今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは ホンマ BERES PROII アイアン の7番 です。
シャフトは NS PRO 1050GH です。
ロフトは33.5度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはR、シャフト重量は106g、バランスはD2、キックポイントは中調子、クラブ総重量は429g です。
ホンマBERESシリーズのニューアイアンです。
ホンマらしい、独特の風合いがとても美しいです。
一時期、ホンマのクラブ開発に対しての『方向性』に疑問を感じ、どんな形に変化していってしまうのかな?と不安に感じたり、なかなか興味が持てなくなっていた時期がしばらく続いたのですが、昨年あたりから、ようやくホンマらしいカッコいいアイアンが登場したように思います。
最近のホンマのアイアンは、カラフルな物がとても目立っていましたが、こういったシンプルなデザインのほうが私は好きです。
自分の感覚と合致しやすいように感じます。
こうして見ていても、ある程度シャープな感じがしますが、『フェース高』は、それほど高い感じはしません。
むしろ、やや低めで『低重心モデル』を連想しました。
ただ、こういったところは、今のアイアンの『主流』といっていいように思いますし、『時代の流れ』なのかもしれません。
いわゆる『フルキャビティ』ではありますが、ヒッティングポイントだけ『肉厚』になっているところも、これまでたくさん見てきました。
つまり、メーカー側としては、この範囲で球をヒットして欲しい・・・。という思いが込められているのではないでしょうか?
『MADE IN JAPAN SAKATA』の文字に心が躍ります。
今の殆どのクラブメーカーが、いわゆる『OEM生産』であって、自社生産をしているメーカーがとても少ないということは多くのゴルファーが知るところだと思います。
なかには、クラブの設計でさえも『丸投げ』しているメーカーさえ少なくないそうです。
そういったなかで、この『MADE IN JAPAN SAKATA』の文字を見ると、安心感、信頼感が得られます。
コストパフォーマンスに優れた海外製でなく、日本で、しかも昔ながらの山形県酒田市の工場で生産されているということは、それだけ品質や精度の高さが約束されているということなのだと、昔ながらのホンマ愛用者である私は思ってしまいます。
酒田職人さんの思いに応えられるよう、自分自身がもっと腕を磨かなくてはいけない・・・。という思いで日々練習場に通っていました。
クラブだけは間違いなく素晴らしいのだから、後は練習を積んで自分の実力をアップさせるだけだ・・・。と思っていました。
クラブに『全幅の信頼』を置いていたので、クラブに対する猜疑心も全くなく、とにかく練習が楽しかったです。
ミスショットの原因はクラブでなく、100%自分自身のスイングにあるのが解っていました。
そのクラブでスイングを磨いていかないと、上にはいけないことを知っていました。
だから、私は後輩たちにも最初のうちから、易し過ぎるクラブを最初からあまり勧めたくはないのかもしれません。
今は、世界中で素晴らしいゴルフクラブが作られていますが、やはりこの文字を見ると、それだけで好印象度がアップしてしまいます。
地クラブメーカーは別として、ホンマのような老舗有名メーカーで、『ゴルフだけ』に特化したメーカーは少ないように思います。
私は昔から、この『ホンマのこだわり』が大好きでした。
彫りの深さも、結構ありますが、今よく見かける『ポケキャビ』ではありません。
すごくシンプルな『フルキャビ』です。
今はアマチュアに限らず、プロでもポケキャビを使う時代になったと思うのですが、そこまでしなくても、易しいアイアンは作れるよ・・・。というメッセージのようなものが伺えます。
こういったフルキャビティも、これまでたくさん出会ってきました。
ソール幅が予想以上に広いことが、このアイアンの大きな特徴だと思いました。
とても広いです。
かなりの低重心設計になっているのでしょうか?
