今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは プロギア RS ウェッジ です。
シャフトは N.S.PRO スペックスチールIII です。
ロフトは48度、クラブ長さは35.25インチ、シャフト重量は96g、トルクは1.6、バランスはD1、キックポイントは元調子、クラブ総重量は449gです。
久しぶりに出会った、プロギアのウェッジです。
ドライバーやFW・UT・アイアンと比べると、ウェッジを試打する機会は多くないのですが、これまでも高性能なウェッジに出会ってきましたし、いい印象が残っています。
そして何よりも、私は以前 TRウェッジ というウェッジを使っていたことがあるので、プロギアのウェッジには親近感をもっています。
厳しい場面でも、私をしっかりとサポートしてくれた、頼もしいウェッジでした。
今でも感謝の思いしかありません。
オーソドックスで、正統派のウェッジです。
軟鉄の柔らかい感じが、こうして見ているだけで伝わってきます。
私の『軟鉄センサー』が、すごく反応しています。
今はウェッジも軟鉄以外にいろいろな素材が使われていますが、私は昔からアイアンとウェッジは軟鉄以外購入対象に入らないので、このウェッジにはとても興味をもちました。
トゥ側が少し凹んでいて、『W DESIGN』の文字がありました。
これはドライバーなどにも見られます。
ヒール側にも凹みが見られます。
マッスルバックタイプといってもいいと思いますが、完全なフラットバックタイプではなく、キャビティ形状になっています。
『凸型キャビティ』といったらいいでしょうか?
ヒッティング部分が肉厚になっているので好感が持てます。
逆に『凹型キャビティ』だと、物足りない感じがします。
『慣性モーメント』ということで考えると『凹型』のほうが有利だと思うのですが、『打感』を重視すると、この『凸型』のほうがいいように思います。
どちらを選ぶか?と聞かれれば、私は迷わず『凸型』です。
特にウェッジは『球の乗っかり感』がとても大切なので、ヒッティング部分が薄くなってしまうと、それが損なわれてしまうこともあります。
普通に厚みが維持されていれば特に気にする必要もないのですが、ヒッティング部分は一番肉厚であって欲しいと、昔から思っています。
ドライバーやFW・UTもそうですし、今はアイアンも『弾き』の強いものが増えてきました。
そういったクラブは『(初速の)高速化』が求められると思うのですが、逆にウェッジでは『低速化』が求められます。
どういうことかといいますと、距離を出す必要がないといいますか、逆に距離を抑える性能が求められるウェッジは、『スローボール』のようにゆっくりしたイメージで寄せていきたい場面が多いです。
速すぎるイメージだと距離にばらつきが出て、『アバウト感』が大きくなってしまいます。
シビアな場面こそ、スローボールが威力を発揮します。
なので、『球の乗っかり感』が欲しいですが、こういうタイプのウェッジでは、それが易しいということが打つ前から感じ取れます。
ドライバーからアイアンまで、とにかく飛距離を出していきたいけど、ウェッジだけは『飛ばし』よりも『距離感』を大切にしたいという方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
このウェッジはロフトが48度ということで、PWという認識でいいと思うのですが、PWとしては少しワイドソールに見えました。
しかし、極端ではありません。
ソールのワイドさもありますが、それよりも『ソールの丸さ』が目立っていました。
あらゆる場面でソールが滑ってくれ、オールラウンダーな感じがします。
ネックの長さは適度にあります。
ロングネックというタイプではありませんが、ウェッジに欲しい長さがキープされていました。
アイアンはショートタイプが多くても、ウェッジだけは長さをもたせているというメーカーは多いように思います。
それだけ、ある程度ネックがあったほうが実戦でも有利だからではないでしょうか?
