今日は、このゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは ナイキ VR_S コバート ドライバー です。
シャフトは 三菱レイヨン BASSARA F53 です。
ロフトは10.5度、クラブ長さは45.75インチ、シャフトフレックスはS、シャフト重量は57g、トルクは4.4、バランスはD1、キックポイントは中調子、クラブ総重量は302gです。
ナイキの新しいドライバーです。
ナイキは海外メーカーですが、テーラーメイドなどのように、新製品のサイクルはあまり早くありません。
じっくり丁寧に設計・開発をして、世に送り出しているのでしょうか?
これまでのモデルもそうですが、かなり個性的な設計になっているように感じます。
『機能性』『物理的性能』を、何よりも重視している・・・。というイメージがあります。
ナイキのクラブは『フィーリング』や『形状の美しさ』などよりも、『数値』や『目新しさ』『変貌性』に重きを置いているような印象を受けます。
一概にどれがいいとはいいきれないのかもしれませんが、こういったメーカーの個性というのは、それぞれ違いがあったほうが私たちユーザーも解りやすくていいです。
ただ、私はこれまでナイキのクラブを購入したことがないのですが・・・。
今回のニューモデルは、これまでのナイキのドライバーには見られないような試みがいくつも取り入れられているようです。
いつも、色々なクラブを試打していると、あまり変わり映えがしないように感じることも多いのですが、ここまで大きな違いがあると、とても楽しくなります。
『構え感』を邪魔しないのであれば、どんどん変化していってもいいように思います。
まず何と言っても、このポッカリと空いた大きな開口部が目を引きます。
とても珍しい設計だと思います。
ただ、初めてというわけではなく、先日試打した アキラプロダクツ NewADR プレミアム ドライバー やだいぶ前に試打した アキラプロダクツ ADR プレミアム ドライバー を思い出します。
やはり、同じような効果が期待できるのでしょうか?
アキラのドライバーには、大きなポケットの中に、ウェイトのような物が組み込まれていましたが、このナイキのドライバーには見られません。
しかし、それ以外に色々な工夫が組み込まれているようです。
この大きな穴を見ていたら、以前観たドキュメンタリー番組で、クジラが大口を開けて餌のオキアミを獲っているシーンを思い出しました。
これだけの大きな部分が凹んでいるということは、それだけ物理的な理由があるのでしょうか?
数年前のナイキのドライバーだったら、きっとクラウン部分まで、この凹みが貫通していただろうな・・・。と思いました。
今や『常識』となりつつある、調整機能システム搭載ドライバーです。
ナイキのドライバーは、これまでも同様のモデルを発表しているので、特に珍しくは感じません。
プレイヤー自身が容易に好みのシャフトを交換できるようになっているのでしょうか?
こういった工夫はとても画期的なことだと思います。
ただ、昨日(2月5日)の朝刊に、ヤマハの『RMXドライバー』のヘッド部分のネジの不具合が見つかり、シャフトからヘッドが抜け落ちる恐れがある為、使用中止の告知と共に、回収する・・・。という記事を見て、衝撃を受けました。
これから、こういった調整機能システムがどんどん発展していくかと思われた矢先の出来事だったので、私たちゴルファーもそうですし、メーカー側(他のメーカーも含めて)も大きな動揺があるのではないでしょうか?
こういった製品としての欠陥もそうですし、たとえ製品に欠陥は無かったとしても、調整するのはプレイヤー自身です。
ミスが絶対起こらないとはいいきれません。
自分は完璧に調整できて使っていても、例えば練習場の隣の打席の方が、不完全なまま使用していて、万が一ヘッドがこちらに飛んできたら・・・。と思うと怖くてたまりません。
他のメーカーのクラブで、こういった調整機能システムを初めて目にしたときに、こういった不安を感じていましたし、いつか今回のようなことになりうる危険性を感じてはいましたが、残念でなりません。
調整機能システム搭載のドライバーが発売されて数年が経ちましたし、私も周りでも、事故などが起きた・・・。とは聞いていません。
私もたくさん調整機能システムを試打してきましたが、特に危険だと感じたことはありませんでした。
ヤマハの『RMX』も昨年試打しましたが、いいドライバーだな・・・。という印象が残っていました。
ただ、これまでの調整機能システム搭載ドライバー同様、私は調整したことはないのですが・・・。
私が今愛用しているドライバーも、一応『調整機能付き』といえるのかもしれませんが、ウェイトを交換できるだけです。
しかも、私はこれまでマイドライバーのウェイトを外したことがありませんし、これからも外す予定はありません。
ヒール側に、『FLEX LOFT』と記されていました。
『FLEX(フレックス)』。
つまり、労働の始業と就業時間を労働者が自由に決めることのできる『フレックスタイム制』のフレックスなのかな?と思いました。
ということは、プレイヤー自身が、クラブのロフトを自由に設定できるのかな?と思いました。
すごく画期的なことだと思いました。
そういえば、ヘッドにも、シャフトに貼られているシールにもロフト表示がありませんでした。
とても珍しいことだと思いますが、私のドライバーにも表示されていないな・・・。と思いました。
ネックの部分をよく見てみると、『85 95 105 115 125』と記されていて、真ん中の『105』のところに、『NEUTRAL』と重なっていて、このドライバーの今のロフトが『10.5度』なのだと解りました。
今日は専門の工具が無かったので、調整することができなかったのですが、どのようにしてロフトを変えていくのか、とても興味深いです。
そして、これらのロフトは、いわゆる『表示』でなく、『リアル』なのかな?と思いました。
それと『D』という文字が気になりました。
これは『ドライバーのD』ということでいいのでしょうか?
