ゴルフクラブ試打日記。          

キャスコ ドルフィン RUNNING WEDGE DRW-119

キャスコ ドルフィン RUNNING WEDGE DRW-119
今日は、このゴルフクラブ試打しました。
試打クラブキャスコ DOLPHIN RUNNING WEDGE DRW-119 です。
NIPPON SHAFT オリジナルスチール
シャフトは NIPPON SHAFT オリジナルスチール です。
ロフトは39度、クラブ長さは34インチ、シャフト重量は100g、トルクは1.7、キックポイントは中先調子、クラブ総重量は539gです。
正面
とても変わった形のキャスコのニュークラブです。
キャスコといえば、グローブがあまりにも有名ですが、ゴルフクラブも優れた物が多く、その個性が際立っています。
今では少ない『独自の開発』をしているメーカーです。
『後追い』的なクラブが多いなかで、常に先を走っているように感じられます。
側面
かなりのラージサイズです。
大きくて奇妙な形ですが、これにもメーカーの工夫があるのは間違いありません。
ルールに違反しないのであれば、いろいろなタイプのクラブが登場して欲しいです。
彫りの深さ
バックフェースの2つの『瘤(こぶ)』といいますか『角』のようなものがすごく目立っています。
これにはどのような意味があるのでしょうか?
彫りの深さはたっぷりありますし、こうして見ていると笑っている顔にも見えます。
トップライン
トップラインは、やや厚めですが、これだけヘッドが大きいとあまり目立ちません。
この大きさにはちょうどいい厚さのようにも見えます。
トップラインの形状
角度を変えてトップラインを見てみましたが、独特な形をしています。
これまでの概念を打ち破ったような形状です。
これにも深い研究があるのは間違いありません。
Dolphin Running Wedge 119
このクラブを最初に見たときはアイアンのように見えたのですが、『Dolphin Running Wedge 119』と記されているので、ウェッジとして作られているのが判りました。
しかも『ランニング専用』のようです。
そうか、ウェッジなのか・・・。と思いましたが、『アイアンとウェッジのハイブリッド的なクラブ』のようにも見えます。
昔流行った『チッパー』を思い出しました。
39
この39はロフトを表していると思うのですが、『48』や『52』『56』『58』などは、よく目にしますが、『39』は珍しいのでアイアンではどの番手に該当するかな?と思いました。
その状況にもよりますが私は普段、ランニングアプローチは『8番アイアン』を使います。
7番だとロフトが立っているので、足(ラン)が出過ぎてしまいますし、9番だと足が短くなってしまいます。
ずっと長くアプローチに練習を繰り返してきて、この番手が一番私にとってしっくりきます。
とはいっても、『番手』というよりは『ロフト』で考えるべきだと思うのですが・・・。
私は昔から8番アイアンのロフトは『40度前後』という感覚があり、そういった意味では、このクラブは8番アイアンの感覚で転がしていけるのかな?と思いました。
SWで全てこなすという方もいらっしゃいますし、転がしのロフトの好みは人それぞれだと思うので一概にはいえませんが、私はやはり『40前後』が合いやすいです。
このクラブは、他のロフトも用意されているのでしょうか?