寄せなどでも、スピンが掛かるのを予想して攻めていっても、途中でスピンがほどけてしまったら寄せられないですし、そういったウェッジは怖くて、次では使えなくなります。
『スピンの信頼感』をウェッジにはもちたいです。
トップラインの厚みは標準的です。
違う角度から見てみると、厚みをもたせてあることが分かりました。
フォーティーンのウェッジを思い出しますが、今はこういった工夫をするメーカーも増えてきました。
こうすることで、重心配分を調整しているのだと思います。
少し高重心のウェッジなのかもしれません。
高重心と聞くと、低重心が好きな方はハードルの高さを感じられるかもしれません。
しかし、重心が低すぎるウェッジはかえって難しくなりますし、ある程度重心が高いほうが、スピンが掛かりやすくなるので易しくなります。
ウェッジは元々ロフトが寝ているので、重心が高くてもロフトがしっかりと球を上げてくれますし、後はソールを上手く使うだけです。
昔よりも今のほうが、クラブが仕事をしてくれる時代なのは間違いありません。
フェース面にはミーリングがありました。
細かなタイプではなく、すぐに分かるほどはっきりしていました。
プロギアらしい、斜めに入っている『ハの字』のようなミーリングです。
これは前も見たことがあります。
今はミーリングのあるウェッジが多くなりましたが、メーカーによって違いがあるので、面白いです。
このフェース面を指で触ってみたのですが、それほどザラザラ感はありませんでした。
この触感も、以前プロギアのウェッジで経験しています。
ボールを前にして構えてみると、好感が持てました。
小顔タイプではないですが、整った顔をしています。
私が好きなストレートネックタイプです。
かなりの美顔で、思わず笑みがこぼれてしまいましたが、グースネックタイプを好まれる方には構えづらいところがあるかもしれません。
PRGRはかなり個性的で機能性の高いクラブもありますが、このようにオーソドックスでいい顔をしたクラブもたくさん世に送り出しています。
こうして構えているだけで、柔らかい感じがイメージできます。
なんと言いますか、ただ単に柔らかいだけでなく、温かい感じも伝わってきました。
PWらしい顔(フェースの見え具合)だな・・・。と思いました。
今はアイアンの『スタンディングロフト化』が進み、ウェッジのロフトのバリエーションが増えてきました。
先ほども書きましたが、このウェッジは48度ということで、PWという認識でいいと思うのですが、PWらしいフェースの見え方です。
このスタンダードな感じが安心感を与えてくれ、いいイメージが、より鮮明に色濃くなります。
ゴルフは『打つ前が大事』と昔から言われますが、まさにこのイメージの出しやすさがすごく大事だと私は思っています。
PWはSWほど大きく開いて使う場面は少ないですが、これくらいなら普通にあるので、開いて構えてみました。
バンスが邪魔することなく、とてもいいです。
SWならロブショットですが、PWならピッチショットのイメージが出せます。
このマニュアルな感じがたまりません。
ウェッジはどのクラブよりも『微調整』しながら使っていくクラブだと思うのですが、このウェッジはまさにそんなタイプでした。
ソールの丸さも、この微調整のしやすさにつながっているような気がします。
試打を開始しました。
『打感』はソフトで、とても良いです。
最初見たときに感じたイメージ通りの、ソフトフィーリングです。
柔らかくて『球の乗り』がいいです。
いわゆる『乗せて運べる』ウェッジです。
バーンと強く弾くタイプでは、このような感覚は出せません。
『スピン性能』は普通です。
特別優れているとか、ハイスピンという感じはしませんでした。
平均的な感じがします。
角溝が禁止になって、各メーカーがいろいろな工夫を施し、高いスピン性能をもった『適合ウェッジ』がたくさんあります。
それらと比べると、このウェッジはややスピン性能は劣る感じがします。
ウェッジには高いスピン性能を求めるという方は多いと思いますし、激スピンタイプを愛用しておられる方も、このウェッジのスピン性能は物足りないと感じられるかもしれません。
逆に高すぎるスピン性能を避ける方もいらっしゃると思いますし、そういった方には親近感をもたれやすいのかな?と思いました。
球も拾いやすく、出球のイメージが合いやすいです。
PWでフルショットやスリークォーターショットもいいですが、まずはピッチエンドランで試してみました。
『球のくっつき感』が高いので、かなり落としどころを限定することができましたし、『足の長さ(ラン)』も一定でした。
この一定感が、ミーリングの効果なのかもしれません。
『安定性』は普通といいますか、特別寛容なタイプだとは思いませんでしたが、これくらいがちょうどいいのではないかと思います。
元々ロフトが寝ているので方向性も安定しやすいですし、適度な寛容さを持ち合わせています。
アイアン同様、ウェッジもキャビティタイプでないと嫌だ・・・。という方には親しみづらいところがあるかもしれませんが、それ以外の方は好感を持ちやすいのではないでしょうか?
