さや形状で、構えたときの印象が大きく変わってしまうこともありますが、このウェッジはとてもいいだろう・・・。と思いました。
『イメージの出しやすさ』という点でも、トップラインの厚さや形状は大切です。

リーディングエッジの削りは特に見られませんでした。
最近のウェッジでは珍しいです。
昔のウェッジやアイアンのように、使いながらそのプレイヤーにあった形にしていく・・・。ということなのでしょうか?
今のクラブはウェッジに限らず、何から何まで親切過ぎるのかもしれません。
昔と違い、自分に合うようになるまで、使い込んでいく・・・。という発想はあまり無いのかもしれません。
ゴルファーとクラブが共有する時間(月日や年月)は、昔と今とでは比べものにならないような気もします。

バンスはよく利いていました。
こういったところは今のウェッジの特徴のように感じます。
一時期、ローバンスが流行りましたが、今は少数派といっていいと思います。
ハイバンスタイプが多くなったということは、それだけアプローチよりもバンカーに比率を持っていったウェッジが多くなったのかもしれません。
とはいっても、今のハイバンスウェッジは昔のようにバンスが邪魔することが少なくなったような気もします。

ボールを前にして構えてみると、好感がもてました。
構えやすいです。
少しだけグースが利いているように見えましたが、苦手意識が芽生えるほどではありませんでした。
カットに打っていくイメージも出せました。
極上の『セミグース形状』といえるでしょうか?
今はアイアンもウェッジも『セミグースタイプ』が最も人気があると思います。
『顔の大きさ』も適正でした。
ウェッジはアイアンよりは『大顔タイプ』は多くないですが、このウェッジも適正な大きさでした。
大顔タイプはイメージがボヤけてしまうこともありますが、このウェッジはそんなマイナスはありませんでした。

『開きやすさ』も、いい感じでした。
バンスが邪魔に感じず、そのまますっと滑らせていけそうでした。
これ以上グースがきつくなると、開いて打つのが難しそうに感じるのですが、これくらいだと普段の感覚で打っていけるだろうな・・・。と思いました。
試打を開始しました。

『打感』は良いです。
とても柔らかい打感です。
心地良いですし、この柔らかさがあるから、シビアに落としどころを狙っていけるように感じました。

スピン性能は、なかなかいい感じでした。
強烈にギュッと止まる感じではなかったのですが、計算しやすい適度な止め性能をもっていると思いました。
止まりすぎたり、逆に止まらなかったり・・・。といったことにはなりにくい、安定したスピン性能といっていいように思います。
『PROSPEC』という名前が付いているので、かなり強烈なスピン性能があるのかな?と打つ前は思いましたが、そんな感じはしませんでした。
以前試打したタイプと変わらないような『親しみやすいスピン性能』だと思います。

球は拾いやすくて、いい感じでした。
高さもしっかり出せました。
不自然さは無く、イメージに合いやすい、自然な感じのあがりやすさでした。

『安定性』は普通です。
ウェッジらしい方向性の出しやすさがありますが、特別寛容なタイプでもないと思いました。
PROSPECではありますが、特別シビアだとは思いませんでした。

『距離感』は出しやすいです。
構えやすさと極上のフィーリングが、この距離感の出しやすさの大きな要因だと思います。
予想しない飛びをしないので、きちんとボールをターゲットまで運ぶことができました。
『狙う楽しさ』を味わえるウェッジです。

『操作性』はとても高いです。
色々な球で遊ぶことができました。
細工をしていけるマニュアルタイプのウェッジです。
このウェッジ一本で、色々な寄せを堪能できるだろうな・・・。と思いました。
『業師の為のウェッジ』といっていいでしょうか?

Orionのウェッジを試打したのは、まだ3本目なのですが、このウェッジにもいい印象をもつことができました。
これまで試打したのは、『ストレートタイプ』と『グースタイプ』。
そして、この『セミグースタイプ』の3つです。
この3つのネック形状で、おそらく殆ど全てのゴルファーをカバーできるのではないでしょうか?