ソール幅
ソール幅は、かなりワイドです。
こうして見ると、やはりアイアンというよりはウェッジに近い感じもします。
独特なソール形状 2つの角
ワイドソールもそうですが、やはりこの『2つの角』のようなものがよく目立っているので、注目しました。
ソール全体の形状も、完全なフラットではなく、丸みを帯びています。
トレーリングエッジ側も大きく削られていて、『抜きやすさ』にもこだわっているようです。
かなり変わった形ですが、何故か『大味』な感じはしませんでした。
どこか繊細さといいますか、丁寧さがあり、クラブ自体が主張しているようにも見えました。
ネック長さ
ネックの長さは普通です。
かなりヘッドが大きいので、『頭でっかち』に見えますが、それよりもバックフェースの凹みに目が行きました。
細かなミーリングあり
フェース面には何も工夫されていないだろう・・・。と思っていたのですが、違いました。
とても細かいですが、フェース面にはミーリングがありました。
近くでよく見てみないと判らないような細かなミーリングですが、これにもいろいろな効果が期待できそうです。
指で触れてみたのですが、『強いザラザラ感』というよりは、少し『控えめな感じのザラザラ感』がありました。
今でも、フェース面の仕上げが雑でチープに見えてしまうアイアンやウェッジは見られますが、このウェッジは全く違いました。
『彫り』ではなく、『スタンプ感』のあるスコアラインですが、フェース面全体は丁寧に仕上げられています。
かなり太いグリップ
このかなり太いグリップに驚きました。
これまでたくさんウェッジを試打していますが、ここまで太いグリップは初めてです。
パター用グリップとして大人気の『スーパーストローク』を思い出しました。
これだけ太いと手首をロックしやすいので、パターのように打って欲しい・・・。というメーカーの思いがあるのではないかな?と思いました。
ロブ系のショットでは『コック』を使いますが、このウェッジはそのコックを使わないで欲しい・・・。といっているようです。
構え感
ボールを前にして構えてみても、独特な個性がありますが、思っていたよりもクセが強すぎないのがいいです。
構える前は、ちょっとクセがきつすぎて構えづらいのでは・・・。と思っていたのですが、違いました。
見とれてしまう・・・。とか、自然にいいイメージが浮かんでくる・・・。というタイプではないのですが、特に緊張することもなく、普通に構えることができました。
苦手意識は芽生えないですし、頭の中がグチャグチャになることもありませんでした。
できればもうちょっとネック周りが絞り込まれているほうが、いいイメージが出せるな・・・。と思ったのですが、それでは普通のウェッジになってしまうかもしれない・・・。という思いもありました。
『グース』というよりは真逆の『ちょっと出っ歯』なタイプなので、グースネックを好まれる方には、構えづらいところがあるかもしれません。
私は強いグースネックは苦手ですし、かといって『出っ歯』がきつすぎるのもあまり好きではないのですが、このウェッジには特にマイナス的なことは感じませんでした。
転がしていくということで、すごくリラックスできました。
少々沈んでいても『歯先』で拾っていけそうです。
ゴルフのミスの要因は様々なものがありますが、その中に『飛ばしたい』『あげたい』『真っ直ぐ打ちたい』『カッコいいゴルフをしたい』・・・。などがあると思います。
それらは精神的なものですが、『飛ばさなくてもいい』『あげなくてもいい』『曲げてもいい』『カッコ悪くてどん臭くてもいい』と思えれば、肩の力も抜けリラックスできるのではないでしょうか?
このクラブは『あげなくてもいい』と打つ前から思えるので、ミスの確率をかなり下げられそうです。
試打を開始しました。
フェース面
『打感』はソフトで好感が持てました。
打つ前は機能性タイプのクラブにありがちな、『物足りない打感』だろうと予想していたのですが違いました。
意外なほどのソフトタッチで、いい意味で予想を裏切られました。
このウェッジは軟鉄だと、後から聞いたのですが、私は『アルミの打感』に近い感じがしました。
それくらい、柔らかくて『球当たりが優しい』打感です。
『ガツン』というフィーリングのアイアンやウェッジは今でも普通にありますが、このウェッジは全く違いました。
見た目はとても個性的で『ゴツイ』ところがありますが、実際はとても味わい深いです。
まさにゴルフクラブ界の『オニカサゴ』といったところでしょうか?
