今日はこのゴルフクラブを試打しました。
試打クラブは ダンロップ スリクソン NEW Z-TX ツアー P-420 ドライバー です。
シャフトは Miyazaki Kusala Indigo です。
ロフトは9.5度、クラブ長さは45.25インチ、シャフトフレックスはS、トルクは3.3、シャフト重量は69g、バランスはD3、キックポイントは中手元調子、クラブ総重量は318g です。
スリクソンのニュードライバーです。
色的に見て一瞬、女性用のドライバーかな?と思ったのですが、形状的にもとてもシブくてカッコいいドライバーです。
どの角度から見ても、スリクソンらしいカッコ良さがとても目立ちます。
写真では見えづらいのですが、『LIMITED MODEL』とあり、限定モデルなのだということが解りました。
いわゆる『本数限定』ということだと思いますし、今はそれほど『多数派』とはいえない、しっかりとしたセッティングのドライバーを求めておられる方の為のドライバーなのでしょうか?
既存のモデルでは物足りない・・・。という方をターゲットにしているのでしょうか?
今の時代は『易しいモデル』で限定品ということは考えにくいので、このドライバーが『タフ』なタイプなのだろうという予測が立ちました。
このドライバーの名前でもある、『P-420』とは、どういった意味なのでしょうか?
『420』はヘッド体積だろうということは容易に想像がつくのですが、『P』とは『洋なし』つまり『PEAR』という意味なのでしょうか?
以前試打したときに出会ったブルーは『水』、ブラックは『氷』という愛称がついているのだそうですが、今回のこの『Indigo』は『雪』というのだそうです。
『氷』や『水』などもそうでしたが、シャフトに『雪雪雪雪雪雪』と表示されているのがとても面白いです。
今のような暑さが厳しい季節にはピッタリのネーミングだと思いました。
ジーンズが昔から好きで、学生の頃からよく履いていた私は『Indigo』というと、あの独特の青さを表す『インディゴブルー』を思い出してしまいます。
このインディゴブルーは昔、アメリカの西部開拓時代に砂漠に棲む『ガラガラヘビがを避ける色』だというのを聞いたことがあるのですが、数年前のTVの実験でマネキンにインディゴブルーのジーンズを履かせてガラガラヘビが集まっているところに近づけてみると、しっかりと咬まれていました。
あの色には効果がないということを初めて知りました。
『Indigo』と『雪』というのは、あまり結びつかないような気もするのですが、このシャフトの色が『Indigo Blue』、つまり『藍色』ということなのでしょうか?
『氷』『雪』『水』というように、冷たいものを連想させることによって、ゴルファーの潜在的なパワーが導き出されるのでしょうか?
それともそんな深い意味はないのでしょうか?
どちらにせよ、『青』というのは私の大好きな色なので、すごく好感がもてました。
予想通り、とても美しい顔をしていました。
この均整のとれた小顔感がたまりません。
思わず見惚れてしまいました。
今日はもう一本、昨年発売された『NEW Z-TX ドライバー』を借りることができたので、どれくらい異なっているのか、見比べてみることにしました。

昨年発売された『NEW Z-TX DRIVER』

〈左〉Z-TX 〈右〉P-420
『顔の大きさ』は一目瞭然でした。
左側のZ-TXも美しいドライバーですが、私の好みでは完全にP-420です。
Z-TXだけで見ていたときは、それほど『シャロー感』は感じていませんでしたが、こうして見比べてみると、明らかにシャローな感じがします。
小振りで立体的に見える、右側の『P-420』の好感度がどんどん増してきました。
こうして、この2本のドライバーを見比べていると、3年前に出会って大きな衝撃を受け、その年の『ドライバー・オブ・ザ・イヤー』に輝き、そのまま購入した名器『ZR-30』と、そのもうひとつの異なるタイプの素晴らしいドライバーである『ZR-800』を思い出していました。
今でこそ『400cc前半台」のドライバーが復活してきましたが、あの頃はどのモデルもルールギリギリの『460cc』ばかりだったように思います。
以前も書きましたが、『460cc』という体積はあくまでもルールで定められている『上限』であって、誰にでも合う『最も優れた大きさ』だとは思っておりません。
大きくなるにつれ、長所も発生すると思いますが、同時に短所も発生すると思います。
アイアンやウェッジなど、他のクラブとのマッチングなどで難しく感じておられた方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
この2つを見ていたら、何となくですが、『牛若丸と弁慶』を連想してしまいました。
どちらも歴史上の英雄ですし、歌舞伎の勧進帳『安宅の関所』の話はとても心を打たれました。

