ゴルフクラブ試打日記。          

藤本技工 Adject アイアン

藤本技工 Adject アイアン 
今日は、このゴルフクラブ試打しました。
試打クラブは 藤本技工 Adject アイアン の7番 です。
K's Tour

シャフトは
K’s Tour です。
ロフトは32度、クラブ長さは36.75インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は117g、キックポイントは中調子、クラブ総重量は435gです。
正面

藤本技工という、知る人ぞ知るメーカーのアイアンです。
記事には書いていませんが、私は違うアイアンを以前(昨年)試打したことがあります。
出会う機会が、かなり少ないですが、とても印象に残っています。
デザイン的には、大手有名メーカーのようにモダンな感じではなく、どことなくクラシカルではありますが、センスのいいデザインに仕上がっています。
何となくなのですが、大量に流通している他のメーカーのアイアンに比べ、メッキの仕上げ方に個性があるといいますか、『メッキの厚み』が厚いような気がしました。
Adject
 
『Adject』とはどんな意味なんだろう?と思い、辞書で調べてみたのですが、私の持っている辞書には載っていませんでした。
側面

この角度から見ると、以前試打したロマロのアイアンを思い出しました。
シャープさもありながら、マッスルバックのような『肉厚感』のあるヘッドではありません。
キャビティらしい『薄さ』のある形状です。
彫りの深さ

彫りも結構深く、キャビティアイアンらしい、易しさが感じられそうな形状です。
キャビティといえば、最近は『ポケキャビ』や『アンダーカットキャビティ』が増えてきましたが、このアイアンは、昔ながらの『フルキャビティ』です。
シビアそうな雰囲気は全くありません。
ソール幅

ソール幅は、少しだけ広いようにも見えますが、今のアイアンでは標準的といえるのかもしれません。
今はソール形状も、メーカーによって色々な工夫が施されていることも多いですし、ラウンドがついている物も多いです。
そういった点で見ても、このアイアンは比較的フラットに近く、シンプルな形状です。
ネック長さ

ネックの長さは長すぎず、短すぎず、標準的な長さだと思います。
とてもオーソドックスな感じがします。
JAPAN FORGED

ネックにある、『JAPAN FORGED』の文字が、さらにやる気にさせてくれます。
今、日本にあるアイアンの多くが『FORGED』だと思いますが、やはりそこに『JAPAN』の文字が入っていると、好感度がどんどんアップします。
鍛造の技術も進化して、今では色々な方法で造られているのだそうですが、機械で大量に行う鍛造もいいですが、アイアン職人さんの魂が感じられそうな『手造り感』のある鍛造には魅力を感じます。
『JAPAN FORGED』の文字を見て、初めてEPONのドライバーを試打して感銘を受けた『AF-101』を思い出します。
AF-101のドライバーにも『JAPAN FORGED』の文字が記されていました。
今は、殆どのクラブが海外で造られていますし、国産メーカーであれば、日本の技術者が海外に行って、日本と同じように造っているので、品質には問題ない・・・。ということにはなっていても、やはり日本で日本の職人さんが造るということに大きな意味があるように思います。
スーパーやデパートで買い物をすると、牛乳や野菜などに生産農家の方のお顔などが解るようになっていたりすることもありますが、そういった製品には高い信頼性が付加されます。
生産者の方の顔が見えるということは、私たち消費者にとって、安心できる一因になっていると思いますし、生産者の側から見ても、変な製品は作れない・・・。というプライドをもってモノづくりができるような気がします。
そういった点で考えてみても、『JAPAN FORGED』ということはとても魅力的だと思います。
こういったところは『MPアイアン』や『ホンマ』に通ずるところだと思います。
『国産品』が世界最高だと思える日本に生まれ育って、私はとても幸せ者だと思いました。
オリジナルマーク

このトゥ側にあるマークは藤本技工のオリジナルのマークなのでしょうか?
ちょっとクラシカルといいますか、洗練されたデザインだとは思わなかったのですが、こういったメーカーのマークのようなものが記されているのはいいことだと思いました。
このメーカーは『受注生産』に応じてくれるということなので、私たちユーザーの名前やイニシャルも刻印してくれるんじゃないかな?と思いました。
そうすると、まさに『世界でひとつだけのクラブ』ということになり、より親密度が増しますし、愛着も湧きます。
アイアンはドライバーと違い、何年も、時には10年以上も使い続けることのあるクラブなので、こういったこだわりはいいことだと思います。
ドライバーには『流行』などがあり、商品の移り変わりが激しいですが、アイアンはもっと落ち着いた観点で見ることができます。
アイアンやウェッジは使い込んでいけばいくほどクラブの性能が引き出されるような気がします。
そういったときに『飽きのこない』クラブというのは、とても魅力的です。
振り感