人によって、ネック形状の好みは大きく分かれますが、私は最初に試打したストレートタイプが一番気に入りました。
すぐにでもコースで使ってみたいウェッジです。

PROSPECという名前なので、すごく難しいタイプのウェッジかな?と思いましたが、そんなことは全くなく、むしろプロの色々な意見が反映されて出来上がった、実戦的で『易しいウェッジ』といえるのではないかな?と思いました。

ウェッジが良ければ、アプローチ練習が楽しくなります。
楽しみながら練習をすると、技術が身につきます。
他人にはない、『自分だけの感覚』が活かせるようになると思います。

アプローチが良くなれば、スコアは劇的に良くなります。
今はいいウェッジがたくさんあるので、アプローチの精度を高められ、スコアを作りやすい、いい時代になったと思います。

ゴルファーならば誰もが知っているような大手有名メーカーのウェッジも素晴らしいですが、日本にはそれほど有名ではなくても、その品質や性能が全く負けていないといいますか、逆に勝っているメーカーもあるので、私は日本に住んでいて、とても幸せ者だと思います。
いいクラブがたくさんあるので、クラブを選ぶときに迷ってしまうこともあるかもしれませんが、それもまたゴルフの楽しみのひとつではないでしょうか?
高品質なクラブに出会うことによって、その人のゴルフも高められることもあるように思います。
このクラブを試打していて、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
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2016年08月07日
Orion HIMEJI x TSUBAME IRON

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは Orion HIMEJI x TSUBAME IRON の7番 です。

シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは34度、クラブ長さは36.75インチ、シャフトフレックスはS200、クラブ総重量は444g です。

とても美しいマッスルバックアイアンです。
『目を見張る美しさ』といったらいいでしょうか?
久し振りに時が止まったような気がしました。
派手なデザインではないですが、とてもよく目立っていました。
周りには他のアイアンもたくさんあったのですが、このアイアンの存在感は際立っていました。
輝きを放っているように見えました。
一目で、ここまで心が揺さぶられたのは久し振りのような気がします。
かなり質感のいいアイアンです。

どこのメーカーなのかな?と思いました。
トゥ側には『HIMEJI x TSUBAME IRON Japan Forged』という文字があったので、HIMEJI x TSUBAMEという兵庫県のメーカーなのかな?と思いました。
日本的な美しさがあるな・・・。と思っていました。

よく見てみると、ヒール寄りに『Orion』の文字があったので、Orionのアイアンなのだということが分かりました。
以前、ウェッジを試打していて、とても好感をもっているのですが、このアイアンにもすっかり魅了されました。
普通、メーカー名はすぐに分かるように名前が刻まれているものですが、このアイアンはとても控えめでした。
このような控えめさは、あまり見られません。
この奥ゆかしいところも魅力的でした。

かなりシャープなアイアンです。
鋭利な刃物のような感じがします。
エッジも効いています。
最近はマッスルバックも各メーカーが発売していますが、ここまでシャープなのはあまり無いように思います。
『有無を言わせない美しさ』といったらいいでしょうか?
美しさと強さを感じました。
ゴルフとは全く関係ないですが、海の生き物でいえば『ホホジロザメ』のような鋭さがあるな・・・。と思いました。
ゴルフクラブにも草食系に感じられる物と、肉食系といいますか、食物連鎖の頂点に位置するような生き物に感じられる物があります。
このアイアンは後者のタイプだと思いました。

とてもシンプルなフラットバック構造です。
無駄の無い、シャープなフォルムです。
マッスルバックは本来、こういう形だと思いますが、今は様々なタイプのマッスルバックも見られるようになりました。
マッスルバックも多様化しているように思います。
トップラインも、かなり薄めです。
このアイアンは最新モデルということですが、とてもクラッシックな感じがします。
こういった雰囲気に魅力を感じられる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

ソール幅は狭いです。
最近のマッスルバックは少しワイドな物が多いですが、このアイアンは『昔ながらの狭さ』です。
懐かしい感じがしますが、果たしてこれだけの狭さは、多くの方に受け入れられるかな?と思いました。
このソールの狭さに、敷居の高さを感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
ワイドなほうが安心できる・・・。という方も多いかもしれません。

トゥ側が大きく削り込まれていました。
芝の抵抗を軽減して、抜けを良くしているのでしょうか?