このアイアンは『BERES PRO II』ということで、いわゆる『プロモデル』といっていいと思うのですが、これだけ広いプロモデルはちょっと珍しく感じます。
昔だったら、確実に『アベレージモデル』と呼ばれていたアイアンの形状だと思います。
勿論、時代の流れやクラブの進化などによって、アイアンの形状も変わってくると思いますし、ゴルファー(プロ含む)の考え方にも変化が生じると思うので、こういったことは自然なのかもしれません。
この広いソール幅に安心感をもたれる方もいらっしゃると思いますが、正直私はもっと狭いほうが好みです。
広すぎるソールに魅力を感じません。
FWやSWのように、ソールを滑らせて使うことが多いクラブならば、ある程度ソールの広さがあったほうが有利になると思うのですが、アイアンでは『ターフをスパッと切って取る』『ボール手前のラフを鋭く刈り取る』というイメージを私はもちたいので、もう少し狭いほうがいいイメージが出しやすいです。
『刀』や『ナイフ』に近いイメージを持ちたいです。
対してドライバーは『ハンマー』です。
ソールが広いクラブはスイング中は勿論、インパクトの前後でソールを感じやすいですが、ある程度狭いと『リーディングエッジ』を意識しやすいです。
私はアイアンでは、どちらかというとソールよりもリーディングエッジのほうに意識をもっていきたいと思っているので、この広さには少しだけ違和感を感じてしまいます。
このアイアンがいわゆる『アベレージモデル』というカテゴリーに入るならば、全く違和感を感じないのですが、『プロモデル』というカテゴリーに入るのであれば、少し珍しく感じました。
しかし、これからは、こういったタイプのプロモデルアイアンも増えてくるのかもしれません。
ホーゼルは、まずまずの長さがキープされています。
この角度から見ても、とても美しいですし、いわゆる『後ろ側美人』だと思いました。
こうして少し振り向いただけでも、その美しさを感じます。
操作性も良さそうです。
何と言いますか、とてもいい雰囲気をもったアイアンだな・・・。と思いました。
それはやはり『ホンマ』というネームバリューもあると思うのですが、それ以外にも、このアイアンの仕上げの美しさにあるように感じました。
昔からホンマは、こういった仕上げの美しいアイアンがたくさんありました。
素振りをしてみた感じは、『プロモデル』というのであれば、もう少し重量感があってもいいのではないか?と思ったのですが、特に大きな不満はありませんでした。
今はダイナミックゴールドが数年前よりも見直されていると思うのですが、ホンマはここ数年、ダイナミックゴールドを採用していないようです。
ダイナミックゴールド装着モデルは『売れなかった』というのが、その大きな理由だったと思うのですが、今はとても見直されていると思いますし、他のメーカーはたくさん採用しています。
あまりにもNS PRO950が浸透し過ぎてしまって、その頃にゴルフを始めた方の中には、ダイナミックゴールドの存在をご存じない方も多かったように思います。
たとえ手にしたとても、ダイナミックゴールドは『重い』という認識をもたれたかもしれません。
軽いクラブはいかにも振りやすくて、最初のうちは易しく感じるかもしれませんが、使い続けていくうちにその『軽さ』を難しく感じられた方もきっと多いと思います。
NS PRO950がダメなのではなくて、むしろ高性能で素晴らしいシャフトですが、もっと重量があったほうが易しくてシンプルになる・・・。という方がたくさんいらっしゃると思います。
クラブを『最初に手にしたときの感覚』というのがとても大切で、その感覚がずっと身体に残り続けることがあると思います。
幸いといいますか、私はダイナミックゴールドでゴルフを始めて、今でも愛用し続けています。
今は昔と違い、スチールシャフトが他にもたくさんありますが、どうも変える気にはなれません。
それ以外にも素晴らしいカーボンシャフトもたくさんありますが、変える理由が見当たりません。
それは長年使い続けてきたことによる『信頼関係』が構築されていることも大きいと思うのですが、クラブにはある程度の『重量』があったほうがいいということが、身体に染みついているのだと思います。
勿論、その『適度な重さ』というのは人によって異なるとは思いますが、実際にボールを打ってみて、『少し軽いな』『タイミングが取りづらいな』『球が暴れやすいな』と思われたら、そのクラブの重量をまず疑っていただきたいと思っています。
ちょっと話は横に逸れてしまい、このアイアンとは違う方向に行ってしまいましたが、もしできれば、これからホンマもダイナミックゴールドを少しは見直して欲しいと思いました。
ボールを前にして構えてみても、ホンマらしい美しさがあって、とてもいい感じです。
ほんの少しグースが効いてはいますが、邪魔になりません。
苦手意識をもつほど、きつくありません。
開いて構えやすく、いわゆる『逃がし顔』に近い感じのアイアンだと思いました。
『独自開発・生産』だからでしょうか?