先ほども書きましたが、距離感も合わせやすいです。
『球の乗り』がいいので、フィーリングを出しやすいですし、ストレートタイプなので、球を拾いやすいというメリットもあります。
もうちょっと重量があれば、その重さに任せていって、こちらがする仕事を減らすことができるな・・・。と思ったのですが、こればかりは好みの問題もありますし、仕方ありません。
『操作性』は高く、いろいろと微調整しながら遊ぶことができました。
基本はピッチエンドランでしたが、ピッチショットにも対応してくれましたし、ロブ系に近いショットも打つことができました。
かなりソールが仕事をしているな・・・。と思いました。
いろいろなウェッジを試打していると、主に『フェースが仕事をするタイプ』と『ソールが仕事をするタイプ』。
そして、それらの『複合タイプ』があるように感じるのですが、このウェッジはどちらかというと『ソールが仕事をするタイプ』のようです。
フェース面にミーリングはありますが、それがスピン性能に大きく関わっているようには感じなかったですし、以前愛用していたTRウェッジとすごく似ている性能に感じられました。
フェース面にあるミーリングはスピン性能というよりは、雨の日の『水はけ効果』なのかな?とふと思いましたが、実際のところは分かりません。
メーカーには違う狙いがあるような気もします。
ソフトフィーリングで、ヘッドの厚みで押していけるウェッジです。
球がくっつくのを感じやすいので、フィーリングを出していけますし、自然とリズムも安定してきます。
とても楽しくて、ついつい予定の球数と時間をオーバーしてしまいました。
ウェッジを試打すると、このようになってしまうことも多いです。
試打ということを忘れ、完全に楽しんでしまいました。
プロギアの最新ウェッジですし、様々な機能が加えられているのは間違いないですが、私は『ハイテク感』よりも『ベーシック感』を強く感じました。
オーソドックスな感じで、これまで培ってきた感覚をそのまま活かしていけるところが魅力的です。
先ほども書きましたが、それほど高いスピン性能は感じなかったので、ウェッジに高いスピン性能を求めておられる方には物足りないところがあるかもしれません。
顔の良さと打感の良さが素晴らしいですが、スピン性能は平均的です。
ウェッジに何を求めるかは人によって変わってくるので、『合う合わない』がはっきりと分かれるかもしれません。
強烈なスピンでボールを止めにいく・・・。というよりも、ほどよい感じで足(ラン)を計算に入れながら寄せを楽しみたい・・・。という方には合いやすいのではないでしょうか?
最新モデルのこのウェッジを試打しながら、私はずっと懐かしさを感じていました。
TRウェッジとイメージが被るところがたくさんあったからです、
先ほども書きましたが、私をたくさん助けてくれました。
私の技術が未熟なばかりに、いろいろな厳しい場面でも使わざるを得なかったですし、無理をさせてしまいました。
今でもはっきり覚えているのですが、以前競技に出場したときに、ボールがカート道路に止まりました。
当然ドロップも考えたのですが、ドロップしてしまうと、もっと条件が悪くて寄せづらいところに行ってしまうのが分かっていたので、一か八か私はそのまま打つことにしました。
そのカート道路がベアグランドだったらまだ良かったのですが、アスファルトで舗装されていました。
何とか上手くボールだけを拾っていきたい・・・。と思って、注意しながら打ったのですが、逆にプレッシャーからか予想以上に打ち込んでしまい、ウェッジのソールはアスファルトとケンカしてしまい、火花が出ました。
『結果オーライ』的に、ボールはいい感じでピンに寄っていってパーを拾うことができたのですが、ウェッジのソールには大きな傷をつけてしまいました。
私は後悔の念ばかり浮かんで、心が折れてしまいました。
まだ数ホール残っていたのですが、心の中では
「どうしよう、失敗しちゃった。ウェッジを傷つけてしまった。申し訳ない。」
という思いでいっぱいで、最後までどうやってホールアウトしたか、記憶はほとんどありません。
ソールに傷をつけてしまったことで、ずっと後悔してしまいました。
今も下手ですが、その頃はもっと下手だったので、クラブへの負荷が大きくなっていったような気がします。
ウェッジは14本のクラブの中では『消耗品』のようなところがありますが、私自身の未熟さによって傷つけてしまうのが許せませんでした。
ラウンドを終えて、私はすぐにいつもお世話になっているクラフトマンの工房に行って、何とか修復できないか相談しました。
彼は『朝飯前』といった感じで、グラインダーを使い綺麗にソールを削るといいますか磨いてくれて、傷を消してくれました。
私の心の曇りも、だんだんと晴れていきました。
彼にはいつもお世話になっていますが、その時は感謝の思いが何倍にもなり、お礼に彼の大好きな『いちご大福』をたくさん買って持って行ったのを覚えています。
このウェッジは男前で高フィーリングが魅力的ですが、次のモデルでは他のメーカーに負けないハイスピン性能を期待したいです。
プロギアなら、きっと私たちゴルファーを驚かせるような秘策があるような気がします。
プロギア RS ウェッジ
- 2019年4月13日
- プロギア