素振りをしてみても、すごくいい感じです。
このしっかりとしたスチールシャフトは、私の大のお気に入りです。
私はゴルフを始めてから今もずっとダイナミックゴールドを愛用しているのですが、もしダイナミックゴールド以外でスチールシャフトを使うのであれば、私は真っ先に、この『K’s Tour』を候補にしたいと考えています。
今はモーダスなど、他の優れたスチールシャフトもたくさんありますし、カーボンシャフトもスチールと遜色ないまでになりました。
それでも私は、今でもダイナミックゴールドを『指名買い』してしますし、もしダイナミックゴールドでないスチールシャフトで新たにアイアンセットを組むとしたら、この『K’s Tour』がいいです。
初めて試打したときから、すごく気に入っているシャフトです。
構え感

ボールを前にして構えてみても、すごく整っていていい感じです。
それほど小顔感がなく、どちらかというと『セミラージ』に見えるのですが、今はこれくらいの大きさのアイアンが多いように思いますし、このアイアンの適度な大きさに魅力を感じられる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
グースもきつくなく、トップラインも厚くないので、かなり構えやすいです。
厚ぼったい感じのアイアンは、私はやや苦手にしているのですが、このアイアンの『シュッとした感じ』にすごく魅力を感じました。
グースのきついアイアンは『引っ掛けそう』とか『ダフリそう』・・・。などと思ってしまうこともあるのですが、このアイアンはシュッとしていながらも、フェード系というよりはドロー系のほうがイメージしやすく感じました。
こちらが意識しなくても、自然とフェースターンが行えそうな構え感でした。
私はかなり魅力を感じました。
ゴルファーには、『ウッド系』が好きな方と、『アイアン・ウェッジ系』が好きな方に分けられると思うのですが、私は明らかに後者です。
これはゴルフを始めた頃から変わりませんし、球を打ってきた数も圧倒的にアイアンやウェッジのほうが多いです。
私が好感をもったから・・・。というのではないのですが、アイアン好きの方にとって、このアイアンの顔はとても魅力的に思えるんじゃないかな?と思いました。
しばらく見つめていたくなるほどでした。
自然と肩の力が抜け、いい状態になっていました。
いつでも『スタンバイOK』といった感じでした。
すごくいいイメージが出せたのですが、今日はドロー系のイメージが先に浮かんできたので、まずはそのイメージのまま打っていくことにしました。
試打を開始しました。
フェース面

『打感』は、まずまず・・・。だと思いました。
ある程度予想していた通り・・・。といいますか、マッスルバックのような厚みは感じません。
それはヘッドの形状からも、ある程度予想できていました。
すごく柔らかい・・・。というよりは、どちらかというと、しっかりとした打感で球を打っていくことができました。
トゥ側

『球のあがりやすさ』という点では、ややロフトが立ってはいますが、普通にあがりやすくてタフな感じはしません。
他のメーカーのノーマルアイアンと大きく違うところは見当たりません。
ロフトが『32度』ということで、私の感覚としては7番アイアンではストロングロフトといえるのですが、特に球があがりにくいとか、弾道が低すぎる・・・。といった感じはしませんでした。
上から、いい感じで潰していけますし、スピンの効いた球が打てます。
スペック的にも、ある程度HSがあったほうが易しく感じやすいような気もするのですが、その敷居は決して高すぎないと思いました。
バックフェース

『安定性』という点でも、フルキャビティらしい易しさを感じました。
見た目とてもカッコいいアイアンですが、シビアな感じはしません。
決して大きなミスを見逃してくれる、曖昧なタイプのアイアンではありませんが、普通に打っている限り、難しく感じるところはありませんでした。
それほど小顔に見えなかったせいか、ややフェースターンのタイミングが取りづらいところもありましたが、すぐに慣れることができました。
私はフェースターンが大きいタイプなのですが、あまり大きくされない方には、とても扱いやすく感じられるのではないでしょうか?
『セミ・オートマチック系』のアイアンといっていいのかな?と思いました。
飛距離性能

