Cure Putters
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2016年03月26日
Cure Putters RX-4J パター

今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは Cure Putters RX-4J パター です。

シャフトは オリジナルスチールシャフト です。
ロフトは1.5度、クラブ長さは34インチ、クラブ総重量は628g です。

とても珍しい形のパターです。
初めて見ました。
一度見たら忘れられないパターです。

名前は『キュアパター』というのだそうです。
老舗メーカーなのでしょうか?それとも新しいメーカーなのでしょうか?
初めて聞く名前です。

国内のメーカーなのか、海外のメーカーなのか分からなかったのですが、シャフトに貼られているシールには『MADE IN THE USA』の文字があったので、アメリカのメーカーだということを知りました。
昔からパターは海外製が圧倒的に多く、日本製は少数派でした。
特にアメリカ製のパターがたくさんありました。
今も海外製パターは多いですが、アメリカ製よりもアジアの国で作られている物が圧倒的に多いように思います。
コストパフォーマンスの高いパターが多くなりました。
ただ、どうしても品質のバラつきがあり、同じモデルでもいわゆる『アタリハズレ』があるのが現状です。

形も特徴的ですが、何よりもその『大きさ』に目を奪われました。
こんなに大きなパターは見たことが無いように思います。
少し驚きました。
海外はクラブに対して合理的な考え方をすることが多いですし、この大きさも、その合理性が求められているのでしょうか?
この大きさには理由があるのは間違いないと思います。
これまでも大きなサイズのパターに出会ってきましたが、なかなかここまで大きいものは見られません。
かなりの大きさです。


あまりにも大きいので、オデッセイのピン型パターを借りて比較してみました。
こうして見ても、その大きさの違いは一目瞭然です。
ここまで大きくする必要があるのかな?と思いましたが、そこにメーカーの狙いがあるような気がします。

フェース面はフラットではなく、細かな凹凸がありました。
この模様は、これまでもたくさん見られました。
球への食いつきが良さそうです。

シャフトとヘッドの結合部分も独特です。
動かせるようです。
いわゆる『センターシャフト』タイプです。
私はオーソドックスなネックタイプが好きですが、このセンタータイプも人気がありますし、この大型ヘッドには合っているように思います。
これがもしネックシャフトだったら、スクエアにヒットするのが難しくなってしまうかもしれません。
そう感じさせるほどの大型ヘッドです。

センター部分には特殊なパーツがありました。

近くで見ると六角レンチがあれば簡単に外せそうな穴がありました。
このパーツには、どのような効果が期待できるのでしょうか?

トゥ側

ヒール側

ヒール側
トゥ側とヒール側には大きなウェイトがありました。
更に、ウェイトを付け加えることができるのだそうです。
今でも充分な重さがありますが、全て足したらどれくらいの重さやバランスになってしまうのだろう?と思いました。
上にある、丸い物はどのような意味があるのでしょうか?
これは交換できないウェイトでしょうか?

オリジナルグリップはソフトなフィーリングで好感がもてました。
やや太めのグリップです。
このグリップは特に変わった感じはしません。
これまでもたくさん出会ってきたように思います。

ボールを前にして構えてみると、正直違和感がありました。
それは大きすぎるということもありますし、ライ角が全く合っていないということも大きな理由です。

しかし、このパターはライ角を変えられるのだそうです。
専用の工具を使えば簡単にできるのだそうです。
それはとても画期的なことだと思いました。
ただ、パターのライ角調整は今だけでなく、昔から行われていました。
私が愛用しているベティナルディもそうですし、パター購入時にライ角調整を無料で行ってくれるメーカーは結構あります。
ヘッドの素材などにもよると思いますが、昔からパターのライ角調整は無料というイメージが私にはあります。
しかし、それはメーカーに送ったり、工房でやってもらったりしなくてはなりません。
その点、このパターはプレイヤー自身が易しく変えられるというところが魅力的です。
強度の問題もあるので、普通のパターは一度変えたらそう何度も変えることはできませんが、このパターはそういった心配は無用のようです。
工具を使って、何度でも変えられそうです。
ルール上、ラウンド中は変えることができませんが、ラウンド前に念入りにチェックしてみるのもいいことだと思いました。
以前、ピンのパターを試打したときに、『長さを変えられる』というタイプがあって驚きましたが、ライ角を変えられるのはもっと革新的だと思いました。
以前も書きましたが、ライ角はとても重要です。
ライ角で難易度が変わってきます。
その人に合ったライ角がベストです。
調整機能は何もドライバーやFW・UTだけのものではなく、パターにも取り入れられるようになってきました。
ウェイトを交換できるのは、このパターもそうですし、スコッティキャメロンのパターでも見られます。
大きいという以上に、ライ角が合っていないので構えづらいですが、ライ角は調整できるということなので、今日はそれを考えないようにして打っていこう・・・。と思いました。
今日はありませんでしたが、今度また試打するときに、専用の工具を借りて、ライ角をピッタリ合わせて打ってみたい・・・。と思いました。
試打を開始しました。