ネックの長さは少し短く見えました。
とはいっても、今のアイアンの中では普通の長さだと思います。
もっとロングネックを予想していたので、少し短く感じられました。
こういったところは、今のアイアンの流れに沿っているように思います。
『あがりやすさ』にも気を配って設計されているのかもしれません。

フェース面にはミーリングはありませんでした。
とてもシンプルで美しいフェース面です。

角度を変えて見ても、この美しさに思わずため息が出てしまいました。
これだけのフェース面の美しさを出せるメーカーは、そう多くはないと思います。
ウェッジのときも感じていましたが、かなり『磨き』『仕上げ』にこだわっているように感じます。
スコアラインがまるで生きているように見えました。
フェース面は唯一、ボールとコンタクトする場所です。
このような『美の極み』ともいえるフェース面で打たれたら、ボールもとても心地良い気分で飛んでいくだろう・・・。と思いました。
ラウンドしていると、『キックがいいときとそうでない時』がよくあります。
ボールが心地良く飛んでいるときは、キックが良くてカップに寄っていくけど、そうでないときはたとえラインを出せたとしてもキックが悪くてカップから遠ざかってしまう・・・。と感じることがあります。
もちろんキックは地面の傾斜などで決まるのですが、そう感じさせるほど、ボールが心地良く飛んでいるのか、それとも嫌な気分にさせてしまっているのか・・・。と感じることがあります。
私は技量がまだ未熟なので、なかなか笑顔で飛ばしてあげられていないと思います。
しかし、このような美しいフェース面に接したボールは、笑顔の確率も上がっていくのではないかな?と思いました。
このフェース面を見ているだけで、色々なインスピレーションが湧いてきました。
ここまで心を揺さぶられることはあまりありません。
この圧倒的な存在感は何だろう・・・?と思いました。

ボールを前にして構えてみても、『圧巻』という言葉が浮かぶくらい、すごくいい印象をもつことができました。
この構えやすさ・イメージの出やすさは凄いな・・・。と思いました。
以前、ウェッジを試打したときに、そのあまりの光沢感から、天気のいい日は眩しくて構えづらいのではないか?と思ったことを覚えているのですが、このアイアンにはそのような不安は感じませんでした。
かなり綺麗に仕上がっていますが、どのような天気でも対応できそうだな・・・。と思いました。
小顔タイプで、ボールとの大きさのバランスもちょうどいいです。
ヘッドが大きいタイプではないので、不安に感じられる方もいらっしゃるかもしれないですし、グースの効きが強いほうではないので、グースタイプを好まれる方には合いづらいところがあるかもしれません。
人によって好みが大きく分かれるところだと思います。
私はとても惹かれました。
色々な角度からこのアイアンを見回してみてもいい感じなのですが、こうして構えてみても、いい目の保養ができました。
このアイアンのもつ雰囲気にどっぷりと浸かることができました。
今日もとても暑さが厳しい一日でしたが、私の打席の周りだけ涼しい風が吹いているような感覚になりました。
ちょっと大袈裟な表現かもしれませんが、そう思えてくるくらい、このアイアンの美しさに魅了されてしまいました。
『心躍る』とはこういうことをいうのでしょうか?
このアイアンに出会えた幸運に感謝しました。
試打を開始しました。

『打感』は予想通り、すごくいいです。
柔らかな感触と、ボールの乗っかり感を楽しむことができました。
今はバーンと弾く感じのアイアンも多くなってきましたが、そのようなタイプのアイアンでは、この極上の打感は楽しめません。
心地良い打感の『貯金』ができている・・・。といったらいいでしょうか?
ゴルファーである限り、この貯金をずっと殖やし続けていきたいと思っています。
もしボールに感情あるとするならば、おそらく微笑みながら飛んでいるんだろうな・・・。と思いました。
そう思えるほどの柔らかい打感でした。

『球のあがりやすさ』は自然な感じです。
7番アイアンらしい出球の高さと最高到達点でした。
イメージが合いやすいです。
今はマッスルバックやハーフキャビティも、『異材』がコンポジットされていてあがりやすさを高めている物も少なくないですが、このアイアンにはそういったことは感じませんでした。
勿論、見えないところに色々な工夫がされていると思うのですが、このアイアンは『ワンピース感』を感じました。
自然な感じがしました。
昔のマッスルバックのようなことはなく、とても親しみやすくなっていると思いますが、今のアイアンの中ではそれほどあがりやすくなっているとは思いませんでした。
あくまでも『ナチュラル』な感じがしました。