『飛距離性能』という点でも、あくまでも私の感覚では『飛ぶ』感じになりますが、今の他のメーカーのアイアンと比べてみると『標準』といっていい飛距離性能なのかもしれません。
ただ、普段はDGを使うことが多く、今日はK’s Tourだったので、その分、少し距離が出やすいかな?と思ったのですが、それも大きな違いではないような気がしました。
私はアイアンでは『1ヤードでも遠くに飛ばす』というよりは、『5ヤード落としてもいいから、正確に刻んでいきたい』と思うタイプです。
ボールをグリーンに乗せることができたら、それをしっかりとキープさせてくれ、止めてくれるアイアンが好きです。
せっかくグリーンに乗っても、ランが出過ぎて、奥にこぼれてしまった・・・。というアイアンは、実戦では使いたくありません。
下りの難しいアプローチが残ってしまうだけです。
ホームコースは砲台グリーンが多いので、正確にキャリーさせて止めたいと思っています。
なので、もし私がこのアイアンをコースで使うとすると、おそらくロフトを少し寝かせるような気がします。
今は7番アイアンでも、色々なロフトがありますが、私は『34度~36度』くらいの間で使っていきたいと考えています。
操作性

『操作性』という点では、すごくいい感じでした。
最初に構えたときに、ドロー系が打ちやすそうだな・・・。と思ったので、そのイメージ通りにスイングしたのですが、とてもいい感じでボールを運んでいってくれました。
フェード系も打ちやすくて、何ら問題はありません。
ただ、マッスルバックのあの敏感に反応する『マニュアルタイプ』のアイアンではなく、あくまでも『セミ・オートマチック系』の中での操作性の高さです。
色々と球を曲げてみるのもいいですが、できればこの安定感を活かしながら、自分の持ち球で攻めていきたいアイアンです。
私はフッカーですが、このアイアンはすごく易しく感じました。
以前も書きましたが、私はフッカーでありながら、ドライバーでもアイアンでも、できれば重心距離の短いクラブを昔から好みます。
それはまだビギナーで、スライスに悩んでいた頃から変わりません。
『引っ掛け』は嫌ですが、フェースをしっかりとターンさせてつかまえていきたいと思っています。
そういった意味では、このアイアンは少し違うタイプだとは思いますが、扱いづらい部分は全く感じませんでした。
重心距離が少し長めだと思いますし、多くのフッカーの方は、こういったアイアンを好まれるのではないでしょうか?
スライスに悩んでおられる方は、少しグースが効いていたほうがつかまりやすくなるのかもしれません。
ただ、こういった大きなクセのないタイプのアイアンでスイングを磨いていかれるのは、とてもいいことのように思います。
操作性もいい感じではありますが、どちらかというと『安定感』のほうが強く感じられました。
いい意味でどちらにも『中立』のアイアンなのだと思います。
ヒール側

見た目のカッコ良さと、フルキャビティらしい易しさが際立つアイアンでした。
打感は正直、もうひとつかな?と思ったのですが、大きな不満はありません。
なかなか出会うことがないメーカーのアイアンなので、いつも以上に意識をアイアンに向けながら試打を繰り返しました。
一球一球、丁寧に打っていって、このアイアンの記憶を体に刻み込んでおこう・・・。と思いました。
最初に、パッと外見を見たときに、何となく長く付き合っていけそうな雰囲気をもったアイアンだな・・・。と思っていました。
実際に試打しても、その思いは強くなりました。
奇をてらったところが一切なく、すぐに馴染んでいくことができましたし、ずっと使っても飽きることもなく、『使い減り』しない感じがしました。
藤本技工 Adject アイアン

私の友人に、新製品のクラブを買って、半年もしないうちにすぐに下取りに出してしまう人がいます。
彼は人気があるとか、流行のクラブを買わずにはいられない性質(たち)のようで、発売されるとすぐにショップで購入して、早ければ一週間もしないうちに中古ショップに売りに行きます。
もちろん、クラブが合わなければ、無理して使い続ける必要はありませんが、実際は結構マッチしているクラブでもすぐに売りに行ってしまいます。
彼曰く、クラブは早めに売ったほうが下取り価格も高いし、そのお金でまた新しいクラブを買う足しにしたほうが得だ・・・。とのことです。
確かに、彼の言うことにも一理あるのかもしれませんが、どうも私は納得できません。
ゴルフクラブは確かに『道具』ではありますが、私は『大切な相棒』という思いが強いので、すぐに手放すということが理解できません。
ある程度長い時間をクラブと共有して、こちらの意思を伝えやすい状態にしておかないと、なかなかいうことは聞いてくれないような気がします。
メーカーやショップにとっては、私のように何年も(場合によっては10年以上)も、同じクラブを使い続けるゴルファーよりも、彼のように『クラブの回転率』が速いゴルファーのほうがありがたい存在なのかもしれません。
藤本技工 Adject アイアン