もし、そうだとするとスプーンは『S』、バフィは『B』、クリークは『C』ということになるのかな?と思いました。
ネックの長さは、こういった調整システムがあるせいか、やや長めに見えました。
しかし、極端に長いとは思わなかったですし、標準的な部類に入るのかもしれません。
このクラウンが真っ赤なのも、とても珍しいです。
ちょっと質感は違いますが、昨年試打した『Pharaoh』のドライバーを思い出しました。
数年前のナイキの『SQ』の頃は『黄色』が、よく目立っていましたが、最近はこういった『赤』になっているようです。
赤いヘッドに違和感はそれほどありませんが、できれば『黒』とか『ブルー』『パーシモンカラー』だともっといいかな?と思いました。
こういった赤い色は、テーラーメイドが火付け役となった『ホワイトヘッド』に対抗する意味があるのでしょうか?
白い色は『残像効果』があるのに対し、赤い色は精神を奮い立たせる効果が期待できるので、そういった効果を求めたい方には、魅力的な色なのかもしれません。
白のように、他のメーカーが追随してくるような感じは今のところ無いように思うのですが、これもまだ解りません。
いずれ、赤いヘッドが流行るかもしれません。
しかし、私はおそらく購入しないと思います。
色ばかりに目が行きがちですが、形状も少し個性的でした。
かなりシャロー感を感じました。
フェースが被っているようには見えなかったのですが、何となく『つかまえ顔』に見えました。
トゥ側よりも、ヒール側に特徴のあるヘッドだな・・・。と思いました。
あまり美顔だとは思いませんでしたが、数年前のナイキのスクエアドライバーを経験している私には、すごく歩み寄りやすくなったような気もします。
あの頃のナイキのドライバーには、とても近寄りがたい雰囲気がありました。
このナイキのスウッシュマークも、よく目立ちます。
ナイキファンの方には、たまらないのではないでしょうか?
普通、クラウンマークにするのであれば、中央部分にもってくると思うのですが、このような位置にもってくるところが、いかにもナイキらしいところです。
この位置にすることで、何か狙いがあるのかな?と一瞬思ったのですが、おそらく特に大きな意味は無く、あくまでもデザイン上のことなのだろう・・・。と思いました。
シャローバックであることは、これまでのナイキのドライバーらしいところだと思います。
外見上は、様々な試みが見られるドライバーですが、こういったシャローバックなところは、今のドライバーの流れを汲んでいるように思います。
昔はシャローバックが敬遠されたこともありましたが、今ではすっかり受け入れられるようになりました。
逆にディープバックを敬遠される方が増えてきたように思います。
やはり、今は多くのゴルファーが自分自身に合ったクラブを把握しておられるのだと思います。
プロが使っているから・・・。とか、先週プロが勝ったから・・・。という理由だけで、クラブが売れる時代ではないような気がします。
そういえば、ローリー・マキロイ選手がタイトリストから、ナイキに契約が変わり、10年契約で約200億円以上というニュースを聞いて驚きました。
細かすぎて写真ではよく見えないのですが、ヘッド後方には、『HIGH SPEED CAVITY BACK TECHNOLOGY』と記されていました。
これは、つまりソールのあの大きな凹みのことをいっているのだと思いました。
キャビティバックということなのだそうですが、その技術によって、ハイスピードになる・・・。ということでいいのでしょうか?
つまり、ハイスピードはボールのスピードが速くなる・・・。ということなのでしょうか?
それとも、単にスイングスピードが速くなる・・・。ということなのでしょうか?