『安定性』という点では、マッスルバックらしいシビアさがありました。
いいところでヒットできたときには、たまらない強い弾道が打てますが、そこから少し外れると大きく違ってきました。
正直さは充分あります。
しかし、この正直なところ、反応のいいところがまた魅力なのだと思いますし、何球打っても飽きることがありません。
常に、このアイアンの反応を楽しむことができます。
反応を楽しんでいるうちに色々なアイデアが浮かび、それを実践することによって技術の幅も広がっていくような気がします。
高安定性のアイアンでは、なかなか『遊ぶ』ことができませんが、このアイアンは色々と遊ぶことができました。

『飛距離性能』は本来の7番アイアンらしい感じがしますが、今のアイアンの中では、かなり飛ばないほうだと思います。
飛距離を求めておられる方には、物足りないところがあるかもしれません。
しかし、縦の距離感を大切にしておられる方。
アイアンは正確に距離を刻む物だと心得ておられる方。
飛びすぎないのも、また性能のひとつだと考えておられる方には、このアイアンの飛びは『信頼できる飛び』といえるのではないでしょうか?
飛びすぎるアイアンは縦の距離の幅が大きすぎて、なかなかまとめることができない・・・。と感じておられる方には、とても頼もしく感じられるのではないでしょうか?
飛びすぎないので、打った後も余計な不安や心配は少ないように思います。
飛ぶけど、どこまで飛ぶか分からないし、キャリーだけでなくランが多すぎても使いづらいな・・・。と思っておられる方にも、扱いやすく感じられるのではないでしょうか?

『操作性』という点では予想していた通り、最高レベルでした。
とても敏感に反応してくれますし、大きく曲げることも小さく曲げることも易しく出来ました。
『曲げの弧』を調整しやすい・・・。といったらいいでしょうか?
実戦向きのアイアンだと思いました。
クセがなく、左右どちらにも反応してくれました。
私は普段から練習場でも、殆ど曲げて楽しんでいるので、今日はずっと楽しめました。
一球一球違う球を打つのは、とても楽しいです。

アイアンはゴルフボールを打つ為の道具であると思うのですが、ここまで美しいと『工芸品』としての価値があるように思います。
この美しさは他を圧倒します。
所有欲を満たしてくれるアイアンです。
自分のバッグに入れておくだけでも楽しいですし、部屋に飾って毎日磨きながら楽しむのもいいだろうな・・・。と思いました。

このアイアンの全ての部分が美しいのですが、特にフェース面が美しいと思いましたし、その美しさにずっと見とれていました。
先ほども書きましたが、フェース面はボールとの『唯一の接点』なので、こだわるのは当たり前なのかもしれません。
色々なアイアンを試打していると、とてもチープに見えたり、雑に作っているな・・・。と感じたりすることはよくあります。
メーカーの思いが伝わって来ず、『淡々』といいますか、ただ作っているだけ・・・。という印象のアイアンもたくさんあります。
温かみが感じられず、ずっと冷たく感じるアイアンもあります。
そういうタイプのアイアンは、なかなかこちらの思いが伝わらない感じがします。
そこはメーカー毎の方針のようなものがあると思うのですが、私はこのアイアンのようなメーカーのこだわりが感じられる物に惹かれます。

試打しながら、子供の頃に読んだ『金の斧』の話を思い出しました。
もし、このアイアン以外に『金のアイアン』『銀のアイアン』があって、どれを落としたのか尋ねられたとしても、私は迷わず、この『軟鉄のアイアン』を正直に選ぶだろう・・・。と思いました。
もちろん、金額的には金や銀のほうが高価なのは知っていますが、ゴルフクラブとしては軟鉄には敵わないですし、金や銀ではここまでの『造形美』は出せないのではないかな?と思いました。
とはいっても、金や銀のゴルフクラブで球を打ったことはないですし、見たこともないのですが・・・。(ダイヤがたくさん散りばめられたクラブは見たことがあります。)
実際に金や銀でアイアンを作って球を打ってみたら、どのようなフィーリングになるのか、とても興味があります。