見た目とのギャップが大きいクラブです。
ソールの2つの角がオニカサゴのトゲとダブって見えました。
試打しながら、オニカサゴを思い出していました。
スピン性能
スピン性能は、なかなかいい感じです。
ランニングウェッジということで、止めるというよりは転がしていきたいクラブですが、ボールがフェース面を滑るのではなく、しっかりと乗って飛び出してくれました。
この『一瞬の間』がとても大切です。
これならばスピンも計算しやすいように感じます。
トゥ側
球はあがりやすく、とても拾いやすいです。
アプローチに特化したクラブということで、出球の高さを揃えやすいです。
ボールはフェースにいい感じで乗ってくれますが、ソールはよく滑ってくれるので、突っかかることもなく、自然にあげてくれました。
バックフェース
『安定性』は高いといいますか、もっといえば『超高い』です。
構えたときのイメージの出づらさを、このクラブの易しさが充分カバーしてくれました。
最初はある程度ミスするだろう・・・。と思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。
ソフトな打感と、高い安定性が意外でした。
意識的にダフってみようと思ったのですが、ソールが跳ねることもなく、よく滑ってくれたので、いい意味で『かなりアバウト』に打っていけるのもいいです。
このヘッドのもつ寛容さに加え、『しっかりとした重量』があるというのも、高い安定性につながっているのは間違いありません。
ミスしようとしてもミスしにくいクラブといったほうがいいような気がします。
昔から、ちょっと変わった形の機能的なクラブは『軽量タイプ』が多く、私はそこに難しさ・親しみづらさを感じることが多かったのですが、このウェッジは全く違いました。
それくらい、このクラブの易しさを強く感じました。
今は『易しいウェッジ』がたくさんありますが、このウェッジは間違いなく、それらの中でトップといえる易しくてオートマ性の高い性能をもっています。
ウェッジとしては、かなり重量がありますが、それをあまり感じさせない工夫がされているのか、試打していた重いな・・・。とは思いませんでした。
むしろ、適度でいい感じの重量感があるな・・・。といった感じでした。
重いクラブはちょっと・・・。という方はたくさんいらっしゃるかもしれませんが、このクラブの重さは気にならない方は多いのではないでしょうか?
適度な重さは『敵』ではなく、『味方』です。
距離感
『距離感』も合わせやすいです。
あげるよりも転がすほうが、圧倒的に距離が合いやすいです。
SWなどでバックスピンを掛けながら寄せるのとは違う、シンプルで技のいらない高確率な寄せが楽しめます。
『止め勘』で寄せるのではなく、足を使うので『送り勘』で寄せていけるクラブです。
操作性
『操作性』という点では、このクラブの特徴からして、それほど高いとは思いませんが、一応少しフェースの開閉を使って試してみました。
やはり、このウェッジがもつ『高すぎるオートマ性』が勝ってしまうので、細かなニュアンスは出しづらいですが、それは逆にプラスといいますか、武器になるような気がします。
いろいろな技を使って寄せていく・・・。というよりも、できるだけシンプルに高確率で寄せていきたい・・・。という方にはピッタリではないでしょうか?
『ワンパターンは武器になる』と、このクラブが教えてくれているようです。
ヒール側
このウェッジで球を転がしていて、高い確率で『80~100点の寄せ』が狙えるクラブだな・・・。と強く感じました。
100点というのはもちろん『カップイン』のことですし、『80点』でも、ほぼ『OK』がもらえそうなところまでカップに近づけるということです。
他のウェッジでは『50~100点くらい』が多いような気がします。
このキャスコのウェッジは、『最低点の底上げ』ができやすいように思います。
かなり高確率で、まるで『マシン』のように寄せていくことができました。
kasco DOLPHIN RUNNING WEDGE DRW-119
このウェッジの『最大の弱点』といえば、ランニングアプローチ用ということで、フルショットには適さないということではないかな?と思いました。(実際はフルショットもできるのかもしれませんが・・・)
それは仕方ないことかもしれないですし、このクラブでフルショットしたいとは思いませんでした。
ランニングアプローチ(転がし)の『専門職』といえるクラブだと思います。
総合職ではなく、専門職です。
使う用途が限定されるからこそ、その性能を発揮しやすいともいえるのではないでしょうか?