素振りをしてみても、あまりしっかりした感じはしませんでしたが、これまでのナイキのドライバーに共通する振り感でした。
ナイキのドライバーと、バサラシャフトのコンビは、『異型』の頃からのイメージが強いです。
私はあまりバサラのシャフトを手にしないのですが、こういった大型ヘッドには力を発揮するシャフトなのでしょうか?
もう少しバランスが出てもいいかな・・・?と思いました。
ボールを前にして構えてみても、独特な雰囲気を感じました。
決して『異型』とか『構えづらい』『方向性が出しづらい』ということではないのですが、正直、美しいとは思いませんでした。
もう少し、すっきりしていてもいいのかな?と思いましたが、ナイキらしい感じもしました。
この『紅白』の取り合わせが面白いと思いました。
ヒール側に特徴を感じて、何となく球がつかまりそうな予感がしました。
丸顔ではあるのですが、どことなく数年前の『四角顔』を思い出しました。
強い違和感は無かったのですが、あまりいいイメージが出せませんでした。
試打を開始しました。
音は少し高めではあるのですが、予想していたよりも大きくなく、安心しました。
ナイキのドライバーというと、どうしても私はあの『異音』が頭から離れず、苦手意識が強い原因となっています。
『四角顔』など『サスクワッチドライバー』は一度試打しただけで、あとは目にしても手にすることがなかったドライバーなのですが、あの強烈な印象はなかなか消え去りません。
なので、その後継モデルはどれも最初の一球目を打つときに緊張します。
また、あの独特の音だったらどうしよう?と思ってしまいます。
今日も、最初の一球目はすごく緊張しましたし、不安がありました。
しかし、実際は大きすぎなかったので、特に不満はありませんでした。
時々、抜けたような変な音がしたのですが、それは私のインパクトが悪いからだと思いました。
打感は、まずまずでした。
硬すぎないのがいいと思いました。
思わず夢中になってしまうようなフィーリングではないのですが、大きな欠点はありませんでした。
『可もなく不可もなく』といったところかな?と思いました。
『球のあがりやすさ』という点では、シャローヘッドでしかも、10.5度という球のあがりやすさを充分に感じました。
球をよく浮かせてくれ、タフな感じは全くしませんでした。
高~い弾道で打っていけるドライバーだと思いました。
このドライバーは『8.5度から12.5度』までロフトが変えられるようなので、ほぼ『万人向けに近い』といっていいのかもしれません。
ただ、おそらく、この10.5度が一番『一般受け』しやすいような気がしました。
このドライバーでロフトを立てて、ライナー系の球を打ってみたいと思いました。
『安定性』という点では、これだけのヘッドなので、かなり高性能なのだろうと思うのですが、最初の数球は球がつかまり過ぎてフックを打ってしまいました。
これではいけないと思い、意識的に逃がしていったのですが、今度はスライスが出てしまいました。
このドライバーの性能が低いとは思いませんが、どうも私との相性が良くないらしく、慣れるまで結構時間が掛かる感じがしました。
『飛距離性能』という点では、なかなかいい感じだと思いました。
初速も速くて、ボールに勢いが感じられます。
スピンも思っていたよりも多くなかったのか、最初の印象よりも吹き上がる感じがしませんでした。
『ライナー系』とまではいかなかったのですが、それに近い感じの球を打つことができました。
驚くほどの飛距離性能だとは、正直思いませんでしたが、まずまずのレベルにはあるような気がしました。
『強いインパクト』で打っていくよりも、さっと速く振り切っちゃったほうが距離を稼ぎやすいタイプだな・・・。と思いました。
インパクトに心を込めるのではなく、あくまでも合理的で『ドライ』に打っていくほうがいいような気がしました。
ただ、何となくなのですが、飛んでいくボールの軌道のラインが『細い』感じがしました。
球質も軽いように感じられました。
マイドライバーならば、もっと『ドーン』という感じで太いラインを見ることができますし、重めの球質で打っていけるのですが、このドライバーは明らかに違うように感じました。
色が薄い感じがしました。
あくまでも私の感覚的なことなので、上手く表現できないのですが、正直ちょっと頼りない印象をもってしまいました。
『操作性』という点では、あまり敏感にこちらのニュアンスを伝えやすくはありませんでした。
とりあえず、左右に曲げることができましたが、このドライバーは最初から操作性を追求して開発されたドライバーではないと思います。
操作性をもっと良くするのであれば、『美顔』『立体感』と『シャフトのしっかり感』があればいいように思いました。
私は曲げて楽しみたいタイプなので、ちょっと表現は良くないかもしれませんが、少し退屈してしまいました。
あまり気持ちが昂ることがありませんでした。
タイガー・ウッズ選手やローリー・マキロイ選手などを始めとして、ナイキ契約プロが、こぞってこのドライバーを使うのでしょうか?
