ゴルフクラブ試打日記。          

ブリヂストン ツアーステージ ViQ アイアン(2011)

ブリヂストン ツアーステージ ViQ アイアン(2011) 
今日は、このゴルフクラブ試打しました。
試打クラブは ブリヂストン ツアーステージ ViQ アイアン の7番 です。
TRUE TEMPER GS85
シャフトは GS85 です。
ロフトは30度、クラブ長さは37インチ、シャフトフレックスはS200、トルクは2.0、バランスはD1、キックポイントは先調子 です。
正面
ViQシリーズの新しいアイアンです。
こうして見ていても、かなり特徴的です。
見るからに『易しさ重視』といった感じがします。
ViQシリーズは以前、ツアステの王道『Xシリーズ』に少しだけ近づいたような気もしていたのですが、今回のモデルを見ていると、またかけ離れたような気がします。
雰囲気的には『PHYZ』に、すごく近い感じがします。
『ViQ』というブランドのイメージが、なかなか定着しづらいように思えてきました。
彫りの深さ
この彫りの深さに、少し驚いてしまいました。
これまでポケキャビにはたくさん出会ってきましたが、これほど大きなアイアンはとても珍しいと思いました。
この大きな『口』を見ていると、ワニが大きな口を開けて獲物を待ち構えている光景を連想しました。
3月に試打したPHYZのアイアンも、かなり思い切った設計になっていると思いましたが、今回はそのさらに上をいっているような気がします。
こうして見ている限り、『ミスヒットに対する易しさ』ばかりが感じ取れるのですが、感性も大切にするViQなので、フィーリング的にも優れているのでしょうか?
SUPER TURBO RUBBER TECHNOLOGY
『SUPER TURBO RUBBER TECHNOLOGY』と記されています。
これまでのViQから想像すると、この真ん中にある『ひし形』のような物がこの役目をするのでしょうか?
もし、このひし形の大きさがスイートエリアならば、結構狭く感じられる方もたくさんいらっしゃると思うのですが、実際はこれ以上の大きさであることを、これまでの経験で分かっているつもりです。
この『ひし形』のエリアでヒットするのがベストなのだと思いますが、結構アバウトにいけるアイアンなのではないでしょうか?
側面
アイアンには持っていてほしい『シャープさ』があまり感じられませんが、こういった『超・ラージサイズ』のアイアンに安心感をもたれる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
『PHYZ』は、どちらかというとベテランゴルファーの方を対象としているクラブだと思うのですが、今回の『ViQ』は、どういったゴルファーをターゲットにしているのでしょうか?
同じ『TOURSTAGE』のアイアンでも『X-BLADE』とは、かなり性格の異なるアイアンだと思いました。
ソール幅
ソール幅も広めではありますが、『長さ』が感じられ、かなり『面長』なアイアンであることが伺えます。
重心距離もかなり長そうです。
こうして見ていても、トゥ側とヒール側にウェイトがコンポジットされていることが一目瞭然でした。
こういったところは『PHYZ』と同じだと思います。
かなり『PHYZ』と似たタイプの『ViQ』といったところでしょうか?