ゴルフクラブにも2種類あって、ひとつは『使い減りする』タイプ。
そしてもうひとつは『使い減りしない』タイプ。があります。
前者は購入したての最初のうちだけはいいけど、どんどん魅力が失われてしまうタイプです。
そして後者は新品のときももちろんいいけど、使っていけばいくほど、また新たな魅力が加わっていくタイプです。
『引き算』になってしまうクラブには魅力を感じませんが、『足し算』できるクラブは魅力的ですし、ずっと付き合っていけます。
このアイアンは完全に後者のタイプです。
色々なクラブを試打していると、『何年か先』を想像したくなるクラブに出会うことがあります。
そういうクラブはそれほど多くないのですが、このアイアンはそのごく少数派の中に入っていました。
ずっと使い続けても、きっと輝きを放ち続けてくれるだろう・・・。と思いました。

実際に球を打ってみても、とても良かったですし、最初から最後までこの『美しさ』に魅了されっぱなしでした。
とても贅沢な気分になれました。
チープさは微塵も感じられなかったですし、おそらくかなり高価なんだろう・・・。と思い、値段を尋ねてみたのですが、やはり今のアイアンの中では高価な部類に入ると思いました。
しかし聖地ともいえる『姫路』ということもありますし、これだけのこだわりをもって作られているのだから、コストパフォーマンスは決して悪くないと思いました。
このアイアンを見ているだけで気持ちも高揚してくるのだから、それだけでも価値があるな・・・。と思いました。

マッスルバックなので、いわゆる『易しさ』を目的に作られていません。
今は易しいクラブへのニーズが高い時代なので、それほど多くの支持は集められないかもしれません。
なので、人気沸騰ということにはなりにくいかもしれませんが、シンプルでナチュラルなアイアンで腕を磨いていきたい方。
極上のフィーリングと扱いやすさを味わいたい方には、是非試していただきたいです。
普段からマッスルバックを使っているので、マッスルバックに対する苦手意識は全くないけど、そろそろ買い替えたいな・・・。と思っておられる方にも、このアイアンを試していただきたいと思いました。
ゴルフは『クラブやボールとの対話』だと、以前訊いたことがあるのですが、今日はまさにそのような感じがしました。
楽しくてあっという間に予定の時間が過ぎてしまいました。
また何度でも試打したいと思いました。
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2016年07月15日
Orion SPY-1 WED TYPE-G ウェッジ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは Orion SPY-1 WED TYPE-G ウェッジ です。

シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは56度、クラブ長さは35インチ、シャフトフレックスはS200 です。

2度目のOrionウェッジです。
まだ一度しか試打していないのですが、とても強く印象に残っています。
他のメーカーのウェッジでは見られない、あの独特な光沢感は強烈なインパクトを残しました。
それ以外にも、すごく丁寧に仕上げられているという印象が残っています。

このウェッジも、かなりの光沢感があります。
『繊細』という言葉が似合うような仕上げの丁寧さです。
この仕上げには、メーカーのこだわりが感じられます。
大きさや形状はオーソドックスなタイプです。

ソール幅は広めです。
丸みを帯びてはいますが、平らに近いような印象も受けます。
バンカーショットの時、砂をよく弾いてくれそうだな・・・。と思いました。
トレーリングエッジが角張っているのも印象的でした。
最近は丸みを帯びている物も増えてきましたが、このウェッジは角張っていました。
こうして見ると、ウェッジのタイプも色々あるんだと思いますし、このバリエーションの豊富さが、私たちゴルファーに『選ぶ楽しみ』を与えてくれているように思います。

ネックの長さは、しっかりとキープされていました。
ウェッジには適した長さだと思います。
以前試打したモデル TYPE-S と同じ長さだと思います。
今度機会があれば、見比べてみたいと思います。

バンスの効きは強めです。
ハイバンスタイプといっていいと思います。
最近は、このようにハイバンスタイプの人気が高いように思います。
色々なメーカーからハイバンスタイプが発売されるようになりました。
それだけ、ニーズが高まっているのだと思います。
一番の理由は、やはりバンカーショットへの対応でしょうか?