最初に感じたのが、この特徴的な『音』です。
かなり甲高くで大きな音です。
昔は音が大きめのパターもいくつかありましたが、今ではとても珍しいです。
一球目からこの音を聞いて驚くと同時に、懐かしいな・・・。と思いました。
私は懐かしいと思いましたし、『音』は距離感を養ってくれる一面もあるので、これはこれでいい・・・という思いもありました。
しかし、かなり苦手に感じられる方は多いような気がします。
構え感だけでなく、この音にも違和感をもたれる方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
特にオデッセイの樹脂系パターを愛用しておられる方には、この音は受け入れづらいかもしれません。
球を打っている自分だけでなく、周りにいる人たちの耳にも明らかに届くような大きな音です。
もっと小さめで低めの音のほうがいいな・・・。と思いましたが、過去に経験しているので、懐かしいという思いがありました。
練習で使用しているボールは、タイトリストのPROV1Xなので、『標準のボール』といっていいと思います。
主流のウレタンボールです。
主にディスタンス系に用いられるサーリンなど、他のカバーだと、ひょっとしたら違う音になるのかな?と思いましたが、おそらく多少の違いはあっても、この大きさや甲高さは変わらないように思います。
この音でも全然構わないよ・・・。という方もいらっしゃると思いますが、苦手に感じられる方のほうが多いかもしれません。
それくらい、この音の印象は強いです。

『打感』は、硬いというほどではなかったのですが、ややしっかりめでした。
インパクトを迎える度に、独特の甲高い音が耳に届いてきますが、インパクトが緩むほどではありませんでした。
減速せずに加速しながらインパクトを迎えることができました。
球をしっかりと乗せていけるのがいいな・・・。と思いました。
こうして打つ前は、もっと大味なタイプかと思っていたのですが、そうでもありませんでした。

球の転がりはとてもいいです。
ロフトが1.5度ということもあるのかもしれません。
普通、パターはだいたい3~4度のロフトがついていて、それがあるからこそ、易しく転がしていけるのですが、このパターはそれをまるで否定するかのような『スタンディングロフト』です。
1.5度はかなり立っているな・・・。と感じました。
球の食いつきがいいというのもあると思いますが、ボールにオーバースピンが掛かりやすいです。
『重量級』ということもあると思います。
この転がりの良さを見ていると、1.5度もアリだな・・・。と思いました。

『安定性』は、かなり高いです。
過去のパターも含めて、今あるパターの中でも『最大』といっていいのではないでしょうか?
ブレにくい、オートマチック系のパターです。
フェース面のどこで打っても易しい・・・。と聞いていたので、本当にそうなのか試してみることにしました。


かなり極端に外れた場所で打ってみることにしました。
トゥ側とヒール側にボールを置いて、普通では考えられないほど『ミスヒット』で球を転がしてみることにしました。
すると、意外なほど球の転がりがいいことに驚きました。
真ん中付近で打ったときと大きく変わらず、球の伸びがいいです。
フェース面の向きも変わりにくく、方向性を維持しやすいです。
いわゆる『当たり負け』しにくいパターです。
パターヘッドが完全に優位に立っていたように思います。
この大きさに加え、パター全体の重量。
そして、トゥ側とヒール側にあるウェイトがよく利いているのだと思います。
用意されているウェイトを全部付けたわけではないので、もし全部付けてみたらどのようになっていくのだろう?と思いましたが、私は不要だと思いました。
今のままでも充分過ぎるほどのオートマチック性があるな・・・。と思いました。

ピン型のパターは、その構えやすさや操作性の高さで昔から人気があります。
オートマチックタイプとは逆の『マニュアルタイプ』といっていいと思います。
しかし、もっとシビアなのはL字型やT字型です。
そういったパターでは、ここまでミスヒットしたらフェースの向きも大きく狂いやすいですし、球の転がりも大きく影響します。
しかし、このパターではそれを殆ど感じませんでした。
もちろん、真ん中付近で打つのがベストですが、ここまで極端に大きく外して打っても、球足がそれほど落ちませんでした。
それが、このパターの大きな特長だと思いました。