〈左〉Z-TX 〈右〉P-420
ちょっと話が逸れてしまいましたが、ヘッド後方から見比べたときは、それほど大きな違いはなかったようにも見えたのですが、若干Z-TXのほうが『面長』なのかな?と思いました。
それとZ-TXはヘッド後方にウェイトがあるのに比べ、今回のニューモデルである『P-420』にはありません。
それだけ重心も深くしていないのだと思いますし、『叩ける』モデルになっているような気がしました。

〈左〉Z-TX 〈右〉P-420
こうして見ていても、左のZ-TXのほうが、明らかに後方に伸びています。
『シャロー感』がよく伝わってきます。

〈左〉Z-TX 〈右〉P-420
『クラウンの高さ』には、殆ど違いは見られなかったのですが、右のP-420のほうが『立体感』があって、私は親しみを感じます。
ヘッド体積の違い(40cc)が、そのままこの立体感につながっているのでしょうか?
ただ、P-420のほうも、それほどディープ過ぎるヘッドではないと思いました。
『今風(いまふう)』といいますか、『タフさ』と『易しさ』が上手く同居している感じがしました。

素振りをしてみても、なかなかいい感じです。
スリクソンらしい重量感が感じられましたが、それほど重すぎる感じはしません。
むしろ、最近の『小顔』ドライバーらしい重量感だと思いました。
聞くところによると、このドライバーは色々なセッティングができるのだそうで、そうするとかなり多くのゴルファーのハートをキャッチしてしまうのではないかな?と思いました。
海外メーカーのように、シャフトを交換できたり、ロフトやライ角、フェースアングルを変えることはできないようですが、私は敢えてそうしているのだろうと思いました。
スリクソンらしさ・・・。といいますか、ある種のこだわりのようなものを感じます。

ボールを前にして構えてみると、そのあまりにも美しい顔のおかげで、一気にハイテンションになってしまいました。
気持ちがワクワクしてきました。
子供の頃、初めて遊園地に行ったときのような感じ・・・。といったらいいでしょうか?
ちょっと大げさかもしれませんが、練習場に他に誰もいなかったら、思わずスキップしてしまうんじゃないかな?と思えるほど気持ちが高揚してきました。
練習場には、他に練習してる方がおられたので、迷惑をかけないようにウンウン・・・。と小さく頷いていました。
小振りでありながら、ちょっとだけ『面長』にも見えたのですが、とても構えやすく感じられました。
しばらく見惚れながらも、色々ないいイメージが次から次へと湧いてきました。
まずは持ち球の『フック系』でいくか、それとも真逆の『スライス系』でいってみるか?
高い球からいくか、低く抑えていくか・・・。
色々な考えが頭をよぎりました。
改めて『構えやすさ』『美しさ』というのは、クラブの大切な性能のひとつだと思いました。
試打を開始しました。

『打感』は、すごくいいです。
美しい顔と心地よい打感のバランスがとてもハイレベルで実現できているドライバーだと思いました。
スリクソンらしい、グッドフィーリングなドライバーです。
硬すぎず適度な柔らかさを持ちながらも、『球の質感』を充分感じることができました。
『叩けるドライバー』は、こうでなくてはなりません。
このフェース面を見ていると、打感はやや違う感じもしますが、こちらもすごくグッドフィーリングで今年試打したドライバーの中でも、特に気に入っているものの一つである jBEAM FX TOUR-425(BLACK) ドライバーを思い出しました。

『音』がいい・・・。ということは、これまでも書いてきましたが、ダンロップならば『既成事実』といったところもありますし、私は信頼しきっています。
その信頼を裏切らない、予想通りの聞きごたえのある『耳に優しい』音でした。
スインガータイプ用のドライバーの中には、ヒッターが打ったときに音が大きく変わってしまうクラブも昔からたくさんありましたが、このドライバーはそういった意味での『音の安定度』でもピカイチなのではないか?と思いました。
あらゆる人が打っても『異音』を発するドライバーではないと思います。
このスペックだと、スインガータイプの方には、ややタフに感じられるところもあると思うのですが、様々なバリエーションの中からスインガータイプの方に合うようにセッティングして打たれても、きっといい音を発してくれるのではないでしょうか?
しかし原則的にいって、このドライバーはスペック的に見ても、『叩ける人』向けだと思います。

『球のあがりやすさ』という点では、最近よく見られるようになった『中弾道』といいますか、吹き上がらずに力強く飛んで行ってくれるので、『強弾道』といった表現がピッタリなのかもしれません。
今は様々な『9.5度』がありますが、このドライバーの9.5度は間違いなくしっかりと叩いていける9.5度です。
そういった意味でも、このドライバーはかなり『タフ』『ハード』といった表現が合っているのかもしれません。
しかし、先日試打したKAMUI KP-Xほどタフだとは思いませんでした。
ウェイト交換もできるようですし、こちらの『P-420』のほうが、明らかに敷居は低いような気がします。
昨年発売された『NEW Z-TX DRIVER』と比べると、明らかにこちらのほうがタフだと思います。
『NEW Z-TX DRIVER』のほうが少し間口は広いように思います。
『P-420』は、メーカー側がターゲットとなるゴルファーを、かなり絞り込んでいるのではないでしょうか?