リーディングエッジには、一目で分かるほど削りが入っていました。
『抜けの良さ』にもこだわっているようです。

トップラインの厚みは、いい感じです。
いいイメージが出せそうです。

フェース面に、ミーリングはありませんでした。
とても綺麗なフェース面です。
芸術品・工芸品といってもいいほどの美しさがありました。
このフェース面の仕上げにもメーカーが、かなりこだわっているようです。

ボールを前にして構えてみると、グースなのが目に入りました。
このウェッジの名前の一部である『TYPE-G』はグースタイプなのだということが解りました。
そして、以前試打した『TYPE-S』はストレートタイプなのだということを知りました。
ストレートタイプを好まれる方も多いですし、グースタイプを好まれる方もたくさんいらっしゃいます。
割合にして、どれくらいでしょうか?
少しグースタイプのほうが、人気が高いかもしれません。
私はストレートタイプが好きですが、このグースネックを好まれる方はとても魅力的に感じられるのではないでしょうか?
このように、ストレートタイプとグースタイプがラインアップされているのはとてもいいことだと思います。
ユーザーの好みで選べるところがいいです。
グースが利いているので、ちょっと気をつけなければ・・・。と思うところはあったのですが、強い苦手意識が芽生えてしまうほどではありませんでした。

フェースを開いて構えてみると、バンスの利きを強く感じました。
ソールを丸く使える感じはしなかったのですが、このバンスの利きを上手く利用できればいいな・・・。と思いました。
私の好みのタイプとはちょっと違っていたのですが、こういうタイプも大人気なのだと思います。
グースとバンスに気を遣いながら打っていくことになるな・・・。と思いました。
以前試打したモデルのように、かなり光沢感があるので、天気のいい日のラウンドでは気になってしまいそうですが、それ以外は特に気になることはありませんでした。
この美しさのおかげで、いい目の保養ができました。
試打を開始しました。

『打感』はとてもソフトです。
この心地良い感触がたまりません。

スピン性能はいい感じでした。
ボールをよく止めてくれました。
『止め感』を出しやすいウェッジだと思いました。

グースが利いているので、球を拾いづらく感じるところはちょっとだけありました。
しかし、それはクラブの性能ではなく、あくまでも私がこのグースネックに対応しきれていないに過ぎません。
グースタイプの特長のひとつといってもいいと思うのですが、少し低く出していけるところが大きな魅力だと思いました。
低く出していけるので、落としどころを明確にしやすいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
高く上げるよりも、低めに打ち出していったほうがショットの精度も高まり、いい結果が得られることは多いと思います。

『安定性』という点では、普通といった感じがします。
最近はキャビティタイプも増えてきましたし、それらと比べるとオートマチック性はそれほど高くないのかもしれませんが、特に難しいというタイプではないと思いました。
『適度な易しさ』をもっていると思いました。
グースタイプなので、球を拾うときやライン出しの時に気を遣うところがありましたが、シビアな印象はありませんでした。

距離感は最初少し難しく感じましたが、ある程度の球数をこなしていって、ようやく慣れていくことができました。
このウェッジも好感がもてましたが、やはり私は以前に試打した『TYPE-S』のほうが易しく感じました。

『操作性』は、まずまずでした。
できればあまり細工をしたくないと思いましたが、色々と試してみました。
少しイメージと違うところはありましたが、クラブ自体は易しいタイプなのだと思いました。

正統的な形状と、磨きの美しさが際立ったウェッジです。
スピン性能など、基本性能も高いです。

かなりバンスが利いているように感じたので、バンカーでも試してみたいと思ったのですが、今日はそれができなかったので、また機会があれば試してみたいと思いました。
おそらく、かなり砂を大きく弾くタイプだろう・・・。と思いました。

このウェッジを試打してみて、改めて私はストレートタイプのほうが易しく感じるな・・・。と思いました。
グースタイプは気を遣うところが多いです。

しかし、それは先ほども書きましたが、あくまでも私がグースタイプを使いこなせていないということです。
グースタイプの好まれる方は、とても魅力的なウェッジといえるのではないでしょうか?
以前はグースタイプのウェッジは『大顔』な物も多くありましたが、このウェッジは適度な大きさなので、好感をもたれる方もたくさんいらっしゃると思います。