私は昔流行ったチッパーも経験していますが、長い年月が経って、さらに進化しているのを強く感じました。
kasco DOLPHIN RUNNING WEDGE DRW-119
昔、私の周りでベストスコアを更新した方や、シングルプレイヤー(ローハンディキャッパー)がたくさん生まれた時期がありました。
その要因は明らかでした。
『チッパー』が流行ったからです。
見た目はちょっと変わっていますが、あの個性的なクラブがアプローチを劇的に易しくかつシンプルにして、多くのゴルファーのスコアメイクに貢献しました。
今もそうですが、昔からアプローチは私たちゴルファーにとって大きな課題です。
私は上手くはありませんが、アプローチは昔から大好きです。
しかし苦手で嫌いだという方もいらっしゃると思います。
いろいろな技を使うよりも、とにかくシンプルに高い確率で寄せていきたい・・・。という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
ボールを上げてバックスピンでキュッと止めるのは確かにカッコいいですが、確率的にいうと、転がしに軍配があがります。
その差は圧倒的です。
見た目シンプルでカッコ良くないかもしれませんが、そのシンプルな『コロコロ』がスコアメイクにはとても大切です。
kasco DOLPHIN RUNNING WEDGE DRW-119
昔も今も多かれ少なかれ、ゴルファーには『見栄』というものがあります。
その見栄はとても大切ですが、場合によっては邪魔になってしまうこともあります。
見栄はゴルファーを成長させてくれる『糧』になることもありますし、逆にスコアメイクにおいての『妨げ』になってしまうこともあります。
チッパーはとても実用的なクラブだという認識は多くのゴルファーがもちながら、あまり見なくなったのは、そういったことも少なからず影響しているのではないでしょうか?
kasco DOLPHIN RUNNING WEDGE DRW-119
それともうひとつの大きな要因は『クラブの本数制限』です。
14本以内という決まりがあるので、チッパーを入れたくても入れられない・・・。という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
本数制限が少し緩和されれば、チッパーを入れたいという方は多いと思います。
私もこのクラブを試打してみて、自分のバッグに入れたくなりました。
すごくシンプルで易しいクラブです。
本数制限があるので、ひとつのクラブでいろいろな使い方をしないといけないですし、それもまたゴルフの楽しさ・奥深さにつながると思うのですが、このシンプルで超高安定性のクラブを実戦でも使いたくなりました。
kasco DOLPHIN RUNNING WEDGE DRW-119
私は、いつもゴルフクラブは『まず打つ前に目で楽しみたい』と思っています。
その感触や音を楽しむよりも、『まずは目で楽しむのが先』です。
しかし、このクラブは目で楽しむことはできませんでした。
目の保養どころか、すごく変わっているな・・・。というのが先に立っていて、正直あまり期待はしていなかったのですが、実際に打ってみて、これは『アリ』だと思いました。
高い安定性があって、ミスしようとしてもミスになりにくいクラブは、頼もしい相棒になってくれるのは間違いありません。
クラブの性能に任せてシンプルに打っていけるので、こちら(プレイヤー)がすることが少なくて済みます。
ボールの落としどころとスピードに集中するだけで、ボールは自然とカップに近づいていきます。
見た目はちょっとグロテスクなところありますが、すごく魅力的で美味しい、まさに『オニカサゴ』といった印象をもちました。
購買意欲が強く刺激されたのですが、このクラブをバッグに入れるとすると、どのクラブを外さなければいけないかな・・・。と思いました。
今使っているクラブを一本抜いてまで、このクラブを入れたくなるほど魅力的なクラブです。
アプローチが苦手で、なるべくオートマチックに高確率に寄せていきたい・・・。という方には、是非試してみていただきたいです。
普通ならば『オススメ』といったところですが、このウェッジは『強くオススメ』したいです。
このウェッジの見た目がどうしても馴染めない・・・。という方にはオススメできませんが、それほど気にならない・・・。という方には、頼もしい相棒になってくれ、スコアメイクにも役立ってくれるのではないでしょうか?
『シンプル イズ ベスト』を体感させてくれるクラブです。
試打していて、すごく気に入ったクラブを私は友人たちに勧めたくなるので、明日このクラブを早速勧めてみようと思いました。
間違いなく『傑作』と呼べるウェッジです。