ゴルフクラブ試打日記。          

フォーティーン H-030 ウェッジ

フォーティーン H-030 ウェッジ
今日は、このゴルフクラブ試打しました。
試打クラブ
フォーティーン H-030 ウェッジ です。
N.S.PRO 950GH HT
シャフトは N.S.PRO 950GH HT です。
ロフトは56度、クラブ長さは34.5インチ、シャフト重量は98g、バランスはD1.5、クラブ総重量は453g です。
正面
フォーティーの新しいウェッジです。
フォーティーンのウェッジは、色々なバリエーションがありますが、新たなタイプが追加されたようです。
ウェッジに、こだわりをもっているメーカーです。
側面
形状もかなり変わっていて、一度見たら忘れられません。
このウェッジを見て昔、一世を風靡した『チッパー』を思い出したのは、私だけではないような気がします。
これだけヘッドが大きく、また膨らんでいるので、中空ではないかな?と思いました。
SW
ソールにはSWと刻印されていました。
今は56や58など、ロフトを表す数字が刻印されていることが多いのですが、ちょっと前まではこのようになっていました。
なかなか見られないので、懐かしい感じがします。
ソール幅
かなり広いソールです。
『超・ワイドソール』といってもいいと思いますが、こういったところは、これまでのフォーティーンのウェッジで出会ってきているので、驚くようなことはありませんでした。
ただ、やはり広いな・・・。と思いました。
かなりソールが滑ってくれそうですし、バンカーでも活躍してくれそうです。
ソール幅がノーマルだと『砂を切る』イメージが出しやすいですが、これだけ広くて丸いと『砂を弾く』イメージのほうが強く出ます。
私はバンカーショットだけでなく、どのショットでもイメージを出すときに、常に『音』を頭に描いているのですが、このウェッジは『サッ』とか『シュパッ』ではなく、『ドン』とか『バン』という、弾いていく音が浮かんできます。
薄く砂を切るのではなく、エクスプロージョンが得意なタイプのウェッジだと思いました。
ネック長さ
大味なタイプのウェッジなのかな?と思っていたのですが、ネックの長さは適度にありました。
今はショートネックのウェッジのほうが少ないような気がします。
それだけ、スピンを自然に掛けやすいウェッジが多くなったといえると思います。
ショートネックのウェッジはちょっと手ごわそうだな・・・。と思うことがあるのですが、これくらいの長さがあると易しそうで親近感がもてます。
トップライン
変わったトップライン
かなり厚いといいますか、変わったトップラインです。
見方によっては、違うところがトップラインといえるのかもしれません。
このようなウェッジは珍しいですが、ルールに違反しないのであれば、どんどん新しいタイプのクラブが誕生してきてほしいです。
顔
顔を見ても、かなり独特です。
このように後ろの膨らみが見えるウェッジは珍しいです。
全く初めてというわけではないのですが、今はオーソドックスなタイプが増えてきているので、かなりの少数派といっていいと思います。
ウェッジやアイアンは『グースの強弱(大小)』が重要ですが、それよりもさらに見た目のインパクトがあります。
このウェッジはグースタイプではなく、『少し出っ歯』になっています。
ミーリング無し
フェース面にミーリングは見られなかったのですが、指で触れてみると、かなりのザラザラ感がありました。
もっと『スベスベ』した感じなのかと思っていたので、ちょっと意外でした。
オリジナルグリップ
装着されているグリップは、フォーティーンのクラブにはよく採用されているモデルです。
ソフトなフィーリングで好感が持てます。
構え感
ボールを前にして構えてみると、正直違和感があったのですが、固まってしまって始動できない・・・。ということはありませんでした。
SWということもあり、ロフトは充分寝ているのですが、後方の厚みがかなり目立つせいか、高くあげるというよりは転がすイメージのほうが強く出ました。
開きやすさ
フェースを開いて構えてみたのですが、あまりいい感じはしませんでした。
あまり開閉を使わず、普通に、できるだけシンプルに打っていくべきなのだと思いました。
あえて『開く』『閉じる』のどちらかを選択するとするならば、私は『閉じる』ほうが易しいような気がします。
試打を開始しました。
フェース面
『打感』は、なかなかいい感じです。
ソフトなフィーリングがありました。
打つ前は大味な打感を予想していたのですが、違いました。
ウェッジ本来が持っていて欲しい『絶妙な打感』という感じではなかったのですが、このウェッジの打感も好感が持てました。
しばらく打っていれば、すぐに距離感が掴めそうだな・・・。と思える打感です。