ドライバーなどのように大きく振っていかないから、パターは芯で打つのは簡単だ・・・。と思っておられる方は多いかもしれません。
しかし、実際は結構難しいものです。
特にまだキャリアが浅く、練習が不足しておられる方はパターの芯を外して打っておられる方は多いと思います。
方向性もそうですが、転がりが極端に悪くなります。
ロングパットでもそうですが、ショートパットでも距離が合わないというのは、ミスヒットによるところが大きいと思います。
『パターの芯』は、意外と小さいものです。

しかし、このパターは『ワイド』という言葉だけでは、いい表せないようなスイートエリアの広さがあります。
ミスを最小限に抑えてくれる易しさがあります。
実際に、ここまで大きく外して打たれる方はいらっしゃらないと思います。
なので、距離感や方向性をまとめやすくなると思います。
『イージー』という言葉だけでは片付けられない易しさがあるな・・・。と思いました。
easyの最上級の『easiest』という言葉が浮かびました。

『距離感』は正直、最初のうちはなかなか合いませんでした。
転がりすぎる感じが強くて、目標よりもオーバーしました。
一緒に試打したオデッセイのピン型パターのほうが距離感は合いやすかったです。
ただ、これは『経験』『慣れ』という部分も大きいので、一概にはいえないように思います。
このパターでスピード感が合ってくれば、心強い相棒になってくれるような気がします。
今日の練習グリーンは結構荒れていて、いわゆる『デコボコ』がありました。
なので、ボールがスーッと滑らかに伸びていくというのではなく、多少ガタガタした感じもあったのですが、このパターが放つからでしょうか?
いい感じで球足が伸び、普通のパターで打つよりも『ガタガタ感』が少なかったような気がします。
多少の芝目もかき消しているんじゃないかな?と思えるところもありました。
速いグリーンではないのですが、イメージよりもボールは転がりました。

『操作性』とは真逆の『オートマチック性』の高いパターだと思いました。
こちらが操作するというのではなく、ラインを決めたら後はタッチを合わせるだけ・・・。という感じがしました。
微妙なニュアンスは出しづらいですが、このパターがもつオートマチック性を活かして転がしていくしかないと思いました。
かなりの大顔なので、できればもう少し小顔のほうが構えやすくてタッチも合わせやすくなるような気もしたのですが、この大きさがあるからこそ、これだけの高い慣性モーメントが得られるのだと思いました。
あくまでも『タッチ』や『操作性』は一旦横に置いといて、『オートマチック性』で勝負していくほうが得策なのだと思いました。

ロフトが立っているということもありますし、重心も低そうなので、ハンドファーストに構えてダウンブローで打っていく方には合いづらいところがあるかもしれません。
かなり重量があるので、上から打つ感じは出せませんでした。
『レベル』か、やや『アッパー』気味に打っていきたい方のほうが合いやすいのではないでしょうか?

かなりの大型で重量級のパターです。
普通、パターは『500g』を少し超えるくらいの重さが多いように思うのですが、このパターはそれよりも100g以上重いです。
一番重くしたら、どのような重さになるのか、想像がつきにくいです。
レギュラータイプよりも100g以上重いですが、ヘッドの大きさなどもあり、この重さであっても、特にミスマッチ感はありませんでした。
この重さがあるからこそ、これだけの球足の伸びがあるのだと思いました。
これがもし、もっと軽い素材で作られていたり、逆に重い素材で作られていたら、難易度は上がっていくだろう・・・。と思いました。
軽すぎるパターは難しいものです。
安定性を欠いてしまいます。
このパターは重さがありますが、これくらいの重さがちょうどいい・・・。という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
この重さも、高い安定性につながっているように感じました。

かなり『易しさ』に長けているパターなので、『ルール適合外』かな?と思いましたが、そんなことはなく、競技でも使える『ルール適合モデル』なのだそうです。
ドライバーなども含め、ゴルフクラブはルール上、『慣性モーメント』も上限が定められていますが、このパターはこれまでのパターの中でも『最大』いっていい大きさの慣性モーメントがあって、ルールの範囲内なのだと思います。
私は競技に出場しているので、いくら優れているクラブでも『ルール適合外』であれば使うことができないのですが、適合モデルであれば話は別です。
このパターにも興味が出てきました。
今は色々なメーカーが『高反発ドライバー』を発売しています。
競技に出場せず、プライベートで楽しまれる方の為のドライバーが増えてきています。
ドライバーでルール適合外であれば、パターでもルール適合外があってもいいのかな?と思いました。
ただ、それはあくまでも安全上問題がなかったり、『クラブの概念』から外れたりしないパターであるべきだと思います。