『安定性』という点では、これくらい小振りになっているので、それほど『易しさ重視』ではないことが打つ前からある程度予測できていましたが、それほどシビア過ぎる感じはしませんでした。
シャフトもしっかりとしていますし、普通に構えてラインをイメージし、そこに乗せていく作業はとても容易でした。
この『安定性の高さ』『ラインの出しやすさ』は、やはり構えたときの印象がすごく良かったからだと思います。
ただ、やはりこういったスペックのドライバーですし、『易しさ最優先』的なドライバーではないことは打つ前から解っていたことですが、こういったところが『スリクソンらしさ』だと私は思っています。
球がつかまり過ぎないので、パワーヒッターの方でもスライスに悩んでおられる方には、やや難しく感じられるかもしれません。
しかし、このドライバーはウェイトが交換できるタイプなので、それを試してみると、かなり幅が広がるような気がします。
『易しさ』が満ち溢れているドライバーではありませんが、『ZR-30』よりは大らかさのようなものを感じます。

『飛距離性能』という点では、かなり期待できると思いました。
この力強い弾道を見ていると『飛びに無駄がない』と感じました。
まさに『ヒッターの為の』ドライバーという感じがします。
キャリーが高く出やすいタイプではないですし、ある程度叩いていかないとドロップしてしまうかもしれません。
こういった点でも、昨年発売されたモデル『NEW Z-TX DRIVER』とは明らかに違いを感じましたし、好みが分かれるところだと思いました。
私の好みでは、やはりこちらの『P-420』のほうですし、購買意欲が刺激されてしまいました。

『操作性』という点でも、すごく好印象を持ちました。
『打感』や『構えやすさ』など素晴らしい点がたくさんあるドライバーですが、この『操作性の高さ』が強く印象に残りました。
球がつかまり過ぎないので、私たちのようなフッカーには安心して叩いていけるところがいいと思いましたし、『左への恐怖心』が湧いてこなかったので、視界がパッと広がったような気がします。
気分的に楽なのはすごく大きいです。
フェード系が打ちやすいドライバーだと思いますが、かといって、球がつかまり過ぎずに右へプッシュ気味の球が出る・・・。ということでもありませんでした。
つかまえにいけば、きちんとつかまえてくれるドライバーだと思います。
左右どちらにも易しく対応してくれた感じがしました。
今日はウェイトを変えずに、ノーマルのままの試打でしたが、このウェイトを交換するともっと楽しめそうです。
『操作性』は高いですが、直進性も決して低いとは思いませんでした。
あまり極端なことをしない限り、球を集めやすい感じがしました。
易し過ぎるドライバーではありませんが、予想外の球が出るというほどではありませんでした。

今日は思いもかけずに、このスリクソンの素晴らしいドライバーに出会うことができて、とてもラッキーでした。
これまでの『Z-TX』とは外見も似ていますが、性格はかなり異なる感じがします。
はっきりと『タフ』なドライバーだとは思いますが、こういったタイプこそが『スリクソン』だと思いました。
以前、あまりスリクソンらしくないドライバーに何度か出会ったことがあり、私の中で少し『ブランドイメージ』が崩れかかったところがあったのですが、このドライバーのおかげでかなりイメージアップしたような気がします。
私はこれまでもスリクソンのドライバーを何本か購入していますし、とてもいい印象が残っています。
その中での私にとっての『最高峰』は、やはり『ZR-30』なのですが、このドライバーもそのZR-30のイメージとダブるところがありました。

今の時期にニューモデルが登場するということは、今年の秋はもうスリクソンのニューモデルは発売されないのでしょうか?
もし、そうだとしたらすごく残念に思いますが、おそらくそんなことはないと思います。
このドライバーは『限定モデル』なのだそうで、かなりターゲットを絞り込んでいるように思いますし、もっと幅広い層を意識したニューモデルが登場してくるような気がします。
いずれにせよ、これまでのスリクソンらしい、カッコいいドライバーを期待したいと思います。
こういった『基本性能の高さ』はもちろん、『美観』などあらゆる面でハイレベルなクラブに出会うと、その日一日すごく得をしたような気持ちになります。
ゴルフクラブにも、ファッションなどと同様に『流行』というものがあると思いますが、やはりこれからもこういった『正統派』なクラブに出会っていきたい・・・。と思いました。
また何度でも試打を楽しみたい・・・。そんなドライバーでした。