数年前にナイキのドライバーが1、2、3フィニッシュしたことがありますが、今年もオーガスタで大暴れするのでしょうか?
あの、オーガスタナショナルの美しい緑と、この赤の組み合わせをたくさん見るようになるのでしょうか?
昨年のマスターズは、ババ・ワトソン選手の劇的な優勝が記憶に新しいですが、もうひとつショッキングだったのが、アーニー・エルス選手の連続出場が途絶えたことです。
エルス選手は、私のイメージでは常にワールドランキングのトップ10には入っているイメージだったのですが、ランキングがすごく落ちていたことに驚いたのをよく憶えています。
今は、それくらい競争が激しくて、ハイレベルなのだと思います。
しかし、今年は昨年の全英オープンチャンピオンの資格で出場できますし、5年シードのあるうちに是非グリーンジャケットを着て欲しいと思っています。
一度優勝すれば、あとはずっと出場できるので、是非そうなって欲しいと思っていますし、彼にはその資格が充分にあると思います。
日本人選手はもちろん、タイガーウッズ選手、フレッド・カプルス選手・・・。など、応援したい選手はたくさんいるのですが、今年はアーニー・エルス選手を特に注目したいと思っています。
エルス選手には、グレッグ・ノーマン選手と同じ轍は踏んで欲しくないと思っています。
ノーマン選手が勝つチャンスがあったのは複数回ありますが、やはり1996年が一番印象的でした。
3日目まで独走していながら最終日に崩れ、同組で回っていたニック・ファルド選手に逆転負けを喫してしまいました。
ソニーランキングで、ずっと1位と2位を分け合っていた両雄でしたが、明暗がくっきりと分かれてしまいました。
TVで観戦していながら、何故だろう?と思っていましたし、流れの怖さを感じました。
その翌年の1997年にタイガー・ウッズ選手が記録づくめの優勝をしましたし、ディフェンディングチャンピオンのファルド選手がウッズ選手と回って予選落ちを喫したのも印象的でした。
それくらい、あの頃のウッズ選手のオーラは凄かったのだと思います。
さて、ちょっと横道に逸れてしまいましたが、このドライバーはとても画期的なデザインで、ナイキらしいたくさんの機能が詰まっている現代風な感じがしました。
フィーリングも昔ほど悪くはありませんし、進歩しているように思うのですが、どちらかといえば機能性のほうが目立ちます。
このヘッドも、やはり遠藤製作所が作っているのでしょうか?
進化も感じられますが、私が持っているナイキのドライバーに対するイメージを覆すものではありませんでした。
たくさんの機能が詰まっていて、調整システムも充実していますが、私はあまり魅力を感じませんでした。
私の『購買意欲センサー』は全く反応しませんでした。
テンションが高くなることもなく、ただ淡々と試打をこなしていました。
あと何球・・・。という具合に後ろ髪を引かれるようなこともありませんでした。
予定の球数で試打を終えることができました。
色々な機能がありながらも、ちょっと表現が悪いかもしれませんが、チープに感じられました。
今の技術が組み込まれた、いわゆる『ハイテクドライバー』といえるように思うのですが、だからといって、それが全てではないと改めて感じました。
私にはあまり馴染めないドライバーですが、このドライバーにすごく魅力を感じられる方もいらっしゃると思います。
ナイキファンの方は勿論、高い機能性のあるドライバーを使いたい方には興味深い存在といえるのではないでしょうか?
ただ、先ほども書きましたが、その『安全性』が改めて問われるようになりました。
調整機能付きのドライバーが売れるから、たくさん作って売ればいい・・・。ということでもないと思います。
ノーマルなドライバーに比べ、不具合の生じる確率が高いのは間違いありません。
勿論、メーカーも出荷前に安全審査を繰り返しているとは思うのですが、新たな基準が必要になってくるのかもしれません。
私は、このドライバーを使いたいとは思わなかったですし、おそらくもう試打はしないように思います。
ただ、FWやUTはまだ試していないので、機会があれば試打してみたいです。
あくまでも私の中でのことなのですが、ナイキのクラブで、アイアンとドライバーとの距離はまだまだ縮まっていないな・・・。と思いました。
これからも、ナイキ独自の開発に期待したいと思いますし、思わずため息が出てしまうような惚れ惚れするドライバーを発表して欲しいです。
ナイキ VR_S コバート ドライバー
- 2013年2月6日
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