スピン性能
『スピン性能』も高いです。
このスピン性能も打感同様、それほど期待はしていなかったのですが、予想以上の高性能です。
ヘッド全体の雰囲気などからは、それほど高性能な感じは伝わってこなかったのですが、『指で触れた感覚』通りのスピン性能をもっていることに気づきました。
トゥ側
球はあがりやすいです。
構えたときに転がすイメージのほうが強く出たのですが、実際に打ってみても、しっかりとあげてくれました。
少し『出っ歯』になっているのもありますし、球を拾いやすいです。
グースタイプを好まれる方には、やや難しいところがあるかもしれません。
バックフェース
『安定性』も高いです。
それは『ヘッドの慣性モーメント』というよりも、『ソールの滑りやすさ』にあります。
これだけの広くて丸みのあるソールが、安定性を高めてくれています。
アプローチは『ダフっていい』。いやむしろ『ダフって打つべきだ』ということを、このウェッジが伝えてくれているようです。
ミス(ダフり)が結果としてのミスになりにくい・・・。そんなクラブだと思います。
距離感
『距離感』は、最初のうちはイメージよりも少し先へ落ちる感じで、ちょっとだけ合いづらかったのですが、ある程度球数をこなしていって慣れることができました。
私にはもうちょっとしっかりしたシャフトのほうが合いやすいと思ったのですが、この軽量スチールが好きだという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
操作性
『操作性』という点では、あまり細工をするタイプではなく、このウェッジの特性を活かして、なるべくシンプルに使っていくべきだと思いました。
いい意味での『ワンパターン』といったらいいでしょうか?
違うことをしない・・・。いつも同じ方法で寄せていく・・・。
気にするのは『ボールの落としどころ』だけ・・・。
そんなシンプルさが、アプローチの成功率を高めてくれるのではないでしょうか?
こういうウェッジで打っていると、やはりアプローチは『パッティングの延長』なのだと気づかされます。
ヒール側
私はこれまでたくさんの方と一緒にプレーさせていただきましたが、アプローチが上手な方はとてもシンプルに打っておられることが多いです。
それほど多彩な『技』を使わず、確実性で勝負しておられるように思います。
それがスコアに、如実に表れます。
アプローチがスコアメイクの要であることは疑いの余地がありません。
アプローチの基準を『ピッチショット(ピッチング)』においておられる方は多くいらっしゃると思いますし、『ランニングアプローチ』や『ピッチエンドラン』においておられる方もいらっしゃると思います。
それはどれがベストというのではなく、その状況によっても変わってくると思いますし、その人の好みや感性などでも変わってくると思います。
私の場合は『ピッチエンドラン』を基準においています。
ピッチエンドランはキャリーとランの割合がほぼ『1対1』。
あるいは『5対5』という、とても分かりやすいシンプルな狙い方ができるからです。
もちろん、それは傾斜(アップダウン)や芝目(順目逆目)・時間帯や天候による芝の濡れ具合などによっても、変わってくるのですが・・・。
FOURTEEN H-030 WEDGE
そのピッチエンドランを基準に考えて、このグリーンは速いとか遅いということも判断しています。
グリーンの硬さもボールの転がりでつかめますが、それ以外にも『足の裏の感覚』で、ある程度分かります。
私の場合は、ピッチエンドランはPWをメインに。
ランニングアプローチは8Iをメインに。
ピッチショットはAWとSW。
ロブショットはSW。というように使い分けています。
全てのアプローチをSW一本でこなしておられる方もいらっしゃいますが、私には複数のクラブを使い分けたほうが合っていますし、何より易しいので、そのようにしています。
FOURTEEN H-030 WEDGE
私はアプローチの練習が大好きで、いつも球と遊びながら、色々なデータというと大げさかもしれませんが、その結果を蓄積しています。
トライ&エラーの繰り返しですが、それは私にとって大きな財産です。
FOURTEEN H-030 WEDGE
例えば何球か使い(もちろん全て同じ銘柄のボール)、同じ30Yの距離をピッチショット・ピッチエンドラン・ランニングアプローチで寄せにいった場合、OK(だいたい20センチ以内)に最も多く寄っているのは、いつもランニングアプローチです。
ランニング>ピッチエンドラン>ピッチショットの順です。
寄る確率が高いだけでなく、そのままカップインしているボールが多いのも、ランニングアプローチです。
それは何度やっても結果は変わらないですし、球数を増やせば増やすほど、その差は明らかになります。