ネック長さ
かなりのショートネックです。
こういったところは予め予想できていたところです。
構え感
ボールを前にして構えた感じは、かなりの『ラージサイズ』『グースネック』タイプで、正直少し構えづらく感じました。
これだけヘッドが大きいと、フェースもターンしづらいので、右へすっぽ抜けそうですが、それをカバーする為にグースがよく効いているのだと思います。
私は、このアイアンの大きさには安心感を感じにくいところもあるのですが、これくらいの大きさがちょうどいい・・・。と感じられる方もたくさんいらっしゃると思います。
確かにこれだけヘッドが大きいと、いわゆる『空振り』しそうな印象は殆どないと思いますが、弾道のイメージが難しく感じました。
BRIDGESTONE TOURSTAGE ViQ IRON
もうかなり昔のことですが、私がゴルフを始めることになって、練習場での生涯初の一球は『大きく空振り』でした。
かすることもなく、全くの空振りでした。
止まっているボールを打つことがこれだけ難しいことかと、強く実感しました。
テニスなどのように、動いているボールを、自分も動きながら打つことのほうが、はるかに易しく感じました。
静止しているボールを、自分も静止している状態から動き出して、ヒットすることが何故こんなに難しいのだろう?といつも思っていました。
それから年月が流れ、今では空振りすることもなく、打点もある程度小さくまとめられるようになってからは、ヘッドが小振りで弾道のイメージがしやすいアイアンが易しいと思えるようになりました。
『ヘッドの大きさ』=『易しさ』だとは思えなくなりました。
ヘッドが小振りで、ボールが大きく見えるほうが私は易しく感じます。
なので、今日は少し難しく感じました。
なかなかいいイメージをつかむことができなかったので、いわゆる『ノーカン』的に打っていかなくてはならないと思いました。
試打を開始しました。
フェース面
『打感』は、まずまずだと思いました。
だいたいこんな感じだろう・・・。と予想していた範疇にあったフィーリングです。
バックフェース中央に配置された物の効果を私の鈍い感性では、はっきりと感じることができませんでした。
易しさを追求する為にこのような彫りの深い形状になっていると思うのですが、そうすると打感に物足りなさが生じてしまうので、この『ひし形』のパーツが組み込まれているのではないでしょうか?
しかし、それでも私ははっきりとこのパーツの効果を感じ取ることができませんでした。
いつものシンプルな形状の軟鉄鍛造アイアンが、やはりベストな打感だと思います。
トゥ側
『球のあがりやすさ』という点では予想通り、かなり優れています。
どのように打っても自然と上がってしまう感じ・・・。といったらいいでしょうか?
グースがきついので、多少ボールは拾いづらく感じましたが、それをカバーしてあまりあるほどの低重心設計といえるのではないかな?と思いました。
もっと低く抑えていきたいと思っていても、どうしてもボールが浮いてしまう感覚がありました。
『タフさ』とは対極にある、かなり敷居の低いアイアンだと思います。
ちょっと前まで、このような『易しさ重視』のアイアンが、いわゆる『初心者用』といわれるようなこともありましたが、今はビギナーの方でも、ある程度しっかりとしたスペックのアイアンを使われることも多いので、この新しいViQアイアンが必ずしもビギナー専用とはいえないような気もしました。
ビギナーの方に限らず中級者の方でも、好まれる方が多いのではないでしょうか?
ただ、私はたとえビギナーの方でもヘッドスピードが速い方には、こういったタイプのアイアンはあまり勧めたくはないな・・・。と思いました。
バックフェース
『安定性』という点でも、かなりイージーな感じがしました。
こういった、いわゆる『面長(おもなが)』なアイアンでは、私は打点がトゥ側に寄ってしまうことも多く、今日も最初の数球はその傾向が見られたのですが、それを殆ど感じさせないイージーさがありました。
ちょっと表現は悪いかもしれませんが、『ファジー(死語?)に打っていける』タイプのアイアンだと思いました。
打点のブレを気にされる方はたくさんいらっしゃると思いますが、このアイアンは、そういった方々にもすごく易しさを感じさせてくれるアイアンだと思います。
以前『PHYZ』のアイアンを試打したときに、もうこれ以上易しいアイアンを作ることは困難じゃないかな?と思ったことを憶えているのですが、同じメーカーのブリヂストンが同等かそれ以上のアイアンをこうして発表してきました。
『ViQ』は、これからも、こういった『易しさ重視』の路線でいくのでしょうか?