彼は結構な飛ばし屋ですし、上手いプレイヤーなのですが、HDCPが『8』までいって、それ以上伸びません。
練習熱心ですし、よく練習場にも行くのですが、ここ数年ハンディが減りません。
もちろん、人間なので体調などもありますし、他に様々な要素が絡み合っているのかもしれませんが、私はこういった『クラブに執着しない』ところに大きな要因があるように思えてなりません。
クラブに『猜疑心』をもってしまうと、それがすぐにスコアに表れてしまいますが、長い時間を共有していって『信頼感』をもてるようになると、クラブはその信頼に応えてくれると思います。
あとはクラブに任せて、こちらは気持ちよくスイングしていくだけ・・・。と思えるのでシンプルに考えられます。
クラブを疑えばきりがないですし、解決の糸口は見いだしづらいと思いますが、プレイヤーとクラブはまさに『人馬一体』といっていいように思います。
クラブを自分に合うように調整すれば、そのクラブは『名馬』となって活躍してくれるのだと私は思っています。
ミスが出れば、それはあくまでもプレイヤーの側に問題があったのだと思います。
藤本技工 Adject アイアン

プロが使っていて、TVや雑誌などでよく見かけるアイアンが欲しい・・・。という方には、このアイアンはマッチしていないかもしれません。
基本的な性能などは大手有名メーカーと比べても引けを取らない・・・。といいますか、逆にすごく丁寧に造られている・・・。という印象を受けました。
『物理的な性能』という面では、大きな差はなくても『品質』といいますか『格』が感じられるアイアンです。
有名でなくても、ロフトやライ角など、自分の思うような設計で作ってほしい・・・。という方には、こういった最初から『オーダータイプ』のアイアンを選択肢に入れられることも有効なのではないでしょうか?
大切なのはクラブを信頼し、愛着を持つことだと私は思います。
藤本技工 Adject アイアン

なかなか出会えないメーカーのアイアンということもありますが、とても印象に残りました。
クラブの全体的な美しさも強く心に刻まれました。
ただ、購買意欲が強く刺激されるほどではありませんでした。
それは、このアイアンに大きな不満があるというのではありません。
ただ、もう少し私の好みを反映してくれれば、もっと強く湧いたと思います。
ヒッティングエリアをもっと肉厚にしたいと思いましたし、もう少し『小顔感』が欲しいと思いました。
ただ、これはあくまでも私の『好み』によるところなので、一般的にいえば、とても『成熟したアイアン』という感じがします。
このままで充分だ・・・。という方は多いのではないでしょうか?
藤本技工 Adject アイアン

オーダーメイドになるので、一本一本の価格は高くなると思います。
そういった意味では、海外で大量生産されたアイアンのほうがコストパフォーマンスは高いのかもしれません。
時々読者の方から、安いクラブを購入したいのでどれがいいか・・・?という趣旨のコメントを頂くこともあるのですが、それはある意味当然のことだと思います。
ゴルフクラブはとても高価なので、少しでも安く購入したい・・・。という思いは正しいと思います。
クラブはまず『価格最優先』で、性能などは後回し・・・。という方には、こういったタイプのアイアンはマッチしないのかもしれません。
ただ、ある程度ゴルフを続けてきて、技量も上がり、自分に合ったアイアンを永く使っていきたい・・・。という方は、このようなオーダータイプのアイアンを検討されることもいいのではないでしょうか?
少なくとも、一年単位でクラブを買い替えるような方には、あまりお勧めしたくはありませんが、長く使い続けたい・・・。という方にはお勧めしたいと思いました。
クラブに愛着を持つことが、ゴルフを楽しむうえでも、スコアアップの為にも、とても大切だと思います。
私は先日、アイアンを買い替えたばかりで、そのアイアンはすごく気に入っていますし、大切に使っていきたいと思っていますが、こういったオーダー系のアイアンセットも揃えておきたいと思いました。
こういったクラブを所有することが私にとっての『究極の贅沢』のように思えてきました。
今日はとても楽しく、また色々なことを考えさせられた一日でした。