FOURTEEN H-030 WEDGE
アプローチは高くあげて、ギュッとスピンを掛けて止めたほうがカッコいいから好きだ・・・。という方も多いかもしれませんが、確実性ということを求めていくのであれば、転がすほうが有利です。
高く打ち出していくよりも、低い打ち出しのほうが、距離感も合いやすいです。
例えばピッチショット(ピッチング)のキャリーとランの比率が3対1だとし、ランニングアプローチのキャリーとランの比率が1対3だとすれば、ピッチショットの場合はその3まで面倒を見なければなりませんが、ランニングアプローチの場合は、たった1だけでいいです。
あとはグリーンに任せていくだけで、ボールは勝手にカップまで寄っていってくれます。
しかも高い確率で・・・。(しかし、それにはグリーンをしっかり読んで、落としどころを決めなければなりませんが、それはどのショットでも同じです。)
入らなくても、ほぼOKの位置にまで寄っていますし、そうではなくても、難しい距離が残る確率は低くなります。
ピッチショットよりも、ボールの落としどころが近くにあるので、その狙いどころに落とすのも易しくなります。
あげる必要がないので速く振ることもなく、ゆっくりとボールをフェース面にヒットするだけでいいので、ミスヒットの確率も下がります。
あげなければならない場面というのは、それほど多くなくて、その多くが転がしで対応できます。
『空中戦(ピッチショット)』のほうがカッコいいですが、実は『地上戦(転がし)』のほうが、有効性が高いです。
足(ラン)を使ったほうが、カップインする確率も高まるので、攻めていくとき(グリーン回りからのチップイン)も、転がしのほうが有利です。
アプローチでパターを多用しておられる方もいらっしゃいますが、それも理にかなっていると思います。
FOURTEEN H-030 WEDGE
このウェッジはSWということで、高くあがりやすいのはもちろんですが、少し抑えて低く打ち出して転がすのも易しいです。
しかも、スピンがしっかり効いてくれるので、下り傾斜のときも勇気をもって臨めそうです。
とても実用性の高いウェッジだと思いました。
まさに『ユーティリティウェッジ』といったところでしょうか?
使いどころはたくさんあるように思います。
FOURTEEN H-030 WEDGE
先ほども書きましたが、全てのアプローチをSW一本でやっているという方は多くいらっしゃると思いますし、そういった方々には、このウェッジを是非試していただきたいです。
ルールで14本以内というようにクラブの本数が決められているので、私がこのウェッジをバッグに入れることはないと思うのですが、もしルールが緩和されて『15本以内』ということになれば、是非入れておきたいと思えるクラブです。
私はオーソドックスなウェッジを好みますが、ウェッジの外見など気にしない。とにかく易しくて確実性のあるクラブを使いたいという方。
アプローチが苦手で、なるべくシンプルで確実に寄せていきたい・・・。という方にも、かなり頼もしい相棒になってくれるのではないでしょうか?
形だけが変わっていて、打感やスピン性能が置き去りになっているのかと最初は思っていましたが、実際に打ってみて、全くそんなことはなかったので、好感度がさらに高まりました。
クラブに個性を見出しづらくなっているように思いますが、ルールに違反しないで、このような優れたクラブがどんどん登場して欲しいと思います。
形は変わっていますが、とても実用性の高いクラブです。
さすがはウェッジのトップメーカーであるフォーティーンだな・・・。と思いました。
いつもウェッジのことを考えているメーカーだといっていいのではないでしょうか?
あえて、このウェッジの弱点といいますか、欠点のようなものを見つけるとすると、この形状がどうしても受け入れられないという方には合いづらいところがあると思いますし、先ほども書きましたが、グースネックタイプを好まれる方にも、難しく感じられるところがあるかもしれません。
そして、このウェッジは『グリーン回り』。つまりアプローチでこそ、活きてくるということです。
フルショットには向かない(向きづらい)クラブだと思います。
フルショットには、ノーマルなウェッジのほうが易しいような気がします。
アプローチに特化したクラブといえますが、それは範囲を狭めた分だけ、その得意分野が大きく突出しているということもいえます。
アプローチの練習する時間がとれなくて、どうしても苦手だという方。
アプローチはシンプルに『結果第一』だという方にも、是非試していただきたいと思いました。
個性的なウェッジですが、実に理にかなっていて、頼もしい存在になってくれるような気がします。

見た目は独特ですが、それを補って余りある、魅力的で優秀なウェッジです。