他のメーカーには、なかなか見られない、独特の雰囲気がありました。
バックフェースの易しそうな形状から、もう少し『面長』なのかと思っていたのですが、実際はそうでもなく、まずまずの『小顔系』のアイアンだと思いました。
変なクセがないので、とても構えやすくて、いい印象をもちました。
いいイメージもたくさん湧いてきました。
このたくさん湧いたイメージに、いかに正確に乗せていくことができるか・・・?ということがアイアンを練習するときの課題のひとつでもあり、とても楽しい目的でもあるのですが、今日はその楽しい練習がたくさんできそうな予感がしました。
ワクワクすると同時に、だんだんと集中力がアップしていきました。
試打を開始しました。
『打感』は軟鉄らしく、とても柔らかくていいフィーリングでした。
球を『ホールド』していける、こういった感触がとても好きです。
今はアイアンにも『反発力』が求められている時代に入ってきたような気がしますし、そういったアイアンもいいですが、やはりこういった昔ながらの『球を運んでいける』フィーリングのアイアンが好きです。
『コントロールしづらい大きな飛び』よりも、『優れた打感でコントロールされた適度な飛び』のほうが私は魅力を感じます。
そういった意味でも、このアイアンの打感には、とても好感がもてました。
球もあがりやすくて、タフな感じはしませんでした。
『プロモデル』というと、いかにも球があがりづらそうな印象をもたれるかもしれませんが、実際はそうではありません。
むしろ、ロフトが寝ているモデルが圧倒的に多いですし、意外なほど上がりやすく感じられる方はきっと多いと思います。
プロモデルというのは、『正統派でクセのない顔つき』『適度なロフト(ノーマルロフト)で球が飛び過ぎない』『適度な重量感がある』ということになるのかもしれません。
最初のほうでも書きましたが、このアイアンは『プロモデル』という名前ではあっても、かなり敷居の低いタイプになると思います。
ソール部分にウェイトなどが組み込まれているのか?と思ったのですが、見当たりませんでした。
今は『異材』がコンポジットされているアイアンもとても多いですが、そういった『工夫された上がりやすさ』とはまたちょっと異なる『ナチュラルな上がりやすさ』といっていいのではないかな?と思いました。
『安定性』という点でも、この形状のイメージのままで、とてもイージーです。
かなり寛容性もあるように感じました。
シビアな感じはしませんでした。
勿論、『易し過ぎるタイプ』ではないですし、『高慣性モーメントアイアン』を愛用しておられる方には、難しく感じられる部分もあるかもしれません。
しかし、それは『慣れ』という部分も大きいのではないか?と思っています。
物理的に計算された易しさもありますが、『顔の良さ』『構えやすさ』による易しさもあるのだと思います。
打つ前に安心感が感じられるクラブというのは、とても易しいと私は思っています。
『飛距離性能』という点では、さすがに『プロモデル』ということもあり、最近のアイアンの中では、ロフトが寝ていると思いますし、圧倒的な飛距離を稼ぎ出すタイプではないのかもしれません。
『飛び過ぎない範囲』でボールを運んでいけるアイアンだと思います。
アイアンにも飛距離を重要視しておられる方には、このアイアンの飛びは、やや物足りないと感じられるかもしれません。
しかし、おそらくこういったタイプのアイアンの好まれる多くの方が、アイアンには『飛び過ぎない』ということを重要視されているのではないでしょうか?