飛距離性能
『飛距離性能』という点でも、こういったタイプのアイアンらしい、かなりの高性能です。
同じような性能をもった飛距離系アイアンには、これまでもたくさん出会ってきました。
スインガータイプの方にとって、かなり大きな飛距離をもたらしてくれるアイアンだと思います。
ロフトは立っていますが、弾道も高くなりやすい感じがしました。
特に私は『打ち込んで』いくタイプなので、どうしてもその傾向が強く見られました。
高い弾道で大きなキャリーを稼いでいくことができるアイアンだと思います。
ただし、こういったアイアンは、なかなか低く打つことが難しく感じるところもあるので、風がアゲていたりすると、かなり難しくなってくるような気がします。
距離感を出しづらいところがあるように思います。
操作性
『操作性』という点では、まずまず・・・。といった感じで、思っていたよりも扱いやすい感じがしました。
とりあえず左右に曲げてみることもできました。
ただ、構えたときからも感じていたのですが、なかなか弾道をイメージすることができずに、練習場だからできる『行き当たりばったり』的なところがあったのは事実です。
フックやスライスに打っているつもりでも、本当に曲がってくれているのかが、打感などでも感じにくく、少し不安な部分がありました。
右へ向いて、そこから大きく左へ曲げていったつもりでも、実際はそのまま『プッシュアウト』してしまうんじゃないかな?と思えるところもありました。
今日はとりあえず、左や右へ曲げることもできたのですが、また日を改めると違った感じになるんじゃないかな?と思いました。
アイアンに限ったことではないですが、普段なら球を打っていると、球をいちいち目で追わなくても、だいたいの方向性や高さなどを経験でつかんでいくことができるのですが、今日はそういった予想が立ちにくい感じがしました。
ヒール側
そういった点などからも、私はこのアイアンには難しい部分を感じてしまいました。
なかなかフィーリングが伝わりづらい感じがしました。
ゴルファーとゴルフクラブとの『意思の疎通』がしづらいように思いました。
BRIDGESTONE TOURSTAGE ViQ IRON
クラブが易しくなり過ぎることが、そのクラブを使うゴルファーの未来にとって、必ずしもいいことばかりではないような気がしています。
特にまだまだスキルが伸びていく『上昇軌道』を描いておられる方にとっては、あまり適していないような気がします。
ミスしたら、それをはっきりと知らせてくれるクラブのほうが、スイングの修正もしやすいですし、結果的にそれが早い上達につながるような気がします。
難し過ぎるクラブを使う必要はないと思いますが、易し過ぎるクラブを使う必要はもっとないような気がしています。
BRIDGESTONE TOURSTAGE ViQ アイアン
このアイアンがユーザーの元に届いて、そのエンドユーザーが、これから先何年もこの『アイアン一筋』とは、なかなかいきにくいのではないかな?と正直思いました。
いくら優れたクラブでも、ある程度使い続けていかないと、その性能の全てを感じ取ることが難しいように思いますし、ゴルファーとクラブとの『二人三脚』ができるからこそ、いいスコアを作っていくことができるのだと思います。
そういった意味でも、こういったタイプのアイアンは非常に高機能ではありますが、ゴルファーがずっと愛着を持って使い続けていけるかは、少し疑問が残りました。
飽きてきちゃうのも早いのではないかな?という思いがありました。
ブリヂストン TOURSTAGE ViQ IRON 
ただ、メーカー側の本音としては、私のようにひとつのアイアンを10年以上使い続けるよりも、毎年のように買い替えてくれるユーザーのほうがありがたいのかもしれません。
『クラブの回転』が速いほうが、メーカーとしてもありがたいのかもしれません。
外食産業に例えると、お客の回転率の速さが重要な『ファーストフード化』が、進んでいるのかもしれないな・・・。と思いました。
勿論、このアイアンはかなりの高性能ですし、この高性能を何年も長く楽しまれる方もたくさんいらっしゃると思います。
私は易し過ぎるクラブよりも、多少難しくてもゴルファーの技量を上げてくれるクラブに魅力を感じますし、そういったクラブと長く付き合っていきたいと考えています。
そういったことからも、このアイアンは私には少し親しみづらい部分もあったのですが、こういった高機能なクラブがゴルファーに大きな恩恵を与えてくれることは間違いないので、これからもメーカーにはもっともっと素晴らしいクラブを作り続けて欲しいです。