イメージよりも、かなり転がりすぎる感じがしたので、高速グリーンや下りではどのように対処していくべきか、工夫が必要だと思いました。
普通のパターよりも確実に転がりが強いです。
なかなか止まらない感じです。
普通のパターを『軽トラック』とするならば、このパターは『採掘現場で見られる大型ダンプ』といったらいいでしょうか?
それくらい、違いがあるように感じられました。
同じスピードで走っていて、同じタイミングでブレーキを掛けても、どうしても制動距離に違いがでてしまいます。
このパターは大型ダンプ並みの制動距離の長さがあるように感じました。
『止まりたくてもなかなか止まれない』『発進・停止に急な動きはできない』という感じがします。
あくまでもゆっくりストロークしていきたいパターだと思いました。
平面で傾斜がなく、芝目などの影響も受けないのであれば、このオートマチック感は武器になると思いますが、複雑なグリーンでは普通のパター以上に練習量が必要になってくるかな?と思いました。
グリーンにはアンジュレーションがあります。
二段グリーンや三段グリーンなどもあります。
いわゆる『ポテトチップスグリーン』もあります。
そういった状況のなかで、このような大型だと、構えづらくなってしまうのではないかな?という不安もありました。
傾斜に沿って構えなければならないときに、上手くラインを出していけるかな?という思いがありました。
大型サイズだからこそ起こりうる『据わりの悪さ』も出てくるのではないかな?と思いました。

『易しすぎるパター』だと思います。
かなり研究されていて高機能ですが、『普段使い』するのはどうかな?という思いもありました。
易しすぎて、プレイヤー自身がもっている感性が鈍くなってしまうのではないかな?という不安も生まれてきました。
一生このパターでいく・・・。というのであれば、それもまたいいのかもしれないですが、そうでないのであれば、『易しすぎる』ことへの弊害も生まれてくるのではないかな?という思いもありました。
易しさは武器であり、それがまたマイナスに働くこともあると思います。
どれも『一長一短』あると思います。
このパターは易しさが最大の長所であり、短所でもあるような気がしました。
私は実戦でこのパターを使うかどうか、もう少し時間をかけて考えてみたいと思いました。
少し慎重にならざるを得ないところはありました。
しかし、とても革新的で面白いパターだと思いました。
このように思い切った変化の見られるクラブは、パターに限らず、いいと思います。
同じようなタイプのクラブばかりでなく、斬新なクラブが登場するからこそ、クラブも進化していくのだと思います。
ただ、人によって大きく好みが分かれるのは間違いありません。
この大きさや形状だけでも苦手意識が芽生えてしまう方もいらっしゃると思いますし、実際に球を転がしてみて、『音』に違和感をもたれる方もいらっしゃると思います。
『イージー系の最高峰』といえるパターですが、ピン型のように何十年も使い続けられるようなタイプではないのかな?と思いました。
もっともっと進化していくように思います。
特に私がこのパターに求めたいのは、もっと構えやすくして欲しいということと、『音』を変えて欲しい・・・。ということです。
この2点が気になりました。
『転がりが良すぎる』『大きすぎる』・・・。ということもありますが、それはこの2点に比べれば大したことではないと思いました。
使い続けていくうちに慣れていけそうだな・・・。と思いました。
このパターに苦手意識をもたれる方は少なくないと思いますが、私は『アリ』か『ナシ』かでいえば『アリ』でした。
同じパッティングでも、ロングパットは『距離感』が大事。
ショートパットは『方向性』が大事。
と昔からいわれてきました。
このパットは大型サイズではありますが、ショートパットで神経を使う場面でも、かなり易しく感じられるのではないかな?と思いました。
このパットがもつ『ブレにくさ』を最大限活用して、イージーミスを防いでいけそうです。
パターには操作性よりも、安定性を求めていきたい。
見た目よりも易しさを求めていきたい・・・。という方には是非試していただきたいと思います。
かなり個性的な外見なので、使っていると恥ずかしい・・・。と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、昔はともかく、今は『ネオマレット』も多く見られますし、それほど気にされなくてもいいように思います。
要は『パッティングの数』を減らしてスコアを良くしていけばいいだけのことです。
このパターがモデルチェンジされるとしたら、まず間違いなく『音』に手を加えるだろう・・・。と思いましたが、海外メーカーなので、そういったことはしないかもしれません。
少なくとも、日本のメーカーであれば、このような音のするパターは改良していくのではないかな?と思いました。
とても変わっていて、一度手にすると強く印象に残るパターです。
また機会があれば試打してみたいですし、キュアパターというメーカーにも興味がもてました。
『繊細さ』ではなく『合理性』を追求したパターだと思いました。