日頃グースタイプを使い慣れておられる方には、とても扱いやすいウェッジといえるのではないでしょうか?
それと、この仕上げの美しさは、なかなか見られないので、所有感を満たしてくれるだろう・・・。と思いました。
このウェッジがバッグに入っていたら、嬉しくなるだろう・・・。と思いました。

日本の優れたメーカーが、こだわりと誇りを持って造ったウェッジだと思います。
クラブに風格が感じられました。
この質感は他ではなかなか見られません。
このように丁寧に造られたウェッジを使うことはとても贅沢な感じがしました。
また何度でも試打してみたいウェッジです。
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2016年05月08日
Orion SPY-1 WED TYPE-S ウェッジ

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは Orion SPY-1 WED TYPE-S ウェッジ です。

シャフトは ダイナミックゴールド です。
ロフトは52度、クラブ長さは35インチ、シャフトフレックスはS200 です。

初めて出会った、Orionという名のウェッジです。
こういうメーカーがあるとは知りませんでした。
ウェッジは大好きなクラブですし、よく練習するのですが、まだまだ知らないメーカーがたくさんあるんだな・・・。と思いました。
Orionなので、オリオン座を連想しました。

形状は正統派です。
とてもいい感じです。
ミラー仕上げタイプです。
最近では珍しいような気もします。
私はミラー仕上げよりもサテン仕上げのほうが好きなのですが、このピカピカ反射するところが好きだという方もいらっしゃると思います。
ミラー仕上げにすると、どのような有利さがあるのか、私はよく解らないのですが、メーカーもあえてこのような仕上げにしているのだと思います。

『SPY-1 WED TYPE-S』という文字がありました。
スパイ1と水曜日とタイプS・・・。
どのような意味なのか、解りませんでした。
おそらく違う意味なのだろう・・・。と思いました。

ソール幅はノーマルな感じです。
52度なので『AW』という認識でいいのだと思います。
ウェッジは、最近ではロフトで呼ばれることのほうが多いので、『SW』とか『AW』と言われることのほうが少ないような気もします。
しかし『ピッチング(PW)』は今でもよく使われます。

ネックの長さはしっかりあります。
ウェッジらしい長さです。
この長さがあるからこそ、止められそうな感じがします。
とてもいい長さだな・・・。と思いました。

ホーゼルには『MADE IN JAPAN』の文字がありました。
Orionが日本のメーカーだということが解りました。
海外メーカーでも日本製を採用しているところもありますし、逆に日本のメーカーで、海外で生産されている物も多いですが、このメーカーは日本のメーカーという認識でいいのだと思います。
独特なミラー仕上げがちょっと気になりましたが、このウェッジに対する関心がどんどんあがっていきました。

リーディングエッジの削りも目立っていました。

トップラインの厚みも適正です。

バンスの利きも標準的です。
ソールにかなり削りが入っているのが印象的でした。
特にヒール側が大きく削られていたので、開いても使えそうだな・・・。と思いました。
AWはSWよりも大きく開いて使うことは多くないですが、開き気味に使って寄せていくことも普通にあるので、やはり開きやすいと安心できます。

フェース面にミーリングはありませんでした。
かなり綺麗なフェース面です。
『ピカピカ』といったほうがいいかもしれません。
このように光沢感のあるウェッジは珍しいです。
このクラブの『個性』といってもいい光沢感です。
ただ、実戦では天気のいい日などは光を反射して使いづらいのではないかな?と思いました。
構えたときに邪魔に感じることがあるかもしれない・・・。と思いました。
バックフェースがミラー仕上げなのはまだいいのですが、フェース面がこのように光沢感があると、マイナスに作用してしまうような気がしました。
そこがちょっと気になりました。

とても構えやすいです。
奇をてらったところは無く、正統派です。
いいイメージがかなり出せました。
見るからにスピンが掛かりそうな印象を受けます。
ボールをクリアにスパッと切っていくイメージが出せました。
ただ、先ほども書きました通り、このフェース面の光沢が気になりました。
打席はちょうど日陰になっていたので、日光に照らしてみることはできなかったのですが、おそらくかなり光を反射して眩しく感じるだろう・・・。と思いました。
ヘッドの形状はとてもいいのですが、この光沢感が私には馴染みづらいところでした。
フェース面は『艶消し』のほうが好きです。