『縦の距離感』を大切にしておられる方が使われるクラブだと思います。
こういったシンプルな造りになっているアイアンは、やはり使うほうもシンプルに考えて打っていくべきなのだと思います。
そのシンプルさが『距離感の精度』を高めていってくれるように思います。
ごちゃごちゃし過ぎていて、どれくらい飛んでいってしまうんだろう?というクラブは『誤差』も大きいということを私はこれまでの経験でよく解っているつもりです。
なので、どうしてもこういったシンプルなタイプのアイアンに魅力を感じてしまいます。
距離の計算(足し算・引き算)も立ちやすいです。
『操作性』がいいのは、打つ前から予想できていたところですが、やはり実際に打ってもその通りでした。
変なクセが全くないので、フックもスライスもとても打ちやすいアイアンだと思いました。
操作性はいいのですが、『マッスルバックのような鋭さ』というのではなく、キャビティらしく『ハンドルの遊び』がある扱いやすさだと思いました。
『鋭敏さ』というよりは、やや『おっとりとした感じ』もします。
バックフェースいっぱいのキャビティ構造と、低重心設計が、こう感じさせるのでしょうか?
ホンマらしい、とても美しくて楽しいアイアンでした。
特に目新しさというのは、正直感じなかったですし、『アイアンの最新型』という感じはしませんでした。
これまで存在していたアイアンをそのまま引っ張り出してきた・・・。という印象がないわけでもありません。
他のメーカー(特に海外メーカー)のように『ハイテク感』も殆ど感じませんでした。
色々なパーツが組み合わさって作られている感じではなく、あくまでも『ワンピース』的な感じがしました。
しかし、この『当たり前感』がいいのかもしれません。
これまでも何度も書いてきましたが、ホンマというメーカーは私にとってはとても思い入れのあるメーカーなので、ついつい色々なことを考えてしまいますし、思い出も蘇ってきます。
他のメーカーのクラブではあまり感じないことでも、ホンマのクラブを目にすると感じてしまうこともあります。
ホンマのクラブは、私がゴルフを始めた頃もそうでしたが、『セレブリティの方が使うクラブ』という印象がありました。
勿論、今でも変わりません。
しかし、そういった高価なイメージもあるメーカーでありながら、ビギナー頃の私にスイングやゴルフの楽しさを教えてくれたメーカーでもあります。
モグラマークが大好きでした。
今は見かけなくなりましたが、『HiroHonma』の文字が大好きでした。
会社組織など、社会では『立場が人を変える』という言葉がありますが、ゴルフにおいては『クラブが人(ゴルファー)を変える』ということもあるのではないでしょうか?
そのクラブに見合うような腕前になりたいから、練習を頑張るということもあるように思います。
人からもらった、愛着の湧かないクラブでは、なかなか上達しないですし、ゴルフも楽しくありません。
『クラブに惚れる』からこそ、ゴルファーとしての技量も上がるような気がします。
ホンマのクラブというと、どうしても難しそう・・・。というイメージをもっておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、このアイアンを筆頭に、決してそんなことはないので、是非たくさんの方に試していただきたいと思います。
昔ながらの『こだわり』をずっと持ち続けているメーカーであることは多くのゴルファーが知るところだと思います。
そのホンマが、見た目にこだわりながらも、ある程度の打ちやすさを求めているゴルファーの為に開発したのが、このアイアンだと思います。
『PRO』の名前は付いていますが、その敷居は決して高くありません。
昨年の年末に出会ったBERES PRO IP アイアンよりも、明らかに低いと思います。
『真新しさ』は感じませんでしたが、これからもずっと存在しつづける『スタンダード』なアイアンです。
ホンマ BERES PRO II アイアン
- 2012年8月30日
- ホンマ