フェースを開いてみたのですが、邪魔するものがなく、とてもいいです。
ヒールから入れていくイメージが出せました。
最近は開きやすいウェッジが多くなったので、嬉しく思っています。
試打を開始しました。

『打感』はとてもソフトです。
何故か球が少し軽く感じました。
いつもの練習場の球ですが、軽く感じさせるほどの『抵抗感の無さ』がありました。
『ガツン』といくよりも、少し『フワッ』という感じで球を運んでいくことができました。

球は拾いやすくていい感じです。
『出球』の高さのイメージも合いやすいです。
ただ、フェース面が光を反射したら、イメージも出づらくなるだろうし、高さもバラつくかもしれない・・・。と思いました。
ダフりやトップも出てしまうかもしれない・・・。と思いました。

スピン性能はなかなか高いです。
ボールがよく止まってくれました。
最近のウェッジのスピン性能は優れたものが多いです。
このウェッジも期待通りのスピン性能でした。
強烈にスピンが掛かって止まるというよりは、少し滑らかにブレーキが止まる・・・。という感じでした。
『乗せて運んで止める』という『感覚』を活かしやすい『止め性能』だと思いました。

『安定性』という点では、普通といったところでしょうか?
最近はキャビティタイプのウェッジも多くなってきたので、それらと比べると多少正直なところもあるのかもしれませんが、このようにロフトの寝ているクラブでは、このフラットバック構造で充分のような気もします。
難しいと感じることは無かったですし、ラインも出しやすいです。
ただ、先ほども書きましたが、光を反射すると難易度が上がっていくような気がします。

『距離感』も合いやすいです。
普通のAWらしい距離をもったウェッジです。
落としどころもまとめることができました。
フルショットでもいいと思いますが、アプローチでかなり活躍してくれそうなタイプのウェッジだな・・・。と思いました。

『操作性』はとても高いです。
完全にマニュアルタイプです。
色々と細工をして遊ぶことができました。
あまり細工をせずに自動的に寄せていきたい・・・。という方には、少し合いづらいところがあるかもしれません。

ウェッジは特にフルショットよりも、アプローチで使われることが多いので、『加減』して打つ場面が多くなります。
そういったときに、なるべく『感覚を活かせる』といいますか、『手の延長』として機能してくれると好感度が増します。
それには『適度な重さ』も必要だと思いますし、『いい顔』は絶対外せません。
そういった意味でも、このウェッジは好感がもてました。

ソールの削りがかなり働いているのだと思います。
ソールがスーッと滑ってくれて、とても拾いやすいです。
手前から滑らせていけるので、アプローチの精度も高められそうです。

アイアンは今『飛距離競争』といいますか、各メーカー『飛び』を意識して作られているものが多いように思います。
対してウェッジは距離よりも、やはり『距離感』『正確に刻む』ということが、より求められているように思います。
アイアンは『ディスタンス系』を使っているけど、ウェッジは正統派といいますか、ノーマルなタイプを使っておられる方も多いです。

アイアンが距離を出せるようになってきたので、どうしても『距離のギャップ』が生じてしまいやすくなります。
そういったときにも、ウェッジの活躍の頻度が高まると思います。

ウェッジはフルショットよりもアプローチを想定して作られている物のほうが圧倒的に多いと思いますが、このウェッジも正にそんなタイプだと思いました。
アプローチに秀でたウェッジといっていいと思います。

ウェッジの練習が好きな私はとても楽しい時間を過ごすことができました。
色々と細工をしながら遊ぶことができました。
ただ、もしこのウェッジで『サテン仕上げ』といいますか、『艶消しタイプ』があれば、是非試打してみたいな・・・。と思いました。
構えやすさや打感、スピン性能など『基本性能』はとてもいいと思いましたが、購買意欲が刺激されることはありませんでした。
実戦ではちょっと使いづらいかな?と思うところがありました。
しかし、これからもこのメーカーのウェッジには期待していきたいと思いました。